高分子化學
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18 巻, 200 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第1報 溶液粘度の低下について
    浜田 文将, 高橋 儀作
    1961 年 18 巻 200 号 p. 715-721
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル (PAN) のジメチルホルムアミド (DMF) 溶液を加熱した際のPANの分裂崩壊について検討した.分裂はDMF中のジメチルアミンによるものと考えられ, 分裂の反応速度式はほぼds/dt=k(sf-s) なる1分子反応式により表わされる。ただしsはもとの高分子1分子あたりの切断数sfは溶液中に存在するジメチルアミンが反応し終るまでに1分子あたり切断しうる結合の数, kは反応速度定数である。分裂反応の見かけの活性化エネルギーは10, 1kcal/molである。さらに分裂反応の機構について若干の考察を行なった。
  • 第2報 溶液の着色について
    浜田 文将, 高橋 儀作
    1961 年 18 巻 200 号 p. 721-727
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル (PAN) のジメチノレホルムアミド (DMF) 溶液を90℃および140℃で加熱処理した際の着色について研究し, この際起る化学構造の変化を明らかにするため, 着色した溶液の近紫外部吸収スペクトルおよび着色した溶液から作成したフィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した。その結果ジメチルアミンがほとんど含まれていないDMFにPANを溶解したものは加熱しても着色の程度が弱く, 近紫外部で268mμに, 赤外線領域で1700-1600cm-1に弱い吸収が生ずるのみであるが, ジメチルアミンを少量含有しているDMFにPANを溶解させたものでは加熱すると着色が著しく, 近紫外部では268mμ以外に365mμにも吸収を示し赤外線領域では1700-1490cm-1に幅広い吸収を示す。この着色はポリアクリロニトリル中の相隣れるニトリル基の結合により生成した縮合環状構造によるものと考えられ, DMF中のジメチルアミンはこの構造の生成を促進するものと思われる。
  • 第1報 結晶化度と比容の関係について
    小島 寛男, 安部 明広
    1961 年 18 巻 200 号 p. 728-732
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    各種ポリエチレンの結晶化度Xmと比容Vとの関係を, 20℃において求め (1) 式を得た。(1)
    この式から非晶領域の比容Vaは1.233cc/g, 結晶領域の比容Vcは1.009cc/9である。各試料についてX線回折により面間隔を測定し, 結晶の単位胞の密度dcを求め, に代入して非晶領域の密度daを求めた結果, 結晶化度が高くなるにつれてdcは大きくなり, daは低下する傾向を見出した. この結果から, 式 (1) に示されるVaおよびVcの値は, 各試料の平均値的な意味しかもたないことがわかった。
  • 第4報 リグニンと強固な結合をしたSBRまたはNBRの構造特性
    和田 昭三
    1961 年 18 巻 200 号 p. 733-739
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    リグニン途成ゴム (SBRまたはNBR) 共沈体の常温乾燥体から, 溶媒による抽出で易溶性ゴム分を抽出し, 残留する難溶性ゴムの赤外線吸収スペクトルを測定してみた。その結果残留分には, 特にスチレン核, またはニトリル基に富んだ分が多い。したがってまた, 低スチレンSBRと高スチレンSBRまたはSBRとNBRとの混合ゴムリグニン共沈体からは, いずれの場合も前者側のゴム分が選択的に抽出されることがわかった。また, 各抽出分の固有粘度を測定して, 残留分には, 高重合度分の多いことが結論された。さらに低リグニン含量の共沈体からゴム分を抽出する場合には, ゴムといっしょにリグニンが若干付随して溶出することが観察された。以上の諸結果は, 第1~3報に述べたように, リグニンとゴムとの二次結合がプロトン-π電子間の相互作用に依存することの大きいことを実証した具体例の一つと考えることができる。
  • 第3報 熱延伸性と繊維の物性について
    藤崎 誼達
    1961 年 18 巻 200 号 p. 740-746
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル凝固糸状体の100℃における熱延伸性と, 得られた繊維の物性の関連性について論じた。繊維は, 70%硝酸に重合体を溶解し, 36%希薄硝酸水溶液中に押出して凝固し, 水洗して得られた凝固糸状体を, 100℃熱水中で熱延伸することによってつくられた。X線測定によって求められた繊維中の結晶化度および結晶の大きさは, 試料の平均分子量および熱延伸倍率によってほとんど影響を受けないが, 結晶配向度は同一熱延伸倍率では低分子量試料のものほど良好である。また, 同一結晶配向度を持つ繊維の引張強度は, 分子量の増加とともに急速に大きくなる。しかしながら, 高分子量分子鎖によって構成された凝固糸状体からは, 100℃では十分な配向度をもつ繊維を得ることができなかった。これらの現象は分子論的取扱によってよく説明できる。
  • N-ビニルカルバゾール, アセナフチレンまたはグリシジルメタクリレートと塩化ビニルの共重合
    井本 稔, 清水 仙三
    1961 年 18 巻 200 号 p. 747-750
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニル (VC) とN-ビニルカルバゾール (NVC), アセナフチレン (ANT) またはグリシジルメタクリレート (GMA) とを各々共重合させ, 各々のモノマーの反応性比r1, r2をVC (M1)-NVC (M2) でr1=0.17r2=4.77, VC (M1)-ANT (M2) でr1=0.0013r1=64, またVC (M1)-GMA (M2) でr1=0.04r2=8.84と決定した。また共重合体について性質を検討した結果VC-NVCおよびVC-ANT共重合体はともにポリ塩化ビニル (PVC) より高い軟化点を示すことがわかった。VC-GMA共重合体は熱安定剤としての性質を示すがそれほどすぐれているとは思えない。
  • 丸岡 昌路, 去来川 覚三, 伏崎 弥三郎
    1961 年 18 巻 200 号 p. 751-753
    発行日: 1961/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルデヒドコリジンの液層クロム酸酸化によって得られる2-メチル-5-アセチルピリジンを原料として, 2-メチル-5-ビニルピリジンの合成を試みた。2-メチル-5-アセチルピリジンを銅-クロム酸化物触媒あるいはアルミニウムイソプロポキシドにより還元して得られる2-メチル-5-(α-ヒドロキシエチル) ピリジンを, 塩化チオニルにより塩素化を行なって2-メチル-5-(α-クロロエチル) ピリジン塩酸塩としたのち, トリアルキルアミンにより第4級アンモニウム塩を生成せしめ, この第4級塩を分解して2-メチル-5-ビニルピリジンを合成した。他方, 2-メチル-5-(α-クロロエチル) ピリジン塩酸塩をアルコール性カセイカリによって脱塩化水素を行なって目的物を得る方法についても検討した。
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