高分子化學
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17 巻, 185 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 丹沢 宏
    1960 年 17 巻 185 号 p. 523-527
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    各種ナイロン, ポリエチレンテレフタレート, ポリエチレン, ポリアクリルニトリルの繊維を用いて, 結晶性ポリマーの結晶化度, 結晶型とモル屈折との関係を検討した。その結果, モル屈折はそれらによらず常に一定であることを実験的に確認した。このことはポリマーの結晶部分と非晶部分との間にモル屈折の加成性が成立することを意味する。なおモル屈折の実測値は大体計算値と一致するが, ポリエチレンテレフタレートの場合は計算値よりも大きくなる。これはテレフタール酸の共役的作用により高超 (exaltation) を生ずるためであろう。
  • 遠藤 隆一
    1960 年 17 巻 185 号 p. 528-532
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン研究会の標準試料につき極限粘度とその速度勾配依存性について実験を行なった。これらポリエチレンのテトラリン溶液の粘度を速度勾配を変化させて測定した。その結果, 速度勾配が約70~500sec-1の範囲ではその影響を少し受ける試料とほとんど受けない試料とがあった。ηsp/C~Cの関係を図示すると低圧, 中圧法のポリエチレンの中には上に凹の彎曲をするものがあるが, 高圧法のポリエチレンはHugginsの式に一致した直線となった。
  • 第4報押出機の熱効率およびバレル内面における見かけ伝熱係数
    林田 建世
    1960 年 17 巻 185 号 p. 533-539
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    低圧法ポリエチレンを試料とし, ポリトロープ過程の可塑化押出機について, エネルギー収支の実態を調査し, 押出機設計の資料となる熱効率, バレル内面における見かけ伝熱係数の値を求め, これらと運転条件との相関性を調べた。
  • 上田 重幸, 片岡 忠夫
    1960 年 17 巻 185 号 p. 540-544
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分子量3450~7200にわたる6種のポリエチレン溶融液の粘度, 引上曳糸長を測定した。一定曳糸速度では曳糸長は曳糸棒の浸け深さとともに直線的に増大する。曳糸速度の増大, 曳糸温度の低下, 試料分子量の増大とともに曳糸長は増大する。温度の変化, 試料分子量の相違は粘度の変化に還元される。さらに曳糸速度の影響を検討して, 曳糸長l0, 粘度η, 曳糸速度υの間に次の実験式が成立することがわかった。
  • 第7報ナイロン6およびその重水素化物のD2O, H2Oによる湿熱処理に伴う赤外吸収スペクトル変化について
    古下 昭雄
    1960 年 17 巻 185 号 p. 545-551
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ナイロン6の熱処理に及ぼす水の影響を調べるために, 重水とポリマー分子中の酸アミド基の活性水素との置換反応を赤外吸収スペクトルを用いて測定した。固相における水とポリマーとの反応は非結晶領域のみで起ると考えられるので, ナイロン6フィルム (N-Hポリマー) を低温気相および高温加圧蒸気 (100℃ 以上) で重水素化したものの赤外スペクトルと結晶内部まで完全重水素置換するために, あらかじめモノマーラクタムを重水素化したものの重合体 (N-Dポリマー) のそれとを比較した。また両ポリマーを同温度で重水と軽水を用いて交互に順次湿熱処理したときのスペクトルの変化から熱処理によるaccessibilityの変化を調べた。実験の結果, 重水による湿熱処理で重水分子はポリマーの緻密部にも奥深く浸入し, ポリマー分子間結合の切断と重水置換反応を進行し, 同時に結晶化効果を高めるが, 第2~3回以後の処理では置換反応の進行が非常に少なく, 初回の処理により結晶度および重水化反応のaccessibilityがほとんど限定されることが確かめられた。また初回に軽水より重水で処理した場合の方が結晶度の増加が少ないためか置換反応量が大きいことが判明した。
  • 第8報熱処理およびγ線照射ナイロン6繊維の熱的粘弾性的挙動について
    古下 昭雄
    1960 年 17 巻 185 号 p. 552-557
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ナイロン6繊維は熱処理により結晶度の増加を起すのみならず, 非結晶領城内の分子配置や分子間結合数に相違を与えるので, 当然粘弾性的挙動に差異をもたらすことが予測される。今回は乾熱, 湿熱両処理に伴う非結晶領域内の変化を熱的および粘弾性的挙動より推測するため, あらかじめ湿熱処理により結晶化度をす分上昇せしめ, 以後結晶度の変化を起らぬようにした状態で前回よりも弱い乾熱と湿熱下で処理し, 比重, 応力緩和および熱応力の測定を行なった。さらにγ線照射による分子間結合や切断の挙動をもあわせて検討した。その結果, 湿熱処理により非結晶領域の分子間結合が切断され, 乾熱処理により擬似可逆的に結合が再形成されることが推定された。またナイロンにγ線を照射すると真空中ではおもに橋かけ結合が形成され, 空気中では結合の切断が優勢であるという他の結果と一致した挙動が示された。
  • 第6報塩化ビニリデンとの共重合および共重合体の性質
    赤染 義一, 酒井 鎮美, 調子 康雄, 村井 孝一
    1960 年 17 巻 185 号 p. 558-561
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    炭素数8より18の直鎖飽和アルキル基をもつビニルエーテルと塩化ビニリデンの塊状共重合を50℃, BPOを開始剤として行ない, モノマーの反応性の比はオクチルビニルエーテル (M2) ではr1=1.35±0.15, r2=0.0±0.2, ドデシルではr1=1.30±0.15, r2=0.0±0.2, オクタデシルではr1=1.50±0.15, r2=0.0±0.3となった。モノマー中のビニルエーテル含有率を多くすると共重合速度と共重合体の還元粘度は減少し, またモノマーの変化率の増加とともに共重合体のビニルエーテル含有率は増加するが還元粘度は低下する。得られた共重合体の組成と引張強さ, 伸び, 比重, 溶解性の関係から, 高級アルキルビニルエーテルの共重合による内部可塑化が円滑に行なわれていると考えられた。その他アルキル炭素数の影響について検討した。
  • 第5報重縮合により2種の結合を2:1の比率で含む高分子の合成
    岡野 正弥, 時浦 昌平, 美安 明, 小田 良平
    1960 年 17 巻 185 号 p. 562-565
    発行日: 1960/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    N-カルベトキシ-ε-アミノカプロン酸クロリド, 5-カルベトキシペンチルイソシアナート, N-カルベトキシ-6-アミノヘキシルイソシアナートとε-アミノカプロン酸エチル, ε-オキシカプロン酸エチル, N-カルベトキシヘキサメチレンジアミン、N-カルベトキシ-6-アミノヘキサノールとの組合せで, 分子の中央に酸アミド, 尿素, またはウレタン結合を1個持つ長鎖ジエステルまたはジウレタンを数種合成した。次にこれらとジアミン, ジオールまたはジカルボン酸との重縮合反応で酸アミド, 尿素, ウレタン結合のうち, その任意の2種を2:1の比で持つ種々の高分子をつくった。各種組合せのうち, 酸アミド・尿素の組合せが可紡性の点より最も良いことを認めた。
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