高分子化學
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28 巻, 318 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 坂本 昌弘, 清水 晃, 伊藤 彰彦, 林 晃一郎
    1971 年 28 巻 318 号 p. 779-784,821
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    トリオキサンの放射線後効果固相重合における連鎖移動剤の影響について検討した。無水酢酸またはメチラールをトリオキサン結晶に添加すると, 添加量の増加に伴い重合収率はしだいに減少し, 分子量はかなり急激に減少する。得られたポリマーの熱安定性は添加物の添加量の増加とともに増加した。以上の結果とポリマーに連鎖移動剤の切片が導入されていることから, 連鎖移動反応によリポリマーの末端がアセチル化またはメトキシ化されて熱安定性のよいポリマーが生成したことを示している。実験結果を速度論的に解析し, 見かけの連鎖移動速度定数Ksrを算出した。
  • 影本 彰弘, 馬場 義博
    1971 年 28 巻 318 号 p. 784-788,821
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    溶液の状態変化を熱的に追求する手段として, 高分子溶液に使用できる示差熱分析装置 (DTA) を試作した。この装置を用いて, 高臨界溶解温度を示す系としてポリスチレンのメチルシクロヘキサン溶液, 低臨界溶解温度を示す系としてヒドロキシプロピルセルロースの水溶液の液体一液体相平衡においての相変化を熱的に測定した。その相変化が起こる場合のDTA曲線はベースラインが吸熱方向に変化するS字曲線を示した。それぞれの系について, 臨界温度の分子量依存性が得られ, Floryの相平衡に関する式を用いて, それぞれの熱力学量を評価した。
  • 坂口 康義, 西野 潤, 玉置 克之
    1971 年 28 巻 318 号 p. 789-797,822
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    既報のモノおよびジカルボン酸単位を含む各種の高分子の水溶液の電位差滴定曲線から, 固有電離定数 (pK0) および種々の電離度 (α) における静電ポテンシャル (P) を求めた。得られた高分子カルボン酸のpk0は2.9-5.4であり, 似た構造のジカルボン酸のpK1に比べて, 高いものも低いものもあった。同一のαにおけるPはポリマーによって著しく異なり, ポリマーの立体規則性に依存した。高分子カルボン酸の構造とpK0およびPとの関係は複雑であるが, これについて少し考察した。
  • 宮本 晃男, 柴山 恭一
    1971 年 28 巻 318 号 p. 797-800,822
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    低電界における高分子の電気伝導はイオン伝導であると考えられている。Walden則にイオン解離エネルギーを導入することによって広い温度範囲にわたって高分子の導電挙動を表わせる式を導いた: ση=Cexp (-W/2εRT), ここでσ, η, C, W, ε, R, Tはそれぞれ伝導度, 粘度, 定数, 解離エネルギー, 誘電率, 気体定数, 絶対温度である。エポキシ樹脂と無水酸化ホウ素の伝導度のデータはこの式を満足することがわかった。このようにして得られた解離エネルギーはイオンキャリヤーについての一つの情報とみなせる。
  • 第1報ポリ-L-グルタミン酸-γ-メチルエステル溶液に及ぼすL-グルタミン酸-γ-メチルエステルの不純物の影響
    岩月 誠, 森 茂郎, 桜井 節二
    1971 年 28 巻 318 号 p. 800-805,823
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ジオキサン中でL-グルタミン酸-γ-メチルエステルをホスゲンと反応させて合成したL-グルタミン酸-γ-メチルエステル-N-カルボン酸無水物 (NGA) の重合挙動が, L-グルタミン酸- γ-メチルエステル中に不純物として存在するL-グルタミン酸の含有量により変化し, ポリ-L-グルタミン酸-γ-メチルエステル (PMLG) 溶液の性状に著しい影響を与えることを見いだした。このL-グルタミン酸の影響は上記NCAの再結晶による精製によっても解消されず, 工業的に取り扱えるPMLG溶液を製造するには, L-グルタミン酸-γ-メチルエステル中のL-グルタミン酸含有率を0.5%以下とすべきことを見いだした。これに対しL-グルタミン酸ジメチルエステル塩酸塩の混入による影響は認められなかうた。
  • 第1報ポリアラニンの合成と溶液粘度
    荘司 顕, 河合 徹
    1971 年 28 巻 318 号 p. 805-809,823
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    比較的単分散なポリアラニンの単独重合体 (PLA, PDA), DL-ランダムおよびブロック共重合体を不均一系重合法により合成し, ランダム溶媒のトリフルオル酢酸 (TFA) およびヘリックス溶媒のジクロル酢酸 (DCA) 中での溶液粘度の測定からポリアラニンの分子形態を検討した。DGA中でランダム共重合体は, 共重合によって固有粘度が低下し, いちじるしくpartial helixが分断されるのに対して, ブロック共重合体は組成によって変化せず, PLAがそもそもpartial helixであることを明らかにした。また, 高分解能核磁気共鳴の末端定量から数平均重合度を求め, PLAに関して, DCA, TFA中での固有粘度と重合度との関係を求めた。
  • 第2報旋光分散, 核磁気共鳴による分子形態の研究
    荘司 顕, 河合 徹
    1971 年 28 巻 318 号 p. 810-814,824
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    D-, L-ポリァラニンおよびそのランダムおよびブロック共重合体のトリフルオル酢酸 (TFA) およびジクロル酢酸 (DGA) 中における分子形態を旋光分散 (ORD), 高分解能核磁気共鳴 (NMR) により検討した。DL-共重合体ではORDのb0値から右巻きおよび左巻きヘリックス含量の差が, NMRからはそれらの和が求められる。NMRの結果から, DCA中では分子形態を敏感に反映するNHプロトンピークが3本に分裂しており, それぞれの強度がDL-組成によって大きく変化することを見いだしたが, ピークの帰属は必ずしも明らかでない。したがって, ヘリックス含量を定量的に議論することができなかったが, ORD, NMRの結果からTFA中でも単独重合体およびブロック共重合体は多少のヘリックスを残し, DGA中ではpartial he1ixをとること, DCA中でランダム共重合体でもL体 (あるいはD体) にD体 (あるいはL体) のわずかの混合でヘリックス含量は減少するが, 多少のヘリックスはとりうることなどを明らかにした。また, DGA中では, ポリアラニンの分子形態が温度によって異なること, 分子量依存性のあることなどを指摘した。
  • 自念 栄一, 鈴木 恵
    1971 年 28 巻 318 号 p. 815-820,824
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    混入ガラス繊維によるガラス繊維強化ナイロン6の動的粘弾性の温度依存性の変化が, 強制曲げ励振の共振方式の低周波で0-150℃ の温度範囲で測定された。使用試料は, 水分率が大気中の湿度とほぼ平衡した未処理試料, 乾燥および熱処理試料であり, ガラス繊維重量混入率は0, 10, 20および30%である。その結果, 動的弾性率の温度特性曲線はガラス繊維体積分率に比例して高温側へ少し移行し, またガラス繊維は材料の動的弾性率の値を増大させるのみならず, 母材の非晶部分におけるセグメントの可動性を束縛し, 耐熱性を改善させる働きがある。しかし乾燥試料の場合は, ガラス繊維混入による損失弾性率の温度特性曲線の移行は, 未処理試料の場合よりセグメント緊張化による変化が大きく出て材料の動的粘弾性の温度特性は水分率に関係が密であり, また適当な熱処理は転移点温度より高温での動的粘弾性の低下を軽減する効果があることなどがわかった。
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