さきに光散乱法で分子量を決定した低重合率未分別ポリ酢酸ビニル (PVAc) のケン化で得たポリビニルアルコール (PVA) 試料の粘度を測定し, PVAの粘度分子量関係を求めた。このような試料の再酢酸化PVAcとオリジナルなPVAcの分子量に差がないことを認めたので, PVAの分子重合度としてオリジナルなまたは再酢酸化したPVAcの分子重合度を使った。またアセトン系で重合した低重合率未分別PVAの末端カルボニル基定量により, 数平均分子量
Mnを測定し〈
Mw/
Mn〉=2を確認した。PVA水溶液の極限粘度 [η] は, 数平均重合度が約1700以上の試料 (+30℃ 重合物) では速度勾配に依存することを認めたので, 速度勾配γ→0の [η]
γ→0を求めた。[η] は30℃, m
l/gで示す。低重合率未分別試料の粘度分子量関係は, [η] =4.28×10
-2Mw0.64, [η] =4.80×10
-1Pw0.64あるいは [η] =6.70×10
-2Mn0.64, [η] =7.51×10
-1Pn0.64く一致する。この関係式を完全均一分配の分別試料の粘度分子量関係へ換算し [η] =4.53×10
-2M0.64, [η] =5.08×10
-1P0.64なる関係を得た。見かけの [η] の速度勾配依存性を考察し, 速度勾配の0近くでは, 理論が要求するように [η] は一定値を示すが, 速度勾配γが増大するとともに試料の重合度が大きいほど [η] はより減少することを認めた。ある速度勾配における見かけの [η] γと, γ→0の [η]
γ→0の比, [η] γ/[η]
γ→0は, 理論から期待されるように<M×[η]
γ→0×r>の積の関数であり, 両者をプロットすると分子量に無関係に一つの関係曲線が得られた。
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