官能基の間の長さを自由に変えうるジメタクリレートを橋かけ剤に使って, メタクリル酸メチル, スチレンとの共重合を行ない, 橋かけ剤の二つの官能基の間の長さが, 共重合挙動に及ぼす影響, ないし得られた橋かけ重合体の物理的性質に及ぼす影響などについて検討した結果, 次のことがわかった。(1) 重合の初期では, 共重合速度に対するジメタクリレートの官能基の間の長さの影響は, それほどないと思われるが, 重合後期では, 官能基の間の長さの影響が認められ, エチレングリコールジメタクリレートの共重合より, ビスー (エチレングリコール) フタレートジメタクリレートの共重合の方が重合連度が速かった。(2) 官能基の間の長さの長いビスー (エチレングリコール) フタレートジメタクリレート, テトラエチレングリコールジメタクリレートは, 官能基の間の長さの短いエチレングリコールジメタクリレートに比して橋かけ効率が高かった。(3) 得られた橋かけ重合体の二次転移点は, 橋かけ密度に関係なく, ほぼ一定であった。(4) 得られた橋かけ重合体の耐衝撃性, 軟化温度に対しては, ジメタクリレートの官能基の間の長さの影響が著しく認められた。しかし, 耐摩耗性, 強伸度, 屈曲強度に対しては, 橋かけ密度の影響しか認められなかった。
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