ポリスルフィド側鎖を有するポリマーを合成する目的から, ポリ塩化ビニル (PVC), イオウおよびチオール間の反応に関して, アミンの存在下でのチオールとイオウ, およびこれに塩化ブチルまたは塩化ベンジルを添加したモデル反応, 温度および時間などの反応条件, 溶媒, アミンの種類およびチオールの種類から検討した。
ポリスルフィド側鎖を有するPVC (PS-PVC) はアミンによって活性化されたチオールとイオウの反応で生成したヒドロポリスルフィド (RS
xH, x≧2) とPVCの反応で得られるが, 反応温度の上昇および反応時間の延長によりイオウ含量は増加するが同時に着色とゲル化が認められた。
また, ジメチルホルムアミド以外の溶媒中では硫化水素の発性による副反応が起こるため目的のPS-PVCは得られにくい。チオールおよびアミンのp
Kaと反応性との間には一般的な規則性が認められなかった。
一方, PS-PVCのゲル化は反応初期の場合に塩化ベンジル処理により防止できるが, さらに反応が進行すると本法ではもはや防止できなかった。
PS-PVCのスルフィド側鎖のイオウ鎖数xは全体的に2が主体であるが, NMR分析および元素分析からの計算値から3~5も少量含まれることがわかった。
抄録全体を表示