高分子化學
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13 巻, 132 号
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  • 河合 鱗次郎
    1956 年 13 巻 132 号 p. 139-147
    発行日: 1956/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    液体の沸点分子溶に加算性のあることはよく知られている。この報告は高分子にこれを適用した結果について述べる。約50種の高分子物質の常温比重から, その構成單位あたり等分子容を求め, 上述の沸点分子容の加算値と比較したところ, 両者の比率は平均72.6%, 非結晶質のものでは74.2%結晶質のものでは68.5%なる値を得、た.偏差はいずれも±2%程度である。非結晶質高分子の74.2%なる値は過冷却液体の転移点 (絶対温度で沸点等25~30%) における値とよく一致する。一方ここで扱った高分子物質の転移点の平均値は35℃ で常温に近いことがわかった。したがって非結晶質高分子と低分子液体とは転移点を対応温度として結びつけられる。結晶高分子についても同様のことが成り立つようである。さらに非結晶質高分子の原子容と, これに対する補正値を求めてみた。
  • 第18報ポリアクリロニトジノレのジメチルホルムアミド稀薄溶液粘度の温度依存性について
    片山 將道, 坂場 謙二
    1956 年 13 巻 132 号 p. 148-152
    発行日: 1956/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    MF稀薄溶液の粘性を温度依存性の立場から検討した。その結果極限粘度 [η] と測定温度との間にはlog [η] =log A+B'/Tなる関係があり, ここにB'=123~145なる値を得た。またA=A'・Pbとすれば, Houtz式で重合度を求めればA'=0.58~0.69×10-3;Staudinger式で重合度を求めればA'=0.56~0.59×10-4であった。
    なおΔE=2.3RB'とすれば活性化エネルギーΔEは562~660cal/molであった。
  • 第19報ポリアクリロニトリルのジメチルホルムアミド濃厚溶液の濃度および温度依存性について
    片山 將道, 坂場 謙二
    1956 年 13 巻 132 号 p. 152-157
    発行日: 1956/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PAN・DMF濃厚溶液の粘度的性質を, その濃度および温度依存性から檢討し次の結果を得た。1) K=11なるとき濃度-粘度間に “Bakerの式” を満足する。ηrel=(1+ac) K。2) 温度-粘度間には次の関係があり, B'は重合度および濃度に関係し, 今回の実驗範囲ではB'=805~1608
    logη poises=log/A+B'/T
    なる値を得た。したがって活性化エネルギーΔH=3, 700~7, 400cal/molとなる。3) 紡糸原液は重合度により適当した濃度, 温度に保つことにより数日間粘度的に変化を認めなかった。
  • 第1報ポリエステルの分子構造の影響
    中島 達二, 後藤 憲三
    1956 年 13 巻 132 号 p. 158-170
    発行日: 1956/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Diethylene glycol maleateを基本構造とし, その一部をプロピレングリコール, フタール酸, アジピン酸で置換した不飽和ポリエステルとスチロールとの共重合物試料の誘電的性質を周波数30c/s~1MC, 温度-60° ~120℃ にわたり測定し, 同時に熱変形温度, 膨潤性などを検討した。(1) 各ポリエステル試料のスチロール (モノマー) との相溶性は飽和酸変性率大なるほど増大し, 固化時の反応熱 (cal/g) は不飽和性の減るほど当然小さくなるが二重結合あたりではかえって大きくなる場合もある。(2) 当量のスチロールモノマーを配合して固化させた試料の誘電率および損失率を周波数-温度に対し, 等高線図として示した。極性基を含むポリエステル鎖がスチロールで架橋されたものである故, その誘電的性質の変化は他の高分子物質より複雑である。(3) 低周波, 高温度で現われる導電損失の他に下記2種の分散が認められる。低温側ではっきり認められる誘電分散は各試料についてその出現周波数範囲および大きさがほとんど等しく, ΔS≠ の値が低い点から, 小さな動きやすい極性基 (末端のOH基など) の配向によるものと推定され, 常温においては本測定周波数範囲より高周波域へ移っている。高温側で認められる分散はより大きなセグメントの配向によるものでその緩和時間の分布は広く, 周波数特性では損失率の極大が判然とは現われ難い。(4) ポリエステル中の飽和酸含有量が増大し架橋がより疎になると高温損失が大となり, その緩和時間は小さくなるが, アジピン酸の場合20mo1%変性のものが例外的な挙動を示す。プロピレングリコールを用いたものはε', ε''ともに低くその温度変化も少ない。耐熱性, 膨潤性などの組成に伴う変化もほぼ同様な傾向を示す。
  • 第1報レギュラー, マクロポリペプチド+の合成による家蚕絹フイブロイン結晶部分に対するMeyer-Mark模型の検証
    呉 祐吉, 野口 順藏, 浅井 正友, 早川 忠男
    1956 年 13 巻 132 号 p. 171-184
    発行日: 1956/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    27年前 (1928年) マイヤーとマルクは家蚕絹フィプロインの結晶部分に対して, グリシンとL-アラニン (あるいはゼリン) とが交互に主原子価銀によって結合したモデルを提示した. その後多くの研究者により種々の方法によってこの構造は再検討されてきたが, このモデル物質の合成が從來の方法では不可能であったために, 合成物との同定による檢証を行うことができなかった、今回N-カルボチオフェニル法によって, この合成が可能になったので上記マイヤー, マルケのモデルに近似した数種類の関蓮マクロ・ポリペプチドを合成して, それらの赤外線吸收曲線ならびにX線干渉図形とを比較檢討したところ, グリシンとL-アラニンとが規則正しく交互に配列したレギュラー・マクロ・ポリペプチドが家蚕絹フィブロインの結晶部分と最も近似していることが確かめられたので報告する。
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