高分子化學
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30 巻, 342 号
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  • 清造 剛, 馬場 巧, 西川 恵清
    1973 年 30 巻 342 号 p. 587-590
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    テトラクロルエタンとテトラクロルエチレンとの混合溶媒を用いて, 界面重縮合法によリナイロン66-610系の等モル割合の共重合体を合成した。また9種の溶媒を用いて, 界面重縮合法によりナイロン26-210系およびナイロン210-610系の等モル割合の共重合体を合成した。その結果, ナイロン66-610系ではブロック構造と溶媒の混合組成との間に相関関係が認められた。またナイロン26-210系は収率, 固有粘度およびナイロン26含量が低く, ブロック構造がナイロン66-610系と同様に溶媒によって顕著に相違し, 一方ナイロン210-610系は収率, 固有粘度およびナイロン610含量が高く, ブロック構造が溶媒によってほとんど影響されないことが判明した。そしてこれらの挙動が, 酸クロリドの加水分解速度, ジアミンの分配率すなわちジアミンの有機溶媒への拡散速度, および反応の選択性に基づいて説明できることを示した。
  • 自念 栄一, 鈴木 恵
    1973 年 30 巻 342 号 p. 591-598
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ナイロン6プラスチックおよびナイロン6に短かいガラス繊維を分散した複合材の母材の成形時の結晶構造の変化をX線広角回折によって検討した。ナイロン6はペレット状態では (200) および (002) 面からの強い反射を示すα形の構造であるが, 射出成形によって (110) 面からの反射によるγ形を主成分とした構造に変態し, 成形によって分子が解きほぐされていることがわかった。しかし繊維の混入によって (110) 面の半価幅は増加し, 格子定数は少し減少する傾向がみられた。この傾向は繊維重量混入率5%以下の低混入率側で強く現われる。成形の際冷却が早く進む場所, 溶融ポリマーの流動が激しい部分, 繊維混入率が高い試料ほどγ形の傾向を強く示す。また成形板の厚さ方向 (ほぼb軸方向) に繊維混入率に関係した弱いb軸配向が生じていることが熱処理試料の (200) および (002) 面の反射強度の相対的な変化からわかった。これは繊維界面で生じるせん断ずり応力が関係するものと思われる。
  • 佐枝 繁, 鈴木 理夫
    1973 年 30 巻 342 号 p. 598-604
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Ziegler触媒により合成したエチレン~プロピレン共重合体のcross-fractionationをカラム溶解法で行ない, 得られた区分の溶融粘性を測定した。
    分子量分別の区分のメチル分岐度は分子量に対してほぼ一定の値 (約10CH3/1000C) を示した。高分子量および低分子量を代表する二つの区分をさらに昇温分別したところ, これらはほぼ同じで, しかも狭い分岐度分布を示した。
    190℃におけるこれらのメチル分岐をもつ区分の零せん断粘度の分子量依存性は, 直鎖ポリエチレンの結果と良い一致を示した。したがってメチル分岐の効果は非常にわずかであることが明らかとなった。またこれらの結果をエチル分岐をもつポリエチレン区分の結果と対比し, からみ合いのモデルを用いて論じた。
  • 安藤 勲, 西岡 篤夫
    1973 年 30 巻 342 号 p. 604-608
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリメタクリロニトリル (PMAN) のモデル化合物としてメソおよびラセミ2, 4-ジシアノ-2, 4-ジメチルペンタンの13C化学シフトを, Popleの理論を用いてCNDO/2法により計算した。各炭素原子の化学シフトの順序は低磁場からCN, CH2, _??_, CH3の順序で, またCH2炭素の場合メソはラセミより高磁場, CH3はラセミがメソより高磁場に現われ, この結果はPMANの実測の順序と一致する。またCNDO/2法による全エネルギーの計算からメソのコンホメーションとして41が, ラセミとしてはTTがより安定であることがわかった。
  • 玉置 克之, 今井 邦昭, 西野 潤, 坂口 康義
    1973 年 30 巻 342 号 p. 608-616
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    水溶液中における種々の高分子カルボン酸によるCu2+の結合を, 可視吸収, 電位差滴定および粘度測定により検討した。一般に, (H+) の増加は, 結合したCu2+の量よりずっと小さかった。最大吸光度は, 電位差滴定データから算出したCu2+結合量にほぼ比例した。中和度の上昇に伴って, Cu2+結合量ははじめ増大し, その後極大値を経て減少した。固有電離定数の小さいポリマーは, より大きいCu2+結合性を示した。これらの結果に基づき, 高分子カルボン酸によるCu2+結合の機構を考察した。
  • 児玉 恒雄, 井手 文雄
    1973 年 30 巻 342 号 p. 616-622
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々の条件で, 非水エマルジョンを合成し, その性質を検討した。その結果, つぎのことがわかった。
    1) エマルジョンの粒子径および粘度は, 分散安定剤 (グラフトポリマー) の構造, 分散ポリマーの極性, 分散媒の極性, ビニルモノマーの滴下速度などによっていちじるしい影響を受けた。
    2) 非水エマルジョンは, 高分子量のポリマーを高濃度に含みしかも低粘度のエマルジョンであり, 水性エマルジョン型塗料と溶剤型塗料の両方の特徴を有していた。
  • 森 邦夫, 原田 均, 中村 儀郎
    1973 年 30 巻 342 号 p. 622-628
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリスルフィド側鎖を有するポリマーを合成する目的から, ポリ塩化ビニル (PVC), イオウおよびチオール間の反応に関して, アミンの存在下でのチオールとイオウ, およびこれに塩化ブチルまたは塩化ベンジルを添加したモデル反応, 温度および時間などの反応条件, 溶媒, アミンの種類およびチオールの種類から検討した。
    ポリスルフィド側鎖を有するPVC (PS-PVC) はアミンによって活性化されたチオールとイオウの反応で生成したヒドロポリスルフィド (RSxH, x≧2) とPVCの反応で得られるが, 反応温度の上昇および反応時間の延長によりイオウ含量は増加するが同時に着色とゲル化が認められた。
    また, ジメチルホルムアミド以外の溶媒中では硫化水素の発性による副反応が起こるため目的のPS-PVCは得られにくい。チオールおよびアミンのpKaと反応性との間には一般的な規則性が認められなかった。
    一方, PS-PVCのゲル化は反応初期の場合に塩化ベンジル処理により防止できるが, さらに反応が進行すると本法ではもはや防止できなかった。
    PS-PVCのスルフィド側鎖のイオウ鎖数xは全体的に2が主体であるが, NMR分析および元素分析からの計算値から3~5も少量含まれることがわかった。
  • 周 廣福
    1973 年 30 巻 342 号 p. 628-632
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メタ過ヨウ素酸ナトリウム (NaIO4) によるメタクリルアミド (MAAm) の水溶液重合を40℃で行なった。重合速度 (Rp) はMMAm濃度の1.4乗およびNaIO4濃度の0.5乗に比例した。重合の全活性化エネルギーは9.4kcal/molであった。重合中のNaIO4の分解は1次反応に従い, その分解速度定数とRpのpH依存性は互いに似た変化を示した。これらの結果より, 本重合はNaIO4のイオン種とMAAm分子よりなるコンプレックスが重合の開始反応に関与するラジカル重合であると推論し, 既報のNaIO4によるアクリルアミドの水溶液重合の結果と比較, 検討した。
  • 高瀬 巌, 福島 信次, 相田 博, 山田 正盛
    1973 年 30 巻 342 号 p. 632-637
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    9種のN-アルキル置換マレイミド (M2) とメタクリル酸メチル (M1) および酢酸ビニル (M1) とのラジカル共重合を行ない, マレイミドの重合反応性に及ぼすN-置換基の影響を検討した。ポリメタクリル酸メチルラジカルに対するN-置換マレイミドの相対反応性log (1/r1) のTaftプロットの結果, 極性反応定数ρ*≒-0.2が得られた。このモノマー反応性に対する置換基効果はマレイミド環の共役性の増大により説明された。ポリ酢酸ビニルラジカルに対するN-アルキルマレイミド類の相対反応性 (1/r1) については, 置換基の影響はほとんど認められなかったのに対し, 1/r2は電子供与性の増加するに従って減少した。1/r2, Q2およびe2とTaftのσ*定数の間にそれぞれ直線関係が認められた。これらの結果について若干考察した。
  • 周 廣福
    1973 年 30 巻 342 号 p. 637-641
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    熱処理によるポリアクリルアミド (PAAm) のイミド化反応を皮膜について, 180℃から240℃の温度範囲で行なった。イミド化反応速度は試料皮膜の熱処理温度に依存し, 原PAAmの重合条件, 平均重合度および熱処理時のふんい気には依存しないことを認めた。イミド結合生成の活性化エネルギーは35.0kcal/molであった。イミド化反応の最高反応率は85.7%であり, Floryが示した理論値86.5%とよい一致を示した。部分イミド化PAAmの水に対する溶解性, 膨潤性はイミド化の反応率によって左右されるが, 原PAAmの平均重合度にも依存することを認めた。部分イミド化PAAmの比重は, イミド化度にほぼ正比例して増大した。
  • 井手 文雄, 笹木 勲
    1973 年 30 巻 342 号 p. 641-648
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無水マレイン酸で変性処理したポリプロピレンとナイロン6をマトリックスとして, これにガラス繊維を充てんした樹脂組成物の分子構造と物性の関係を検討した。樹脂物性はガラス繊維-マトリックス間の接着性とマトリックス中におけるポリプロピレンあるいはナイロンの分散性によってとくに大きな影響を受ける。変性ポリプロピレンを介在させることにより分散性は向上するが, ガラス繊維との接着性は低下する。機械的性質は主として分散性が, また熱的性質は主として接着性が支配的因子となることが明らかになった。
    なお無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂組成物は, 均質で射出成形品の外観が優れておりナイロンの良好な機械的性質とポリプロピレンの耐水性を兼備した独特の性能を示す。
  • 馬越 淳, 笠井 暢民, 角戸 正夫
    1973 年 30 巻 342 号 p. 649-653
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    絹フィブロインの結晶化進行過程について, 絹フィブロイン水溶液を乾燥過程中に結晶化し, 結晶化が生ずる濃度は65%である。また乾燥温度によって分子形態が異なり, 0~45℃ではα型, 50℃以上ではβ型, 0℃以下ではβ型になることがわかった。一方まったく非晶性の試料作製に成功し, その密度は1.310であり, 絹フィブロインの結晶化度は35%前後であった。示差熱分析から絹フィブロインの吸熱ピークは300℃付近にあり, 絹フィブロインの分解を示すこともわかった。
  • 稲垣 訓宏, 笹島 邦彦, 勝浦 嘉久次
    1973 年 30 巻 342 号 p. 653-657
    発行日: 1973/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    亜リン酸セルロースの熱分解反応をTG, DTA曲線および熱分解残さのIRスペクトルの変化より追求した。
    リン含有率の増加につれて分解開始温度は低温に移動し, 残存重量は増大する。熱分解反応は2段階で進行し, 第1段階反応に亜リン酸セルロースの特徴が現われている。セルロースと結合した亜リン酸基は熱分解が始まる温度より, リン酸基へ変化し始め, 第1段階反応が終了した温度ですべてリン酸基に変化している。熱分解が進むにつれ, 炭素二重結合, ポリエン構造の生成がいちじるしいが, リン酸セルロースの場合と比べカルボニル基の生成が全くないこと, およびセルロースの崩壊が遅れることが特徴である。
    また, 亜リン酸セルロースはリン酸セルロースと同等の難燃効果があり, THPC処理した試料よりも難燃性が優れている。
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