高分子化學
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14 巻, 152 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 前田 庸
    1957 年 14 巻 152 号 p. 620-623
    発行日: 1957/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    3種のシリコーンゴムについて超音波音速および減衰を測定した。用いた周波数は0.71, 2.88および8.64Mc/sであり, 測定温度は一60℃ より+50℃ までである。-30℃ 以上では, いずれもゴム状の高弾性を示し, その音速はシリコーン油の音速とほとんど同じであった。測定した試料のうち2つは, -40℃ 以下では結晶化のためゴム状の高弾性を失った。他の1つは結晶化せず, 測定濃度範囲よりさらに低温まで高弾性を保つことがわかった。
  • 第1報ポリビニルアルコールの電気泳動
    細野 正夫, 桜田 一郎
    1957 年 14 巻 152 号 p. 624-635
    発行日: 1957/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Tiscliusの装置を使用してポリビニルアルコール (以下PVAと略称する) の電気易動度の測定を行い次の事柄を認めた。(i) 電場におかれたPVA分子は負に帯電して泳動する。(ii) その電気易動度は高分子濃度に依存し濃度が低くなると増大する。(iii) 電気易動度は重合度にほとんど無関係である。なお電荷数の算定を試みたが, 重合反応機構に基き推定される解離基数 (カーボオキシル基数) に比して過大な結果を得た。
  • 第1報拡散係数の測定
    吉川 充雄
    1957 年 14 巻 152 号 p. 636-643
    発行日: 1957/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    可塑化塩化ビニル樹脂における可塑剤の挙動を究明する一つの手がかりとして, 混和物中の可塑剤の拡散速度を測定した。可塑剤濃度の異なった2種の混和物を厚さ2mmのシートとして重ね合せ, 一定温度に保ち, 可塑剤の移行量を秤量することにより, 混和物中の可塑剤の拡散係数が簡単に求められることを確かめた。この方法は可塑剤濃度の差を小にできること, 特別な装置を必要とせず同時に多数の測定ができることなどの点で便利な方法である。この方法により可塑剤としてTCP, DOP, DOAの3種について, 可塑剤濃度20-60%, 温度200-140℃ の範囲で拡散係数を測定した。
  • 第9報素練りによるPVCの切断と結合
    後藤 邦夫, 藤井 栄麿
    1957 年 14 巻 152 号 p. 644-648
    発行日: 1957/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    熱ロールPVCでを素練りする場合に起るPVC連鎖の崩壊および断片ポリマーの再結合による分岐分子, ならびに不溶物の生成の様子については逐次報告してきたが, 本報では特に再結合に着目してこれに及ぼすラジカル試剤などの添加物の影響を素練り物のDP変化から検討した。その結果, 素練りによるPVCの架橋化は機械的に切断されて, 生成するポリマーラジカルが, 熱分解の結果生ずる連鎖中の二重結合を賦活することにより開始され, 連鎖中に二重結合の少ない問は断片のポリマーラジカルは不均斉化あるいは0, などによ1, 安定化されてしまうものと考えられる。
  • 共重合体の転移点
    高橋 正夫, 西尾 稔
    1957 年 14 巻 152 号 p. 649-653
    発行日: 1957/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    結晶化したポリエチレンイソフタレートテレフタレート共重合体の融点はエチレンイソフタレートのモル分率の増加とともに低下し, 融点と組成との間には次のFloryの式で表わされ関係がある。(1Tm)-(1/Tm) =-(R/hn)·lnXこれよりリスタリットを形成するエチレンテレフタレート単位1mol当りの熔融熱としてhu=2600calなる値を得た。ディラトメトリーによると無定形ポリエチレンテレフタレートの二次転移点は, エチレンイソフタレートの共重合により少なくともモル分率で20%までは直線的な低下を示した。なお各試料の比容-温度関係にはいずれも34° ~40℃ 付近にわずかな屈折が認められた。各共重合体を紡糸して得られた系に対する非イオン染料の平衡吸着量は, エチレンイソフタレートのモル%が増すにつれて直線的に増加し, 繊維の配列度, 結晶化度の減少による染料のAccessibilltyの増大を示している。
  • 第16報アゾビスイソブチロニトリルを開始剤とする数種のビニル系化合物の重合に及ぼすジメチルアニリンの影響について
    井本 稔, 大津 隆行, 太田 忠甫, 高次 博, 松田 実
    1957 年 14 巻 152 号 p. 654-659
    発行日: 1957/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてスチレン, メチルメタアクリレート, アクリロニトリル, 塩化ビニルおよびブチルアクリレートの重合を50℃ でペンゼン中で行い, ジメチルアニリンの添加の影響を検討した。アゾビスイソブチロニトリルの分解はジメチルアニリンの添加によって変化しないことがわかったので, 重合開始反応以外の素反応に及ぼすジメチルアニリンの挙動を研究することができる。いずれのモノマーについてもジメチルアニリンは抑制剤として働くことが観察された。Mayoの式よりこれら重合系におけるジメチルアニリンの連鎖移動恒数を求めると, その値はジメチルアニリンによる重合抑制能と近似的に比例関係にあることがみとめられた。したがって, ジメチルアニリンは連鎖移動剤として作用し, 移動反応の結果得られたラジカルがもはや重合開始に寄与しないと考えて説明された。さらに, 連鎖移動恒数よりMesroblanの取り扱いに従ってジメチルアニリンのQ, e値を求めると, それぞれ5×103, -2.6と計算された。
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