高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
19 巻, 202 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 加藤 尚助, 斎藤 秀雄, 藪本 滋, 藤重 良二
    1962 年 19 巻 202 号 p. 95-100
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    セルロース・トリアセテート, セルロース (2.4) アセテートおよびセルロース (2.4) アセテートに可塑剤としてトリブチルフォスフェートを添加した試料について相互誘導ブリッジ, およびQメーターを用いて広い温度, 周波数範囲にわたって誘電損失を測定した。セルロース・トリアセテートでは測定温度周波数範囲に一つの誘電吸収を認め, その活性化エネルギーは14.8kcal/molと推定された.しかしセルロース (2.4) アセテートでは得られた吸収曲線は一つのDebye曲線では説明されなかった.この吸収を二つの吸収が重なったものと考えその二つの吸収を分離することを試み, それぞれの活性化エネルギーを推定して高温側の吸収について15.6kcal/mol, 低温側の吸収について13.4kcal/molを得た.活性化エネルギーの値が小さいことより, 上記の吸収はすべて側鎖の運動に基くものであり, セルロース (2.4) アセテートでは酢化されていない側鎖も混在するゆえに, それぞれの吸収が重なって現われたものと推察した。可塑化された試料について測定された吸収はセルロース (2.4) アセテートと類似であったが可塑剤量の増加とともに吸収の位置は低温側に移行し, かつ吸収曲線の形状が単一の吸収に近づく.可塑剤量の増加に伴う吸収の位置ならびに吸収曲線の形状の推移と, 31%の可塑剤を含む試料の活性化エネルギーが14.0kcal/molであることより可塑化された試料の吸収も側鎖の双極子の運動によるものと考えられる.
  • 有元 平次
    1962 年 19 巻 202 号 p. 101-108
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    各種溶媒のヨウ素溶液すなわちヨウ化カリ水溶液, アセトン, ベンゼン, および四塩化炭素のヨウ素溶液について, ナイロン6に対するヨウ素の収着曲線を求めた。ヨウ素の極性溶媒であるヨウ化カリ水溶液やアセトン溶液では, ある濃度以上で吸着量が急増し, 一定の飽和収着量に達する。ベンゼンや四塩化炭素の場合は同一ヨウ素濃度においても収着量はきわめて低い。しかしヨウ化カリ水溶液では重量増加は飽和収着量より大となるが, これは過剰のヨウ化カリの収着によるものである.各種ヨウ素溶液ならびに種々の処理をしたナィロン6フィルムの可視および紫外吸収を測定した結果, ヨウ素を収着したフィルムの最大吸収波長は, 極性溶媒によるヨウ素溶液のそれと一致し, ポリヨウ素に見られる可視部の吸収はない。したがってナイロン6とヨウ素の結合はアミロースやポリビニルアルコールと異なり, むしろアセトンやエーテルとヨウ素の結合に近い性質のものと考えられる、またヨウ素収着フィルムの光学的2色性からヨウ素がポリマー分子と平行に収着され, その平行度は結晶領域中でより大きい。結晶度の異なるナイロン6のヨウ素処理をしたものの密度の変化からヨウ素の収着によりナイロン6の結晶は破壊され, 新しい結晶形に変わることがわかった.さらに圧延試料について圧延面に平行の方向と垂直の方向のヨウ素収着による膨潤度の差からヨウ棄は水素結合面から浸入するものと考えられる。
  • 第2報酸化による動的性質の変化と温度依存性
    荻野 一善, 中川 鶴太郎
    1962 年 19 巻 202 号 p. 109-112
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報に引続き100サイクル付近におけるフォームラバーの動力学的性質の温度依存性と, くり返しひずみを与えながら長時間高温にさらした場合の酸化による動力学的性質の変化を調べた.粘性率ηの温度依存性からAndfadeの表示によって見かけ上の活性化エネルギーを推定すると, 2~4kcal/mol程度の値を得るが, これはゴムの実質のそれと比較すると著しく小さい。また酸化によって一度その粘性率は大きくなり, 剛性率は小さくなるが, さらに酸化が進むと両者とも値が増加する。これらの結果はフォームラバーのもつコロイド的な高次構造に帰して説明することができる。
  • 第58報ポリアクリロニトリルの濃厚溶液粘度
    柚口 貞夫
    1962 年 19 巻 202 号 p. 113-119
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル (PAN) のN, N-ジメチルホルムアミド (DMF) 濃厚溶液の粘度を落球法により測定し,(1) 落球秒教と溶液の絶対温度の逆教との間には直線関係がなりたつ。(2) 粘度と教平均重合度 (Pn), 溶液濃度 (C) との間には次のような関係がある。
    kは温度などの関教である。
    (3) 流動の活性化エネルギーは溶液の濃度と直線関係があり, 溶媒の流動の活性化エネルギーに外挿される。
    (4) 流動の活性化エネルギーは同一濃度では平均重合度が高くなる程大となり, 平均重合度の1/2乗と比例関係がある。(5) 溶液の濃度が大きくなると, 流動の活性化エネルギーが直線関係からはずれて異常に大きくなる。これはセグメント間, または溶媒-セグメント間にすべりが起らなくなる点と考えられる。この臨界濃度Xと平均重合度Pnとの間には次の関係がある。
    (6)20%以上の溶液濃度の紡糸液をつくるためには平均重合度が1800以下の重合体を用いることが必要である.
  • 第1報酸無水物とルイス酸によるポリビニルベンジルエーテルのアセチル化反応
    藤井 洌
    1962 年 19 巻 202 号 p. 120-124
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルベンジルエーテルの溶液を酸無水物とルイス酸により処理して終始均一系でエステル化することを試みた。まず無水酢酸と四塩化スズによるアセチル化反応について赤外線吸収および元素分析により反応の進行度を調べた。触媒である四塩化スズの量と到達エステル化度の間には密接な関係が見出され, 一定量以上の四塩化スズを使用すればポリピニルベンジルエーテルはほぼ定量的にアセチル化しうることが認められた.原料ポリビニルベンジルエーテルは若干結晶性を有しているが, アセチル化物は全く無定形で通常のポリ酢酸ビニルと全く差が認められなかった。
  • 第2報アイソタクチックポリギ酸ビニルの合成
    藤井 洌, 望月 隆仁
    1962 年 19 巻 202 号 p. 124-130
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ビニルtert-ブチルエーテルから結晶性および非晶性の2種類のポリマーを得た。これらを無水酢酸と四塩化スズあるいは塩化亜鉛で処理してアセチル化した後にアルカリケン化してポリビニルアルコールとし, さらにギ酸ヱステル化した。生成ポリマーはボリギ酸ビニルであることが確認された。結晶性ポリマーを原料とするものは鋭い結晶性のX線反射を示し, 延伸試料は6.55Åの繊維周期を与えた。一方, 非晶性のポリマーから得たものは通常の高温ラジカル重合により得られるポリギ酸ビニルと同様に非晶性のハローを与えた.
    以前にわれわれは低温ラジカル重合により得たポリギ酸ビニルは, くり返し周期5.0Åの繊維図形を与えることを見出したが, 本実験の結果から以前に得た結晶性ポリギ酸ビニルはシンジオタクチック構造をもつことが確認された。このようにしてビニルエステルでは, 初めてアイソタクチックおよびシンジオタクチック構造の二つの結晶性ポリマーが得られ, X線的に明らかにされた。
    アイソタクチックポリギ酸ビニルの延伸試料を不均一系でアルカリケン化して得たポリビニルアルコールは在来のポリビニルァルコールと同様な繊維図形を与え, くり返し周期は2.5Åであった。
  • 第1報当量組成のポリエステル樹脂の不溶化について
    田中 久雄
    1962 年 19 巻 202 号 p. 131-134
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    グリセリン2モルと3・6エンドメチレンー1・2・3・6テトラヒドローシスー無水フタル酸3モルとから成る三次元ポリエステル樹脂の熱硬化反応を, アセトンおよびエタノールに対する溶解度の変化から考察した。とくにゲル化点以後の固融状態で行なわれる不溶化反応を動力学的に検討し, その機構を明らかにした。また, 溶剤に可溶な部分の反応率と不溶化率との間には, 簡単な関係式が成立することがわかった。
  • 山寺 礼三
    1962 年 19 巻 202 号 p. 135-136
    発行日: 1962/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    配列の良いポリアクリロニトリルフィルムの赤外二色性を測定し, 先にKrimmらが報告したスペクトルと比較して, 吸収帯の分れ方や二色性について二, 三の異なる点を見出した。また, 吸着水にも赤外二色性が認められる。
feedback
Top