高分子化學
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15 巻, 164 号
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  • 第7報アミノ化ポリビニルアルコール繊維の動電的性質
    吉崎 修
    1958 年 15 巻 164 号 p. 761-770
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ピニロンCのアンモニヤおよびエチレンジアミンによるアミノ化繊維, 熱処理PVA繊維のアミノアルデハイドジエチルアセタールによるアミノ化繊維のζ-電位を前報までにおいて述べた方法に準じて測定した。これらの繊維は一般に純水中で負の電位を示し, 相当量のHClを結合して電位は0となり, さらにHCl結合量, 水溶液中のHCl濃度が大となると正の電位を示す。しかし繊維のアミノ基含有率, 膨潤度によりHCl水溶液中のζ-電位は変化する。ビニロンCのアミノ化繊維は架橋結合のため膨潤度は小であるにかかわらず正の電位は小である。これらの結果は繊維の非晶部分に存在する解離電荷と吸着アニオンのζ-電位に及ぼす効果について以前の考察に従って理解される。
  • 第2報X線計数管による小角干渉強度の測定
    桜田 一郎, 温品 恭彦, 田中 洋子
    1958 年 15 巻 164 号 p. 771-777
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報において低密度および高密度ポリエチレンの結晶化度および配列度を測定したが, 本報においては, 同一試料についてX線小角干渉を測定した。その結果, 子午線方向には顕著な干渉山が生じ, 低密度および高密度のものでそれぞれ160-177A, 177-189Aの大周期をもつことがわかった。また赤道線干渉強度を測定し, Kratkyらの理論を適用することによって, それぞれの試料について104-115A, 140-106Aの最も確率の多い結晶間間隔をもつことがわかった。
  • 永井 和夫, 長井 栄一
    1958 年 15 巻 164 号 p. 778-782
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高重合体の分子の不規則構造が結晶化度の減少に及ぼす効果について以下の仮定を設けて数学的評価を行った。分子骨格中になんらの不規則構造をもたない高重合体は完全に100%結晶化する。高重合体が不完全にでも, ともかく結晶化するためには, 結晶化可能な要棄が連続した各部分が分子中に存在していることが必要である。このとき, 連続した数iが全部結晶の形成に関与しうるのでなくi0個差し引いたi-i0だけである。ここにらは結晶化に加わることのできない他の要棄よりなる連続が隣接するために妨害を受けて無定形部分に残る要棄の数である。pをもって重合中において結晶化可能な要素の次に同じく結晶化可能な要棄が隣接する確率とすると, 次の式が導かれる;
    [結晶化度の上限] = [要素全部に対する結晶化可能な要素の分率] ×pi0
  • 第1報収着等温式と誘電緩和の一般論
    三宅 彰
    1958 年 15 巻 164 号 p. 783-789
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高分子収着水の誘電緩和の計算に必要な収着等温式を得るために, 多層収着で第2層以上の収着分子はその下の層の収着分子に隣るz個のavailable siteのいずれかを占めると仮定して, 統計力学の計算によってBETの式をもっと一般的な形に拡張した。z=1とすればBETの式に帰着する。誘電緩和の一般論を述べて, 分極緩和函数, 余効函数, 分極励起函数複素誘電率などの誘電緩和スペクトルとの関係を示し, Kirkwood-Fuossの複素感受率の計算は緩和函数などを求めても本質的に同じ内容であることを注意した。
  • 第2報誘電緩和の分子論
    三宅 彰
    1958 年 15 巻 164 号 p. 790-796
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    t=0まで加えられていた一定の外部電場がt=0で急に取り除かれた場合の収着水分子の配向の緩和を平均値方程式について解いた。収着水は第1層と第2層以上とに2大別し, 結合のエネルギー定数をそれぞれα1, αとして, α1>>α>>kTの仮定の下にt<0に対しては収着水全体の静的分極から静的誘電率への寄与を求め (5), t>0に対しては収着水の分極緩和函数から誘電緩和スペクトルを求めた (6)。多層収着の効果は前者においては第2層以上の収着水分子の配向の重なりを通じて, 後者においてはそれらの収着水分子による緩和時問分布の広がりを通じて現われる。この理論に用いられた諸仮定の検討, 実験事実との関係の吟味を行った (7)。
  • 桜田 一郎, 野間 夬之, 加藤 晃
    1958 年 15 巻 164 号 p. 797-803
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ブチルアルデヒド中で酢酸ビニルを重合させ, 重合度10程度の低重合度ポリ酢酸ビニルをつくり, ジオキサン水溶液でのケン化速度を, 高重合度ポリ酢酸ビニルのそれと比較したが, ほぼ同様の挙動である。低重合度ポリ酢酸ビニルおよびこれをケン化して得た低重合度ポリビニルアルコールにはポリマー分子1個あたり平均して1個のカルボニル基を有し, このカルボニル基は酸化銀法で定量できるからアルデヒド基である。したがって低重合度ポリピニルアルコールにはアルデヒド基と多数のヒドロキシル基があるから, 酸性溶液では分子内あるいは分子間アセタールを生じ, アルデヒド基は減少し, 溶液粘度は上昇する。
  • 第1報エタノール中の酢酸ビニル希薄溶液重合
    周 広福, 桜田 一郎
    1958 年 15 巻 164 号 p. 804-810
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    過酸化ベンゾイルまたはo-, o'-ジクロル過酸化ペンゾイルを開始剤とし, エタノール中の酢酸ビニル希薄溶液重合を50および60℃で行った。酸素による開始剤の見かけの分解抑制と重合誘導期は平行関係がある。重合速度はモノマー初濃度に関して2次であり, 重合速度と開始剤の分解速度の比d [M]/d [I] は重合末期を除けば重合経過を通じて一定である。比d [M]/d [I] が一定の範囲で開始剤の分解速度は開始剤濃度について見かけ上1次で表わされる。重合物の数平均分子量は低く (数平均重合度にして憩前後), 重合物中の開始剤切片の分率は1より小さい。開始剤ラジカルの重合開始効率は小さく, 0.18前後である。
  • 第7報塊重合の速度論的研究
    宇野 泰三, 吉田 経之助
    1958 年 15 巻 164 号 p. 811-816
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    αα'アゾピスイソブチロニトリル (ABIN) を開始剤とする50℃ の重合では, 無水の系も水で飽和された場合も重合速度および重合機構にほとんど差が認められないから, 懸濁重合も塊重合の結果で考察しうる。重合速度に関する式としてRp=Kα [I] +Kβ [I][M] +Kγ [I] 1/2 [M], 1/P=CM+C0/M+Rpγ/kp2/kt [M] 2を導いた。無水クロトン酸 (CAH) を架橋剤として添加すると前式の2分子停止に関する定数Kγ は減少し, [I] の指数は0.56から0.7に増加することを認めた。
  • 第8報塊重合の重合加速と重合機構
    宇野 泰三
    1958 年 15 巻 164 号 p. 816-819
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塊重合では重合量 (W) と時間 (t) の問にW=Ktn (Kは定数) なる関係が見出され, nは開始剤濃度 [I] =23.43mol/l・10-3以上では1.30, 6.97mol/l・10-3以下では1.08でその間では [I] の変化とともに変ることがわかった。た, 塩化ブチル (BuCl) を希釈剤, ドデシルメルカプタン (DSH) を連鎖移動剤, クロトン酸無水物 (CAH) を架橋剤とて加えると, 各場合ともnの値は小さくなる。これらの現象をとおして粒子の形成される過程, 粒子中のモノマーの挙動, リマーラジカルのocclusionによる重合加速と停止の関係などについて考察した。重合は50℃ で行った。
  • 第9報モノマーの連鎖移動
    宇野 泰三, 吉田 経之助
    1958 年 15 巻 164 号 p. 819-824
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    塊重合塩化ブチル中の重合, 酢酸ブチル中の均一重合からモノマーの連鎖移動定数 (CM) を求めてそれぞれ8.5×10-4 (50℃), 1.23×10-3 (60℃);7.8×10-4 (50℃), 1.28×10-3 (60℃);6.4×10-4 (50℃), 1.08×10-3 (60℃) を得た。不均一度の大きな系ほど少し大きな値となっているのは, ポリマーラジカルのいくらかがocclusionのまま停止するためと考えられる。
  • 第47報ヘキサメチレンテトラミンによるノボラック樹脂の硬化反応および分子量分布について
    谷垣 禎一, 井本 稔
    1958 年 15 巻 164 号 p. 825-828
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ノボラック樹脂を, ヘキサメチレンテトラミンを硬化剤として, 樹脂の融解状態で硬化反応を行い, アセトンによる抽出法から不溶解物の生成の速度を求め, さきに提出した不溶解物の重と反応時間との関係式を適用し, その関係式の妥当性を検討し, さらに可溶部の樹脂について反応時間と分子量分布との関係を求め, ノボラック樹脂の硬化反応の過程を推察した。
  • 第2報アクリロニトリルの沈殿および乳化重合速度
    柚口 貞夫, 城内 宏, 渡辺 正元
    1958 年 15 巻 164 号 p. 829-838
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    過硫酸塩とトリエタノールアミンを酸化還元触媒に用い, アクリロニトリルの水系沈殿重合およびラウリルアルコール硫酸エステルソーダを乳化剤に用いて水系乳化重合を行い, その見かけの重合速度と数平均重合度を求め, 重合諸条件との関係を調べた。見かけの重合速度はいずれの重合方法の場合にも単量体濃度の3/2乗および触媒成分の各濃度の1/2乗に比例し乳化重合の場合には乳化剤の濃度の低いところではその3/5乗に比例することを認めた, 数平均重合度はいずれの重合方法でも大差なく, 重合率が20~40%のときに最大になる。以上のことから沈殿重合も乳化重合もほぼ同じ機構で重合が起ると推論し, 水溶液と反応の場における単量体と活性ラジカルの濃度を区別して考え, 速度式を導びき, 見かけの速度式と同じ形のものを得た。
  • 篠原 弘之, 一宮 康祐, 吉村 達四郎, 大河原 信
    1958 年 15 巻 164 号 p. 839-849
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルデヒドコリジンを原料とし, 2, 5位に同種および異種の官能基をもつピリジン誘導体を合成し, これらと脂肪族 (若干の芳香族も含む) ジオール, ジカルボン酸, ジアミン, ジイソシアナートと重付加縮合反応を試みた。その結果, 同種の官能基をもつピリジン誘導体からは, 1つの結合種をもつポリマーを, また異種の官能基をもつピリジン誘導体からは2つ以上の結合種をもつポリマーを得た。生成したポリマーについて可紡性の有無を検討した。
  • 第5報硬化樹脂中に含まれる窒素量について
    横山 亮次
    1958 年 15 巻 164 号 p. 850-854
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ヘキサを混合したノボラックを加熱または成型して得られる樹脂の窒素量とエタノール可溶分を求めた。その結果, 窒素量は硬化の進行に伴って低減しているが, 硬化のほとんど終了したとみられる樹脂中にも, なお約50%に相当する窒棄が含まれている。ノボラック~ヘキサ混合樹脂中に含まれるヘキサは常温では硬化反応に関係がなく, 未分解のままノボラック中に混在の傾向を示しているが。混合樹脂を加熱するとヘキサは容易に分解する。加熱の温度が低いときには混合樹脂中のヘキサが分解しても硬化反応は少しも進行しないが, 温度が一定値以上になると硬化反応は進行する。これらの現象より硬化反応はヘキサの分解と加熱によるノボラックの活性化とによって進行することを述べた。
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