高分子化學
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16 巻, 176 号
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  • 第5報 延伸による物性および配向の変化
    高橋 正夫, 渡辺 正元, 木下 幸夫
    1959 年 16 巻 176 号 p. 713-719
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    グリセリン浴およびエチレングリコール浴で紡糸したアクリル繊維未延伸糸を延伸し, 延伸による強伸度, 密度, X線による配向度および側間規則性, 顕微鏡による断面形状などの変化を調べた。1) エチレングリコール浴で紡糸した未延伸糸の密度は著しく小さい。延伸によってその密度は増加するが, 4倍以上の延伸ではその増加の程度が少ない。グリセリン浴で紡糸した未延伸糸の密度は大きく, 延伸による変化はほとんどない。2) 延伸によって強度および初期弾性率は大きくなるが, 同一延伸倍率ではグリセリン浴で紡糸した糸を用いた場合の方がこれらの値は大きく, X線的配向度も同じような傾向を示している.このような機械的性質に対しては分子の配向が支配的な影響をもっている. 3) 延伸によって配向度および側間規則性は良くなるが, 少なくともエチレングリコール浴の場合は延伸倍率6倍付近から配向度の変化はほとんどない。4) 延伸によって断面の形は小さくなる以外に顕微鏡的な変化はないが, 染色性は低下する。また, 種々のアクリロニトリル (AN) 共重合体繊維 (同一紡糸条件同一延伸倍率) の配向度をX線により調べた。AN単独重合体繊維の結晶の配向は, 共重合体繊維のそれに比して著しく悪く, したがって配向度が著しく小さい。これらは繊維の凝固延伸過程における差と関連して考えることができる.
  • 第6報 電子線によるアクリル繊維の橋かけ
    高橋 正夫, 篠原 康夫, 渡辺 正元
    1959 年 16 巻 176 号 p. 720-723
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル (PAN) モノフィラメントにファンデグラフによる電子線を照射したときの変化について調べた。(1) 照射によるゾル分率の変化はCharlesbyの理論とよく一致し, 橋かけに対して崩壊が約40%の割合で生じ, 単量体1個あたりの橋かけ確率は1Mradあたり2.32×10-5である。(2) 膨潤度と橋かけとの関係はCharlesbyの理論と大体のところ一致するが, 理論曲線からの若千のずれがある。(3) 溶解部分のηsp/cの変化は照射によって分子量を増加し, ゲル点以降で減少するという理論を定性的に示している。(4) 空気中での照射は著しい崩壊を生ずる。
  • 峰松 陽一, 神原 延子, 小林 照弘
    1959 年 16 巻 176 号 p. 724-730
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    を空気中で熱劣化させると, 脱塩酸と酸化によるカーボニル基や水酸基の生成とがみられる。赤外吸収だけでは結合酸素の絶対量がわからないので, 酸素を直接に微量分析によって定量した。元素分析の結果, C1が1個とれた場合Hは約2個とれ, 酸素が約1/2個ついた。180℃ 熱劣化の場合, 1725cm-1の赤外吸収と酸素分析値はほぼ直線関係であった。685cm-1付近の吸収と塩素分析値とは直線にならなかった。劣化試料の紫外部の吸収, 粘度と溶解性, 比重, X線回折などを測定した。熱劣化により比重は増大するが, X線による変化は認められなかった。
  • 第1報 再生セルロースゲル状態の結晶の大きさの測定
    桜田 一郎, 温品 恭彦
    1959 年 16 巻 176 号 p. 731-733
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    凝固浴の異なる3種の再生セルロースフィラメントの1次ゲル状態の結晶化度と膨潤度との間の関係をより明らかにするためにX線小角散乱強度を測定した。各強度曲線を評価して, ゲル状態の結晶はGuinierの理論から53-56Åに相当するシリンダーの直径を, またKratkyらの理論によれば65-71Åの最も確率の多い結晶間間隔を与える。これらの値を結晶化度とともに推察することによって膨潤度への寄与を検討した。
  • 第2報 再生セルロースゲルの風乾による結晶の大きさの変化
    桜田 一郎, 温品 恭彦
    1959 年 16 巻 176 号 p. 733-736
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報に報告した再生セルロースmodel filamentを風乾した後, X線計数管によって小角散乱強度を測定した。風乾状態においてはどの試料についても赤道線上に1個の干渉山ないしは変曲点を認めた。これらは60-65ÅのBragg間隔に相当する。またこれら試料の水膨潤状態の干渉強度の測定から, Guinier理論を適用して, 結晶の形態をシリンダーに仮定すると55-60Åの直径を得る。この値はゲル状態の同様に仮定して前報で得た結晶の直径, 53-56Åより若干大きく, 風乾過程において結晶化がおこり, 結晶化度が増加した事実の裏づけとなりうると考えられる。
  • 単位格子の決定
    成田 正二
    1959 年 16 巻 176 号 p. 737-740
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニリデンは配向試料が得られないので, 同型と考えられる塩化ビニルとの共重合体の高度配向試料のワイセンベルグ写真を用いてこの単位格子の大きさを決定した (a0=6.73Å, b0=4.68Å, c0=12.54Å, β=56°25')。同時に赤外線吸収スペクトルから同型と考えられるポリ臭化ビニリデンを用いてこ単位格子の妥当性を検討した。
  • 第12報 カチオン交換樹脂と塩基性染料とのイオン交換反応
    芦田 包義
    1959 年 16 巻 176 号 p. 741-744
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    厳密にふるい分けた微粉末状DAmberlite IR 120およびXE64のHR型またはNaR型を用いて, 水またはアルコール溶液中の塩基性染料 (メチレンブルー) とのイオン交換反応を精査した結果, 交換量の対数は粒子径の対数と直線関係が成立すること,(b) 樹脂表面のイオン交換のみならず樹脂内のイオン交換も認められること,(c) 交換量 (E) は反応時間 (t) と次式の関係にあること, E=ktn (ただしk, nはそれぞれ定数)(d) 樹脂内の染料イオン交換速度は樹脂の膨潤容積の大きいほど速く, スルホン酸型樹脂においてはHR>NaR, カルボン酸型樹脂においてはNaR>HRであること,(e) アルコール溶液中におけるNaR型スルホン酸型樹脂のイオン交換速度も交換量も (HR型樹脂に比べて) きわめて小さいこと, などを見出した。
  • 林 貞男, 山本 昭二, 本山 卓彦
    1959 年 16 巻 176 号 p. 745-748
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニル (PVAc) エマルジョン中に含まれる芳香属可塑剤の分析を行なった。定性は皮膜の赤外線スペクトルおよび皮膜から抽出した可塑剤の化学分析により行ない, 定量はエマルジョンを水・メタノール混合溶剤に溶解し, この溶液の紫外線スペクトルから行ない, 十分の精度をもって分析できることを知った。
  • 第3報 アミノ安息香酸, ジカルボン酸, ジアミンの重縮合
    増田 幸夫
    1959 年 16 巻 176 号 p. 749-752
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    数種のアミノ安息香酸2分子とジカルボン酸1分子との縮合物を新しく合成した。生成したジカルボン酸とジアミンとからつくった塩を加熱して重縮合体を得た。これらの樹脂は分子内にベンゼン核を含むので, 一般のポリアミドとは違った構造をもっている。特にアントラニル酸, アジピン酸, ヘキサメチレンジアミンの組合せの重縮合体については, 末端基定量によって分子量を測定した。
  • 第4報 重合速度と重合度に及ぼす線量率の影響
    岡村 誠三, 稲垣 寛, 佐伯 三郎, 八木 清
    1959 年 16 巻 176 号 p. 753-756
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Co60を線源とするγ線の線量率0・36×104r/hrより71×104r/hrの間でメタクリル酸メチル (MMA), 酢酸ビニル (VAc), 0.36×104r/hrより4.4×104r/hrの間でスチレン (St) の塊状重合を行ない。重合速度および重合度を測定した。重合速度はMMA, VAc, Stともに0.36×104~4.4×104r/hrの間では線量率の0.5乗に比例して上昇するが, 36.8×104r/hrおよび71×104r/hrでは0.5乗よりやや低い指数を示した。重合度は4.4×104r/hrまでは線量率に対して直線的に低下するが, それ以上の線量率では上記の関係以下に低下した。またポリビニルアルコール (PVA) とPVAcの重合度についても検討した。
  • 第5報 放射線重合より求めたkp/kt1/2を用いたG値について
    岡村 誠三, 稲垣 寛
    1959 年 16 巻 176 号 p. 757-760
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    線量率を変えて20℃でγ線塊状重合を行なった結果について前報で報告した。これらの結果を用いてメタクリル酸メチル (MMA), 酢酸ビニル (VAc) およびスチレン (St) の重合速度と重合度よりkp/kt1/2を求め, この数値を用いてそれぞれのG値を算定し, MMAで5.5, VAcで1.4およびStで0.04を得た。また重合の際の単量体に対する連鎖移動定数 (Cm) としてMMAで0.36×10-4, VAcで0.80×10-4, Stで0.08×10-4を得た。
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