高分子化學
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20 巻, 222 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 井上 正男, 山田 久男, 深見 徳繁, 高木 幹夫
    1963 年 20 巻 222 号 p. 577-582
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高密度ポリエチレンについて, スクリュー式予備可塑化装置付の3オンス射出成形機とスパイラル試験金型を用いて, 成形条件のスパイラル流れおよび成形収縮に及ぼす影響を測り次の結果が得られた。i) スパイラル流れは主として射出圧力P (kg/cm2), 樹脂温度Tr (℃) および金型温度Tm (℃) の影響を受け, 射出圧力は他に比べてはるかに大きな効果を持つ。スパイラル流入長X (cm) を成形条件を変数として表わせば次のごとくなる。X-33.27+0.0002 (Tr+95)(P+425) +0.206Tm+0.046V。ii) スパイラル成形品の流れ方向の成形収縮率はゲート側で最小で, 先端部で最大となり, その増勢は後者における方が大きい。iii) 収縮率は先端部においては樹脂温度が高いほど小さくなり, ゲート側では金型温度が低いほど小さくなる。しかし, アニーリングによる後収縮は金型温度が低いほど大きくなる。射出圧力が高いほど収縮率は成形品の全長にわたり小さくなる。射出速度は成形収縮にはほとんど影響がない。
  • 井出 茂, 浦井 達夫, 斎藤 秀夫
    1963 年 20 巻 222 号 p. 583-586
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン, ポリスチレン, ポリメタクリル酸メチル, ポリプロピレン, ポリカーボネート, ポリエチレンテレフタレートおよびポリテトラフロロエチレンの薄いフィルムに, 室温において空気中で2.8×10 6 rのγ 線を照射した。次に照射前後のそれぞれの試料に室温で直流電圧を印加し, 印加後10秒から約7.2×10 3 秒までの吸収電流の変化を測定して, 実験式 (1) における定数nの値を求めた。
    ia=At-n (1)
    これら7種類の試料についてγ 線照射を中止した直後に電圧を印加すると, 吸収電流の減衰速度は非常に遅くたった。それらは時間の経過とともに回復を始めて照射前の状態に近づいていったが, ポリスチレン以外のものは360時間経過しても完全にはもとにもどらず, nの値に明らかな差が認められた。また吸収電流の減衰速度が時間とともに回復して行く状態は, 照射後の電気伝導率の回復ときわめて類似した傾向を示した。一般に高分子絶緑材料の電気的性質の照射後における変化は, 10 7 -10 9 rの照射によって初めて顕著に現われる場台が多いとされているが, 吸収電流の減衰状態は, 約106r程度の照射によってすらも明らかに変化することが本研究によって明らかになった。
  • 第1報ガラス転移
    柴山 恭一, 児玉 峯一
    1963 年 20 巻 222 号 p. 587-590
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酸無水物硬化エポキシ樹脂のガラス転移現象を橋かけ密度への依存性について検討した。脂肪族系硬化剤を用いた場合には従来の考え方によって大体説明できるが, 芳香族系硬化剤を用いたときには比体積の変化に異常性が見られ硬化に際して特殊な構造変化が起こることが推定された。
  • 第2報粘弾性と膨潤の効果
    柴山 恭一, 児玉 峯一
    1963 年 20 巻 222 号 p. 591-595
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    橋かけ度の異なるエポキシ樹脂硬化物の粘弾性と膨潤の効果を調べた。弾性率-温度曲線の傾斜は橋がけ密度とともにゆるやかになる。膨潤の主な効果は転移温度の低下であって, 膨潤剤のもつ自由体積量によってなかば定量的に説明される。
  • 第5報モルホリン処理ポリ塩化ビニルの溶液粘度低下とその防止法
    斎藤 実
    1963 年 20 巻 222 号 p. 596-600
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルのモルホリン溶液を加熱してつくったモルホリン環を含むポリ塩化ビニルの溶液粘度は空気中または窒素ふんい気中でもラジカル試剤の存在で低下する。この傾向は酸素と親和力の大きい溶媒を用いた場合または試料の窒素含量の多いほど, 加熱温度の高いほど著しく, たとえば窒素含量2.29%の試料のシクロヘキサノン溶液の粘度低下の活性化熱は9.5kcal/mol, 分子切断数は1分子あたり5-6程度となる。この粘度低下は窒素ふんい気またはラジカル捕捉剤の添加ならびに試料の二重結合の飽和または塩基性の中和により防止できる。
  • 第6報モルホリン処理ポリ塩化ビニルの橋かけ反応
    中村 儀郎, 斎藤 実, 田村 浩作
    1963 年 20 巻 222 号 p. 600-605
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    モルホリン環を側鎖に含むポリ塩化ビニルは空気またはラジカル試剤の溶存する液体中での加熱, ならびに塩素水または硫酸浸漬などによって橋かけ反応が進み容易に不溶化する。上記諸法による橋かけ反応は分子内窒素原子に基く誘起効果に起因し, 窒素含量の多いほど不溶化しやすく, その不溶化物の膨潤度も小となる。また, 不溶化物の化学構造を赤外線吸収スペクトルで検討した。
  • 第7報モルホリン処理ポリ塩化ビニルの熱安定度
    中村 儀郎, 斎藤 実, 田村 浩作
    1963 年 20 巻 222 号 p. 605-608
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル (PVC) のモルホリン溶液を加熱してつくったモルホリン環を含むポリ塩化ビニル (M-PVC) およびその脱色物あるいは不溶化物を加熱した際の減量, 色調変化ならびに伸び開始温度, 切断温度を測定してM-PVCの熱安定度と後処理の影響を比較検討した。この結果, PVCをモルホリンで処理すると熱安定度はPVCのそれより低下するが, 塩素水に浸漬すれば漂白と同時に不溶化が起こり加熱下の色安定度と伸び開始温度, 切断温度が向上することを明らかにした。
  • 第8報空気中前照射法によるセルロースアセテート・スチレングラフト共重合における溶媒の影響
    早川 浄, 川瀬 薫, 松田 竜夫
    1963 年 20 巻 222 号 p. 609-613
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    空気中前照射法によるセルロースアセテート繊維へのスチレンのグラフト共重合における溶媒の影響を検討した。グラフトポリスチレンの重合度を低下させる作用は溶媒が芳香族炭化水素のときには側鎖の炭素数が増すほど大きくなり, 特に四塩化炭素の少量の添加により重合度は著しく低下した。また重合温度の上昇はその効果を高めた。グラフト率も同様の傾向を示した。この現象を溶媒への連鎖移動によるものと解し, 不均一系反応ではあるが均一系重合反応の動力学が適用できるものとしてグラフトポリスチレンの重合度およびグラフト率からそれぞれ溶媒への連鎖移動定数などを求めて, スチレンの溶液重合における報告値と比較しほぼ満足すべき一致を得た。
  • 松田 龍夫, 山北 尋己, 酒井 義郎
    1963 年 20 巻 222 号 p. 614-618
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸のメタノール溶液重合において, 重合速度は温度の低下とともに減少し, -78-+30℃ の間の見かけの活性化エネルギーは3.6kcal/molであった。重合速度が線量率の0.47乗に比例すること, ベンゾキノンで重合の禁止されることから重合はラジカル機構で進むことがわかった。生成ポリマーをエステル化し, このポリメタクリル酸メチルの赤外線吸収スペクトル, X線回折図から低温重合ではシンジオタクチックポリマーが生ずることを認めた。メタノール溶液重合において温度の低いほどシンジオタクチシティが増大し,(E S-E I), すなわちシンジオタクチックとアイソタクチックの生長の活性化エネルギーの差として-0.5kcal/molを得, ポリマーを沈殿させるような溶媒の系ではシンジオタクチシティが低下することを認めた。
  • 第3報エピクロルヒドリンと酢酸・n-ブタノールおよびジシクロヘキシルアミンとの反応
    垣内 弘, 田中 芳雄
    1963 年 20 巻 222 号 p. 619-628
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    エピクロルヒドリンと, 酢酸・n-ブタノールおよびジシクロヘキシルアミンとの反応速度を種々の温度で求め, この反応の活性化エネルギーとエントロピーを求めた。反応生成物の分析と動力学的に求めた反応次数, および“Modified SN2”反応として推定されるエポキサイドの加水分解反応の活性化エントロピーと, この反応の活性化エントロピーとがかなり良く近似していることなどからエピクロルヒドリンと酢酸および酸触媒によるn-ブタノールとの反応は, さきにエポキサイドの酸触媒加水分解反応に対してP. E. Parker, N. S. Issacsが提唱した“Modified SN2”反応と同様の機構で進み, ジシクロヘキシルアミンとの反応は, N. B. Chapmanらが, 他のエポキサイドとアミンとの反応で示したSN2機構によって進行するものと推定した。
  • 第4報塩酸ジメチルホルムアミド法によるエポキシ基の定量
    田中 芳雄, 垣内 弘
    1963 年 20 巻 222 号 p. 629-634
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    α-エポキシ化合物に, ハロゲン化水素を種々の溶媒中で作用させ過剰の酸を定量するエポキシ基の定量法の一つとして, 溶媒にジメチルホルムアミドを用いる分析法の正確さ, 精度に及ぼす放置時間, 温度の影響, 標準水酸化ナトリウム溶液中の水分の影響, および塩酸-ジメチルホルムアミド溶液の安定性などの影響を検討した。またアミン, フェノール, 酸, アルコールなどの活性水素を有する化合物など, 種々不純物のこの分析法に及ぼす影響について検討した結果, エポキシ基の一般的な分析法として述べられている, 他の二三の方法と比較して, この分析法が十分良い結果を与えることを見出した。
  • 第5報アルキルベンゼン・ホルムァルデヒド樹脂からのエポキシ樹脂
    田中 芳雄, 垣内 弘
    1963 年 20 巻 222 号 p. 634-640
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    キシレン樹脂を含むアルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂を, 酸性触媒下でフェノールと縮合させ, さらに水酸化ナトリウムを触媒としてエピクロルヒドリンと反応させ, 4種類のエポキシ樹脂を合成した。得られたエポキシ樹脂中のエポキシ基数と, 原料アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂中の酸素数との間には相関関係がある。得られたエポキシ樹脂はほぼ次のような構造式を有していると推定される。
  • 第1報ポリエチレン
    神戸 博太郎, 柴崎 芳夫
    1963 年 20 巻 222 号 p. 641-645
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    数種の市販ポリエチレンを簡単な装置を用いて比較的低温 (約320℃) で熱分解し, 生成物をガスクロマトグラフにより分析し, 得られたピークを系統的に同定した。分解生成物中には主として室温で液体の炭化水素が生じ, 炭素数7-9のn-パラフィンおよびn-オレフィンと思われる物質が比較的多いが特にきわだって多く生成する炭化水素はない。またエチレンモノマーの生成量はきわめて少ないから, ポリエチレン主鎖の切断が完全にランダムに起こるものと考えられる。同じ炭素数で比較すると, n-パラフィンとn-オレフィンの生成量はほぼ等しい。
  • 第1報スチレンとの共重合反応
    野間 夬之, 丹羽 政三, 岩崎 精吾
    1963 年 20 巻 222 号 p. 646-648
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スチレン無水マレイン酸共重合 (アセトン溶液, 50℃) のモノマー反応比はrs=4.0×10-2およびrm=1.5×10-2である。共重合速度はスチレンのモル分率の減少するほど顕著に増大する。
  • 第2報スチレン-無水マレイン酸コポリマーのエステル化およびケン化
    野間 夬之, 丹羽 政三, 岩崎 精吾
    1963 年 20 巻 222 号 p. 649-652
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スチレン-無水マレイン酸コポリマーは無触媒でもアルコールと容易に反応して片エステルを生じる。片エステルを両エステルにエステル化する反応速度は多量の触媒を用いても非常に小であるが, 長時間反応を行なえば完全にエステル化できる。ブチル両エステルの水酸化カリウムによるケン化反応の速度定数は100℃ で0.42l/mol/hrであり, 非常に小である。ブチル片エステルのケン化反応速度はブチル両エステルのそれに比して無視できるほど小である。n-オクチルおよびn-ドデシル両エステルも合成し, これらのコポリマーの赤外線吸収スペクトル, 溶解性および極限粘度などを測定した。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義
    1963 年 20 巻 222 号 p. 653-656
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    一般に受け入れられている共重合の理論に基き, 一定のモノマー組成において得られる共重合体の理論的組成分布を続計的に求めた。その結果, 組成分布は共重合体の重合度, 平均組成および両モノマー反応性比の積r1r2によって定まり, 組成の不均一性は一般に小さいが, r1r2の増加に伴って増大するという結論が導かれた。
  • 坂口 康義, 西野 潤, 和泉 徹, 酒井 啓吉
    1963 年 20 巻 222 号 p. 657-660
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    テトラヒドロフルフリルアクリレート・アクリルアミドおよび無水アクリル酸を種々の溶媒 (塊状・水・ジメチルホルムアミド・ベンゼン・キシレン) 中で種々の温度 (5-130℃) で, ラジカル開始剤を用いて重合させた。生成ポリマーはポリアクリル酸に加水分解し, 各種の塩基 (NaOH・(n-Butyl) 4NOH・Ba (OH) 2) により食塩の存在下および不在下で電圧滴定した。これらのポリアクリル酸試料の電圧滴定挙動は相互にほぼ同じであり, また普通のポリアクリル酸メチルから誘導されたポリアクリル酸のそれともほぼ同じであった。既報の結果も考え合わせて, ラジカル重合により得られたアクリルポリマーは一般に比較的アイソタクチックであると考えられる。
  • 坂口 康義, 西野 潤, 津川 清
    1963 年 20 巻 222 号 p. 661-664
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    クロル安息香酸ビニルをp-クロル安息香酸と酢酸ビニルとのエステル交換によって合成し, ラジカル開始剤を用いてベンゼン中で重合させた。重合度350-1930の分別ポリマーの極限粘度数をθ 溶媒 (容積比でメチルエチルケトン53とn-ブタノール47の混合液, 60℃) 中で測定した。Floryの理論に従って, θ 溶媒中における高分子コイルの広がりの尺度である (r02/r0f2) 1/2の値を実験結果に基いて算出した。この値は3.08であり, 他のビニルポリマーについて報告されている相当値より大きい。これはポリ-p-クロル安息香酸ビニルのかさ高い, 屈曲性の少ない極性の側鎖に帰することができる。
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