連鎖停止過程を支配する諸因子を見出すために, 純スチレンおよびそれに四塩化炭素を添加した系の光重合において, 動力学連鎖の平均寿命を各種重合率のもとで測定した。その結果, われわれの実験条件下では, 光重合は四塩化炭素によって増感され, また重合初期における連鎖成長と連鎖停止の速度定数の比
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ktが増感系と非増感系において差異を示すことを見出した。高重合率系では, 重合速度および連鎖寿命は, ともに非増感系において著しい増加を示す。しかし, これらにおける増加は四塩化炭素の添加によってかなり減退する。測定結果を解析して, 連鎖停止過程が著しく粘性依存であることを知り, また与えられた高粘度の系における
ktの大きさが, ポリスチレンラジカルの連鎖移動確率に依存することが推定された。
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