高分子化學
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18 巻, 198 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 第1報表面処理法と吸湿性
    関田 吉泰, 川崎 弘司
    1961 年 18 巻 198 号 p. 573-576
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ四フッ化エチレンにナトリウム-ナフタリン-テトラヒドロフラン法およびナトリウム-液安法で表面処理を行ない, それぞれの表面処理法の特徴と処理材料の吸湿特性を調べた。前者は表面で反応を停止し長時間処理をしても吸湿量を増大しないが, 後者は処理時間により初期においては減量と同じく直線的に吸湿量を増大する。
  • 第2報 ポリ四フッ化エチレンとその表面処理面の水に対する接触角
    関田 吉泰, 川崎 弘司
    1961 年 18 巻 198 号 p. 576-580
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ四フッ化エチレンの未処理面およびナトリウム-ナフタリン-テトラヒドロフラン法とナトリウム-液安法による処理面の水に対する接触角を液滴法で測定した。未処理切削面の接触角は切削方向と平行で108°, 垂直方向で115° であった。ナトリウム-ナフタリン法による処理面は52° の比較的安定な接触角を処理条件を変えても示すのに反して, ナトリウム-液安法ではそれらの処理条件によって変化する接触角が得られる。これらの差は吸着坐席の分布状態と表面におけるあらさが関係しているようである。
  • 第1報 光散乱実験に伴う二三の問題について
    藤崎 誼達
    1961 年 18 巻 198 号 p. 581-588
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルのジメチルホルムアミド溶液について光散乱実験を行なうにあたって, これに伴う二三の問題, 特に溶液の螢光および (∂n/∂c) 値について論議した。ポリアクリロニトリル溶液の螢光の強さは重合条件および分子量の影響を受ける。水系レドックス重合法でつくられたポリアクリロニトリルはα-α'-アゾビスイソブチロニトリルを触媒として水中懸濁重合法によってつくられたものより強い螢光をもつ。また, 低分子量重合体は高分子量重合体に比べて一定重量に対し強い螢光を示すが, 一つの分子鎖中に存在する螢光を発する単位構造の数は高分子量のものほど多い、螢光強度は特に入射光の波長に強く影響され, 365mμ の光では非常に強い螢光が認められるが, 436mμ, 546mμ と移るに従って減少し, 546mμ では螢光を認めることができなかった。したがって, ポリアクリロニトリル溶液の光散乱実験を行なうにあたって, 光源として546mμ を用い, ある程度高い分子量の試料を用いれば螢光の影響を無視してさしつかえないことがわかった。この他に,(∂π/∂c) の測定および光散乱用試料溶液の調製, その他若干の問題について検討した。その結果, 完全に水分を除去したジメチルホルムアミド中におけるポリアクリロニトリルの (∂π/∂c) について20℃ で0.0874cc/gという値が得られた。
  • 第1報 分子量による影響
    藤崎 誼達
    1961 年 18 巻 198 号 p. 589-595
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    硝酸を溶媒としたポリアクリロニトリル濃厚溶液を, 希薄硝酸水溶液中に押し出すことによってつくられた糸状凝固体の熱延伸性が, 分子量によってどのような影響を受けるかについて実験した。実験条件は, 溶媒硝酸濃度70%, 紡糸原液粘度を0℃ で1000ポアズとし, 種々の濃度の0℃ 希薄硝酸水溶液中に押し出し凝固し, 水洗し, その糸状凝固体の100℃ 水中での熱延伸性を測定した。ポリアクリロニトリルは, α, α'-アゾビスイソブチロニトリルを触媒として水中懸濁重合法によってつくった。試料として重量平均分子量31,500-269,000でMω/Mnが近似的に3の未分別重合体およびジメチルスルホキサイド-トルエン系で分別された分子量40,000-297,000の画分を使用した.上記条件で行なわれた結果, 熱延伸性はいずれの凝固浴硝酸濃度でも分子量80,000で最高を示し, この挙動は分別重合体画分を用いたときいっそう強調される。すなわち, 分子量80,000以下のポリアクリロニトリルの熱延伸性は分子量の減少とともに急激に低下し, 80,000以上の分子量では分子量の増加とともに徐々に減少し高分子量側で一定値に収束する。このような現象を分子論的に論議した。
  • 府川 幸資, 朝倉 忠義, 大門 宏
    1961 年 18 巻 198 号 p. 596-604
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリマー工水溶液の表面吸着機構を表面張力測定によって究明した。ポリマー溶液においては通常表面張力は長期にわたって時間とともに変化する。表面張力を連続的にしかも精密に測定するため一部を改良した垂直板法による装置を製作した。表面活性なポリマーの溶液においては必ず著しい表面老化現象が認められる。われわれは種々のポリビニルアルコール (PVA) の種々の濃度における表面張力を測定した。表面の老化はポリマー分子の表面への単なる拡散ではない。一部のポリマーは溶液が形成されるとほとんど瞬間的に表面に吸着する。この結果表面付近のポリマー濃度が大になり, 他のポリマ一の表面への拡散が非常に妨害される。われわれはこれが主にポリマー溶液の表面老化現象の原因であると結論した。
  • 紡糸浴中における脱溶媒のモデル的観察
    高橋 正夫
    1961 年 18 巻 198 号 p. 605-608
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    溶媒・水系紡糸浴における形成糸条の脱溶媒過程について観察し, 次のような知見を得た。(A) 膨潤液組成はしだいに変化し, 浸セキ浴組成に近づく。そのときの脱浴媒の見かけの拡散係数kθは, 凝固体構造にsensitiveであり, この値から凝固の過程と糸条の組織について考察することができる。(B) 形成糸条の重量膨潤度は, 浸セキ時間とともに減少の傾向にある。(C) 膨潤糸の強伸度は, 浸セキ液中の溶媒濃度が低いほど小さくなる。延伸による膨潤液の濃度の低下がみられる。
  • 武田 文司
    1961 年 18 巻 198 号 p. 609-612
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    回転同心円筒間の溶液流動における渦環の数は, 円筒の間隔と溶液中の円筒の長さに依存する。本報告では, 溶液の動粘性も渦環の数に影響することを示した。渦環の数は, Critical Kinematic Viscosityと名づけるvcを境界として, それぞれ奇数および偶数のみの2領域に大別された, Polystyrene-Benzene溶液を用いた実験において, 渦環は高濃度溶液およびWeissenberg efrectを生ずる濃厚溶液で観測された。さらに, 実験結果を解析して, 外筒を固定した場合の回転同心円筒間溶液流動における動粘性の影響およびend effectは, 液表面および内筒の末端からそれぞれ円筒間隔の5倍以内に限定さることが判明した。
  • 第55報アクリロニトリルとアクリル酸メチルの水系共重合速度
    柚口 貞夫, 渡辺 正元
    1961 年 18 巻 198 号 p. 613-616
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    過硫酸カリ (KPS) とトリエタノールアミン (TEA) をRedox触媒に用いアクリロニトリル (AN) とアクリル酸メチル (MA) の水系共重合速度を求めた、その結果
    1. 見かけの共重合速度 (RP) は触媒両成分に関し各々1/2次, モノマーに関し3/2次となる。すなわち
    2.見かけの共重合速度定数kの値はAN: MA=0.95:0.05 (モル比) の際に最小となる。
    3.ANとMAの共重合の際のMonomer Reactivfty Ratio (HRR) をFinemanらの方法によって求めたところ
    r1=0.86
    r2=1.25±0.15
    となり前報の値とよく一致した。
    以上の結果について考察を加えた。
  • 和田 昭三
    1961 年 18 巻 198 号 p. 617-628
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    えぞまつ, とどまつ混合材から得たチオリグニンの赤外線吸収を測定し, 各吸収の振動様式を決定するとともに, そのスペクトルに基いてチオリグニンの構造を検討した。その結果,(1) 1650-1740cm-1の吸収は, 従来のように, 単純に高波数側がCOOH基, 低波数側が>C=Oと分別しえないこと, およびジケトン型の存在が推定されたこと,(2) ベンゼン核に直結した>C=Oの量は, ベンゼン核1個あたり約0.4個存在すること,(3) 1370cm-1の吸収を, カテコール核の吸収と推定したこと,(4) 1080cm-1および10 45cm-1の吸収を, それぞれ第二級アルコールならびに第一級アルコールのOH変角振動に帰属したこと,(5) 1150cmおよび1032cm-1の吸収を, メトキシル基を主体としたエーテル結合振動に帰属したこと,(6) 1270cm-1および1223cm-1の吸収を, グアヤシル核の振動に帰属せしめたこと, などの結論を得た。
  • 第1報
    宇佐見 忠男
    1961 年 18 巻 198 号 p. 629-633
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    共重合理論をマルコフ連鎖によって, 代数学的に解析した.特に二元共重合系についてMRRと確率行列P, およびその不動ベクトル診との関係を考察した。一般にm元共重合系において, Pが正規であればその不動ベクトルtの要素tiが, 重合体分子鎖の任意の場所においてMi単位が見出される狭義の確率となる。Pが定常マルコフ過程を形成するときは理想共重合となる。Pが正規でない場合には, 部分的な共重合をみても全体として共重合が行なわれない。Pが順列行列でm次の巡回部分群を形成するときには完全共重合が行なわれ, 1次の巡回部分群すなわちP=1 (I=単位行列) なるときには共重合が全く行なわれなく, 各元の単重合体の混合物となる。Pがm次以下の巡回部分群を形成するときは, 部分的な元については完全共重合が行なわれるが, 全体として共重合が行なわれない。共重合にこのような確率行列を用いると, 特に複雑で整理しにくい三元以上の多元共重合系のMRRの性質が容易に把握できる。
  • 第2報ポリエチレン・スチレングラフトフィルムの組成
    松田 竜夫, 早川 浄, 江田 文三, 川瀬 薫
    1961 年 18 巻 198 号 p. 634-638
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高圧法, 低圧法ポリエチレンフィルムにスチレンをγ 線共存照射法によリグラフト反応させて得たグラフトフィルムは, 未反応のポリエチレン, グラフトポリマーのほかに, 多量のポリスチレンを包含していることが確認された。この包含ポリスチレンは加熱溶解または加熱抽出により分離された。その結果
    1) 見かけの全グラフト量のうち, 真のグラフト量は高圧法ポリエチレンフィルムでは約23%, 低圧法ポリエチレンフィルムでは約35%で, その他は包含ポリスチレンである。
    2) 包含ポリスチレンおよびグラフトポリスチレンは照射時間とともに増加するが, その比はほぼ一定である。
    3) 包含ポリスチレンはグラフトフィルム作成のとき反応液相に副生したポリスチレンの約5倍の分子量を有する。
  • 第3報ポリエチレン・スチレングラフトポリマーの分離
    松田 竜夫, 早川 浄, 江田 文三, 川瀬 薫
    1961 年 18 巻 198 号 p. 639-644
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンを膨潤しやすい粉末状またはゲル状にしてスチレンとγ 線共存照射法によりグラフト反応させた結果, フィルムの場合に比較して, 見かけのグラフト量は少なくなったが, 包含ポリスチレンをほとんど含まないグラフト物を得た。また高圧法ポリエチレンより, 低圧法ポリエチレンの方がグラフト反応速度は大であった。次にグラフト物からグラフトポリマーを分離し, 未反応ポリエチレンを除去すすため, キシレン-n-プロピルアルコール, およびキシレン-トリエチレングリコールを用いて分別を行ない, 濁り度滴定法を用いて各区分を検討した。その結果, 未反応ポリエチレンは得られず, 各区分はいずれもグラフトポリマーと考えられた。グラフトフィルムから包含ポリスチレンを除去した残部についても同様な結果を得た。
  • 山口 格, 天笠 正孝
    1961 年 18 巻 198 号 p. 645-652
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    熱分解機構を究明するためにPVA熱分解残渣およびPVA熱分解生成物の検索を行なった。真空中・窒素気流中あるいは空気存在下の熱分解ではそれぞれ量的には多少の差はあるが, 分解生成物として水の他にアセトアルデヒド, クロトンアルデヒド, ベンツアルデヒド, アセトフェノンを確認し, 他にフェノール系化合物の存在を推定した。
  • 山口 格, 天笠 正孝
    1961 年 18 巻 198 号 p. 653-655
    発行日: 1961/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PVAの熱処理時の着色機構および熱分解に関する研究結果を総合してPVAの熱分解機構を考察した。
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