前報では塩化第一銅を中濃度に定めて実験し, アセチレンの供給速度にかかわらず青酸の供給速度に関してのみ定まった反應挫を示すのを明らかにしたが, アセチレンと青酸との吸收速度の比から考えて, アセチレンが活性化をうけて青酸およびアセチレンなどと反應するものと推定されるので, 塩化第一銅の濃度を増加させると單位時間に発生する活性アセチレン量が増加し, 中間化合休から解離する活性アセチレンも濃度に比例するであろうから, 青酸の轉化率もこれに伴って比例して増加するはずであり, 実験結果によればアセチレンと青酸のモル比にかかわらずこれを満足している。またこの場合塩化第一銅のみ増しても青酸の変化率ほ増加せず, 共存する塩化アンモニアが適当に存するとき (第3報で記す) のみ増加する (この場合の塩化第一銅濃度を仮りに有効濃度と名づける)。さらに触媒の賦活には塩化第一銅1gに対して平均76ccのアセチレンを要する (アセチレン流速1.331/min触媒1の場合)。これはCu
2Cl
2として1モルに対し0.68モルのアセチレンに相当する。また副反應は青酸のある供給速度について最少のところがあり, その速度より大または小なる場合には副反應が増大し, この極少点は触媒中塩化第一銅の有効濃度の増加と共に漸次に青酸の供給速度の大きい方に移行する。
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