高分子化學
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23 巻, 254 号
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  • 松崎 啓, 右田 哲彦
    1966 年 23 巻 254 号 p. 385-390
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ゴムの酸化反応に伴って生じる橋かけ反応を検討するために, 若干の実験を行ない, 不連続応力緩和測定法の精度, 酸化中に生じる橋かけ反応の機構, 橋かけと伸張比との関係などに関し, 考察を加え, 次の結論を得た。
    1) 不連続応力緩和測定から得られる新生橋かけ量は, 他の測定法と比較して, 次数と傾向は合うが, 完全な一致を示さない。
    2) 酸化中に生じる橋かけ反応は, 伸張比が1.0~2.5の実験範囲内では, 伸張比の影響を受けない。
    3) 伸張酸化処理によって新たに生じた網目構造は, 応力緩和に与える影響という点からは, 未処理サンプルのそれと差がないと考えられる。
  • 第1報徐冷試料の結晶格子の大きさ, および結晶化度の温度変化
    鶴田 基弘, 山本 昌士, 塙 晃, 平見 松夫
    1966 年 23 巻 254 号 p. 391-394
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ナイロン6の徐冷試料について, 結晶状態の温度変化をX線法により調べた。用いた試料はギ酸溶液から調製した未配向フィルムであり, 高秩序の結晶状態を得るために, あらかじめ十分に熱処理を行なった。加熱試料台を設置したX線回折装置を用いて, 室温 (20℃) から260℃の溶融体にわたる各温度のX線干渉曲線を測定した。ナイロン6のα型結晶の単位格子の2個の主要な赤道干渉点 (200) および, (002), (202) の面間隔は, 温度上昇とともに接近するが, 融点以下の温度で一点に合致するには至らない。各温度の干渉曲線からKrimm-Tobolskyの方法により結晶化度を算出した。その結果によると, 温度上昇の際に結晶化度は最初ほぼ一定に保たれているが, 180℃から部分融解が始まり, 200~220℃の温度領域における急激な融解を経て融点 (220℃) に到達する。最後に溶融体の干渉曲線について検討し, 融点よりあまり高くない温度の溶融体においては, 六方充てん配置をとった隣接分子鎖間にかなりの秩序性をもった一種の構造がつくられていることを示唆した。
  • 浜田 文将, 中島 章夫
    1966 年 23 巻 254 号 p. 395-399
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PVAの融点はまだ, 正確には求められていないので, 200℃で10分間熱処理したPVAとエチレングリコールとの混合物系のPVAの融点を種々の溶剤濃度で測定し濃度0に外挿することにより, 純PVAの融点を求めた。それによると市販PVA, アイソタクチックPVAおよびシンジオタクチックPVAの融点はそれぞれ267℃, 212℃, および267℃であった。さらにFloryの融点降下式を使って, 市販PVAと水, エチレングリコール, DMFおよびアセトアミドの4種の溶剤について, その相互作用を測定した。PVA-水系の熱力学的相互作用パラメーターはPVA水溶液の浸透圧から求めた値とほぼ一致した。
  • 第1報低シス-ポリブタジエンの分子量と分子量分布
    山田 三郎衛, 今井 成夫, 北原 清一郎
    1966 年 23 巻 254 号 p. 400-407
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    GPC (gel permeation chromatography) によりLi触媒で得られた直鎖状ポリブタジエン (シス-1, 4結合35%, トランス-1, 4結合55%, 1, 2-ビニル結合10%) の分子量および分子量分布について検討を行なった。本実験にさき立って溶液濃度, 流速, 注入時間およびカラムの組合せと流出ピークとの関係を見た。濃度の低下, 流速の増加, 注入時間の短縮はいずれも流出ピークまでの流出量を少なくした。また, トルエン-メタノール系で沈殿分別した試料について, GPCのcalibration curve, 極限粘度および重量平均分子量 (光散乱による) を求めた。そして, いくつかの分別試料についてGPC法のMwと粘度法で求めたMηとを比較した結果, よい一致を見た。
  • 黄 慶雲, 下野 泰雄, 鬼塚 朋孝
    1966 年 23 巻 254 号 p. 408-414
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    無溶剤, 無触媒下で2, 2-ジメチル-1, 3-プロパンジオール (DPD) と二塩基酸とのポリエステル化反応において, 次の反応速度式を得た。
    ただし, k'の値は4.8×10-2である。この式に従えば本研究の実験範囲において, 反応初期から95%までの広い範囲の反応率にわたって満足する。DPDは二塩基酸に対して, 無水マレイン酸>コハク酸>アジピン酸=セバシン酸>o-フタル酸の順序で高い反応性を示す。これらの反応の活性化エネルギーはいずれも15±0.5kcal/molであり, 同一反応機構でポリエステル化が進行していることを意味する。
  • 第1報重合機構
    相宅 省吾, 富岡 政洋, 荒木 忠昭
    1966 年 23 巻 254 号 p. 415-421
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ナイロン66塩, ナイロン610塩, ε-アミノカプロン酸が, それぞれの融点より20℃前後低い温度で容易に熱重合することが見出された。特に, ε-アミノカプロン酸の重合について詳しく研究した結果, この重合反応が一次反応的に進み, 反応数時間後に見られる反応速度増加現象前後の活性化エネルギーはそれぞれ38, 32kcal/molであることがわかった。このことは, モノマーが, 重合する以前からイオン結合によってあらかじめ高分子状に配列しているというわれわれの仮定が正しいことを示し, その結果, 上の重合反応が見かけの固相反応ではなく, 真の固相反応であることがわかった。その他ε-アミノカプロン酸の減圧固相重合, 熱媒中での固相重合, モノマーの結晶をそのまま脱水, 高分子化する重合などが試みられた。
  • 橋本 静信, 堺 純一
    1966 年 23 巻 254 号 p. 422-425
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    環状オリゴマーを完全に除去したポリエチレンテレフタレートを熱的に解重合反応を行なうと, 再び環状オリゴマーを生成すすることがわかった。塊状解重合では環状4量体, 5量体を得られたが, ベンゼン溶剤を用いて解重合した場合は3量体であた。ポリエステルのラジカル的な熱分解反応をできるだけ起こさず環状化反応を行なうには270~300℃の温度が必要であった。
  • 加倉井 敏夫, 帰山 享二, 野口 達弥
    1966 年 23 巻 254 号 p. 426-432
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    約100メッシュのポリプロピレン粉末に水素ふんい気中でテスラ・コイルを用いて放電し, 生成したラジカルを空気と接触させてパーオキサイドにした後, メタクリル酸メチルと加熱してグラフト共重合体を得た。重合条件70℃, 3時間の場合, 放電時間60秒以上ではグラフト率は増加しなかった。放電の際の水素圧とともにグラフト率は変化し, 7.5mmHg付近に最適水素圧が存在する。空気との接触時間とともにグラフト率は減少する。放電管中の放電による温度の上昇, ならびに放電径路の限定を防ぐために冷却, ならびに振りまぜることによりさらに良い結果を得た。低重合率ではグラフト率は重合温度によらないで重合時間とともに上昇する。一方, グラフト効率は重合時間によってあまり変化せず, 重合温度の低い方が大きい。高重合率まで重合するとポプコーン状の生成物ができ, 見かけ上のグラフト率は急激に増大する。
  • 第1報転位重合とビニル重合の割合の定量的評価法
    中山 博之, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1966 年 23 巻 254 号 p. 433-439
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリルアミドのアニオン転位重合によって得られるポリマーは, 転位重合した部分とビニル重合した部分の両者を含む。本報告では, その各々の部分の割合を定量化する方法を検討した。ポリマー中に存在する第一級アミド (ビニル重合物中にのみ存在) の化学分析, およびポリマーの加水分解物中に存在するN (転位重合物中にのみ存在) の定量から得られる値が一致することから, これらの方法によってポリマーの構造を定量的に決定できることが明らかとなった。また, 第二級アミド (転位重合物中に存在) の全アミドに対するIRスペクトルの吸光度の比が, 上述の化学分析で求めた値と相関関係があることから, IRスペクトルのみでもポリマーの構造を定量化することができる。また, 通常のアニオン触媒で得たポリマーでは, 転位重合した部分とビニル重合した部分とが一つのポリマー分子中に含まれていることが, 融点および溶媒抽出の結果, 明らかになった。
  • 第2報金属sec-ブトキシド触媒を用いた場合の重合条件とポリマー構造との関係
    中山 博之, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1966 年 23 巻 254 号 p. 439-444
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第1報に述べたポリマー組成の定量法を用いて, sec-BuONaを触媒とした場合の重合条件による転位重合の割合の変化を検討した。その結果, 高重合率, 低モノマー濃度および高触媒濃度で転位重合物の割合の大きいポリマーの得られることが明らかとなった。また, トルエン, クロルベンゼン, ニトロベンゼンのような芳香族系溶媒では, その誘電率が高くなると転位重合の割合は減少し, シオキサン, ピリジン, DMFのような塩基性溶媒では, その誘電率が高くなると転位重合の割合は増大した。一方, (sec-BuO) 2Caを触媒に用いると芳香族系溶媒は生成ポリマーの構造に対してsec-BuONaと同様の影響を示すのに対して, (sec-BuO) 3Alを触媒とする場合は溶媒の誘電率が変化してもポリマーの構造は変化しなかった。これらの重合条件によるポリマー構造の変化は, 重合系中のモノマー濃度の変化, および対イオンの錯合体生成能力によって説明される。また, 収率の増加, および重合温度の増大とともにポリマーの分子量が増加する系では, ポリマー間の付加反応が起こっていると考えられる。
  • 西井 正信, 辻 孝三, 高倉 孝一, 林 晃一郎, 岡村 誠三
    1966 年 23 巻 254 号 p. 445-450
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    トリオキサン, テトラオキサン, N-ビニルカルバゾールの塩素ガス, または亜硫酸ガスのような電子受容体による重合について検討した。トリオキサンの塩素ガスによる重合は, 放射線重合の場合と同様に25℃以上の温度で容易に進行する。しかし, 溶液重合では収率が低下する。得られたポリマーの融点は178℃であったが, 分子量は非常に小さかった。トリオキサンは亜硫酸ガスによって高温において, 液相でも重合する。トリオキサンとN-ビニルカルバゾールの共融混合物は塩素ガスや亜硫酸ガスで処理すると共重合物を生成する。分別の結果, ポリオキシメチレンとポリ-N-ビニルカルバゾールのブロック共重合物が生成していることがわかった。テトラオキサンも固相で塩素ガスや亜硫酸ガスで重合した。N-ビニルカルバゾ-ルも塩素ガスや亜硫酸ガスで容易に重合した。N-ビニルカルバゾールを塩素ガスで処理すると, ESRスペクトルが得られた。そのg値はDPPHのそれに近い1本線スペクトルであった。このスペクトルはN-ビニルカルバゾールと電子受容体との間の電荷移動によって生じるN-ビニルカルバゾールのカチオンラジカル, またはポリマー鎖端に局在した不対電子によるのであろう。同様の1本線スペクトルはヨウ素, 臭素, 三フッ化ホウ素, 四塩化スズの場合にも得られた。N-ビニルカルバゾールの電子受容体による重合の開始種は, 両者の間で電子の移動が起こり, その結果, 生じるカチオンラジカルであろう。
  • 第2報部分カルボニル化ポリビニルアルコールの合成, およびその構造
    角岡 正弘, 中城 昇, 田中 誠, 村田 二郎
    1966 年 23 巻 254 号 p. 451-458
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルカリ触媒存在下でポリビニルアルコール (PVA) とメチルビニルケトン (MVK) とを反応させて部分カルボニル化ポリビニルアルコール (PCPVA) を合成した。反応温度, MVK濃度, PVA濃度などの反応条件を検討した結果, PVA濃度およびMVK濃度の高いほど, また反応温度の低いほど付加率が増大することがわかった。カルボニル基の含有量についてヒドロキシルアミン法の結果と重量法の結果で差が認められたので, 赤外および紫外吸収スペクトルによってその構造を検討したところα, β-不飽和ケトンの生成が認められることから, 両者の差はアルドール縮合による脱水のためであると考えられる。アルカリ触媒存在下におけるPCPVA水溶液の粘度変化は, PVA水溶液の場合と異なっており, その挙動について, 検討した。PCPVA水溶液は高温で相分離を起こすことが認められたので相分離温度とカルボニル基の含有量の関係について検討した結果, 飽和カルボニル基よりもα, β-不飽和カルボニル基の方が影響が大きいことがわかった。
  • 第150報 塩化ビニルーアクリル酸およびスチレンの三元共重合
    竹本 喜一, 菊池 保夫, 井本 稔
    1966 年 23 巻 254 号 p. 459-463
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニルーアクリル酸およびスチレンの三元共重合をベンゼン中, アゾビスイソブチロニトリルを開始剤とし, 40~70℃で検討した。単量体仕込み組成中の塩化ビニル, およびスチレンのモル分率が増すと, 重合率は低下し, 生成共重合体中の塩化ビニルのモル分率は, 単量体中のそれに比べてきわめて小さい。また, 共重合体中に塩化ビニルおよびスチレンが多く導入されるほど, 固有粘度値の低下することを認めた。生成共重合体については, さらに溶解度などを調べた。
  • 第1報4in.円板の成形収縮率
    甲田 広行
    1966 年 23 巻 254 号 p. 464-476
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スクリュー式およびプランジャー式射出成形機を用い, 直径4in., 厚み1/8inの円板についてポリカーボネート (PC) の成形収縮率を調べ次の結果を得た。1) 離型後の収縮過程はPCの金型温度から室温までの温度変化に基く大きな初期収縮過程と, PCの吸湿による膨張に相殺される小さな後収縮過程とに分けられる。2) 肉厚が均一で単純な形状の場合, ±0.02%の精度で成形できる。3) 成形収縮率は成形条件によって46×10-4~114×10-4mm/mmの広い範囲で変化する。4) 成形収縮率 S (mm/mm) は公称保圧Ph (kg/cm2) を変数とするS×104=A1-0.04Phなる式で表わされ, A1はシリンダーの圧力損失特性によって変化する。5) 樹脂温度TS (℃) を変数とすればSS×104=A2-0.51TSなる式で表わされる。6) 金型温度Tm (℃) を変数とすればSS×104=A3-0.20Tmなる式で表わされ, その影響は金型の熱膨張による寸法変化に基いている。7) Tsおよび分子量Mvの影響は溶融粘度η (poise) を変数としてS×104=A4+3.8×10-3ηなる関係式で統一的に表現され, これらの影響が主として成形機内の圧力損失と結びつけられることを推論した。8) 保圧時間, および材料の供給量はSに大きな影響を有するが, ノズルの形状, 射出圧および射出速度の影響は認められなかった。9) ポリアセタールについてSと成形条件との関係を調べ, PCとの相違点を明らかにした。
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