高分子化學
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21 巻, 236 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 坂口 康義, 岡田 昌, 西野 潤
    1964 年 21 巻 236 号 p. 721-723
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリロニトリルをラジカル開始剤を用いてジメチルホルムアミド・水または60%塩化亜鉛水溶液中で50℃付近で重合した。得られた重合物はポリアクリル酸に加水分解し, カセイソーダまたはテトラブチルアンモニウムハイドロオキサイドにより電圧および電導度滴定した。これらの重合物の滴定曲線は互いにほぼ等しく, かつラジカル重合により製造した各種のアクリルポリマーから誘導したポリアクリル酸のそれらともほぼ同じである。それゆえ, これらの重合物は似た立体構造を持つと考えられる。アクリル酸をpH7の希薄水溶液中でラジカル重合して得られたポリアクリル酸は例外であり, その滴定挙動は他の試料と著しく異なる。
  • 第1報単結晶と球晶の構造
    平井 西夫, 山下 祐彦, 横山 文義
    1964 年 21 巻 236 号 p. 724-728
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキシドの単結晶はほぼ正方形で約100 Aの厚さをもっており, (120) 面が成長面である。また分子鎖 (らせん状) は単結晶層板面に垂直に入っている。結晶化条件を変えると単結晶は樹枝晶へ発達し, さらに球晶となる。球晶の半径方向は高温領域では (120) 面に垂直方向であるが, 51℃より低温で結晶化させた場合は (010) 面に垂直方向となる。それに応じてこの温度で球晶成長速度が急変する。
  • 上田 伸夫, 温品 恭彦, 横内 澪
    1964 年 21 巻 236 号 p. 729-736
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アジピン酸, セバシン酸, イソフタル酸から成る単位鎖を10mol%以下含むポリエチレンテレフタレートハアジペート (PET/PEA), ポリエチレンテレフタレートハセバケート (PET/PES), ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート (PET/PEI) を合成し, 主として結晶性・配向性に着目してその繊維構造の変化を調べた。一次・二次転移温度の変化から重合体の評価を行ない, 繊維状とした後, 密度, 複屈折, 染着度の測定, X線解析による結晶配向度, 大周期などの算出を行なった。実験と考察の結果, 次の知見を得た。
    1) 一次・二次転移温度の変化はそれぞれFlory, Gordon-Taylorの理論式に適応することが可能であり, その結果ランダムコポリマーの生成を裏書きする。2) 結晶性共重合ポリエステル繊維において第3成分単位鎖は結晶領域には含まれない。3) 繊維中にX線的にみた数十ないし数百A程度のvoidsはほとんど存在しない。4) PET/PEA, PET/PESではPET/PEIに比して第3成分単位鎖mol%の増大とともに結晶性の低下, 染色性の増大がより明りょうに現われる。PET/PESではPETを基準にしてこれからの偏移の増大 (大周期の短縮) が認められる。5) 延伸した繊維については, 全体としての配向度は共重合とともに一般に低下するが, 同一延伸条件では結晶配向度はほとんど変わらない。
  • 柴山 恭一, 児玉 峯一
    1964 年 21 巻 236 号 p. 737-745
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    トルイレンジイソシアネート, トリオール, ジオール, 水より各種極性基濃度と橋かけ密度の異なる硬質ポリウレタンの同族体をつくり, その粘弾性とガラス転移を調べた。ウレタン, ビュレット結合の増加により転移域は高温側に移動し, 転移はゆるやかになる。比体積-温度曲線の測定結果とWLF式中のパラメーターから求めた自由体積の温度依存性に不一致があり, これは極性基間の二次的な結合の熱解離に基くものと考えてWLF式を修正する試みを行なった。アロハネート結合の生成は橋かけ密度の測定結果から無視される程度であると考えられる。橋かけ密度依存性はこれまでの一般法則によって説明される。
  • 第7報応力-ひずみ-赤外吸収同時測定装置について
    小野木 重治, 河合 弘迪, 浅田 忠裕
    1964 年 21 巻 236 号 p. 746-749
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    変形している高分子フイルムの応力, ひずみおよび赤外吸収の変化を同時に測定することを試みた。普通の複光束赤外分光光度計を改造し, 伸長装置に取り付けた試料フィルムを一つの光束が通過するようにした。この伸長装置はロードセルをもち, 赤外吸収と同時に応力を記録することができる。伸長装置にはまた恒温箱が備えられており, 150℃までの一定温度で測定が行なえる。赤外分光光度計にはまた, ある一定波長区間の吸収スペクトルを短時間にくり返し測定できるよう改造が施されている。この装置を使用することによって次のような実験を行なうことができる。(1) 応力緩和あるいは応力-ひずみ測定と同時に, 任意の波長における赤外吸収の強度変化を測定すること。(2) 応力緩和あるいは応力-ひずみ測定と同時に, ある一定波長区間の赤外吸収スペクトルをくり返し測定すること。(3) 上の測定を非偏光赤外または偏光赤外を用いて行なうことができる。また, いずれの場合にも室温から150℃ぐらいまでの恒温実験が可能である。低密度ポリエチレンについて行なった予備実験の結果によれば, 応力緩和は明らかに進行しているにもかかわらず, 725cm-1付近の吸収スペクトルは変化しないし, 偏光赤外を用いた場合の最大吸収強度 (720cm-1, 730cm-1) の変化も認められなかった。
  • 井手 文雄, 半田 良治, 内田 豊, 中塚 和夫
    1964 年 21 巻 236 号 p. 750-754
    発行日: 1964/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸セルロースーアクリル酸エステル系グラフト共重合体の機械的性質を, ポリマーブレンドと比較して検討した。検討した内容は, 1) 抗張力伸度の関係および分散性, 2) 熱的挙動, 3) 動的粘弾性の温度特性である。伸度に関して, グラフトポリマーではアクリレートの含有量の増加に従って増大するが, ポリマーブレンドではこのことは認められなかった。フィルムを偏光顕微鏡で観察したところグラフトポリマーの方が分散の状態は良好であった。グラフトポリマーの軟化点はアクリレートの含有量に比例して低下したが, ポリマーブレンドでは全く見られなかった。動的粘弾性の測定からグラフトポリマーにもポリマーブレンドにもそれぞれ酢酸セルロース, ポリアクリレートの二つの温度分散が見られた。その位置は両者の間に差はなかったが, グラフトポリマーのE'はポリマーブレンドのそれより常に低かった。
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