真空成形機を利用してアクリル樹脂注型板の広範囲の一軸~二軸延伸試料 (延伸倍率縦μ=1~4, 横λ=0.6~2.5) をつくり, 機械的強さ, 耐ストレスクレイジング性, 複屈折度を検討した。延伸試料の縦横方向に切り出したカミソリ切欠付平行試片 (60mm×5mm) で, 縦横方向の最大引張強さと引張破断エネルギーを測り, 二軸の増強は約λ=μ=2.0の延伸試料にのみ現われることを見出した。20~30mm×5mmの試片に最外層引張ひずみが1%あるいは0.5%(0.5%ひずみはMIL-P-8184の2000psiに相当) になるような曲げひずみを与え, 21℃のイソプロピルアルコール蒸気内に入れ, 24時間後のクレイジング発生の有無を調べた。耐ストレスクレイジング性は試片の応力方向の延伸倍率とともに増加し, その他の方向の延伸倍率に無関係なことを見出した。三主屈折率差 (
nμ-
nν), (
nν-
nλ), (
nλ-
nμ) はそれぞれの主延伸倍率差, (μ-ν), (ν-λ), (λ-μ) と直線関係にあることが見出され, Treloarの理論における延伸倍率の二乗差, (μ
2-ν
2), (ν
2-λ
2), (λ
2-μ
2) に対するよりよくあてはまることが見出された。以上の実験結果は対数延伸倍率平面, (logλ+logμ+logν=0) の上にプロットすることにより満足に表示された。
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