高分子化學
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30 巻, 336 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 鈴木 行衛, 椿 政寛, 田所 敏男
    1973 年 30 巻 336 号 p. 171-176
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    各種1, 3-グリコールを成分とする不飽和ポリエステル樹脂の側鎖が誘電特性に与える影響を究明する目的で, 誘電率および誘電損失率を温度-65~190℃, 周波数30~1MHzの範囲で測定した。誘電損失率の周波数特性曲線から誘電緩和における熱力学的量, Coleのparameter β, Δε, ならびにWLF式のparameterを算出し, その物性値から下記の結果が得られた。
    1) 低温部吸収は末端の極性基ならびに橋かけ間に含まれる動きやすいエステル基に起因する。
    2) ネオペンチル基の存在は分子鎖を剛直にし, ガラス転移温度を高くする。
    3) 大きな側鎖の存在は樹脂の自由体積分率 (fg), および自由体積の熱膨張係数 (αf) を大きくする。
  • 加藤 浩一郎
    1973 年 30 巻 336 号 p. 177-180
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    紫外線照射した低密度ポリエチレンフィルムに対し2, 4-ジニトロフェニルヒドラジンを作用し, そのフィルム中における変化を紫外, 赤外スペクトルの吸収を比較することにより推察した。ポリエチレンフィルム中には飽和アルデヒド, 不飽和アルデヒド, 飽和ケトン, 不飽和ケトンの2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンの型をしているらしいヒドラゾンが生成したが, ヒドラゾンを生成したカルボニル基は照射により生成したカルボニル基の一部であった。照射時間が増加し, 照射により生成したカルボニル量が増加するに従って生成したヒドラゾンの量も増加した。
  • 米田 昭夫, 杉原 啓二, 林 健二郎, 田中 誠
    1973 年 30 巻 336 号 p. 180-185
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    側鎖に反応性の高いニトロソ基を含むニトロソ化ポリスチレン (NPS) を合成し, その反応性を検討した。NPSは緑色を呈し, 低分子量のポリスチレンから誘導されたものはテトラヒドロフランに可溶であるが, 高分子量からのものはゲル化の傾向が見られた。
    NPSはニトロソベンゼンと同様にジエン系ゴム分子の二重結合を切断するが, その反応は複雑であることが推定された。また可溶性のNPSはスチレンのラジカル重合を禁止するが, 不溶化NPSを加えた場合には, わずかに抑制効果が見られた。
    芳香族アミン, 活性メチレン化合物との反応は容易に進行し, それぞれ側鎖にアゾ基, アニル基を有するポリマーが生成した。これらのポリマーは高分子染料, 感光性樹脂材料としての応用が期待される。
  • 遠藤 剛, 沼沢 亮三, 大河 原信
    1973 年 30 巻 336 号 p. 185-188
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N-ピニル-2-オキサゾリドン (NVOx) とメタクリル酸 (MAA) との共重合を種々の溶媒中で検討した。共重合速度はモノマー仕込比, NVOx/MAA=1のとき最大であった。また速度は溶媒の透電恒数が増加するにつれて減少した。芳香族やエーテル類溶媒中での共重合において速度と透電恒数間に直線関係が得られた。この共重合において水素結合と静電的相互作用が大きな寄与をしていることが示唆された。得られたポリマーは白色粉末でdipolar aprotic solventsやアルカリ水溶液には溶解するが, 非極性溶媒や酸性水溶液には不溶である。
  • 井手 文雄, 児玉 恒雄, 浅井 肇
    1973 年 30 巻 336 号 p. 189-195
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    フェノール・ホルムアルデヒド系ポリマーの繊維 (ノボラック繊維) の合成において, ノボラック樹脂の紡糸性, ノボラック繊維のホルムアルデヒドによる橋かけ反応性, 得られた橋かけ繊維の性質に及ぼす橋かけ構造の影響などについて検討した。
    ノボラック樹脂を溶融紡糸し繊維化するには樹脂の分子量は少なくとも500以上であること, 得られた繊維の橋かけ反応は繊維の表面より進行するために完全に橋かけするには糸の直径は20μ以下にする必要があり, そのためには直径の大きいノズルを用いて高速で巻き取るのが有利であること, 未橋かけノボラック繊維は全く強伸度を有しないが橋かけ構造をとることによって強伸度が増加し, 耐炎性, 耐熱性もともに向上すること, などが明らかになった。
  • 坂口 康義, 真山 秀孝, 玉置 克之, 西野 潤
    1973 年 30 巻 336 号 p. 196-201
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸, メタクリル酸メチル, アクリル酸, アクリル酸メチルおよび酢酸ビニルを, 約35%のポリ酢酸ビニル, ポリ安息香酸ビニル, ポリN-n-ブチルアクリルアミド, ポリα-ビニルナフタリン, ポリメタクリル酸α-ナフチル, ポリメタクリル酸β-ナフチル, ポリイタコン酸ジメチル, ポリケイ皮酸エチルまたはポリフマル酸ジエチルの存在下で, ラジカル開始剤を用いて重合させた。得られたポリマーのあるものの立体規則性は, 共存ポリマーの不在下のラジカル重合によって得られた相当ポリマーのそれと異なった。実験結果に基づき, 共存ポリマーによる立体規制の機構について少し考察した。
  • 緒方 直哉, 讃井 浩平, 小西 喜美男
    1973 年 30 巻 336 号 p. 202-205
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    二塩基酸とラクタムからN-アシルイミド基を有する種々のジラクタム化合物を合成し, ジアミンとの反応によってポリアミドの合成を試みた。ジラクタム化合物のジアミンに対する反応性はラクタム環の大きさによって異なり, 反応性はアジピン酸の場合7員環>6員環>>12員環となり, 7員環ラクタム化合物とヘキサメチレンジアミンの重縮合は30℃では5日, 60℃では1日で完結し, ポリアミドを生成した。12員環ラクタムからはポリアミドは得られず, 反応性はいちじるしく低かった。
  • 山田 憲二, 鈴木 恵
    1973 年 30 巻 336 号 p. 206-210
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高分子材料の疲労に関する研究が行なわれてきたが, 平均応力の影響を論じたものは少ない。そこで, 本稿では疲労き裂伝ぱに及ぼす平均応力の影響を低密度ポリエチレンで研究した。破壊モードの遷移城はくり返し応力が増すと切欠き側に近づき, また最大応力に対する最小応力の比が大きくなると, き裂伝ぱ速度は減少した。平面ひずみ状態では, くり返し応力を一定と考えると前述の比が小さいときはarrest lineは認められたが, 大きくなると認められなくなった。平面応力状態では, 応力振幅にくらべ平均応力を大きくするとフィブリルが形成され, 平均応力にくらべ応力振幅を大きくすると微小き裂が光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察された。これらの現象は荷重条件を反映するものであり, 金属材料の現象といちじるしく異なることがわかった。
  • 大津 隆行, 久保田 静男
    1973 年 30 巻 336 号 p. 211-216
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビスベンゼンクロム [ (C6H6) 2Cr] およびフェロセン [ (C5H5) 2Fe] によるビニルモノマーの重合について研究した。ビスベンゼンクロム単独では, アクリロニトリルおよびそのα-クロル, α-カルボエトキシ置換体モノマーの重合を開始したが, メタクリロニトリル, アクリルアミド, アクリル酸, アクリル酸メチル, メタクリル酸メチルなどの重合は誘起せず, むしろこれらモノマーのラジカル重合に強い抑制作用を示した。また, フェロセン単独では上述のいずれのモノマーの重合も開始しなかった。しかし, これら金属錯体と有機ハロゲン化合物を組み合わせた系では金属錯体単独で重合しなかったモノマーなどの重合に活性を示した。速度論的研究から, このような二元系によるメタクリル酸メチルの重合はラジカル機構で進行していることが確かめられた。また, この系はイソブチルビニルエーテルのカチオン重合を誘起する活性を示した。
  • 横田 和明, 高田 善之
    1973 年 30 巻 336 号 p. 217-223
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    非対称型二官能性モノマーのo-イソプロペニルフェニルビニルエーテルを塊状でラジカル重合した。ポリマーはほぼ完全に環化していた。分子内環化反応に対する分子間生長反応の影響を環化共重合によって検討した。p-クロルスチレンやアクリロニトリルとの交媒生長によって環化反応が抑制され, コポリマー中にビニルエーテル基が残存するようになった。p-クロル-α-メチルスチレンのポリマー中への導入は環化率に影響を与えなかった。
    これらの結果から高い環化重合性は可逆的生長反応の関与によっていると考えられる。ラジカル重合によるポリマーとカチオン重合によるポリマーのIRスペクトルを比較することによってラジカル重合では環化の段階に頭-頭付加が起こり, 5員環が生成していることが示された。
  • 太田 忠甫, 増田 精造, 青山 千代子
    1973 年 30 巻 336 号 p. 223-227
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アリルベンゼン (AB) とビニル系モノマーとの共重合性について検討した。ABはスチレンのような負のe値をもつモノマーとは共重合しないが, 比較的大きな正のe値をもつモノマーとは共重合する。モノマー反応性比はつぎのようであった。またABのQおよびe値はそれぞれ0.019および-0.32であった。
    アクリル酸メチル (M1) -AB (M2) r1=12.9±2.0 r2=0
    メタクリロニトリル (M1) -AB (M2) r1=18.2±2.5 r2=0
    アクリロニトリル (M1) -AB (M2) r1=5.1±0.3 r2=0
    一方ABと無水マレイン酸 (MAnh) はともに単独では重合しにくいが, ラジカル開始剤の存在下では容易に共重合し, 交互共重合体を与える。連続変化法より, ABとMAnhは1: 1の電荷移動型錯体を形成することがわかった。
  • 瀬戸 博, 武末 知行
    1973 年 30 巻 336 号 p. 227-231
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    オートクレープ中でニッケル触媒を用いてポリスチレンを水素化し反応諸条件の影響を検討した。
    エチルシクロヘキサンを主成分とする単環ナフテンおよび平均分子量6000程度にわたるポリビニルシクロヘキサンを生成物として得た。初速度法によって求めた反応次数は, ポリスチレン濃度に一次, 水素圧に一次であった。また, 触媒濃度の低い領域では反応速度は触媒量に比例した。用いた溶媒の効果は, デカリン>エチルシクロヘキサン>シクロヘキサン>無溶媒の順であり, 沸点の順序と一致した。また, 試料ポリスチレンの重合度によっても反応速度は異なり, 重合度の高いものほど反応速度が小さいという結果を得た。
  • 山口 格, 小野 堯之, 箱崎 進
    1973 年 30 巻 336 号 p. 232-234
    発行日: 1973/04/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    液体亜硫酸中でシクロペンタジエンの重合を行なった。無触媒ではシクロペンタジエンホモポリマーと1: 1組成のポリスルホンの混合物が得られ, またBF3OEt2などのカチオン触媒ではホモポリマーが, AgNO3あるいはメタノール, H2O, DMFなどを少量添加するとポリスルホンのみが容易に得られた。さらにメチルシクロペンタジエンの重合を液体亜硫酸中で試みた。
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