高分子化學
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16 巻, 169 号
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  • 第1報
    岩柳 茂夫, 中根 平之助
    1959 年 16 巻 169 号 p. 285-289
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    研究室において使用する目的の下に, 共軸円筒型回転粘度計を設計試作した。定常粘性率の測定のためには, 内筒のプレーに重錘をかけ, 内筒の角速度を測るか, または外筒を一定速度で回転せしめ, 内筒に作用するトルクを測るかする。これを粘弾性計として使用する場合には, 外筒を一定角振幅で振動せしめこれに伴う内筒の振動を。一定速度で送られる印画紙の上に記録し, 内外筒の振動の振幅比と位相差とを決定し, これらからさらに試料の動的粘性率と動的ずれ弾性率とを計算する。振動数は10c/sまで。測定の実例としてシリコーン油に関するものを掲げる。
  • 端面の補正と温度上昇について
    岩柳 茂夫, 中根 平之助
    1959 年 16 巻 169 号 p. 290-292
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報に構造の概要を報告した共軸円筒型回転粘度計に関して2つの実験を行なった。(1) 端面の補正項の性質を実験的に調べ, かつこれがある標準的な条件の下で約6%になることを確かめた。(2) 連続回転のため試料の温度にどの程度の上昇があるかを調べた。10, 000cSシリコーン油の場合, 角速度34sec-1で30分ぐらい連続回転すると数℃ の温度上昇が見られ, 粘性率 (のずれ速度依存性) を正しく出すためには, もっと短時間内に測定を完了すべきことがわかった。
  • 第1報浸透圧法による低重合率ポリ酢酸ビニル未分別物の分子量測定
    松本 昌一, 前田 正泰
    1959 年 16 巻 169 号 p. 293-296
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    低重合率ポリ酢酸ビニルの未分別試料のベンゼン溶液の浸透圧測定をZimm-Meyerson型浸透圧計で行ない, 数平均分子量を求めた。別に光散乱法で求めた重量平均分子量との比は理論値2に近く, 求められた数平均重合度は妥当な値と考えられる。粘度重合度の関係は換算したWagner, Chinaiの関係にほぼ適合する。
  • 第2報光散乱法による低重合率ポリ酢酸ビニル未分別物の分子量測定
    大柳 康治, 松本 昌一
    1959 年 16 巻 169 号 p. 296-300
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    低重合率ポリ酢酸ビニルの未分別試料の重量平均分子量を光散乱法で測定した。第1報で求めた数平均分子量との比は, ほぼ理論の要求するとおり2になった。アセトン・メチルエチルケトン・メタノール中で測定して得られた分子量はよく一致した。Zimmプロットは本試料の分子量分配 (MW/MN=2) の場合予期されるように, よく一直線にのった。分子の広がりと分子量との間には, アセトン中で〈D2〉1/2WMW057なる関係が得られた。アセトン中のFlofy定数は,(2.2±0.2) ×1023となり, 他の高分子で得られた値とよく一致した。
  • 第5報シロキサン4量体の重合に及ぼす触媒硫酸量の影響と重合機構について
    山田 瑛, 竹田 政民
    1959 年 16 巻 169 号 p. 301-304
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    有機ケイ素4量体の濃硫酸による開環重合反応は初期重合, 平衡状態と安定化の3つの段階がある。平衡状態に無水アルコールを加えて末端がアルコキシ基を持つ重合体として取り出し, この分子量より平衡状態を推測した。「硫酸量が少ない間の平衡状態にあるFragmentの分子量は, 一端または両端が硫酸エステルとして, 全硫酸量が消費されているものとして計算された分子量と一致し, 均一系平衡状態をとっていることを示した。硫酸量が過剰で不均一系となった際の平衡時の分子量は硫酸量に関係なく一定である。」安定化した重合体の分子量は, ある硫酸量で極小値をとる。この硫酸量以下では分子量は硫酸量と反比例的に減少するが, 過剰の硫酸量と分子量とは関係なく水で安定化し高分子化する段階を助長する役目を持つ。
  • 第6報有機ケイ素4量体の開環重合における硫酸濃度変化について
    山田 瑛, 竹田 政民
    1959 年 16 巻 169 号 p. 304-307
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    有機ケイ巽4量体を, 50%硫酸以上発煙硫酸以下の諸濃度で重合させた結果, 50~80%の間と100%に分子量が極大となり, さらに発煙硫酸ではその濃度とともに分子量を増加した。無水アルコールで重合平衡状態を停止させたFragmentの分子量は, 硫酸諸濃度に対し水で停止させた場合と平行的関係で起伏する。この傾向は硫酸の電気抵抗曲線と大体一致し, 硫酸のシロキサン結合分断能力は硫酸より解離されたイオン数に関係することを示す。95%以下硫酸濃度が下がるにつれて分子量は顕著に増加するが, この事実は前報告で, 過剰の硫酸を使用したとき高分子量の重合体を得た事実と関係づけられた. すなわち重合最終の水による安定化段階は, 徐々に加水分解し縮合させることによって高分子量の重合体を得ることができる。これを加水速度を加減することによって分子量が変化することより確認し, また硫酸層を除去して重合を停止させると, 硫酸層が存在する場合よりも分子量が小さくなり, 過剰の硫酸は加水分解, 縮合速度を制御し高分子化へ役立つことを知った。
  • クロトン酸誘導体との共重合から得られた二, 三の知見
    宇野 泰三, 吉田 経之助
    1959 年 16 巻 169 号 p. 308-313
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    クロトン酸 (I), クロトン酸エチル (II), クロトン酸ビニル (III), クロトン酸アリルとVCの共重合を乳化重合50℃で行なった。MRRは (I) ではr1=2.4, r2=0;(II) r1=2.0, r2=0;(III) r1=0.98, r2=0.97であった。クロトニル基は酢酸ビニルに近い共重合性を持ち,(I),(II) の共重合体はアセトン, メタノール混合溶剤に溶ける。2個の官能基が1団になって動くクロトン酸ビニルとVCの3成分系共重合は, クロトン酸ビニルをクロトン酸, 酢酸ビニルに分けてVCと3成分系共重合を行なった場合と共重合性が異なり, 前者の場合は共重合反応に制約を受ける。橋かけによるゲル化点から, Hugginsのk'=0.53を得たが, 分岐の場合のゲル化点から得たk'が1.82程度であるのに比べて小さい。クロトニル基の連鎖移動定数は2.1×101であった。
  • 第12報過酸化クロトニルによる重合と分岐ポリマー
    宇野 泰三, 吉田 経之助
    1959 年 16 巻 169 号 p. 313-316
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    過酸化クロトニル (CPO) を開始剤として塊重合を50℃ で行なった。重合の促進作用は過酸化ラウリル (LPO) よりかなりすぐれ, 重合の見かけの活性化エネルギーは20.3kcalで, 過酸化物としては小さい値である。CPOがモノマーに対して1/400モル当量以上ではポリマーは不溶化し, 以下では可溶である。Hugginsのをは0.4~1.8で普通の重合開始剤で得られるポリマーの0.3~0.4に比べて大きいのは, 分岐部分のポリマーが大きいためと考えられる。分岐によるゲル化点からk'1.8を得た。橋かけによるゲル化点のk'が0.5程度であるのと比べると興味がある。Rpは [I]0.50に比例する。
  • 第14報アルカリ触媒によるジメチロール尿素ジアルキルエーテルの合成とその水素結合について
    高橋 彰, 山崎 勇, 小川 正夫
    1959 年 16 巻 169 号 p. 317-320
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    カセイソーダを触媒として, 尿素ホルマリン, アルコールを原料とする場合とジメチロール尿素, アルコールを原料としてジメチロール尿素ジアルキルエーテルを合成する方法について比較検討した。このアルキルエーテルは>N-H…O=C< なる分子間水素結合で会合していることが赤外吸収スペクトルによって明らかにされた。
  • 第3報熱処理による溶液粘度, アミノ・カルボキシル両末端基の変化
    鶴田 基弘, 古下 昭雄, 田州 高司
    1959 年 16 巻 169 号 p. 321-323
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報において, 湿熱処理を施せるナイロン6繊維が著しく染色性を増加することは, Azo Geranine2Gの等温吸着曲線より加水分解によるためではないであろうと推論したが, 本報では緊張下, 無緊張下で乾熱, 湿熱処理を施した延伸糸および未延伸糸について, 溶液粘度, 末端アミノ基, 末端カルボキシル基の測定を行ない, 前述の推論が正しいことを証明した。
  • 第36報アクリル酸アミドとアクリル酸との共重合
    井本 稔, 大津 隆行, 樋口 泰一
    1959 年 16 巻 169 号 p. 324-329
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    種衡のpHの水溶液中にてアリル酸アミド (1) とアクリル酸 (2) との共重合を行ない, 単量体の反応性の比および分子量に及ぼすpHの影響を調べた.共重合温度は50士0.1℃. アクリル酸の解離度が0.5付近で, 共重合体中のアクリル酸の割合が最大となることを認めた. 単量体の反応性の比は, pH2.50±0.20 (r1=0.48±0.05, r2=1.37士0.10), pH3.83±0.02 (r1=3, r2=80), pH4.71±0.01 (r1=1, r2=70), pH5.31±0.01 (r1=1.48±0.30, r2=1.19±0.30;r1=1.42, r2=1.18), PH9.00±0.55 (r1=1.70, r2=0.54;r1=1.75±0.15, r2=0.58±0.15)である。pHの変化とともに単量体および重合体の解離度が変るため, r1, r2は変化して行くことがわかった。次に, 同様にしてアクリル酸アミドの単一重合とpHとの関係を調べ, その初期重合速度はpH3~8では大差なく, 9を超えると低下することがわかり, その理由につき考察した。
  • 第11報橋かけ樹脂のフェノール性水酸基に対するβ-プロムエタンスルホン酸ソーダの反応
    芦田 包義
    1959 年 16 巻 169 号 p. 330-332
    発行日: 1959/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド樹脂 (I) のフェノール性水酸基に対してスルホン酸基を導入するために, β-ブロムエタンスルホン酸ソーダ (II) を作用させた。まずモデル物質として小球状レゾルシンホルムアルデヒド樹脂 (III) に対して (II) を作用させて反応条件とスルポエチル基の導入量との関係を求めたのち,(I) に対して (II) を反応させ, 導入率9.5%, 全中性塩分解能力3.46meq/gHRの (I) を得た。
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