結晶性重合體たるポリアマイドの轉移温度を測定する爲にアミラン, ナイロン及び兩者の共重合體の容積の温度變化を測定したが, 低温部と高温部に夫々膨脹係數の不連續となる温度が存在した。
ヤング率の温度變化は低温部に見出される不蓮續點附近において急激に變化するから, この温度は無定形高重合體について研究せられている第2次轉移温度である事が判る。
然しながら, 求められた第2次轉移温度は分子量の小なる試料程高く, Bqyer & Spencerの導いた式は妥當でない。これは結晶性の増大に伴う分子鎖 (セグメント) の回轉性の束縛に歸することにより理解せられる。
高温部の不連續點は結晶系の轉移温度に存する。結晶轉移は融解前驅現象として理解される事が必要で, この立場において3者の透電的性質を比較する事によつて, 既に發表せられたよりも尚立入つた考察を行う事が出來るようになる。
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