高分子化學
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30 巻, 338 号
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  • 結城 康夫, 小坂 寧, 長野 正満
    1973 年 30 巻 338 号 p. 307-310
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-およびm-ニトロフェニルビグアニド塩酸塩の還元により対応するアミノフェニルビグアニド塩酸塩を合成した。これらのアミノフェニルビグアニドとテレフタル酸クロリド, イソフタル酸クロリドとの界面重縮合反応により主鎖中にs-トリアジン環をもつポリアミド (ポリアミドグアナミン) を合成した。得られたポリマーの還元粘度は0.42~0.46であった。DSCとTGを用いてポリマーの熱的性質について調べた。
  • 高瀬 巌, 楠見 誠次郎, 相田 博, 山田 正盛
    1973 年 30 巻 338 号 p. 311-314
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    3, 6-エンドメチレン-Δ4-テトラヒドロ無水フタル酸 (EMPA) およびシス-4-シクロヘキセン-1, 2-ジカルボン酸無水物 (CHCA) と酢酸ビニル (VAc) およびスチレン (St) とのそれぞれのラジカル共重合をベンゼン中で行なった。VAcとの共重合においては, それぞれモノマー仕込み組成におけるEMPAおよびCHCAの増加に従って重合率および生成ポリマーの還元粘度は著しく低下した。曲線合致法で求めたそれぞれの単量体反応性比はつぎのようである。
    VAcラジカルに対する相対反応性 (1/r1) はEMPAがCHCAの約2.6倍大きい。この相違は5員環化合物と6員環化合物のもつ“ひずみ”の差に基づくと推論した。Stとの共重合では, 両者ともコポリマーを全く生成せずStとの共重合性はほとんどないことがわかった。
  • 田代 辰夫
    1973 年 30 巻 338 号 p. 314-320
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メトキシメチル基平均モル数 (m) =0.26~6.00のメチル化メチロールメラミン (MeMM) の解離定数 (pKb) を電気滴定によって測定した。pKbはpH 5~半中和点近辺あるいはそれ以下のpH範囲で一定値になった。メチロール基平均モル数 (n) が3以上であるメチロールメラミン (MM) のpKbはpHが減少するにつれて増大した。以上の結果からMeMMおよびMMへのプロトン化挙動の相違について考察された。
    MeMMのpKbmの間につぎの二つの直線関係が見いだされた, すなわち0.62≦m≦4.32ではpKb=0.557m+8.79そして4.32≦m≦6.00ではpKb=0.917m+7.26である, これらの直線関係はMeMMの構造から説明することができる。
  • 野口 順蔵, 和田 理, 瀬尾 寛, 戸倉 清一, 西 則雄
    1973 年 30 巻 338 号 p. 320-326
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    キチンはセルロースビスコースと同じ調製条件では均一なビスコースができない。キチンのビスコース化反応の条件を種々検討し, 凍結法を採用してミセル構造をこわしてキチンのアルカリによる脱アセチル化をできるだけ防ぐとともにキサントゲン化の反応性をよくし, 均一なキチンビスコースを調製することに成功した。このキチンビスコースを用いて, 改良された紡糸条件下で良好なキチン繊維およびセルロース-キチン混合繊維を得ることができた。キチンの含有量が3%程度でビスコース繊維は麻様の感触を与え, 染色性もキチン含有量の増加とともに良好になる。
  • 川崎 信弘, 植村 振作, 大野 省太郎
    1973 年 30 巻 338 号 p. 326-331
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高分子溶融物の毛細管流動におけるBarus効果は毛細管長が短いほど著しい。これを説明するため, (1) 毛細管入口に至るまでの定荷重下における伸張, (2) 毛細管中での内部応力緩和, (3) 押し出された後での残留ひずみの回復, と連続した三段階の変形機構を考え, 線形粘弾性現象論を用いてまず一般式を導いた。つぎにその一般式を簡単にする目的でOldroydモデル (ダッシュポット (η1) とVoigt要素 (η2とG2) とが直列に連らなったもの) を用いた結果, つぎのような式が得られた。
    見かけのずり速度γaを固定して毛細管長 (L/R) を変えた場合, log {1-1/ (d-Δ) 2} 対 (L/R) は直線関係にあり, 勾配から求められるτ= (η12) /G2はγaの増加とともにd log τ/d log γa_??_-1の関係で減少した。
  • 山口 格, 前沢 次朗, 佐々木 栄一, 河本 正夫
    1973 年 30 巻 338 号 p. 331-335
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ナイロンのメタル化物を開始剤とするエチレンオキシドのアニオングラフト重合をテトラヒドロフラン中で行なった。重合は容易に進み, アミド基のメタル置換度0.1の場合, 60℃, 5時間でエチレンオキシドの転化率は100%に達した。グラフトポリマーの収量はモノマー初濃度の増大とともに増加するが, アミド基のメタル置換度を増加させたときには飽和現象が見られた。得られたグラフトポリマーをメタノールに対する溶解性に基づいて三区分に分離し, 各区分の生成量およびそれぞれに含まれるナイロン幹ポリマーの量に及ぼす反応諸条件の影響について調べた。
  • 高橋 璋, 高橋 史朗
    1973 年 30 巻 338 号 p. 335-340
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    硝酸第二セリウムアンモニウムを開始剤として, カルボキシル基, カルボニル基を含むセルロース試料にアクリル酸メチルをグラフト共重合させた。
    グラフト率は開始剤濃度が3~5mmol/lのとき最大値を示した。初期の重合速度から見かけの活性化エネルギーを求めると, 3.6~11kcal/molが得られた。わずかにカルボニル基を含む試料へのグラフト率および見かけの分岐数は増大するが, 10~30mmol/100gより多くなると, カルボニル基が増すにつれ減少した。カルボキシル基は重合に関与しない。
    これらのことから, カルボニル基はセリウム塩と水酸基のレドックス反応による重合開始に何らかの影響を及ぼし, C (2) またはC (3) の水酸基への重合が鎖末端へのそれより優先するものと考えられる。
  • 児玉 峯一
    1973 年 30 巻 338 号 p. 341-346
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    不規則形状シリカ粉末 (I), ガラスビーズ (II), ガラスマイクロバルーン (III) をそれぞれ充てんしたエポキシ樹脂複合材料の力学的性質を調べた。 (I) を用いた場合には (II), (III) を用いた場合に比べて硬化時に誘起された充てん材-エポキシ樹脂界面付近の分子鎖中の応力は大きくなる。 (I), (II) を用いた場合とは対照的に (III) を用いた場合には充てん材含有量が増すにつれてガラス域での貯蔵動的弾性率は小さくなる。シラン系カップリング剤を用いて表面処理を行なった (III) を用いると, ガラス-ゴム転移がゆるやかになり, 硬化時に誘起される応力はやや増加する。
  • 市川 幹雄, 坂元 隆一, 阿部 嘉宣, 牧島 邦夫
    1973 年 30 巻 338 号 p. 346-350
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ-L-グルタミン酸-γ-メチル (PMLG) 繊維を室温で延伸し, 延伸による分子構造の変化と動的粘弾性を研究した。試料の構造はX線回折と赤外吸収スペクトルによって決定した。未延伸試料の構造は主にα-ヘリックスであり, 延伸率の増加に伴ってα-ヘリックスからβ構造へ徐徐に転移することがわかった。最大可能な延伸率90%ではα-ヘリックス対β構造の比率が約3: 7であった。動的粘弾性はVibron DDV-I型粘弾性測定装置を用いて周波数110Hz, 温度領域-20℃から200℃で行なった。未延伸試料の動的弾性率E′は150℃以上で著しく減少した。動的損失E″およびtanδは夫延伸試料では0℃と150℃付近に極大値があった。E″の高温側の分散は延伸率の増加とともに減少した。これらの結果に基づいて, 0℃のE″の分散は側鎖の運動によるものであり, また150℃の分散はランダムコイル部分のセグメントの運動, あるいは非晶領域のα-ヘリックスの滑りの運動によるものであると推定した。
  • 森 邦夫, 中村 儀郎
    1973 年 30 巻 338 号 p. 351-356
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル (PVC) とエチレンジアミン多硫化水素 (EN・H2Sxx=3) をエチレンジアミン (EN), EN-ジグライムおよびEN-ベンゼン中で20~50℃, 0.5~5時間反応して, ポリスルフィド橋かけ鎖とヒドロポリスルフィド側鎖を含むPVC (PS-PVC) を得た。生成物のS含量はおもに反応温度, 反応時間とEN・H2Sx濃度の影響を受けた。PS-PVCの構造は元素分析, ヨウ素酸化前後の橋かけ鎖密度の決定から次式で示される。
    一方, PS-PVCのチオールによる切断を, テトラヒドロフラン中および熱ロール上 (125~180℃) で検討し, さらにブレンドPS-PVCの機械的性質も示した。
  • 森 茂郎, 岩月 誠
    1973 年 30 巻 338 号 p. 357-365
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    エチレンジアミン (EDA), N, N′-ジメチルエチレンジアミン (NN′DMEDA), N, N-ジメチルエチレンジアミン (NNDMEDA) などを開始剤とするD-グルタミン酸-γ-メチルエステルNCAの重合反応において, 重合体溶液の性質, 重合度, 重合速度などに対する開始剤の効果を調べた。NNDMEDAの場合は広範囲にわたり重合度規制を行なうことができ, 約8%以上の濃度で液晶構造が常に発現するため, ゲル化を生ずることなく, 濃度24%の濃厚溶液を得ることができた。これに対してEDAの場合は1%, NN′DMEDAの場合は4%以上の濃度でゲル化を生じた。初期重合速度式からEDA, NN′DMEDAの場合は第一アミン型重合であることが結論され, NNDMEDAの場合は第三アミノ基の触媒作用を受けたNCAとアミノ末端活性種との反応を推定した。
  • 森 茂郎, 岩月 誠
    1973 年 30 巻 338 号 p. 365-374
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    微量の水, あるいは比較的多量の水, アルコール, メルカプタンなどの共存下における第三アミンによるD-グルタミン酸-γ-メチルエステルNCAの重合を検討した。重合速度がNCA濃度に1次に比例すること, 重合速度が第三アミンの塩基性のみに単純に依存せず, 立体構造の効果が認められること, 水, アルコール, メルカプタンと第三アミンが共存する場合には, それぞれを単独に使用する場合よりも, 重合速度と最高重合率が上昇することなどの事実から, 水, アルコール, メルカプタンなどを活性種とする開始反応と, それに続く第一アミノ基末端活性種による生長反応が第三アミンにより促進される反応機構を推定した。
  • 梶原 鳴雪, 斎藤 肇, 斎藤 忠
    1973 年 30 巻 338 号 p. 374-376
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    直鎖状二塩化窒化リンオリゴマー (NPCl2) 6・PCl5を二塩化窒化リン三量体と五塩化リンから合成した。オリゴマーとCH3ONa, C2H5ONa, C6H5ONaおよびp-CH3C6H4ONaをジオキサンあるいはベンゼン溶媒中で反応させ [NP (OH3C) 2] 6・P (OH3C) 5 (I), [NP (OH5C2) 2] 6・P (OH5C2) 5 (II), [NP (OH5C6) 2] 6・P (OH5C6) (III) あるいは [NP (OH4C6CH3-p) 2] 6・P (OH4C6CH3-p) 5 (IV) の誘導体をえた。しかしながら, Friedel-CraftsあるいはWurtz-Fittig反応によってはほとんどフェニル誘導体はえられなかった。
    (I) ~ (IV) の生成物の加水分解率と熱安定性を化学分析と熱天びんで調べた。 (I) と (III) は (II) と (IV) よりも水に安定であった。また (I) は熱に対してもっとも安定であり, 置換基の熱安定性の順序はつぎのとおりであった。
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