高分子化學
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28 巻, 320 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 藤村 敏一, 岩倉 賢次, 須藤 新一
    1971 年 28 巻 320 号 p. 945-949,1011
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニルグラフトエチレンー酢酸ビニル共重合物 (EVA-C) の可塑化効率を高めるため, 共通単位を有し一部相溶性の考えられるエチレンー酢酸ビニル共重合物 (EVA) をEVA-Cにブレンドし, その融液定常流粘弾性と成型シートの力学特性を測定し, その混合状態を考察した結果, つぎのことが明らかになった.
    1) EVA-EVA-C混合系ではミクロ不均一に近い場合も多いが, EVAの組成によっては一部相溶性の可能性も考えられる。
    2) 溶融粘度および引張試験における弾性率の変化よりEVAはEVA-Cに対し高分子可塑剤としての可能性があり, 酢酸ビニル含有率がEVA-Gに等しく, メルトインデックスの大きいEVAが効果が大きい。
  • 融液レオロジー特性および相分離温度
    藤村 敏一, 隅木 隆
    1971 年 28 巻 320 号 p. 949-953,1011
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    紡糸法として提案された相分離法をポリスチレンの多孔性製膜などの加工に利用する可能性を検討するため, θ 溶媒 (ナフタリン, ビフェニル, アントラセン) を加え, 添加量が融液のレオゴニオメトリー特性および相分離温度に与える影響を調べた結果,
    1) 融液粘度, その活性化エネルギーせん断弾性率のθ溶媒添加による低下はポリオレフィンに関する既存文献と同様であった。
    2) 粘度のせん断速度依存性のθ溶媒添加による変化は流動単位が大きく, また不均一になることを暗示した。
    3) θ 溶媒が少ないと冷却相分離が不明りょうになり, 多いと融液強度が減少する。
    4) θ 溶媒の種類においてアントラセンの相分離温度が高いほか, レオロジー特性の差は少ない。
    5) ポリスチレンのみの製膜は困難でも, 他の基質上に融液塗装して多孔層を生成することは有望であろう。
  • 簑島 信雄, 小林 茂勝, 志村 光久, 木下 洋一
    1971 年 28 巻 320 号 p. 953-957,1012
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    旨ストレートPVCの改質レジンである, エチレンー塩化ビニルコポリマーについて, 温度を変えて混練し各混練物の溶融流動挙動を毛細管粘度計により検討した。前処理としての混練温度が高くなるにつれて, 同一測定条件下における見かけ溶融粘度は小さくなり, 末端補正項, 流入圧力損失もより小さな値を示した。とくに, 末端補正項においては, せん断速度100sec-1付近でいずれも極小値の存在が認められた。これらの現象は, 混練温度が高くなるにつれて, ゲル状粒子を含んだ不均一な流動からセグメント流動に変化するためと考えられる。
  • 鈴木 恵, 自念 栄一, 植田 広志
    1971 年 28 巻 320 号 p. 958-962,1012
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリカーボネイト樹脂に不連続ガラス短繊維を混入したガラス繊維強化ポリカーボネイト樹脂に, 定荷重両振り平面曲げ疲労を与え, 疲労強度および疲労き裂伝ばに及ぼすガラス繊維の影響を調べた。その結果, 疲労破壊強度はガラス繊維を混入すると増大する。ガラス繊維を含む試料は, ガラス繊維端のmicrocrackの発生からき裂が進展し, 試料端から発生した主き裂と連なって進展するため, ガラス繊維を含まない試料にくらべ, 含有率が増加するほどき裂進展速度は減少することが明らかとなった.疲労破面のガラス繊維による影響をフラクトグラフィックに観察した結果, その破面のパターンに変化があったことからガラス繊維の阻止効果が認められた。
  • 自念 栄一, 鈴木 恵
    1971 年 28 巻 320 号 p. 963-967,1013
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ガラス繊維強化ナイロン6プラスチック (繊維重量混入率10, 20, 30%) の高サイクルくり返し平面曲げ疲労に伴うクラックの進展について顕微鏡による観察の結果, 繊維配向に基づく特徴あるパターンを示すことがわかった。繊維配向および混入率と疲れ強さとの関連を求めるため, 流動方向, これと直角および両者の中間45° 方向の各繊維混入率の試料について3-1V曲線を求め, 疲れ強さに繊維混入率にも関係する異方性が存在することを明らかにし, この現象を説明するためガラス繊維が母材中に配向分散し細胞組織を形成していると考え, これに非金属介在物を含む金属材料の疲労破壊に関する横堀の理論の適用を試み検討した結果, 実験結果と一致する結論が得られた。
  • 自念 栄一, 田中 正巳, 前田 高, 鈴木 恵, 相宅 省吾
    1971 年 28 巻 320 号 p. 968-972,1013
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    軟鋼板と低密度ポリエチレンとの溶融接着板に定たわみ振幅によるくり返し曲げ疲労を与え, 疲労の進行過程にみられる動的弾性率, 損失正接の変化を低周波による両端自由曲げ振動によって測定した.その結果, 変化過程は弾性率が低下する段階, 低下は停止して変化のない段階, 弾性率が回復しはじめ, のち急激に低下する段階が存在し, これらの変化の各段階のはじまる時期, 期間や変化の程度は疲労試験のたわみ振幅の大きさに依存していることがわかった。このような傾向はFRPやFRTPの疲労過程でみられる変化と類似の現象である。変化め原因を未疲労試料および疲労試料のはく離試験の荷重伸び曲線や破断面の比較観察から考察し, 接着境界層付近の破壊過程に基づくことがわかった。
  • 第2報脂肪族ポリエステルの1軸配向ポリエチレン上におけるEpitaxial Growth
    高橋 利禎, 稲邑 正也, 辻本 石男
    1971 年 28 巻 320 号 p. 973-977,1013
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリカプロラクトンなど二, 三の脂肪族ポリエステルは1軸配向した高密度ポリエチレン上でepitaxial growthすることを見いだし, これは下地および沈着高分子の結晶構造が類似しているため, 表面核の形成に有利であることによると考察した。ポリカプロラクトンは低密度ポリエチレンと電子線を照射した高密度ポリエチレン上では球晶として生長した。下地の結晶格子の乱れ度とその表面で結晶化した結晶の形態とのあいだには密接な関係があり, 下地の結晶格子の乱れが表面核形成に支配的因子となっていることを示した.
  • 第3報1軸配向したポリエチレン・6-ナイロン・ポリオキシメチレン上における高分子結晶のEpitaxial Growth
    高橋 利禎, 稲邑 正也, 辻本 石男
    1971 年 28 巻 320 号 p. 978-982,1014
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン, ポリプロピレン, ポリオキシメチレン, 6ナイロンの1軸配向試料上における高分子結晶のepitaxial growthについて研究した。各種の脂肪族ポリエステルのうち, 下地と繊維周期のミスフィットの小さいポリカプロラクトンのみが, 6ナイロン上でepitaxial growthした。これはエステル基とアミド基間の水素結合生成のためと考えられる。脂肪族ポリエステルの延伸ポリオキシメチレン上, および6ナイロンの高密度ポリエチレン上でのepitaxial growthも見いだした。しかし延伸ポリプロピレン上でのこれらの高分子のepitaxial growthはみられなかった。これは結晶格子の類似性がないことに主に起因すると考えられる。
  • 新保 正樹, 越智 光一
    1971 年 28 巻 320 号 p. 982-986,1014
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    構造を異にする2種類のエポキシ樹脂を, 脂肪族および芳香族アミン, ポリアミドおよび酸無水物を用いて硬化し, その硬化の機作を動力学的性質の面から検討した。
    エポキシ樹脂のような接着剤の結合強さは, 試験条件を細かく規定した工業的試験法によって測定され, その値は再現性はあるが, 接着強さの比較値を得るにすぎぬものとされていた。本研究ではこのような接着強さのうち, 引張せん断強さは凝集破壊領域では橋かけ間分子量もしくは弾性率の関数となることを明らかにした。この結果から, 接着強さの非破壊試験も可能と考えられる。
    はく離強さについては, 硬化物のガラス転移温度がはく離の試験温度に一致したときに極大値をとることを示し, しかも凝集破壊領域から界面破壊領域に移行するときにその極大値が現われることを上記樹脂一硬化剤の多くの系について示した。
  • 小林 英一, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1971 年 28 巻 320 号 p. 987-992,1015
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ホルムアルデヒドの環状4量体であるテトラオキサンの固相重合を, BF30 (C2H5) 2を開始剤としてn-ヘプタン分散媒中で行なった。テトラオキサンはBF3O (C2H5) 2により, トリオキサンと同様にモノマー結晶の外形を崩すことなく固相で重合することが明らかとなった。固相重合の速度は開始剤濃度に比例するが, モノマー濃度にはほぼ無関係であった。生成ポリマーの分子量は開始剤濃度にもモノマー濃度にも無関係であったが, 重合温度の上昇につれて増加した。またポリマーの分子量は重合初期には重合の進行とともに増大し, 結晶表面での重合では分子量の大きいポリマーは生成しないことが明らかとなった。分散媒のn-ヘプタンにテトラオキサンの良溶媒を少量添加すると, ポリマーの分子量が低下した。これらの結果に基づいて, ここで行なった重合が固相で進行していると推定した。
  • 小林 英一, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1971 年 28 巻 320 号 p. 992-996,1015
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    テトラオキサンのBF3ガスによる固相重合を, 分散媒を使用することなく行なった。テトラオキサンはこの操作でBF3O (C2H5) 2を開始剤とする分散系の固相重合と同様に, モノマー結晶の外形を崩すことなく固相で重合することが明らかとなった。重合初期に生成するポリマーの分子量は小さく, 重合の進行に伴って増大した。この結果は, ポリマーの分別からも支持された。分別の結果はまた, テトラオキサンの固相重合で得たポリマーの分子量分布が非常に広いことを示した。溶融したモノマーを急冷してっくった乱れの多い結晶と, 徐冷してつくった乱れの少ない配向した結晶の重合を比較した。乱れの多い結晶では, 重合が進行してもポリマーの分子量はあまり増加せず, 固相重合では結晶中のモノマーの配列が重合反応に影響を与えることを明らかにした。
  • 小林 英一, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1971 年 28 巻 320 号 p. 997-1003,1016
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    テトラオキサンおよびトリオキサンのBF3およびBF3O (C2H5) 2による固相重合の進行をX線図により追跡し, 両モノマーの固相重合の進み方を比較した。カチオン開始剤によリトリオキサンから得たポリマーの配向性は非常によく融点も高い (188~190℃) が, テトラオキサンから得たポリマーでは配向性の程度も融点も低い (181~185℃) ことが見いだされた。またトリオキサンでは重合温度の高いほど, 重合率の低いほど配向性のよいポリマーが得られた.これに対してテトラオキサンでは, 生成ポリマーの配向性は重合温度が高くなるとやや悪くなるようであり, また, 重合の進行につれてよくなった。トリオキサンとテトラオキサンから得られたポリマーの配向性および双晶のできやすさが, モノマーの結晶構造の差から議論された。
  • 第4報ラクタムイミンの開環重合および開環共重合
    緒方 直哉, 野村 耕治郎, 斎藤 精一郎
    1971 年 28 巻 320 号 p. 1004-1008,1016
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    同一環内に2個の官能基を有する環状化合物の開環重合性を調べる一環として, 同一環内にアミド基およびイミノ基を有するラクタムイミン類を合成し, その開環重合および他の環状化合物との開環共重合を試みた。
    2-ケトピペラジンはまったく重合しなかったが, 5-ホモピペラジノンはグリース状のポリマーを生成した。トリアセトンアミンから4個のメチル側鎖を有する2, 2, 7, 7-テトラメチル-5-ホモピペラジノン (TMI) を合成した. TMIは通常の重合触媒ではまったく重合しないが, SnCl4, AlEtCl2のようなルイス酸によって開環重合し, またε-カプロラクタムあるいはω-ラウロラクタムとも共重合する。得られたポリマーおよびロポリマーはグリース状であった。
  • 正田 勝康, 安井 昭夫
    1971 年 28 巻 320 号 p. 1008-1010,1017
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    When a chloroform solution of S2Cl2 was brought into contact with acetone, vigorous reaction was observed to give a new type of polymer, which showed mp. 56-57°C, sulfur content 60.75%, 1710cm-1, 1360cm-1, 500cm-1, 480cm-1 in infrared spectrum, 1.62ppm (CH3, group) 2.60, 2.73ppm (CH2, group) in NMR spectrum, in CDCl3 solution. Its structure was suggested as-(Sx-C (CH 3) 2-O-)-(Sx-CH2-CO-CH2)-(Sx'-CH2-CO-CH2). Molecular weight of this polymer determined by vapour pressure osmometer in chloroform solution was 2360.
  • 1971 年 28 巻 320 号 p. 1017
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
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