高分子化學
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14 巻, 143 号
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  • 第3報ポリビニルアルコール濃厚溶液粘度の濃度, 温度, 分子量依存性
    内藤 龍之介, 浮田 純二, 小南 次夫
    1957 年 14 巻 143 号 p. 117-122
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (以下PVAと略記) 水溶液の10%以下の濃度における粘度を測定し, その濃度, 温度, 分子量依存性を検討して次のような結果を見出した。(1) logη とC (重量%) とをプロットするとほぼ直線関係が成立するが, ある濃度を境として傾斜が少し異なり, この限界濃度CcritはPVAの回と関係があり [η]・Ccrit=定である。(2) 粘度の温度係数, すなわちいわゆる「見かけの流動の活性化エネルギー」Eη はCcritまでは分子量および濃度に比例して増加するが, これを過ぎるとその変化が複雑となる。またこの境界のEηはどの試料でも約1.8kcal/molである。(3) 重合度と粘度との関係はある重合度を境界として2つに区別される。すなわち低重合度ではη∽M1.2, 高重合度側ではη∽M3.4となる。またこのMcritは液の濃度と関係がある。以上の実験事実よりPVA水溶液においてPVAの [η] に関係のある, ある濃度を境として, その前後では流動の機構の異なることがわかる。Ccrit以下では稀薄溶液と本質的に変らずCcrit以上ではむしろ熔融体粘度と同様な考え方が望ましい。
  • 第3報スチレンの重合反応の機作
    飯塚 義助, 岡田 陽一
    1957 年 14 巻 143 号 p. 123-126
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    金属ナトリウムによるスチルンの重合反応の機作を調べる目的で, まず気相からの重合を研究した。ナトリウムの蒸着膜をつくり, それに気相からスチレンを反応させて, 反応時間と反応量および分子量との関係を検討した。その結果, 反応量および分子最が時間とともにほぼ平行して増大するという結果を得た。したがってこの場合の重合は逐次重合であり, しかも反応初期に生起した重合の芽は, ほとんど消滅することなく, 逐次成長していくことを示している。そして実際反応時間を長くすれば, 分子墨がどんどん大きくなり, 約30時間の反応で分子量約400万のポリスチルンを得た。なおこの試料についてスペンサー法によって分子量分布の概略を求めたところ, 重合物の大部分は分子量100万以上の領域にあるが, この他に分子量10万程度のところに20%近くの別の重合物が含まれることがわかった。
  • 第2報ポリビニルアルコール中のカルボキシル基の, ポーラログラフによる定量
    井本 三郎, 浮田 純二, 小南 次夫
    1957 年 14 巻 143 号 p. 127-132
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) 中に存在するカルボキシル基に酢酸カルシウムを反応させ, PVAカルシウム塩としてポーラログラフによるカルボキシル基の定量を試みた。エチレンジアミン四酢酸 (EDTA) を支持電解質として用い, 塊状重合あるいは溶液重合によって得られた種々のPVA中のカルボキシル基を定量した。その結果カルシウムをポーラログラフにて定量することによりPVA中のカルポキシル基が容易に定量できることがわかった。
  • 第2報ポリアクリロニトリルエマルジョンについて
    鴨川 博美
    1957 年 14 巻 143 号 p. 133-138
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PVAを乳化剤とし, 過硫酸アンモンを反応開始剤としてANエマルジョンを合成し, その性質を検討した。粘度は重合温度70℃ においてはほぼ重合度と同様な変化を示し, 時間に対して山形曲線を与える。しかし過硫酸アンモン量が多いとPVAの重合度低下により, 反応後期において著しい粘度低下が認められる。粒子の大きさは過硫酸アンモン量が多く, AN量少なく, PVA量が多いほど小であり, 凝析値もほぼこれに対応して変化する。反応開始時のpHは生成エマルジョンの性質に多少影響を与えるが, 酸性側ではエマルジョンの粘度低く, 安定性も高い。I. P. によるChain transfer constantは1.8×10-3であるが, 添加量が多いとエマルジョンは不安定になる。凝析値は重合温度によりかなりの影響を受け, 高温ほどPVAの保護力は大きい。
  • 第7報ポリビニルアルコールの皮膜の膨潤性に及ぼす残存酢酸基の影響
    曾根 康夫, 桜田 一郎
    1957 年 14 巻 143 号 p. 139-145
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    重合度の数種異なる未分別ポリビニルアルコール (PVA) および分別PVAを再鹸化して残存酢酸基を除去したものを原料にして皮膜をつくり, 種々の温度で熱処理してから膨潤度, 比重, 結晶化度などを測定した。また再鹸化前の残存酢酸基を有する状態のものについても皮膜をつくり, 前記同様熱処理し膨潤度などを測定して残存酢酸基のないPVA皮膜についての測定結果と比較して, 残存酢酸基の影響を検討した。未分別PVA皮膜および分別PVA皮膜とも比較的低温熱処理の場合には膨潤度に対して残存酢酸基の影響は顕著である。たとえば0.2~0.3mol%でも明らかに認められる。しかし160℃ 以上の高温で熱処理すればその影響はほとんど認められない。膨潤度と比重, あるいは膨潤度と結晶化度との関係に対する残存酢酸基の影響は僅少である。比重と結晶化度との関係に対しては残存酢酸基は全く影響を及ぼさない。
  • 第8報重合度を異にする完全鹸化ポリビニルアルコール皮膜の膨潤
    曾根 康夫, 桜田 一郎
    1957 年 14 巻 143 号 p. 145-150
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    平均重合度140, 310, 500, 1120, 1683, 2042, 2570, 3631の8個の完全鹸化分別ポリビニルアルコールを原料として同一方法で皮膜をつくり, 40, 80, 120, 160, 200, 220℃ で各10分間熱処理し, このような皮膜について30℃ の水に対する膨潤度, 溶解度, 比重結晶化度を求めた。比較的低温で熱処理した場合には膨潤度, 溶解度, 比重の重合度依存性はP=500くらいまでは明瞭であるがそれ以上では認められない。結晶化度は200℃ 以下の温度で熱処理した場合は全重合度範囲について重合度の依存性がない。平均重合度500以上の皮膜の膨潤度と結晶化度の関係はPVAの重合度や熱処理温度と無関係に1本の曲線で示される。また皮膜の比重と結晶化度の関係はPVAの重合度や熱処理温度に無関係に一直線で示され, 先にわれわれが報告した結果と一致する。
  • 第12報 フタル酸ジアリルの重合ならびに共重合
    高橋 儀作
    1957 年 14 巻 143 号 p. 151-156
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニル (M1) とフタル酸ジアリル (M2) の共重台をBPOを触媒として, 60℃ で初濃度比 [M1] 0:[M2] 0を80:10から20:40まで種々変化させて行い, 共重合経過を明らかにした。生成共重合物分子はなお未反応のアリル不飽和基を結合している。たとえば [M1] 0:[M2] 0=30: 35で共重合して得た初期重合物は平均共重合物中の全m2のアリル基に対して, なお12.4から15.1mol%のアリル不飽和基を結合しているが, この量を無視し, かつ, フタル酸シアリル分子に結合している2個のアリル基の反応性は互に無関係であると仮定して, 酢酸ビニルとフタル酸ジアリルのアリル基の共重合におけるmonomer rreactivityratioを求め, r1=0.72, r2=2.0の値を得た。この値は本報告第6報で得た, 酢酸ビニルと安息香酸アリルの共重合のそれに比し大きな差異はない。重合の進行過程で共重合液がゲル化を開始するときの重合率は, [M1] 0の初濃度のより大きい場合ほどかえって低い。それは生成共重合物の分子量がより大きいための結果であろう。スチレンとフタル酸ジアリルはほとんど共重合しない。
  • 第13報 酢酸アリルの溶液重合
    桜田 一郎, 高橋 儀作
    1957 年 14 巻 143 号 p. 156-161
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    酢酸アリル (AAcと略記する) の初濃度を90%から50%まで種々変更して, 酢酸エチルあるいはペンゼンを溶媒として80℃で重合した。いずれの場合もd [M]/d [Cat] の値ならびに重合物の平均分子量はAAcの初濃度の低下とともに小となるが, 平均分子量の低下はそれほど大きくはない。AAc初濃度を80%から20%まで種々変更して, 四塩化炭棄を溶媒として重合し, 重合初期に得られる重合物の塩素含有率, 平均分子量を測定した。塩素含有率はAAc初濃度が小となるに従い14.68%から32.19%まで増加し, 平均分子量は548から352まで低下する。これらの値から計算した重合物1分子に付加している塩素の平均数は, 227個から3.19個であり, 重合物中には平均4個の塩素を結合したもののほかに, AAcによる連鎖移動で生じた, あるいは触媒切片をもった重合物が存在していることを物語っている。
  • 第7報共重合物の連鎖解重合反応について
    井上 良三, 大内 重男, 安平 進
    1957 年 14 巻 143 号 p. 162-170
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    熱分解を行う際にラジカル連鎖解重合反応により, 各モノマーを生成する共重合物について, 著者らの連鎖解重合反応の取扱を出発物質についての連鎖共重合反応理論と組合せることによって, 理論的考察を行った。かくして平均の初期活性化反応速度恒数k, 平均の反応の連鎖長'ならびに生成モノマーの組成比について理論式を誘導し, 実験値と比較することにより満足すべき一致を得た。
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