高分子化學
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26 巻, 295 号
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  • 関口 正生
    1969 年 26 巻 295 号 p. 721-727
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    定常状態におけるBarus効果を山本の3次元粘弾性論 (J. Phys. Soc. Japan, 19, 739 (1964)) によって解析した。山本の理論で導入された内部弾性変位テソソルが回復可能なひずみと同一であることを示した。単純ずり流動において, 内部弾性変位テンソルはずり変形のみでなく伸長変形を受けている。この伸長変形がBarus効果の原因であるとして, Barus効果の大さきを表わす式を導いた。ポリスチレソ溶融体について実験を行ない, この式を検証した。
  • 第15報ポリビニルアルコール水溶液の臨界ずり速度に対する重合度の影響
    山浦 和男, 久米 俶夫, 上原 義則, 松沢 秀二, 呉 祐吉
    1969 年 26 巻 295 号 p. 728-732
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニルおよび三フッ化酢酸ビニルより誘導された未分別ポリビニルアルコール (VAc-PVAおよびVTFA-PVA) を分別し, 10区分および11区分し, それぞれ重合度2400~6500および2900~15000のものを得た。それらの試料を用い, 水溶液の機械的変性を起こす際の臨界ずり速度 (γc) が重合度によりいかに影響されるかを調べた。VAc-PVAについては, いずれの試料についても本実験範囲では “ずり応力” による析出は認められず, したがって臨界ずり速度γcは測定できなかった。VTFA-PVAにおいては, 濃度が一定ならば, 重合度が高いほどγcが小さいことが明確となった。低重合度物ほど, 一定臨界ずり速度範囲に入る濃度範囲は広かった。また, 臨界ずり速度γcでの応力は, 重合度の同一試料では濃度を変化してもほとんど一定で, 重合度が大になるに従って小となσcた。
  • 第16報酢酸ビニルから誘導されたポリビニルアルコールのずり応力による分別 (その2)
    山浦 和男, 林 弘道, 松沢 秀二, 呉 祐吉
    1969 年 26 巻 295 号 p. 732-737
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニルの60℃での接触塊状重合物から誘導されたポリビニルァルコールを非溶剤添加分別した。分別物の一つ (重合度5710, シンジオタクチック (diad)=49.0%) を水溶液とし, かきまぜ時間による逐次分別を行ない, 10分別物を得た.かきまぜによる全析出量は86.7%であった。分別物の重合度は, 第7フラクションまで (析出量約73%) ほとんど一定で, 未分別試料のかきまぜ分別物に認められたピークは特に存在しなかった.各分別物の皮膜の膨潤度および溶解度は, 最初に析出したものが小で, 後に析出したものが大であった。水溶液のヨウ素呈色による発色を示す吸光度D584値は, 逆に小さくなる傾向にあった。各分別物の再酢酸化物のメチルエチルケトン溶液の光散乱測定結果より, 第2ビリアル係数。A2は, 第1フラクションから第5フラクションで2.66×10-4~150×10-4と減少したが, 第6フラクションは.1.54×10-4, 第7フラクションで1.81×10-4と増加の傾向が認められた。
  • 村田 勝彦, 小林 貞雄
    1969 年 26 巻 295 号 p. 738-747
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    系統的に選んだ高圧法分岐ポリエチレンの毛細管流動と分子構造との関係について研究した.分子量分布は, カラム分別法および超遠心法により, また長鎖分岐数の推定は, 分別物の固有粘度と重量平均分子量の関係より行なった。通常線状ポリマーで見出されている分子量分布が広いほど, 非ニュートン流動が著しくなることは, 高圧法分岐ポリマーではあてはまらず, 分子量分布よりもむしろ長鎖分岐数によることを明らかにした。すなわち低いずり応力下での流出量とメルト・イソデックスは, 長鎖分岐の多少にかかわらず (1) の関係があるが, 高いずり応力下では (2) のように表わされ, 定数α は長鎖分岐の少ないほど大きい。
    F. R. L.=4.0×10-3(M. I.)0.98 (1)
    F. R. H.=α×(M. I.)0.77 (2)
    カラム分別法により, 低分子量域ないし高分子量域をわずかに除去し, 分子量分布を変化させた試料を用いて分布の影響を調べた。長鎖分岐が多いポリエチレンを, 比較的, 管長/管径比が小さいノズルより, 大きいずり加重下で流出させると長鎖分岐数の少ない試料よりも, 流出しにくくなる。その原因は長鎖分岐が多く存在すると末端補正が著しく大きくなるためであると考えられる。さらに長鎖分岐数とメルト・フラクチャーの起こり始める臨界ずり応力, 回復可能ひずみ, 見かけの活性化エネルギーの関係を明らかにした。
  • 岡谷 卓司, 江ロ 保
    1969 年 26 巻 295 号 p. 748-755
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリオキシメチレソ (POM) 共重合体粉末に対して空気中電子線前照射法によるメタクリル酸メチル (MMA) のグラフト重合を検討した。反応は拡散律速であり, 停止反応は1分子停止がかなり起こる。枝ポリマーの重合度は時間とともに増大する。グラフト反応の開始は捕捉ラジカルおよびパーオキサイドの両者から起こると考えられる。アリルモノマーへの破壊的連鎖移動によってグラフト効率の著しい低下なしに枝ポリマーの重合度を低下させることができる。40℃ ではグラフト率の増大がメタノール系で見られるが, 高温では消失する。グラフト物の熱安定性は照射線量により決定され, 熱安定性のよいものを得ることが可能である。
  • 第7報メタクリル酸メチルのモノマー過酸化物によるメタクリル酸メチルの乳化重合
    松本 恒隆, 宗 伊佐雄, 井筒 斉
    1969 年 26 巻 295 号 p. 756-763
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム (SLS) を用い, メタクリル酸メチルのモノマー過酸化物 (MMA-PO) によって開始されたMMAの乳化重合において, 主として, モノマー過酸化物の挙動について検討し, 次の結果を得た。1) 重合初速度は次式で示された。Rp∝[MMA-PO]0.3[SLS]0.4[MMA]0, 2) 系中に含まれる溶存酸素は, 重合の進行とともに新たにモノマー過酸化物を生成せしめた。3) 重合初速度は油溶性のN, N'-ジメチルアニリン添加によって増大した。一方, 水溶性のチオ硫酸ナトリウム添加によっては増大しなかつた。4) 重合速度は重合率25%前後で低下した。ちょうどこの時期に, モノマー油滴の消失および生成ポリマーの重合度の低下を認めた。しかし, N, N'一ジメチルアニリン添加系では重合速度の低下は認められなかった。以上の結果から, モノマー過酸化物によって開始された乳化重合は, まず, せっけんミセルおよび水相で重合が開始され, ポリマー粒子が生成するとともに生成粒子内で重合が進行する。この際, ポリマー粒子内の重合にあずかるラジカルは, モノマー油滴消失前では主としてモノマー油滴からの拡散ラジカルであり, 油滴消失後ではポリマー粒子での分解ラジカルであろうと推定した。
  • 橋本 静信, 山下 隆之
    1969 年 26 巻 295 号 p. 764-769
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    3-ヒドロキシ-1-プロパンスルポン酸サルトンの開環重合につき研究した。開環重合は封管中, 触媒として水酸化カリウム (その他, 塩基, Lewis酸など) を用い, 70℃にて30日間加熱して行なった。得られたポリマーは融点126-130℃ であり, 一般の有機溶剤に不溶であり, 濃硫酸およびDMSOにのみ溶解した。ポリマーの還元粘度は0.21 (0.5g/100ml DMSO, 30℃) であった。ポリマーの構造はIRスペクトル, NMRスペクトルより検討し確認した。
  • 松田 正, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1969 年 26 巻 295 号 p. 770-776
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アセナフチレソをその融点以下の温度で, カチオソ触媒としてBF3, ラジカル触媒として過硫酸アンモニウムー亜硫酸水素ナトリウム系のレドッヅクス触媒により固相で重合した。いずれの触媒を用いても重合は見かけ上固相で進行し, ポリ (アセナフチレン) を得ることができた。カチオン触媒による固相重合では比較的重合速度は大きいが, ラジカル触媒固相重合では重合速度は非常に小さかった。固相重合で生成したポリマーの分子量は重合条件によらずほぼ一定の小さい値をとり, オリゴマーを含むことがわかった。顕微鏡により一部重合した結晶を観察した結果, 重合は結晶の表面から内部に向かって進行することがわかった。生成ポリマーには複屈折は観察されず無配向であった。またX線回折図によると固相重合で生成したポリマーは非晶性であった。これらの挙動がN-ビニルカルバゾールと比較された。
  • 坂口 康義, 相馬 成男, 玉置 克之
    1969 年 26 巻 295 号 p. 777-780
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニル (PVAc), ポリ酢酸イソプロペニル (PIPAc) および組成の異なる酢酸ビニル (VAc) と酢酸イソプロペニル (IPAc) の共重合物を, 水酸化ナトリウムを用いて, アセトン-水混合液中でケン化した。PIPAcのケン化の初速度定数 (k0) と自己触媒効果 (m) は, PVAcのケン化のそれらよりずっと小さかった。共重合物中のVAc単位とIPAc単位のたk0は, 共重合物の組成に無関係にほぼ一定であった。他方, mは共重合物のVAc単位の含量の減少に伴って低下した。これらの結果について少し考察した。
  • 坂口 康義, 西野 潤, 玉置 克之, 相馬 成男
    1969 年 26 巻 295 号 p. 781-786
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニルとビニルスルホン酸-n-ブチルを, 過酸化ベンゾイルを用いて共重合させ, 共重合物をビニルァルコールとビニルスルホン酸 (VS) の共重合物に加水分解した。得られた共重合物のVS単位の含量は4~23mol%である。この共重合物を自身のスルホン酸基を触媒に用いて, 水中でプロピオソアルデヒドによりアセタール化した。この自己触媒的アセタール化の見かけの速度定数 (ks) を, 塩酸触媒によるポリビニルァルコールのアセタール化のそれ (ke) と比較した。反応初期においては, kskeより約4倍大きいが, ks は反応の進行に伴って急激に低下した。ks はポリマー濃度の低下に伴ってやや増大し, ポリマーのVS含量にはほぼ無関係であった。これらの結果は, 共重合物中のVS単位は, これに近接している水酸基だけのアセタール化を強く促進すると考えると理解できる。
  • 坂口 康義, 三室 和之, 玉置 克之, 西野 潤
    1969 年 26 巻 295 号 p. 787-793
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    比較的少量のメタクリル酸メチル (MMA)・アクリル酸メチル (MA)・スチレソ (St) および酢酸ビニル (VAc) を, ラジカル開始剤を用いて, レーヨンおよびポリビニルアルコール (PVA) 繊維にグラフト重合させ, グラフトポリマーを幹ポリマーを除くために酸処理した。得られたポリ-MMA, それから誘導したポリメタクリル酸 (PMAA), およびポリ-VAcから誘導したPVAの赤外吸収スペクトル, PMMAおよびポリ-MAから誘導したポリアクリル酸の電圧滴定曲線と酸無水物形成性, ポリ-Stのスルホン化物の酢酸-n-プチルのケソ化に対する触媒作用, ポリ-VAcのケン化速度などを検討し, これらの挙動を普通の相当するポリマー試料の挙動と比較した。これらの結果から, 両グラフトポリ-MMAとレーヨングラフトポリ-MAはアタクチックポリマーとほほ同じ立体構造を持っが, PVAグラフトポリ-MAおよび両グラフトポリ-Stは普通の相当ポリマー試料と明らかに異なる立体規則性を持つと推論した。また, レーヨングラフトポリーVAcは, 頭-頭構造をかなり含むことを認めた。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 大村 恭弘, 志方 英三, 刀禰 正士
    1969 年 26 巻 295 号 p. 794-800
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    過硫酸塩の溶液を含浸させたナイロン繊維を酢酸ビニルと加熱して, グラフト重合を行なわせた。グラフト分枝を分離し, ポリビニルアルコール (PVA) に加水分解した。得られたPVAは普通PVAとほぼ同じ化学構造を持つが, 普通PVAに比べて低いアセタール化速度を示した。さらに, このPVAから誘導したポリ酢酸ビニル (PVAc) は, 含水アセトン中におけるアルカリケン化反応において, 普通PVAcよりもやや高い初速度とかなり小さい自己触媒的加速効果を示した。これらの結果から, ナイロン繊維にグラフトしたPVAcは普通PVAcと多少異なる立体規則性を持つものと考えられる。
  • 桜田 一郎, 岸 郁二, 坂口 康義
    1969 年 26 巻 295 号 p. 801-808
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    安息香酸ビニル (VB) を過酸化ベソゾイルの存在下または不在下で, 60-140℃で塊状重合した。得られたポリ-VBおよびこれから誘導したポリビニルァルコール (PVA) の重合度と長鎖分枝度, PVAの1, 2-グリコール単位の含量 (△), 水に対する溶解度および密度を測定した。これらの値は重合温度以外に触媒の存在によって影響された。触媒は分枝度, △および溶解度を増大させ, 低重合率における重合度と密度を低下させた。比較的低分子量の分別ポリマーは大きい分枝度, △および溶解度を示した。ポリ-VBから誘導したPVAは, 同様な重合条件で得られたポリ酢酸ビニルから誘導したPVAに比べて, 大きい溶解度と高い密度を示した。これらの結果に基き, ポリ-VBおよびこれから誘導したPVAの構造について少し考察した。
  • 第5報1, 3-シクロオクタジェンのポリスルホン
    山口 格, 長井 勝利
    1969 年 26 巻 295 号 p. 809-816
    発行日: 1969/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    1, 3-シクロオクタジエソ (1, 3-COD) と液体亜硫酸 (SO2) との共重合について検討した。1, 3-CODはAgNO3, H2O2などの添加によりSO2と共重合し, DMF, DMSOおよびSO2に可溶な1: 1組成のポリスルポソを与える。共役二重結合へのSO2の付加は主に1, 2-付加であろうと推定した。AgNO3を触媒とし, 過剰のSO2中で重合を行なった場合共重合初速度はAgNO3初濃度の1/2乗に比例し (0℃), 活性化エネルギーは約8.5kcal/mol (-10-+15℃) であった。重合初速度は約20℃に極大を有し, それ以上の温度では急激に低下し, 天井温度が35-40℃付近に存在することがわかった ([1, 3-COD] 0・[SO2] 0=10mol2/l2)。さらに1, 3-COD-SO2系に微量のH2O, アルコール類およびDMFなどを添加した場合でもポリスルホンが得られた。一方アミン類を単独で添加した場合にはほとんどポリマーは得られないが, この系に微量の酸素を加えると高収率でポリスルホンが得られた。1, 3-CODポリスルホンは約160℃から熱分解し始め, また, アルカリ水溶液によっても分解する。
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