高分子化學
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20 巻, 221 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 川口 達郎, 温品 恭彦
    1963 年 20 巻 221 号 p. 529-533
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート, ポリエチレンテレフタレート/p-オキシベンゾエート共重合体の温度-比容曲線の測定およびX線回折写真の撮影を行ない, 共重合比と結晶性, 融点およびガラス転移点との関係について検討した。前者の共重合体ではイソフタレートのモル分率が0.4-0.7の範囲, 後者ではp-オキシベンゾエートのモル分率0.5-0.8の範囲では結晶化を認められなかった。ガラス転移温度は共重合比の全領域にわたって連続的に変化する。ガラス転移点以下の温度域での比容は著しい時間依存性を示す。
  • 山田 久男, 井上 正男, 深見 徳繁
    1963 年 20 巻 221 号 p. 534-539
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    射出成形品における球晶の形態を高密度ポリエチレンの場合について観察し, 成形機種・成形条件による影響を調べた。i) 球晶の形態は金型内における樹脂の流動状態をよく表わしている。ii) 球晶の生成は金型接触面ではほとんど認められないが, 内部に向って著しくかつ大きくなり, その形は表面から内部に向って広がる円スイ形となる。iii) 中心部の球晶の大きさは樹脂温度の影響を受け, 樹脂温度が高いほど, ゲートに近いほど大きい。iv) 金型接触面に近い部分では, ずり応力の影響を受け, その部分の球晶は小さくなる。ゲートから遠くなるとこの効果は小さくなる。v) 金型温度の影響は30-70℃ の範囲ではほとんど認められない。vi) 成型機の可塑化方式がトーピード型の場合はスクリュー型の場合に比し, 球晶の生成状態が不均一で, 球晶の形態により可塑化状態の均一性の程度が推察される。
  • 第7報セルロースアセテート・スチレングラフト繊維の組成
    早川 浄, 林 建中, 川瀬 薫, 松田 竜夫
    1963 年 20 巻 221 号 p. 540-544
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    共存照射法と空気中前射法によるセルロースアセテート繊維へのスチレンのγ 線グラフト共重合について, 操作法のグラフト繊維の組成に及ぼす相違を比較検討した。いずれの方法のときも大量の未反応の幹ポリマーを含み, その分子量は照射前と変化しない。グラフト繊維中の包含ポリスチレン量は共存照射法 (試料25℃ で作製) では多量を含むが, 前照射法 (試料65℃ で作製) ではわずかであった。液中に副生したポリスチレン, 包含ポリスチレン, グラフトポリマーの分枝のポリスチレンの分子量は, 共存照射法試料のときより前照射法試料のときの方が著しく大きく, また両試料とも分枝のポリスチレンの分子量は副生ポリスチレンより大きかった。
  • 第1報重合反応の動力学的考察
    吉田 正俊, 田内 啓介
    1963 年 20 巻 221 号 p. 545-550
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化亜鉛水溶液中でα, α′-アゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を開始剤として, 50℃ でアクリロニトリル (AN) の重合を行ない, 重合初速度 (Rp) および重合度 (P) の測定よりANの重合機構を追跡した結果, モノマー濃度が3.5mol/lあたりを境にして重合の様相が異なり, その濃度以下においては通常のラジカル触媒重合の機構で重合が進行し, Rp∝ [AN][AIBN] 1/2が成立する。また生長速度定数 (kp) と停止速度定数 (kt) との比, kt/kp2は0.45を得た。しかしその濃度以上になると, Rpがモノマー濃度とともに逆に低下する傾向が観察された。その原因としてkt/kp2がモノマー濃度とともに増大することがわかった。また, この異常性はニトリル基と塩化亜鉛との錯塩形成率と相関関係があることを見出した。
    溶剤およびモノマーへの連鎖移動定数は, それぞれC8=6.0×10-7, Cm=5.0×10-6を得た。このC8は今まで報告されているジメチルホルムアミドやエチレンカーボネートなどの有機系溶剤のそれに比して非常に小さい。
  • 第2報アクリロニトリルの重合に及ぼす溶媒としての塩化亜鉛水溶液の効果
    吉田 正俊, 田内 啓介
    1963 年 20 巻 221 号 p. 550-556
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Zn Cl2水溶液中でアクリロニトリル (AN) の重合速度のZn Cl2濃度による加速現象の原因につき研究を行なった。すなわち, 全重合反応の活性化エネルギー (Ea) および頻度係数 (A) を測定し, またANと他の二三のビニルモノマー (アクリル酸メチル (MA), メタクリル酸メチル (MMA), 酢酸ビニル (VAc)) との共重合を行ない, モノマーの相対反応性比 (MRR) を求め, さらにAlfrcy-Priceの式を用いて極性因子 (e) および共鳴因子 (Q) を算出した。その結果1) Zn Cl2濃度が増大するとEaおよびAはともに減少する。2) AN-MA, AN-MMA系の共重合においてはMRRは文献値とほとんど変わらないが, AN-VAc, MA-VAc系では明らかに差が認められた。それよりVAcのQ, e値に対する他のモノマーのQ, eの相対値を計算すると, いずれのモノマーにおいてもQはあまり変わらないが, eは増大する。以上 の結果よりZn Cl2水溶液の生長, 停止段階への寄与が推察され, ANのZn Cl2水溶液重合における重合速度および重合度の増大は停止反応速度の減少が支配的であることが考察された。
  • 岡野 正弥, 美安 明, 浜田 博晟, 小田 良平
    1963 年 20 巻 221 号 p. 557-560
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    種々の酸触媒存在下, 3-アリルおよび3-アルキルオキサゾリジンの開環重合について研究を行なった。原料オキサゾリジン類は縮合あるいは付加反応で合成した。3-フェニルオキサゾリジンおよびその誘導体 (たとえば4-メチル-3-フェニル-, 5-メチル-3-フェニル-, 2, 3-ジフェニル-オキサゾリジン) は, 触媒量のジメチルアニリン塩酸塩との加熱により容易に重合し相当するポリ (エーテル・イミン) を与えるが, それらの分子量はあまり高くない。同一条件下で3-アルキルオキサゾリジン類の重合は困難で, これはたぶん強い塩基性によるものと思われる。さらに環にクロルメチル基を持つオキサゾリジン類は, 無触媒でも加熱により重合が可能であるが, この場合生成ポリマーの構造は正常でない。
  • 第1報重合度と温度との関係に関する一考察
    沢田 秀雄
    1963 年 20 巻 221 号 p. 561-566
    発行日: 1963/09/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    均一系ラジカル重合において重合度一温度の曲線が, 極大値をとるための条件を求めた。熱重合の場合には, 開始反応の活性化エネルギーEi, 停止反応の活性化エネルギーEt, 生長反応の活性化エネルギーEpおよびモノマーへの連鎖移動の活性化エネルギーEmとの間に次の関係があるとき, 極大値が存在する.〓一定濃度の開始剤を用いるラジカル重合の場合には, Em, Ep, Etおよび開始剤の分解の活性化エネルギーE1との間に次の関係があるとき, 極大値が存在する。

    重合開始速度が重合温度に関係なく一定である場合には次の関係があるとき, 極大値が存在する。
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