高分子化學
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23 巻, 257 号
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  • 第1報スチレン, アクリル酸ブチルおよび酢酸ビニルの乳化重合
    西原 貢二, 田淵 研三, 迫田 直一
    1966 年 23 巻 257 号 p. 625-631
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    過酸化水素-グリオキサール系触媒によるスチレン, アクリル酸ブチル, および酢酸ビニルの乳化重合において, グリオキサールが重合速度, および重合度に及ぼす影響を検討した。スチレン, およびアクリル酸ブチルでは重合速度は増加するが, 重合度は小さくなり, 酢酸ビニルでは, 重合速度と重合度とがともに大きくなるのが認められた。グリオキサール存在下に得られたポリ酢酸ビニルでは, 1分子中にほぼ1個のアルデヒド基が定量されることから, その重合度が大きくなるのはポリマー分子中のグリオキサール残基からの重合再開始によるものと考えられる。このようなグリオキサールの効果は過酸化水素との1: 1化合物であるβ-ハイドロパーオキシ-β-オキシ-α-オキソエタン〓の中間的形成によるものと考えられる。
  • 第2報グリオキサール-過酸化水素系触媒を用いる乳化重合によるポリ酢酸ビニルの構造
    西原 貢二, 小稲 則夫, 迫田 直一
    1966 年 23 巻 257 号 p. 631-635
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニルをグリオキサール-過酸化水素系触媒を用いて乳化重合すると, 重合速度がきわめて大きくなるとともに重合度も大きくなり, ポリマー分子中にほぼ1個のカルボニル基の存在することを知った。そこでこれらポリ酢酸ビニルをケン化, 再アセチル化し, さらにケン化によって得られたポリビニルアルコールを酸性またはアルカリ性で過酸化水素により分解して重合度の変化を比較検討した結果, グリオキサールー過酸化水素系触媒で得られるポリ酢酸ビニルは分岐の少ない半アセタール構造を有する直鎖状の重合体であることを知った。
  • 第1報ポリビニルアルコールの単結晶
    坪井 清, 望月 隆仁
    1966 年 23 巻 257 号 p. 636-640
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    等温結晶化によって作製したPVA単結晶について, 電子顕微鏡および電子線回折により構造を研究した。PVA単結晶は平行四辺形の板状で, 短い辺に対する長い辺の長さの比は約5であり, 厚さは100-150Aである。長い辺の側面は (101) 面, 短い辺の側面は (100) 面である。分子鎖は結晶平面に垂直で折れ曲がっている。単結晶には多くの明りょうならせん生長が見られた。(301) 面に平行な方向に, ひだが見られる。PVAの濃厚水溶液上で徐々に乾燥した単結晶をレプリカ法で観察し, PVA単結晶は波状を呈した板状晶であることを認めた。
  • 第2報ポリビニルアルコールの双晶
    坪井 清, 望月 隆仁
    1966 年 23 巻 257 号 p. 640-645
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    希薄溶液から作製したポリビニルアルコール (PVA) 単結晶の中には, 平行四辺形とは異なった形の結晶がしばしば見られる。ラス型, 半ラス型, Y型, および2種類のL型の計5種類の双晶の存在を認めた。電子線回折および結晶形態から, ラス型, および半ラス型双晶では (101) 面, Y型双晶では (100) 面と (001) 面, 開き角約110° のL型双晶では (100) 面, 開き角約140° のL型双晶では (101) 面が双晶面であることがわかった。PVAの双晶では対称面が結晶の中心にある場合が多く, 結晶の核形成時に双晶が発生しやすいことを示している。
  • 第3報ポリビニルアルコール単結晶の電子線回折
    坪井 清, 望月 隆仁
    1966 年 23 巻 257 号 p. 645-650
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) 単結晶の結晶組織の電子線照射による変化を調べた。また, 面間隔変化があまり起こっていない場合の回折像から格子定数を求めた。PVA単結晶はポリエチレン単結晶に比べて, 電子線照射による変化をより受けやすい。(101) 面は (101) 面よりも面間隔変化の割合が大きく, 長時間の照射で両者の面間隔は等しくなる。電子線回折写真から格子定数を計測する場合には, 回折像をすばやく撮影する必要があることを認めた。この点に注意して求めたPVAの結晶の格子定数は, a=7.81±0.02Å, c=5.43±0.01Å, β=91°30'±15'である。単結晶では, 従来のPVA試料に比べてc軸長がやや小さい。
  • 第7報ポリエチレンオキサイ
    桜田 一郎, 中前 勝彦, 梶 慶輔, 和田野 晋
    1966 年 23 巻 257 号 p. 651-654
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    本報では, ポリエチレンオキサイド (PEO) を試料とし, 鎖軸方向の結晶弾性率 (Eι) を測定し, 次の結果を得た。
    PEO: Eι=10×104kg/cm2 (21±1℃)
    この値は榎本らにより報告されたPEOに対するEιの理論的な計算値 (4.6~4.9) ×104kg/cm2のほぼ2倍の大きさである。しかし, 最近, 田所らにより報告されたPEOの分子構造, ならびに力の定数を用い榎本らの計算方法に従うとPEOのEι値として (7.8~9.2) ×104kg/cm2の値が得られる。これは実測値にかなりよく一致する。ポリエーテルに関する現在までの実測結果を比較するとPEOのEι値は最も小さく, ポリオキシメチレンの値の1/5.4である。またメチレン基の増加による分子構造の変化とEl値との関係について明らかにした。
  • 第8報ポリテトラヒドロフラン
    桜田 一郎, 中前 勝彦, 梶 慶輔, 和田野 晋
    1966 年 23 巻 257 号 p. 655-657
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    本報ではポリテトラヒドロフラン [PTHF:-(-CH2-CH2-CH2-CH2-O-) n] を試料とし, 鎖軸方向の結晶弾性率 (Eι) を測定し, 次の結果を得た。
    PTHF: Eι=55×104kg/cm2 (20±1℃)
    今田ら, およびCesariらの報告によればPTHFの分子は結晶状態において平面ジグザグ構造をとり分子鎖の有効断面積は小さい (17.1×10-16cm2)。また, C-O, C-O-Cの伸長, 角変形の力の定数はC-C, C-C-Cのそれよりむしろ大きいことなどから考えて, 上に示したPTHFのElの実測値はポリエチレンに関する結果 (240×104kg/cm2) に比べると小さすぎるようである。この理由に関し考察を加えた。
  • 第2報Na-Polyacrylate, Methylcellulose溶液の最長緩和機構
    黒岩 城雄, 中村 亦夫
    1966 年 23 巻 257 号 p. 658-666
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報において, 非線形応力緩和の終端領域に対し, 一つの形式論を提出した。本研究では, 緩和時間の分布という通常の概念を導入し, 最長緩和機構の緩和時間τm0および, 性質が粘度ηm0に似ていることがわかった「非線形係数」ηm*を解析した。非ニュートン流により, 最長緩和機構の分布は低下するが, 最長緩和時間そのものはズリの速度に無関係であるように思われる。一般に, 二次構造のズリ破壊が研究した溶液の非線形粘弾性挙動の主因と考えてよさそうである。
  • 井上 正男, 寺社下 政美, 柴山 忠雄
    1966 年 23 巻 257 号 p. 667-672
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    真空成形機を利用してアクリル樹脂注型板の広範囲の一軸~二軸延伸試料 (延伸倍率縦μ=1~4, 横λ=0.6~2.5) をつくり, 機械的強さ, 耐ストレスクレイジング性, 複屈折度を検討した。延伸試料の縦横方向に切り出したカミソリ切欠付平行試片 (60mm×5mm) で, 縦横方向の最大引張強さと引張破断エネルギーを測り, 二軸の増強は約λ=μ=2.0の延伸試料にのみ現われることを見出した。20~30mm×5mmの試片に最外層引張ひずみが1%あるいは0.5%(0.5%ひずみはMIL-P-8184の2000psiに相当) になるような曲げひずみを与え, 21℃のイソプロピルアルコール蒸気内に入れ, 24時間後のクレイジング発生の有無を調べた。耐ストレスクレイジング性は試片の応力方向の延伸倍率とともに増加し, その他の方向の延伸倍率に無関係なことを見出した。三主屈折率差 (nμ-nν), (nν-nλ), (nλ-nμ) はそれぞれの主延伸倍率差, (μ-ν), (ν-λ), (λ-μ) と直線関係にあることが見出され, Treloarの理論における延伸倍率の二乗差, (μ22), (ν22), (λ22) に対するよりよくあてはまることが見出された。以上の実験結果は対数延伸倍率平面, (logλ+logμ+logν=0) の上にプロットすることにより満足に表示された。
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