p-tert-Butyl phenol樹脂とシナキリ油とから成る油変性フェノール樹脂の主分散付近の動的粘弾性挙動について知るために170~240℃の範囲で10分間焼付けした塗膜を用い, 主分散の位置 (T
g) とtanδのピークの高さ (tanδ
m) の組成・橋かけ密度 (ν) 依存性を測定した。さらに2成分系として解析することによりフェノール樹脂分子とシナキリ油分子鎖の各々の分子運動について知るとともに, それらが互にどのように干渉し合うかも知ろうとした。その結果以下のことが明らかとなった。
i) 組成が一定の場合, 焼付け温度に関係なくνとT
gとの間には次の関係式がなりたち, 勾配Aが組成依存性をもつためにT
g vs. logνのplotを行なえば210℃と-50℃の2箇所に収束するのが見られた。
T
g=Alogν+B
ここでA, Bは組成依存性をもつ定数
ii) フェノール樹脂分子の分子運動はνに依存しない程度に小規模であるがシナキリ油分子鎖の分子運動はνに著しく依存し, 運動単位はメチレン基21個程度に相当し, フェノール樹脂分子による妨害を受けるがフェノール樹脂分子の分子運動に干渉することはないものと推定された。
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