高分子化學
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28 巻, 309 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 鈴木 惠, 宗宮 詮, 前田 正彦, 片桐 寛機
    1971 年 28 巻 309 号 p. 1-7
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ガラス繊維強化ナイロン6プラスチック (FRTP) の弾性係数, 破断応力などの機械的性質を引張試験により研究し, そのモデルによる光弾性実験から考察する。この複合材料の弾性係数の実験値は, 繊維容積混入率15%まではこの材料を短繊維が一方向に配列したと考えた理論曲線とガラス繊維マットとナイロン6樹脂をはり合わせた材料で, このマット中で短繊維があらゆる方向を向いていると考えた理論曲線との間にある。容積混入率5%までは混入率の増加に伴い破断応力はほとんど変わらないが破断ひずみは減少し, その混入率以上では破断応力, 破断ひずみとも増大する。また光弾性実験で繊維混入率, 繊維長および繊維の配列状態などにより強化機構が変わることが見出された。
  • 小川 俊夫, 田中 章一, 星野 貞夫
    1971 年 28 巻 309 号 p. 8-15
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    分子量分布を有するポリマーの浸透圧を測定したときに得られる数平均分子量は, 低重合物の急激な膜透過による誤差を含んでいる。そこでアイソタクチックポリプロピレソ (PP), 低密度ポリエチレソ (LDPE) および高密度ポリエチレソ (HDPE) を対象に, 分子量分布を考慮したときの上記誤差の解析を行なった。ポリマーの膜透過現象は溶液内のポリマーの容積に関係すると思われるが, 本実験で得られた透過性の順序は次のとおりであった。PS>PP>LDPEおよびHDPE。しかしながら, 上記の相対的な誤差は透過性の順序とは異なる。すなわち, LDPEに対する誤差はHDPEやPPよりも大きかった。これは分子量およびその分子量分布の違いによるものである。
  • 永沼 俊二, 高橋 勇蔵
    1971 年 28 巻 309 号 p. 16-23
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    p-tert-Butyl phenol樹脂とシナキリ油とから成る油変性フェノール樹脂の主分散付近の動的粘弾性挙動について知るために170~240℃の範囲で10分間焼付けした塗膜を用い, 主分散の位置 (Tg) とtanδのピークの高さ (tanδm) の組成・橋かけ密度 (ν) 依存性を測定した。さらに2成分系として解析することによりフェノール樹脂分子とシナキリ油分子鎖の各々の分子運動について知るとともに, それらが互にどのように干渉し合うかも知ろうとした。その結果以下のことが明らかとなった。
    i) 組成が一定の場合, 焼付け温度に関係なくνとTgとの間には次の関係式がなりたち, 勾配Aが組成依存性をもつためにTg vs. logνのplotを行なえば210℃と-50℃の2箇所に収束するのが見られた。
    Tg=Alogν+B
    ここでA, Bは組成依存性をもつ定数
    ii) フェノール樹脂分子の分子運動はνに依存しない程度に小規模であるがシナキリ油分子鎖の分子運動はνに著しく依存し, 運動単位はメチレン基21個程度に相当し, フェノール樹脂分子による妨害を受けるがフェノール樹脂分子の分子運動に干渉することはないものと推定された。
  • 滝沢 章, 谷岡 明彦
    1971 年 28 巻 309 号 p. 24-30
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    高分子複合皮膜の透過性に対する成分皮膜の寄与を解明するために, 親水性高分子たるセロハンおよび疎水性高分子であるポリエチレンフィルムを用い, まずそれぞれ単一成分の水蒸気透過挙動を調べ, 次にそれらをはり合わせた複合皮膜について, 透過方向をかえた実験を含めて水蒸気透過性を検討した。セロハン単独皮膜の透過係数P, 拡散係数Dはともに入側の水蒸気圧力とともに増加するが, これにはフィルム中の水蒸気濃度の増加による自由容積の増大に伴う拡散係数の増加と, 分子の会合 (クラスタリンダ) による拡散係数の低下が組み合わさって作用する。ポリエチレン単独皮膜のPおよびDは, 水蒸気圧力によってほとんど変化しない。セロハン-ポリエチレン複合皮膜で, セロハン側から水蒸気を透過せしめる場合は, 相対蒸気圧0.6以下の低圧側でポリエチレン単独皮膜よりもかえって透過性が大となる結果が得られ, これは, セロハン-ポリエチレン境界面付近でほぼ水の分配則がなりたつものとして説明される。ポリエチレン-セロハン複合膜でポリエチレン側から水蒸気を透過せしめる場合, 透過性は方向が逆の場合に比べて著しく低下し, 定常状態の達成もおそくなる結果が得られ, 透過の方向が透過性に大きく影響することを明らかにした。
  • 吉岡 直範, 佐藤 宏
    1971 年 28 巻 309 号 p. 31-41
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    レドックス触媒を用いて水中懸濁法により重合したポリアクリロニトリルを減圧下で40ないし180℃の温度で乾燥し, ついでジメチルホルムアミドの濃厚溶液とし, 種々の流延温度で流延してフィルムを得た。フィルムには球晶が存在し, 小角光散乱測定によれば, その大きさは数ミクロン程度であった。さらに熱処理および重合条件が球晶生成に及ぼす影響を同方法によって検討し, 定量的な解析をすることができた。球晶は熱により生成を抑制され, とりわけある種の方法により重合されたポリマーについては熱の影響が顕著であった。
    アクリロニトリル-酢酸ビニル共重合体についても光散乱法により球晶生成挙動を調べ, 球晶が生成しない共重合組成を推定した。
  • 天笠 正孝, 春日 芳徳, 斉藤 善郎, 山内 隆司, 竹川 久男
    1971 年 28 巻 309 号 p. 42-50
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    含窒素PVAを得るためにポリビニルアルコール (PVA) とイソシアン酸との反応を反応温度80~120℃, ジオキサン中不均一系で行なった。その結果, (1) 反応生成物として熱水可溶部と不溶部とが得られた。 (2) 熱水可溶部の構造としては水酸基, ウレタン以外にアロファネート部分あるいは環状部分も含まれているものと思われる。 (3) 熱水不溶部の構造の解析はまだ十分行なわれていないが, 水酸基, ウレタン, アロファネート, 分子内あるいは分子間縮合部が含まれているものと推察される。 (4) 窒素含有率15%の熱水不溶部をアルカリで加水分解したところ, 窒素含有率4.3%の部分ウレタン化PVAが得られた。 (5) 不溶部の耐熱性は原料PVAに比べて向上した, などが明らかとなった。
  • 天笠 正孝, 春日 芳徳, 斉藤 善郎, 山内 隆司
    1971 年 28 巻 309 号 p. 51-59
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    含窒素PVAを得るためにポリビリビニルアルコール (PVA) とシアナミドとの塩化水素共存下における反応について, 不均一系および均一系の溶媒を用いて検討を行なった。不均一系の溶媒としてはジオキサン・エチレンクロルヒドリンを選び, 均一系の溶媒としては液体アンモニアおよび水を選んだ。その結果, (1) 不均一系の場合はいずれも含窒素PVAは得られなかった, (2) 液体アンモニア中においては, アンモノ酸として塩化アンモニウムを用い反応を行なったところグアニジンを生成し, 含窒素PVAを得ることができなかった, (3) 塩酸水溶液中においては含窒素PVAとして, 部分イミノエーテル化PVAを得ることができた, (4) 部分イミノエーテル化PVAは60℃以上の温度で再沈精製を行なうと, 部分ウレタン化PVAに変化することが認められた, (5) 部分ウレタン化PVAの耐熱性は原料PVAに比ベて向上したこと, などが明らかとなった。
  • 第1報 各種芳香族リチウム化合物によるイソプレンの重合
    天笠 正孝, 後藤 富雄, 村守 邦彦, 斉藤 哲夫
    1971 年 28 巻 309 号 p. 60-66
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    芳香族炭化水素-リチウム化合物をテトラヒドロフラン中で合成し, 反応後テトラヒドロフランを留去して得られる粉末状固体がcis-1, 4-ポリイソプレンを生成する優秀な触媒となることを見いだした。ポリマー中のcis-1, 4-付加割合は, 芳香族有機種の種類, 触媒調製法, 重合溶媒の種類により異なる。すなわち触媒のイオン性を強める条件ではcis-1, 4付加割合は減少する結果が得られた。また芳香族炭化水素-リチウム触媒によるイソプレン-スチレン共重合において, 収率ゼロに外挿した場合のコポリマー中のスチレン含有量はイオン性の大きいと考えられる触媒ほど増加した。
  • 第2報 ナフタリン-リチウム化合物によるイソプレンの重合
    天笠 正孝, 後藤 富雄, 村守 邦彦, 斉藤 哲夫
    1971 年 28 巻 309 号 p. 67-72
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    芳香族炭化水素-リチウム化合物として, ナフタリン-リチウム化合物を選び, ベンゼンおよびテトラヒドロフラン中において重合条件を種々変化させ, 生成ポリマーのミクロ構造に及ぼす諸影響を検討した。ベンゼン中における重合では重合率によるミクロ構造の差異は認められない。実験範囲内で, 触媒量の増加とともにcis-1, 4付加が増加し, 重合温度の上昇とともにcis-1, 4付加が増加した。重合の動力学的研究の結果, 重合速度は単量体濃度に2次であった。重合の見かけの活性化エネルギーは15.4kcal/molと計算された。テトラヒドロフラン中ではcis-1, 4付加は全くおきない。重合率, 温度によるミクロ構造の変化は見られなかった。触媒量でやや変化が見られた。実験結果からテトラヒドロフラン中ではリビングポリマーの生成を考えた。重合速度は単量体濃度に1次, 触媒濃度に1次である。重合の見かけの活性化エネルギーは11.1kcal/molと求められた。
  • 第2報 芳香族ポリアミド酸合成のための重合溶媒の検討
    内山 宏, 今井 淑夫
    1971 年 28 巻 309 号 p. 73-79
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    無水トリメリット酸クロライドと4, 4'-ジアミノジフェニルメタンとをメチルエチルケトン-水系中で酸受容剤の存在下に重合反応させて高重合度のポリアミド酸を合成する際の, メチルエチルケトン中への水の添加効果を明らかにした。次に, メチルエチルケトン以外の各種の有機溶媒を重合溶媒として用いて重合反応を行なったところ, アセトン, シクロヘキサノン, テトラヒドロフラン, ジオキサンのような, 水をある程度以上溶解し, かつ, 極性のあまり大きくない有機溶媒を用いると, 無水系の場合よりも含水系の場合の方がより高重合度のポリアミド酸が得られることがわかった。さらに, 典型的なメチルエチルケトン-水系界面重合法を, 従来から行なわれている無水ジメチルアセトアミドを用いる低温溶液重合法と比較した。
  • 第3報 メチルエチルケトン-水系における芳香族ポリアミド酸の合成条件の検討
    内山 宏, 今井 淑夫
    1971 年 28 巻 309 号 p. 80-84
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    無水トリメリット酸クロライドと4, 4'-ジアミノジフェニルメタンの重合反応をメチルエチルケトン-水界面系で行なって芳香族ポリアミド酸を合成する場合の諸条件, すなわち, 反応成分の濃度, 反応成分のモル比, 反応温度, 酸受容剤などが, 生成するポリアミド酸の重合度その他に及ぼす影響について検討を行なった。そして, 高重合度のポリアミド酸を得るための合成条件を見出した。
  • 森 邦夫, 中村 儀郎
    1971 年 28 巻 309 号 p. 85-90
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    エチレンジアミン (EDA) 中でのポリ塩化ビニル (PVC) とチオール類の反応について検討した。置換率は反応温度, 反応時間およびチオール濃度の影響を受け, これらの関係はチオフェノールを使用した場合とn-ドデシルメルカプタンを使用した場合で異なる。一般に約30℃でも, 反応は十分進行するが, 反応温度が高くなれば二重結合の生成も起こる。反応時間とチオール濃度に関して, 置換率に飽和値が存在し, チナフェノールの場合はn-ドデシルメルカプタンに比して高い置換率を与える。チオール類の反応性は一般に, pKaの大なるものほど, また立体障害の少ないものほど大きく, 特に芳香族チオールは反応性が大きく二重結合の生成も少ない。PVCとチオールの反応機構はモデル反応からPVC側鎖塩素とチオールの求核置換反応であることが証明された。
  • 第4報 オリゴアミドの熱酸化
    奥橋 朋弥, 桑原 道親
    1971 年 28 巻 309 号 p. 91-96
    発行日: 1971/01/25
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ポリヘキサメチレンアジパミドに含まれるオリゴアミドの熱酸化における挙動について研究した。エタノールによりオリゴアミドを抽出除去したポリアミド試料と抽出前の試料の熱酸化における分子量の変化を比較した結果, 低分子量のオリゴマーは分子量低下の原因とはなっていないことがわかった。さらに種々の環状オリゴアミド, 直鎖状ナリゴアミドおよびオリゴアミド混合物の熱酸化について検討し, ポリヘキサメチレンアジパミドと比較した。また熱酸化において紫外部290mμに顕著な特性吸収を示すオリゴアミド混合物 (mp254~256℃) が, ポリヘキサメチレンアジパミドから抽出分離された。
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