高分子化學
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23 巻, 249 号
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  • 第3報パラメーターM0の検討
    上出 健二, 稲本 義彦, Gordon Livingstone
    1966 年 23 巻 249 号 p. 1-6
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    上出, 河合らの固有粘度-分子量関係解析法 (高化, 20, 512 (1963); 21, 682 (1964) など) において現われるパラメーターM0の内容を検討した。粘度式決定に用いた試料に分子量分布がない場合, M1/M2<40では, M0≒√M1M2, (ここで, M1, M2は粘度式が成立する上限, 下限の分子量) が成立する。M1/M2が増すとM0<√M1M2となる。試料が分子量分布をもつ場合, M0>√M1M2となる。特に数平均分子量を用いて粘度式を決定する場合, M0と√M1M2とのズレが大きくなる。
  • 黒岩 城雄, 金 昌中, 中村 亦夫
    1966 年 23 巻 249 号 p. 7-16
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    CMC溶液について測定したところによると, recoverable strainも粘度の場合と同様, ズリ速度を小-大-小と変化させるとヒステリシス・カーブを描く。揺変破壊前後のrecoverable strainを, 応力を同じ条件にして比較すると, 1.5~2.5%の範囲では破壊後, 減少を示すが, 3.5~4%の範囲では逆に増加する。濃度に関して2%付近でrecoverable strainは最も大きくなる。このような結果は, recovevablestrainを最大ならしめるような二次構造の最適値が存在することを推定させるものであろう。ωとγを等置して, 動的剛性G'とrecoverable strainから計算した定常流下の剛性Gを比較すると, 2.5~3.5%の濃度範囲で, 両者がよく一致, または, 類似のω (またはγ) 依存性を示す部分がある。また, G'およびGの濃度依存性はωまたはγとともにきわめて似た変化をする。これらの現象は, 微少変形の振動的外力によっても, 定常流の場合と同様なズリ破壊が起こるものと考えざるをえない。したがって, ズリ破壊は変形の大小ではなく, ズリ変形の頻度に依存するのであろうという推定がなりたつ。CMC溶液の場合, 流動弾性Gの非フック性は構造破壊が主要な原因となっているもののようであり, また, Gの濃度依存性がきわめて大きいことは, 他の高分子物質と溶存状態が非常に異なっていることを推定させる。揺変構造のレベル, ズリ速度および濃度を変えて, 定常流停止後の応力緩和を測定した。その結果, ズリ破壊によって緩和時間の分布が短時間側に集まってくることがわかった。流動弾性が大きいための条件は, 長い緩和時間の機構が存在するだけでは不十分で, 短い緩和時間の機構の存在密度があまり大きくないことが必要であろうと考えられた。単純なMaxwell-modelを仮定して, recoverable strainおよび, 応力緩和実験から, この仮想モデルの緩和時間を計算すると, 両者は, およそ一致した。しかし, このことは, あらゆる粘弾性体にあてはまる一般的現象とは考えられず, 他の試料について検討をすすめている。
  • 祖父江 寛, 松崎 啓, 右田 哲彦, 光多 豊, 村上 謙吉
    1966 年 23 巻 249 号 p. 17-23
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    固相におけるゴムの酸化反応が, 溶液中のそれと良く対応するというTobolskyらの研究結果に基き, 化学応力緩和測定と溶液粘度の測定を組合せることにより, 粘度-分子量関係式を求める方法を提示した。また, 本方法を用い, 天然ゴムに対する関係式として次の結果を得た。
    [η]=8.9×10-5M0.835
  • スチレンージビニルベンゼン共重合体
    柴山 恭一, 鈴木 康弘
    1966 年 23 巻 249 号 p. 24-29
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    モノビニル-ジビニル単量体混合物を共重合させることは網目高分子の代表的な合成法の一つである。こうしてできた網目高分子を単量体によって膨潤した後, 再び重合して第1段の網目の上に, 第2段の網目を形成させれば, 二つの網目が互に入り組んだ多重網目構造体が生成すると予想される。スチレンとジビニルベンゼンを用いて作成した試料について, 粘弾性と膨潤性を調べた結果, 多重網目構造体としての特徴が示された。
  • 根来 健二, 田中 力, 竹居 光二, 宮本 慶一
    1966 年 23 巻 249 号 p. 30-34
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    石油分解から得られるbp140-200℃の飽和芳香族化合物の混合物およびホルマリンを硫酸触媒で付加縮合を行なって得られる芳香族炭化水素樹脂について研究した。得られた樹脂の色, 状態, 収量, 含酸素率, 元素分析, 粘度, 分子量などを測定し, 反応条件と比較検討した。また, 上の応用研究とし, 樹脂のフェノール変性の方法, 硬化速度の測定成型品の樹脂強度などをはかった結果, 本樹脂はノボラック樹脂などの従来品とほとんど変わらない樹脂性質を示した。
  • 第2報重合開始剤濃度の影響
    山崎 信助, 浜島 求女, 田辺 清郷
    1966 年 23 巻 249 号 p. 35-44
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    水媒体中でO2-NaHSO3を重合開始剤としメタクリル酸メチルの重合を行ない, 重合開始剤濃度の影響を検討するとともに重合開始反応機構について考察を行なった。その結果, 1) 窒素ふんい気中ではNaHSO3濃度が0.001mol/l以上ならば水相とともに単量体相でも重合が認められ, また, 得られた重合体の重合度は非常に大きい。2) ふんい気中の酸素濃度によってNaHSO3濃度の影響は異なり, NaHSO3濃度の低い場合は, 酸素は重合を著しく禁止するが, 濃度が高い場合は, 酸素は重合を促進することを見出した。しかし, 重合度は著しく低下した。3) 微量の硫酸銅の添加は重合を著しく促進し, 重合速度は硫酸銅濃度の平方根に比例した。4) その他pHおよび温度の影響も検討し, このような知見をもとに開始反応の素反応について考察を行なった。
  • 井手 文雄, 中塚 和夫, 田村 均
    1966 年 23 巻 249 号 p. 45-55
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ウレタン化ポリビニルアルコールへのグラフト重合を試みた。ジメチルスルホキシド (DMSO) を溶媒に, 過硫酸アンモニウム (APS) を開始剤に用いた均一系重合で, かなり高いグラフト率でグラフトポリマーが得られることを見出すとともに, グラフト活性などと重合条件との関係を次のような点で明らかにした。1) 開始剤の種類によってグラフト活性が異なり, APS>AIBN>BPOの順にグラフト活性が低下する。2) 重合媒体としてはDMSOかジメチルホルムアミド, ジメチルアセトアミドなどよりもすぐれている。3) グラフト効率は重合温度, 幹ポリマー濃度, 開始剤濃度とともに増大し, モノマー濃度とともに低下する。4) 分岐の数は開始剤濃度とともに増大するが, しかし, 幹ポリマー濃度, モノマー濃度, 重合温度などの影響を受けない。5) 幹ポリマーの反応率は開始剤濃度, 重合温度, 重合時間とともに増大するが, モノマー濃度に無関係。6) ウレタン化ポリビニルアルコールの連鎖移動定数は1.7×10-3。7) ウレタン化ポリビニルアルコールのグラフトの位置は〓でなく, 〓基である。8) APSの分解速度かウレタン化ポリビニルアルコール, ポリビニルアルコールの存在によって増大する。9) 水系での重合において酸性亜硫酸ソーダの添加は, グラフト活性を急激に低下させるが, しかし, きわめて少量の存在は逆にグラフト活性をきわめて増大させる。これらの結果に基いて開始機構について一つの考えを示した。
  • 第1報シクロペンタジエンの低温カチオン重合と生成ポリマーの性質
    籾山 善次郎, 今西 幸男, 東村 敏延
    1966 年 23 巻 249 号 p. 56-62
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    トルエンおよび塩化メチレンを溶媒として, -78℃ において, シクロペンタジエンの重合を各種フリーデル-クラフツ触媒を用いて行なった、いずれの触媒および溶媒でも重合速度は大であったが, TiCl4-CCl3CO2H触媒では低触媒濃度においてモノマーの消費される以前に重合は停止した。トルエンを溶媒とする場合は有機溶媒に可溶性のポリマーが得られることが明らかになった。しかし, 塩化メチレンを溶媒とするときは, 重合中に生成ポリマーはゲル化して一部溶媒に不溶となった。BF3・O (C2H5) 2, SnCl4・CCl3CO2HおよびTiCl4・CCl3CO2Hを触媒としたここでの重合では, 生成ポリマーの [η] は0.1~0.5の範囲であった。生成ポリマーのNMRスペクトルおよび酸化速度の比較より, 重合溶媒は生成ポリマーの構造に影響を与えないが, 触媒の種類によってポリマーの1, 4-付加と1, 2-付加の割合が異なることが定性的に示された。
  • 麻生 忠二, 田上 早苗, 国武 豊喜
    1966 年 23 巻 249 号 p. 63-68
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    BF3OEt2触媒によるベンズアルデヒドと, 数種のモノマーとの共重合を検討した。その結果, 共役ジエンであるイソプレン, シクロペンタジエンは, ベンズアルデヒドのモノマー中の組成が大きいと, それぞれメタノール不溶の1: 1に近い組成比のコポリマーを与えることを見出した。また, スチレン (0℃), およびインデン (-78℃) との共重合も, モノマー中のベンズアルデヒドの量が過剰な場合, メタノール不溶の1: 1に近い組成比のコポリマーを与えた。ベンズアルデヒド-スチレンとのコポリマーを, テトラヒドロフラン-水で分別すると, 同一組成の分別物が得られることから, ホモポリマーの混合物ではなく, コポリマーであると考えられる。これらのすべてのコポリマーの赤外吸収スペクトルにおいては, 1000~1100cm-1の領域に新しくエーテル結合の吸収が見られ, ベンズアルデヒドのカルボニル基と, オレフィン類の二重結合が付加共重合を生じたものと考えられる。メタノール不溶のコポリマーの元素分析より, ベンズアルデヒドを (M1) とするときの単量体反応性比, MRRは次のようである。
    ベンズアルデヒドースチレンr1=0.01±0.01, r2=0.27士0.06 (0℃)
    ベンズアルデヒドーインデンr1=0.007±0.007, r2=0.38±0.02 (-78℃)
    ベンズアルデヒドーイソプレンr1=0.04±0.05, r2=0.65±0.23 (0℃)
    ベンズアルデヒドーシクロペンタジエンr1=0.01±0.01, r2=0.84±0.02 (-78℃)
    一方, ベンズアルデヒドは, イソブチルビニルエーテルとは共重合せず, イソブチルビニルエーテルの粘稠なホモポリマーのみが生じた。
  • 第3報ポリカーボネートのクレイジングの温度-応力依存性
    佐藤 行彦
    1966 年 23 巻 249 号 p. 69-77
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    熱と一軸応力とをかけたポリカーボネートフィルムのクレイジングを光学顕微鏡による観察および顕微鏡写真によって調べた。また, クレイズからの反射光の強度とクレイズ量との関係を調べた。クレイズは正規分布をなすような分布で現われ, 出現時間の対数は加えられた温度の逆数にほぼ比例して増加する。現われた後のクレイズは応力方向と直角に, 時間の対数に比例して成長する。これはクレイジングは一種の応力緩和現象であることを思わせる。その成長速度は応力に対して極大を持つ傾向がある。クレイズの成長の停止は同一条件においてはその長さによらず, ほぼ同時に起こる。それゆえ, クレイズの成長の停止に最も影響を及ぼす因子は, クレイズの先端周辺の配向であると考えられる。温度が高いほど, 応力が大きいほど, クレイズの長さは短く, 数は多くなる。クレイズからの反射光は時間の対数に対してS字型の曲線を描く。これらの実験結果に基いて, クレイズの発生, 成長, 停止機構を速度過程論的に論じた。
  • 第1報インデンのカチオン重合
    溝手 敦信, 田中 亨, 東村 敏延
    1966 年 23 巻 249 号 p. 78-84
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    典型的な芳香族環状オレフィンであるインデンのカチオン重合を, 主として30℃で通常のプリーデルークラフツ触媒を用いて行ない, インデンの重合反応性に関する動力学的な検討を行なった。その結果, 同一重合条件下ではインデンの単独重合速度, 重合度はともにスチレンの揚合より大であった。インデンの重合度は溶媒の誘電率が大なるほど, 誘電率の大なる溶媒中では触媒の活性が大なるほど, 得られるポリマーの重合度は大となることが明らかとなった。この結果は種々の重合条件下で得られたモノマー移動定数比から議論された。
  • 第2報ベンゾフランのカチオン重合
    溝手 敦信, 田中 亨, 東村 敏延
    1966 年 23 巻 249 号 p. 84-90
    発行日: 1966/01/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    ベンゾフランの単独カチオン重合性を検討するために主としてSnCl4・CCl3COOHを触媒としてカチオン重合を行なった。重合速度は同じ骨格構造をもった5員環環状オレフィン誘導体であるインデンと比較すると著しく小さいことが明らかとなった。同一条件下で生成したベンゾフランポリマーの重合度もインデンの場合よりも小さい。ベンゾフランポリマーの [η] は重合の進行とともに増大し, 重合終期には生成ポリマーはベンゼン-トルエンなどの有機溶媒に不溶な部分が生成した。これは重合中にポリマーに分岐または橋かけが生ずるためであることが明らかになった。
  • 1966 年 23 巻 249 号 p. 96a
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 23 巻 249 号 p. 96b
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 23 巻 249 号 p. 96c
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 23 巻 249 号 p. 96d
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
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