比較的厚い (0.4mm程度) ボリビニルアルコール (PVA) の皮膜に空気共存下または窒素中で
60Coγ線を照射し皮膜状のまま紫外線および可視吸収スペクトルを観測した。
230および335mμに極大吸収, 280および375mμに吸収の肩, 400-500mμにbroadな弱い吸収を認めたが, このうち335, 375および400-500mμの吸収は吸湿処理または軽度の熱処理により完全に消失するところから, 捕捉ラジカルに基づくものであることを推定した。この捕捉ラジカルは335, 375および400-500mμに吸収をもつような少なくとも3種類のものからなると考えられる。また照射によるこれらの吸収の生成速度を測定したところD
335>D
375>D
400-500の順であることを認めた。また, あらかじめ熱処理したのちPVA皮膜を照射し捕捉ラジカルを生成せしめ, その減衰を観測した。その結果, 照射前の皮膜の熱処理温度が低いほど, また減衰温度が高いほど減衰速度は大であることがわかった。PVAの2次転移温度以下で減衰させた場合減衰は平衡になり, ラジカルが残留する。ラジカル残留率は照射前のフィルムの熱処理温度が高く結晶化度の大きいものほど大であった。
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