高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
20 巻, 216 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 第1報フィッシュテールダイ
    伊藤 公正
    1963 年 20 巻 216 号 p. 193-200
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    熱可塑性樹脂のシートあるいはフィルムの押出にはフラットダイが広く用いられており, フラットダイにはTダイ (マニホールドダイ), フィッシュテールダイとコートハンガダイの3種類がある。本文はフィッシュテールダイ内の溶融物の流動を解明し, 溶融物は指数法則に従うものとしてダイ内の圧力の式を導いた, さらにダイリップに沿っての均一度Uは次式で与えられる。〓
    上式にて, n=指数法則の定数, a=h/H, b=r0/t, c=R/t, θ=フィッシュテールの広がり角度の半分 (Fig.1参照)。さらにU=1.0とする場合のダイの各部の寸法a, b, c, n間の関係につき検討した。
  • 第2報コートハンガダイ
    伊藤 公正
    1963 年 20 巻 216 号 p. 201-205
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    本文はコートハンガダイ内の溶融物が指数法則に従うものとして流動を解明し, ダイ内の圧力分布は次の連立微分方程式を解くことにより求められることを示した.

    上式にて (Fig.1参照), 〓H=B部分の厚さ, h=リップの開き, t=B部分の長さ, T=ダイリップの長さ, R=みぞの半径。さらに均一度 U=1.0の場合のダイ各寸法間の関係につき検討した。
  • 第4報ポリアミノ酸のアミドV吸収帯
    増田 幸夫
    1963 年 20 巻 216 号 p. 206-209
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリグルタミン酸メチル, エチル, ベンジルエステル, ポリグルタミン酸ナトリウム, ポリアラニン, ポリ-β-アラニン, ポリゼリンのような合成ポリアミノ酸の固体薄膜の赤外線吸収スペクトルを調べると, いずれも700-600cm-1に強い吸収帯があり, これらは主としてNH面外変角振動によるアミドV吸収帯に帰属される. しかもこのアミド吸収帯は, ポリアミノ酸の3種の分子構造, α-Helix, β型, Random coilによって, 620-610cm-1, 700-690cm-1, -650cm-1と著しく変化し, これら空間構造の研究にきわめて有用であることがわかった。
  • 第5報ポリグルタミン酸メチルのα-Helix含量
    増田 幸夫
    1963 年 20 巻 216 号 p. 210-214
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    グルタミン酸-r-メチルエステルのL型とD型との共重合体11種について, 固体薄膜の赤外線吸収スペクトルと, 溶液の旋光分散を測定した。赤外線吸収のα-HelixアミドV吸収帯の吸収強度より右巻きおよび左巻きHelixの含量の和が求められ, 旋光分散の結果よりMoffitt plotのb0値を用いて右巻きおよび左巻きHelixの含量の差が求められる。両者を総合しておのおののHelixの含量を算出することができる。この結果によってポリーDL-グルタミン酸メチルの分子構造について考察を試みた。
  • 第1報解析方法
    柴山 恭一
    1963 年 20 巻 216 号 p. 215-218
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    各種の構造上の特殊性を考慮して改良複雑化したLadderモデルの挙動を知ることを目的として相似形計算機の一種である交流計算盤の使用を試みた。時間尺度の変換を要素の定数値の変化によって行ない, 広い時間範囲での応答が得られた。力学系における動的性質と静的性質に対応して, 定常状態と過渡状態の解析を基本的なBlizardのモデル (R. B. Blizard: J. Appl. Pkys., 23, 730 (1951)) について行なった。
  • 第2報モデルの改良
    柴山 恭一
    1963 年 20 巻 216 号 p. 218-221
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Ladderモデルにガラス状態近くでの性質を表現させるように改変を加えた。Blizardのモデル (R. B. Blizard: J. Appl. Phys., 23, 730 (1951)) においてダッシュポットがつながる剛体壁をガラス状態程度の弾性を示す壁に置きかえることにより, モデルと実在の分子鎖との直接の関連を失わずに目的を達することができると考えられる。
  • 第3報抵抗要素の分布と鎖端の効果
    柴山 恭一
    1963 年 20 巻 216 号 p. 221-224
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第1報と第2報で述べた方法とモデルを用いて, モデル中の抵抗要素の値の分布の影響と鎖端が特別の効果を示すかどうかを調べた, 抵抗値の分布がスペクトルの形に顕著な影響をもつことと鎖端の要素の値が特に大きな効果をもち, 鎖端に大きな束縛を受けると考えると実在の高分子の性質により近づくことを認めた。
  • 第1報ギ酸溶液からつくったフイルムのX線的研究
    太田 利彦, 吉崎 修, 長井 栄一
    1963 年 20 巻 216 号 p. 225-230
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ナイロン6のギ酸溶液からつくったフィルムのX線図に, 面間隔4.65Åの新しい反射が観溜されたのでそれが与える結晶構造を検討し, 単斜晶系の単位格子 (a=9.35Å, b=16.60Å, c=4.81Å, β=120°) を決定した。その空間群はC52h-P21/αに帰属され, 同一方向に並んだ分子鎖により水素結合面をつくっている構造が推定される。これらの結果は, ヨウ素処理後脱着して得られるγ型の結晶構造によく一致する。また, その成長様式は (101) 面がフィルム面に平行な選択的面配向をとることがわかった。
  • 木下 雅悦, 井本 稔
    1963 年 20 巻 216 号 p. 231-236
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    パラ位に置換基をもつスチレン誘導体のラジカル重合において置換基と素反応速度定数との関係を知るために, スチレン, メチルスチレンおよびメトキシスチレンのラジカル重合を解析した. 30℃ における生長反症の速度定数kpは各106, 84, 71, また停止反応の速度定数2ktは各10.8×107, 6.6×107, 3.3×107l/mol・secであった。
  • 木下 雅悦
    1963 年 20 巻 216 号 p. 237-240
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    パラ位の置換基がスチレンのラジカル重合の素反応に及ぼす影響を知るためにクロルスチレンおよびシアノスチレンの重合を解析した。30℃ においてkpは各150, 219, 2ktは7.7×107, 3.5×107l/mol・secであった。
  • 第3報ポリ塩化ビニルとモルホリンとの反応
    中村 儀郎, 斎藤 実
    1963 年 20 巻 216 号 p. 241-245
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    モルホリンはポリ塩化ビニルの良溶媒であるが, この溶液を約100℃以上に加熱するとポリ塩化ピニルの側鎖塩素とモルホリンの>NHの活性水素とが脱塩酸してモルホリン環が側鎖に導入された。この際副反応として共役ポリエン構造の生成による着色と重合度低下が起こった。ポリ塩化ビニルの重合度, 溶液濃度, ふんい気, 希釈剤の種類を変えた場合について反応過程を遊離塩素イオン量と反応生成物の窒素含量から検討したがシクロヘキサノン, テトラヒドロフランのような希釈剤を使用した場合に反応が阻害された以外は上記因子の影響はあまり認められなかった。
  • 第4報アゾビスイソブチロニトリルによるポリ塩化ビニルモルホリン反応物の脱色
    中村 儀郎, 斉藤 実
    1963 年 20 巻 216 号 p. 245-250
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルのモルホリン溶液を加熱してモルホリン環を側鎖に有する改質ポリ塩化ビニルを作るときに, 副反応的に生成する共役ポリエン構造はこのモルホリン溶液にアゾビスイソブチロニトリルを添加して短時間加熱することによって, この分解ラジカルと等重合度付加反応を行ない, 共役系が破壊され結果的に脱色が起こることを明らかにしその使用条件を検討した。このような脱色ないし着色防止効果は固相状態のモルホリン処理改質ポリ塩化ビニルに対してもいくぶん認められるが, 均一溶液相のときほど顕著でなくむしろ特徴ある現象として不溶化が認められた。
  • 第2報加熱ぜい化に影響する因子について
    小沢 三四郎, 高橋 良吉
    1963 年 20 巻 216 号 p. 251-256
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    チグラー法ポリエチレンの非安定化成形品を空気中100℃に加熱した場合。機械的性質がぜい化する。このぜい化に影響する因子について検討した結果, 分子量の低下がぜい化に大きい影響をもつこと, およびこのぜい化を促進するものについて二三の知見を得た。またその基本が酸化反応であるこの種の劣化において, 通常の抗酸化剤の応用はその安定化に非常に効果的である。つぎに抗酸化剤を配合した試料に対して加熱と応力が同時に作用した場合, 分子量は全く変わらないで, 結晶崩解によってぜい化現象を起こす事実を認めた。この種のぜい化こたいし防止効果のある二三の安定剤についても提案した。
  • 木村 規
    1963 年 20 巻 216 号 p. 257-261
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    硬質および軟質塩化ビニルシート中のポリ塩化ビニル (PVC) が光の作用によって, どのような過程を経て分解するかを調べる目的で, 二三の耐熱耐光性安定剤を混じたPVCシートを作り, 屋外暴露とウェザーメーターによる促進劣化との比較試験を行なった。そして光の被照射試料から得られるPVCのゲル生成量, 平均重合度, 分子量分布曲線の変化を追究して, PVC分子に若干の崩壊と橋かけが起こっていることを確かめた。屋外暴露試験においては可塑剤の存在がPVCの耐光性に好結果を与えたが, ウェザーメーターの試験においては, 可塑剤の有無は確認できるほどの影響を与えないことが知られた。なお可塑剤を含有しないシートの促進劣化試験においてはステアリン酸鉛の結果が良好で, 加工時および光照射中の装置内の温度上昇による熱分解を無視することはできないものと思われる.
  • 住江 太郎, 山崎 升, 神原 周
    1963 年 20 巻 216 号 p. 262-267
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    TiCl4-Al (C2H5) 3系チグラー触媒を用いてプロピレンとイソプレンの共重合を行ない, 触媒調製条件によりコポリマー組成が著しく異なることを見出した。すなわち両モノマー共存下に調製した触媒よりも, プロピレンのみの存在下で調製した触媒を用いて共重合した方がプロピレン含有率の高いコポリマーが得られる。このような触媒の調製に必要なプロピレン量はそれほど多くなく, 使用する四塩化チタンの数倍モル程度である。触媒調製時はある程度長い方がよく, 触媒成分比 (AI/Tiモル比) はプロピレンの単独重合に活性大であるような値で触媒調製をする必要がある。また, このような触媒を用いて共重合を行なうと, 重合時間の増加とともにコポリマー中のプロピレン含有率は高くなる。以上のことから触媒調製時に存在するオレフィンの種類によって触媒の共重合活性が異なること, 触媒生成は瞬時に終るものでなくある程度の時間がかかることおよび触媒活性に経時変化があることなどが結論される。
  • 第1報PVA水溶液に対するγ線の作用-酸素存在での照射効果
    松本 昭
    1963 年 20 巻 216 号 p. 268-274
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    水溶液をγ線で照射した場合, 酸素が十分に存在すれば, randomな主鎖の分裂が起きる。線量率が大であると, 細長い照射容器の底部などでは粘度の上昇やゲル化が観察されることもあるが, これは酸素の補給が不足するためである。分裂反応のG値はこの実験の範囲では0.2-0.6で線量率が大なるほど, また濃度が大なるほど大きい。過酸化水素を10-2mol/lの濃度になるように加えると, 分裂のG値は約4倍になった。分裂反応は1, 2ジオールの部分で起こりやすいが, それだけではない。照射によりカルボニル基が増加する。その生成のG値は約2であるが, 照射後加熱すると約1に減少する。分裂のG値と比較して切断箇所以外に, 主鎖中のケトン型カルボニルが多く生成している。
  • 第2報PVA水溶液に対するγ線の作用酸素を除去した場合の照射効果
    松本 昭
    1963 年 20 巻 216 号 p. 275-281
    発行日: 1963/04/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    水溶液を, 酸素を十分除去してγ線照射すると, 橋かけ反応が起こり0.17g/100ml以上の濃度ではゲル化する。このゲル化の限界濃度は従来報告された値よりかなり小さい。ゲル化に要する線量は低濃度ほど小さい。従来報告された0.4~0.5g/100mlに極小値があり, それ以下の濃度で急に増大するという現象は認められなかった。これらの違いは, 酸素除去がより厳重であったためと思われる。ゲル化限界濃度から推算されるPVA分子 (重合度約1500) の作用半径は2×102Å程度であり, 粘度法, 拡散法で得られた値より大きい。エタノール, ジオキサン, フェノール, エチルアミンなどを容積で約0.1%添加するとゲル化は掬制され, 主鎖の分裂が見られた。エチルアミンを加えて照射したポリマーにはアミン分子が結合している。低濃度で照射すると初期に粘度が上昇して後低下し, 一見分裂反応のごとくみえるが, この溶液はKCl, Al (NO3) 3などの塩により容易に塩折されるので, 橋かけの発達したミクロゲルが疎水性のコロイド状態になっていると結論される。また硫酸でも沈殿するがNa2O3, Na2HPO4などアルカリ性の塩およびアルカリでは沈殿しない。照射後の溶液をアルカリ性にすると黄色に呈色する。その吸収曲線には240, 290mμに吸収が見られる。光散乱の測定においても球状のミクロゲルの生成が結論された。
feedback
Top