高分子化學
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22 巻, 246 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 第1報ポリプロピレン-飽和炭化水素同族体混合物の融点
    浜田 文将, 中島 章夫
    1965 年 22 巻 246 号 p. 577-583
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンと飽和炭化水素同族体との相互作用を評価する目的で熱分解したアイソタクチックポリプロピレンと14種類の飽和炭化水素同族体との混合物の融点を測定し, Floryの融点降下の式を用いて相互作用パラメーターX1を求めようとしたが, その際くり返し単位あたりの融解熱△Huは一定とならず希釈剤の種類により異なり, 希釈剤の炭素数が大きくなるに従って見かけ上減少したのでX1の測定はできなかった。この理由について種々考察してみた。
  • 第2報ポリエチレン-飽和炭化水素同族体混合物の融点
    浜田 文将, 中島 章夫
    1965 年 22 巻 246 号 p. 583-589
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報でポリプロピレン熱分解物について, 飽和炭化水素同族体との混合物系の融点からくり返し単位あたりの融解熱△Huを求めたところ, 希釈剤の炭素数が大きくなるに従って△Huは見かけ上小さくなる結果を得たが, 本報では線状ポリエチレンの3種の試料 (Marlex 6050未分別物, 同熱分解物およびSholex6009分別物) について, 飽和炭化水素同族体との混合物系で同様な実験を行ない, △Huについて検討した。実験結果によれば数平均重合度の小さいポリエチレンでは△Huは前報同様希釈剤の炭素数が大きくなるにつれて見かけ上小さくなった。このような場合には重合度の効果を考慮することにより, 一定の△Huが得られることが見出された。ポリエチレンに対して得られた△Huは980cal/molであった。
  • 第1報高圧法ポリエチレンの側鎖の結晶領域への混入について
    平井 西夫, 日笠 純一, 岡 倍弘, 小林 誠
    1965 年 22 巻 246 号 p. 590-596
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分枝ポリエチレンの分枝が結晶格子の中に入りうるかどうかの問題を, 分枝度の異なる一連の高圧法ポリエチレンの溶液から結晶化した単結晶と, 溶融結晶化したもの, および単結晶を高温で熱処理した試料について, X線広角回折による格子の変化, 小角回折による長周期, 密度測定による結晶化度の変化などから比較検討した。分枝が結晶領域に入るかどうかは, 結晶化の条件による。すなわち, 溶液から結晶化したままの試料では, 側鎖が結晶格子の中に入ることは, 非常に制限され, この試料を高温で熱処理したもの, および溶融結晶化物では, その制限がおおはばにゆるめられる。そのために溶液結晶化試料では, 結晶化温度がある程度高くなると, 長周期に頭打ちが起こる。これらの現象を, 分枝成分の混晶の概念から説明しようと試みた。
  • 上出 健二, 稲本 義彦, 大野 邦夫
    1965 年 22 巻 246 号 p. 597-609
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンの115~145℃ における等温結晶化現象に及ぼす分子量と分子量分布の影響を, ディラトメトリーにより検討した。粘度平均分子量Mv=1.8×103-5.0×104の範囲にある6種の解重合低分子量試料 [I], Mv=1.1×105-7.4×105の範囲にある4種の分別試料 [II], 分布の幅と型 (対称型, 非対称型) を変えた4種のブレンド試料 (ただし, Mw=1.8×105で同じ)[III], 3種の未分別物 (Mw/Mn=2.7, 8.4, 38.0)[IV] を試料に用いた。[I] のタクチシティと結晶形とが [II] のそれと変わらないことは赤外吸収スペクトル, X線回折から確認した。log (-logθ) 対log tプロット (θ: 未結晶分率, t: 結晶化温度Tに到達してからの時間) からパラメーターn=3~3.5 (T>135℃) を得た。これより結晶化はpredetermined nucleationで, 球晶生長により進むと結論された。(平衡結晶化度×1/2) になるに要する時間t1/2の逆数を結晶化速度のパラメーターとすると, 結晶化速度は分子量とともに大きくなる。これはポリプロピレンではsupercoolingの影響が大きいためと考えられる。平衡結晶化度は分子量と逆の相関関係にある。分布がある場合, 結晶化速度は分布の型, 特に分布の非対称性できまる。log (t1/2)-1Tm2/T (Tm-T)2プロット (Tm: 融点) は直線性を示す。このプロットより得られた界面自由エネルギーは5~6erg/cm2で, ポリエチレン並みであった。立体規則性の低い試料の添加は結晶化速度に影響しない。
  • 松田 種光, 栗原 福次
    1965 年 22 巻 246 号 p. 610-614
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分岐度および二重結合量の異なる高圧法, 中圧法, 低圧法ポリエチレンフィルムに254, 316, 336, 354, 380mμ にそれぞれ主波長をもつ光源を使用して紫外照射を行ない, 紫外線酸化における波長依存性について赤外線吸収スペクトル, 密度および結晶化度, Melt flow rate, 不溶解分の測定を行なって検討した。その結果, 低エネルギー紫外線により結合エネルギーの小さい二重結合に対するβ位のC-H結合が攻撃され, 高エネルギー紫外線により分岐部のtertiary C-H結合も攻撃されることを確認した。また, 高エネルギー紫外線により高圧法ポリエチレンは橋かけ反応が, 中圧法, 低圧法ポリエチレンは切断反応が優先することを認めた。
  • 第1報クライゼン転位
    森永 緑, 村山 新一, 中塚 隆三
    1965 年 22 巻 246 号 p. 615-618
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    多核体フェノール (ノボラック) のアリルエーテルのクライゼン転位速度を赤外線吸収スペクトルによって測定することを検討し, 次いで次のような結果を得た。1核体 (フェノール) のアリルエーテルの場合と同様, 一次反応であり, 活性化エネルギーは約25kcal/molである。反応速度はノボラックのアリルエーテル化物の方がアリルフェニルエーテルのそれよりやや速く, 活性化エネルギーに差がないので, 主として頻度因子の差に基くものと考えられる。なお, クライゼン転位の条件では核に入ったアリル基が異性化してプロペニル基に変化する反応はほとんど認められなかった。
  • 第2報硬化反応および硬化物の性質
    森永 緑, 村山 新一, 中塚 隆三
    1965 年 22 巻 246 号 p. 618-625
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アリルエーテル化ノボラックの硬化反応および硬化物の性質を比較検討することにより次のような知見を得た。1) アリルエーテル化ノボラックは通常のビニルモノマーで橋かけすることにより, 不溶不融の硬化物を与え, 硬化物の性質は用いたモノマーや開始剤の種類に関係がある。2) 多くのモノマーに対してカチオン系開始剤による硬化はすみやかに完全に進むのに対し, ラジカル系開始剤では不完全に進むか, または全然進行しないものが多い。3) 開始剤を添加した直後の樹脂および硬化生成物にESRの吸収が認められた。これはその中にかなりの量の不対電子が安定に存在していることを示している。このことより硬化反応にはカチオンおよびラジカルのいずれもが寄与していると推定される。4) 硬化物の誘電的性質の温度特性および周波数特性は橋かけ剤として用いたモノマーの側鎖の極性と立体因子に関係がある。
  • 第7報N-アセトキシエチルマレイミドの重合および共重合
    山田 正盛, 高瀬 巌
    1965 年 22 巻 246 号 p. 626-632
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    アゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を開始剤としてベンゼン中におけるN-アセトキシエチルマレイミド (AEMI) の不均一重合を行なった。重合の初速度Rpが次式で表わされることがわかった。〓 (1) ここで [M] はモノマー濃度である。また, 得られた全重合反応の活性化熱 (31.3kcal/mol) および頻度係数 (3.1×1017) は異常に大きい。AEMI (M1) とVAc (M2) との共重合よりγ1=0.85, γ2=0.25を得, これよりQ1=0.08, e1=0.94を得た。重合条件の異なる二つの未分別単独重合物の分子量を光散乱測定法から求めた結果, それぞれ1.25×106, 2, 86×106であった。これらの結果について考察した。
  • 大鹿 隆男, 村井 捷二, 古賀 雄造
    1965 年 22 巻 246 号 p. 633-638
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ノルボルネンはカチオン重合触媒でビニレン型重合を起こし, アニオン型重合触媒では開環型重合を起こすことが知られている。著者らはMoCl5触媒を使用してノルボルネンの重合を行ない, 生成ポリマーの構造を赤外吸収スペクトルで検討した結果, 次のことが明らかになった。すなわち, MoCl5のようなルイス酸触媒を使用しても, ほとんどトランス二重結合からなる開環型高分子量ポリマーが得られることを見出した。しかし, ポリマーの収率に対する再現性が悪く, 重合速度ならびに機構に関する詳細を検討することができなかった。
  • 浜田 伯夫, 岩井 正, 林 晃一郎, 岡村 誠三
    1965 年 22 巻 246 号 p. 639-645
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    イソシアン酸を重合させれば-(-NHCO-)-単位の連続した1-ナイロンができることになる。われわれは放射線を用いて低温におけるイソシアン酸の重合を検討した。得られた重合物は分子量が低く, しかも適当な溶剤が見あたらず, 300℃で分解するものであった。-78℃以下の液相および固相では重合速度は小さいが, -40℃の液相ではかなり大きくなる。種々のモノマーとの共重合反応による-(-NHCO-)-単位の主鎖への導入を試みた。低温でモノマーを液状に保ち, 放射線共重合を行ない, ホルムアルデヒド, アクリロニトリル, メタクリル酸との共重合では比較的分子量の大きい共重合物を得ることができたが, ブタジエン, エチレン, スチレンなどとの共重合実験では低分子量の油状物質とイソシアン酸の単独重合物を得るのみであった。
  • 第9報ジ, トリチオール化合物によるポリ塩化ビニルの橋かけ
    中村 儀郎, 斎藤 実
    1965 年 22 巻 246 号 p. 646-651
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルとチオコール, エタンジチオールまたはトリチオシアヌル酸を混練加熱しても, これらチオール化合物はポリ塩化ビニルの橋かけに関与しない。しかし, この際, モルホリンを添加するか, または側鎖にモルホリン環を有するポリ塩化ビニルを使用すれば, 上記チオール化合物は橋かけ剤として作用し耐溶媒性と耐熱性のすぐれた橋かけポリ塩化ビニルを得ることができる。本橋かけ反応はポリ塩化ビニルの側鎖に結合したモルホリン環の窒素原子の誘導効果で活性化された隣接塩素原子と, 上記チオール化合物との脱塩酸縮合反応をおもな内容としている。
  • 第4報フェニルシクロプロパンのカチオン重合
    村橋 俊介, 野桜 俊一, 古武 弥英
    1965 年 22 巻 246 号 p. 652-659
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    フェニルシクロプロパンをカチオン重合して得られるポリマーの構造は予期した開環重合体とは異なり, ベンゼン核を主鎖中に含むことが判明した。その構造, 重合機構について検討を行なった。フェニルシクロプロパンは0℃ 以上, CH2Cl2中, AlCl3, BF3などによってすみやかに重合し, 低分子量ポリマーを与える。重合反応は逐次的に進行し, ポリマー間の反応でも生長が起こるのが認められた。ポリマーのIR, NMR, UVスペクトル, C-メチル基の化学分析, ポリマーの酸化などからポリマーの構造は主として下記のようなものであることが判明した。重合機構としてはシクロプロピル基の開環で生じるエチルベンジルカチオンのベンゼン核へのFriedel-Crafts反応のくり返しが考えられる。
  • 第8報変性メラミン樹脂の硬化および樹脂の硬化度と積層板の物理的, 電気的性質の関係
    中島 三喜男
    1965 年 22 巻 246 号 p. 660-668
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    パラトルエンスルホンアミド, ベンゾグアナミンおよびエチレンジアミン変性メラミン樹脂のC-Stageの硬化を, 積層板を試料として検討した。硬化度は “ホルムアルデヒド溶出試験法” で測定した。硬化度 (F) と硬化温度 (T) および硬化時間 (t) の間には, メラミン樹脂の場合と同様に, 次の関係が成立した。

    硬化の見かけの活性化エネルギーは, 前記の樹脂の順にそれぞれ18.5, 18.1, 22.8kcal/molであった。また, それぞれの変性樹脂の積層板の諸特性と硬化度の関係は, 第5報のメラミン樹脂積層板の場合と同様な傾向があった。
  • 第9報メラミン樹脂および変性メラミン樹脂積層板中への水の拡散ならびに拡散定数に及ぼす樹脂の硬化度の影響
    中島 三喜男
    1965 年 22 巻 246 号 p. 668-672
    発行日: 1965/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    メラミン樹脂積層板およびベンゾグアナミン変性メラミン樹脂積層板の中への水の拡散を, 樹脂の硬化度との関連において検討した。いずれの樹脂の場合も, 樹脂の硬化度が適正硬化度付近からさらに硬化が進むとともに, 積層板中への水の拡散定数は増加する傾向が認められ, また拡散の見かけの活性化エネルギ-の値は, 約8kcal/molであった。
  • 1965 年 22 巻 246 号 p. 672
    発行日: 1965年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
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