アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてスチレン, メチルメタアクリレート, アクリロニトリル, 塩化ビニルおよびブチルアクリレートの重合を50℃ でペンゼン中で行い, ジメチルアニリンの添加の影響を検討した。アゾビスイソブチロニトリルの分解はジメチルアニリンの添加によって変化しないことがわかったので, 重合開始反応以外の素反応に及ぼすジメチルアニリンの挙動を研究することができる。いずれのモノマーについてもジメチルアニリンは抑制剤として働くことが観察された。Mayoの式よりこれら重合系におけるジメチルアニリンの連鎖移動恒数を求めると, その値はジメチルアニリンによる重合抑制能と近似的に比例関係にあることがみとめられた。したがって, ジメチルアニリンは連鎖移動剤として作用し, 移動反応の結果得られたラジカルがもはや重合開始に寄与しないと考えて説明された。さらに, 連鎖移動恒数よりMesroblanの取り扱いに従ってジメチルアニリンのQ, e値を求めると, それぞれ5×10
3, -2.6と計算された。
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