高分子化學
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16 巻, 167 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 第5報 曲げ糸の粘弾性的考察
    鈴木 恵
    1959 年 16 巻 167 号 p. 143-149
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    曲げ糸のひずみを幾何学的に求める従来の方法を述べ, 構成単繊維はそのひずみの外に相互の摩擦力がその接触線上に分布しているものとし, 村上の使用した単繊維の曲げ回復についての4要素模型を発展させ, 撚糸 (紡績糸を含めて) のヨリの強弱により摩擦力の分布函数が正規分布に近い型と一様分布の2とおりに分けて粘塑弾性的に考察したものである。
  • 第6報 屈曲繊維横断面の形状
    鈴木 恵
    1959 年 16 巻 167 号 p. 150-154
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    織物の曲げは撚糸 (紡績糸を含めて) の曲げに帰着することは最近のしわに関する研究からわかってきた。しかしながら曲げ糸の屈曲部の横断面の形状については構成単繊維自体の形状, 性質およびヨリの強弱が関係するので, あまり研究がなされていない。ここでは撚糸の曲げを扱う前に, 糸の構成因子である単繊維の屈曲による横断面の形状はいかなるものであるか弾性論より解析し, ナイロンガットを例として実験を行ない, 繊維の種類, 繊度により異なるであろうけれども, 繊維直経と曲率半径の比が0-1くらいまでは凝似ダ円となり, 1以上はそら豆に近い形になる。とくに1以下なら円として取り扱っても大きな誤差がないこともわかった。
  • 第7報 曲げ繊維の応力分布
    鈴木 恵
    1959 年 16 巻 167 号 p. 154-161
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    織物がしわをつくられた状態にあるとき, そのしわのある局部的繊維は折り曲げの状態にあるわけである。これについてさきに村上はレオロジー的に研究したが, 本報では光弾性装置により曲げ繊維最大屈曲部の横断面上の応力分布および長さ方向の応力分布を実測した。その結果, 応力の中立軸は圧縮側にずれ, 曲率の大なる場合には曲げ応力は非屈曲部に及び, その範囲は材料により異なるが繊維半径の2-3倍程度であった。また円形断面の繊維を曲げると断面はダ円に近い形になることが実測されたが, その断面がダ断円になるものとして弾性的に解析し, 最大屈曲部の横断面の応力の補正を行なったが, 曲率が小さな場合には断面を円として取り扱っても大きな誤差がないことがわかった。
  • 野田 春彦
    1959 年 16 巻 167 号 p. 162-164
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    同軸円筒型の回転粘度計で内筒を自由に回転させながら, これに制動を加える方法により, 広い流れの勾配の範囲にわたっての測定を簡単に行なうことができるようにした。流速勾配1から100sec-1にわたってミオシンBおよびタバコモザイクウィルスの希薄溶液での測定実例をあげた。
  • 第5報 混合系の電気泳動と界面異常現象
    桜田 一郎, 伊勢 典夫, 細野 正夫
    1959 年 16 巻 167 号 p. 165-172
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    2種の高分子電解質を含む混合系の電気泳動を行ない, 泳動図形から求められる試料の混合比が下降界面ではよく分析的混合比に一致し, 上昇界面では両者の間に著しい差のあることが認められた. この差はDoleの理論により輸率の濃度変化を考慮に入れると若干減少することが判明したが, この補正値をもってしても十分な一致を得られなかった。またδ界面が高分子成分と逆の方向にかなりの速さで移動することが見出された。この現象は, 上述の不一致とともに, 高分子イオン間の静電的相互作用の考慮によって定性的に理解しうることが示唆された。
  • 岡村 誠三, 片桐 啓三
    1959 年 16 巻 167 号 p. 173-175
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ビニル重合における重合度 (P) は重合率の函数として近似的に次のように示される。a) テロゲンとして作用する溶剤を用いた場合 ただし [M] はモノマー, [S] は溶剤濃度, Csは移動定数, xは重合率である。b) 普通の連鎖移動剤として作用する溶剤を用いた場合 (熱重合) ただし, Po, Piはそれぞれ塊状重合および溶液重合 (x=0) の際の重合度である。c) a) にポリマーの連鎖移動を考慮した場合ただしCpolyはポリマーの移動定数である。a), b), c) の式がスチレンー四塩化炭素の熱重合の結果に適応され, 正しいとこを認めた。
  • 今井 清和, 上総 雄二郎
    1959 年 16 巻 167 号 p. 176-179
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニルの重合を60℃でアセトン, メチル・エチルケトン, ジ・エチルケトン, メチル・イソプロピルケトンおよびメチル・イソブチルケトン中, 単量体濃度を60~100%の範囲で変えて行なった。得られたポリ酢酸ビニルをポリビニルアルコールとなし, その末端に含まれるカルボニル基を定量してケトンの溶剤移動定数Csを求めた。このCs値は上述のケトンの順でそれぞれ, 1.1, 6.0, 8.0, 約2.2および2.0×10-3であった。他方, 常法の重合度の下り方から求めたCs値は1.1, 5.7, 9.8, 10.2および2.8×10-3であった。メチルイソプロピルケトンの場合を除いては, これら両者の値は比較的よく一致し, 重合の動力学から予想されるように高分子鎖の末端にカルボニル基が導入されていることを認めた。
  • 第15報 N-カルボ置換フェノキシ-DL-アラニンのニトロベンゼン溶液での重縮合反応
    石塚 由雄, 斉藤 二男
    1959 年 16 巻 167 号 p. 180-184
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    N-カルボ置換フェノキシ-DL-アラニンの重縮合における溶媒, 置換基, 重縮合温度, 重縮合時間およびモノマー濃度の重合率ならびにポリマーの比粘度に及ぼす影響について研究した。溶媒としてはニト雛ベンゼンが適当で生成ポリマーの比粘度はピリジンートルエン混合溶媒の場合より約2倍も高い。種々のN-カルボ置換フェノキシ-DL-アラニンの100℃ および120℃ での重縮合の結果, 重縮合速度はo-NO2>p-NO2>H>o-CH3>p-CH3の順に低下し, 未置換体では120℃ の重縮合はきわめて速い。重縮合時間に比例して重合率, 比粘度はほぼ直線的に増大するが, ニトロ置換体では重合率の増加勾配はゆるやかで比粘度はあまり高くない。メチル置換体は100℃ では重縮合がきわめて遅いが120℃ では未置換体に似た傾向を示す。モノマー濃度は約6%までが適当である。
  • 第16報 ポリ-DL-アラニンのジクロル酢酸溶液中の粘度
    石塚 由雄
    1959 年 16 巻 167 号 p. 184-190
    発行日: 1959/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ-DL-アラニンは純ジクロル酢酸中では高分子電解質的挙動を示す。すなわちポリマー濃度が0に近つくに従ってηsp/cが急激に増大する。この現象はペプチド結合の一部がイオン化し, そのイオン反搬によって分子鎖が伸びるためと思われる。ジクロル酢酸に水を加えていくとこの現象はしだいに消滅する。かくして重合度の異なる数種のポリ-DL-アラニンの80%ジクロル酢酸溶液の[η]から, 一定の溶液濃度ではηsp/c-[η] は直線になることがわかった, m-クレゾール溶液の[η]は80%ジクロル酢酸の[η]よりわずかに低下し, 同じ容量%のギ酸溶液では[η]は相当低下した。
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