ポリビニルアルコール (R. V. A.) 中のカルボニル基のボーラログラフによる定量法に二, 三の改良を加え, 各種重合條件下のR. V. A. 中のカルボニル基量を定量した。ヒドラジン縮合條件としては, 從來のように高温 (90℃) では反應中に重合度が低下するので, 30℃附近が良好である。またヒドラゾン加水分解も30℃の方がよい。なおこの定量法には残存酢酸基の影響は認められなかった。次に普通精製の酢酸ビニルを過酸化ベンゾィル触媒にて重合してこれを鹸化してつくったP. V. A. 中のカルボニル基量はたかだか0.03mole%附近で, Clarke, Blout等のごとく0.4mole%も存在しない。また二次重合の旺盛に起ったポリ酢酸ビニルとそうでないものよりのP. V. A. 中のカルボニル基量は殆んど変化しないので, 二次重合にて生成せる結合の鹸化の際の分裂でほカルボニル基は生じないことを明らかにした。これは櫻田, 大杉, Crozier等の二次重合の機構より考えても安当である。また重合の際に連鎖移動剤としてアセトアルデヒドを入れた場合, P. V. A. 中のカルボニル基のmole%はいちぢるしく増加することを認めた。
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