えぞまつ, とどまつ混合材から得たチオリグニンの赤外線吸収を測定し, 各吸収の振動様式を決定するとともに, そのスペクトルに基いてチオリグニンの構造を検討した。その結果,(1) 1650-1740cm
-1の吸収は, 従来のように, 単純に高波数側がCOOH基, 低波数側が>C=Oと分別しえないこと, およびジケトン型の存在が推定されたこと,(2) ベンゼン核に直結した>C=Oの量は, ベンゼン核1個あたり約0.4個存在すること,(3) 1370cm
-1の吸収を, カテコール核の吸収と推定したこと,(4) 1080cm
-1および10 45cm
-1の吸収を, それぞれ第二級アルコールならびに第一級アルコールのOH変角振動に帰属したこと,(5) 1150cmおよび1032cm
-1の吸収を, メトキシル基を主体としたエーテル結合振動に帰属したこと,(6) 1270cm
-1および1223cm
-1の吸収を, グアヤシル核の振動に帰属せしめたこと, などの結論を得た。
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