これまでの研究に於て, 加硫ゴム中のチオケトン基を對象として行うケタヂン架橋及び後期架橋の現象を見るとき, その架橋の容勢さは次の3點にかゝつている事が推論される。
a) 加硫ゴム中に於て彈性に存効な架橋型硫黄の密度が小さいこと。
b) 分岐鋤及び末端部分を占める自由分子鎖の多いこと。
c) 上述せる條件内にあつて, 更にチオケトン碁の密度が多いこと。この報文では (b), 特に素練度の異なつたゴムに就て第2次架橋と弾性率變化の割合を追及した。その結果次の知見が得られた。
I) 素練りを多く行つて, ゴム分子をより激しく崩壊させたと考えられるゴム加硫物は第2次架橋による弾性率の増加割合が著るしい。
II) 素練りを少くしたゴム中へ素練過多の部分が加わると, それによつで出來た加硫物は, それだけ第2次架橋による粥性率増加割合が大になる。
III) この混練りに就ては, 原試料の一定伸率に於ける歪力億, 又は第2次架僑の一定時間後の歪力値は素練りの影響と相加的な關係を持つている。
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