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西本 成志, 西内 悠祐, 奥村 勇人, 赤松 重則, 秦 隆志
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A-01-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/27
会議録・要旨集
オープンアクセス
ウルトラファインバブル(UFB)は直径1 μm未満の極微細気泡であり、ブラウン運動の影響により長期安定性を有するため、産業利用が進められている。一方で、UFBの測定にはナノ粒子と不純物の影響が避けられず、UFBの除去・不安定化に関する知見が求められている。本研究では、UFBの熱的不安定化に関する特性を明らかにするため、加温・冷却過程における粒度分布や溶存酸素(DO)の変化を測定した。
UFBは加圧溶解法および強せん断法により作製し、25℃で安定化させた後、40℃、60℃、80℃、100℃で1時間加熱し、室温までの放冷・急冷による影響を比較した。ナノ粒子トラッキング解析法を用いた測定の結果、UFBの粒度分布は加温によって変化し、特に80℃以上では粒径の増加が顕著であった。数密度の変化は、加温によるDOの減少に伴い一時的に増加し、その後減少する傾向を示した。特に急冷ではDOの減少が顕著であり、それに伴うUFBの二次的発生が示唆された。しかし、加温によりUFBが合一化し粒径が増大することで、最終的に数密度は低下した。
本研究により、UFBの熱的不安定化過程におけるDOとの関係が明らかとなり、UFBの産業応用に向けた熱安定性の基礎的知見を提供した。
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薬師 大耀, 浜辺 裕子, 上土井 幸喜, 二見 能資
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A-02-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/27
会議録・要旨集
オープンアクセス
牛乳は栄養価の高い食品であるが、光や熱、微生物の影響により保存中に品質が劣化する。従来、牛乳の成分変化は破壊的な抜取検査で評価されてきたが、非破壊での定量的な分析手法は限られている。本研究では、紫外可視近赤外吸収分光法(UV-Vis-NIR)、蛍光分光法(PL)、および赤外分光法(ATR-FTIR)を用い、開封後の牛乳成分の経時変化を非破壊的に測定する方法を検討した。
実験では、市販の牛乳をポリスチレン容器に移し、35℃で保存。保存期間中に目視観察と分光測定を行い、脂肪(1740 cm⁻¹)、タンパク質(1540 cm⁻¹)、乳糖(1038 cm⁻¹)の吸光度変化を記録した。結果として、外観の変化は5日目以降に確認され、乳脂肪とタンパク質の吸光度は5日以降に減少した。一方で、分子レベルの変化はより早期(脂肪は2日、タンパク質は3日)に観測され、これは牛乳の品質劣化の初期兆候を捉えた可能性を示している。
本研究は、非破壊分光法による牛乳の品質劣化の早期検出手法としての有用性を示唆し、安全で高品質な製品管理への応用が期待される。
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吉田 早耶, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 伊達 勇介, 青木 薫, 日野 英壱, Danchana Kaewta, 金田 隆
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C-01-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
マイクロ流体ペーパーベース分析デバイス(µPADs)は、環境分析や医療診断などの分野で活用が期待されている。µPADsは、試薬と分析対象の反応による発色を利用し、簡易かつ安価に分析を行えるため、特に設備や財源が限られた発展途上国において有用である。しかし、従来の流路形成にはワックスプリンターが用いられることが多いが、近年その製造が終了したため、新たな流路形成手法の開発が求められている。本研究では、天然樹脂であるロジンを用いたスプレーコーティングによる流路形成法を開発し、その特性を評価した。
実験では、ろ紙上にマスキングを施し、ロジン溶液をスプレー塗布することで流路を形成した。噴霧距離、噴霧回数、ロジンの溶媒条件を変化させ、最適な流路形成条件を決定した。さらに、作製したµPADsの耐酸・耐塩基性を評価するために、酸・塩基溶液を流路に導入し、形状維持性能を確認した。また、中和滴定を行い、従来法で作製したµPADsと比較した。
実験の結果、最適な流路形成条件は、噴霧距離7cm、エタノール溶媒を用いたロジン溶液の表裏5回噴霧であることが明らかとなった。また、1 mol/L HCl水溶液では流路形状が維持されたが、1 mol/L NaOH水溶液では疎水性バリアが破壊された。さらに、NaOH溶液を希釈した結果、0.01 mol/L(pH 9)以下では流路が維持されることが確認された。中和滴定の結果、従来法と比較してロジン溶液を用いた流路ではすべての検出部で呈色が確認された。
本研究により、ロジンを用いたスプレーコーティング法による流路形成が可能であることが示された。今後は、流路の耐久性向上や他の試薬との適合性についての検討を進め、より実用的なµPADsの開発を目指す。
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山田 諒祈, 伊達 勇介, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫
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C-17-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
日本国内では鶏卵の消費量が多く、それに伴い大量の卵殻が廃棄物として発生している。卵殻の一部はチョークや肥料として再利用されているが、大半は再資源化されずに廃棄されているのが現状である。卵殻は炭酸カルシウムを主成分とし、多孔質構造と卵殻膜による高い吸着特性を有しており、近年では環境改善材料としての活用が期待されている。本研究では、卵殻粉末を添加した石こう板を作製し、室内環境中に存在する匂い物質(アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒド)に対する吸着性能を評価した。
卵殻は洗浄・乾燥後に粉砕し、粒度250 μmおよび850 μmに分級したものを使用した。半水石こうに対して5〜20%の割合で卵殻粉末を混合し、型に流し込み養生後に石こう板を作製した。吸着試験では、所定のサイズに切り出した石こう板をガラス製デシケーターに設置し、匂い物質を導入した状態で30分ごとに濃度変化を測定した。
その結果、卵殻粉末を添加した石こう板はいずれの粒度・配合量においても成形が可能であり、特にアンモニアに対して顕著な吸着性能を示した。卵殻を含まない純粋な石こう板では吸着効果が見られなかったが、卵殻を20%添加した板では3時間にわたりアンモニアを吸着し続けた。卵殻膜に含まれるタンパク質がアンモニア吸着に寄与していると考えられる。なお、酢酸やホルムアルデヒドに対する吸着効果、および粒度や含有量との相関については、当日詳細に報告する。
本研究は、廃棄物である卵殻の有効活用を通じ、室内空気質の改善に寄与する機能性建材の開発に資するものであり、SDGsの観点からも意義のある取り組みである。
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井田 宗一朗, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 伊達 勇介, 青木 薫, Kaewta Danchana, 金田 隆
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C-19-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
アンモニアは工業や農業、生活排水などさまざまな場面で排出され、水質悪化や悪臭の原因となる環境問題物質である。特に発展途上国では水質管理のための設備・人材が不足しており、簡便かつ低コストでアンモニアを測定できる手法の開発が求められている。そこで本研究では、紙ベースの分析デバイス(μPAD)を用いて、インドフェノール法に基づくアンモニアの簡易検出法の開発を試みた。
分析デバイスは、Microsoft PowerPointで設計した流路をXerox社製ColorQube8580Nプリンターで印刷することにより作製した。疎水性インクによって親水性の紙に流路を形成し、試薬の拡散を制御する構造を持たせた。検出手順では、4種類の試薬を順番に滴下し、最後にサンプルであるアンモニア水溶液を加え、呈色反応を誘導した。
試薬滴下後、デバイスはスキャナー(Canon Canoscan LiDE400)で読み取り、RGB、HSV、Lab*、LCh、ΔEなどの色空間を用いた画像解析を行った。アンモニア濃度は0〜0.1 Mの範囲で設定し、特にc*(彩度)値との相関が高く、反応10分以内では決定係数R²≒0.95という高い直線性が得られた。反応時間の経過に伴って直線性はやや低下したものの、短時間での定量が可能であることが示唆された。
本手法は、高価な装置や専門的技術を必要とせず、迅速かつ安価にアンモニア濃度の測定が可能な点で、水質モニタリングの実用化に大きな可能性を持つ。今後は呈色強度や再現性の向上、他の水質指標物質への応用も視野に入れた改良を進める予定である。
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髙垣 怜生, 伊達 勇介, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫
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P-010-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
層状腹水酸化物(LDH)は、層間に陰イオンや水分子を取り込む構造を有し、高い陰イオン交換能から環境浄化材料としての応用が期待されている。しかし、粉末形態では取り扱いが難しく、固体化による利用範囲の拡大が課題である。電解紡糸(ES)法は、高電圧下でポリマー溶液を繊維化する手法であり、種々の無機材料との複合が可能である。本研究では、LDHをポリメタクリル酸メチル(PMMA)と共にTHF-DMF混合溶媒に溶解し、ES法により複合膜の作製を試みた。従来のCHCl₃-DMAc系溶媒ではLDHが溶解してしまうことが報告されており、溶媒の変更によりLDHの複合化を可能にすることが目的である。PMMA/LDH混合溶液を用い、押出量1.0 mL/hr、電圧25 kV、紡糸距離150 mmの条件で紡糸を行い、得られた膜についてSEMおよびFT-IRで評価した。得られた膜は白色の薄膜状であり、FT-IRではPMMAの吸収帯が確認された。SEM画像では、繊維状構造ではなくビーズ状の堆積が観察され、溶媒変更による粘度変化や吐出挙動の影響が示唆された。LDHの複合化とその条件最適化に向けた基礎的知見を得ることができた。
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松村 麻花, 藤井 貴敏, 伊達 勇介, 礒山 美華, 日野 英壱, 青木 薫
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P-013-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
紫外線(UV)は人体に有害な影響を及ぼすことが知られており、日焼け止めはその対策として広く用いられている。本研究では、紫外線感知ビーズを用いた簡易的かつ視覚的な日焼け止めの効果測定法を検討した。紫外線感知ビーズは、紫外線に応答して変色するフォトクロミック分子を含有しており、日焼け止めを塗布することでその呈色に変化が生じる。本研究では、市販されているSPF50+、PA++++の日焼け止め製品4種(A〜D)を感知ビーズに塗布し、同一条件で日光に曝露した後、ビーズの色変化をRGB値として画像解析した。特にG(緑)値を指標とし、G値が高いほど紫外線防御効果が高いと判断した。また、各製品の希釈溶液について紫外・可視分光光度計を用いて紫外線吸光特性を測定し、感知ビーズによる評価との相関性を検討した。その結果、ビーズの呈色は製品ごとに有意な差が見られ、紫外線防御性能の視覚的評価が可能であることが示唆された。ただし、感知ビーズによるG値の差異は必ずしも紫外線吸収特性と完全には一致せず、定量性に課題があることも明らかとなった。本手法は、簡便かつ非侵襲的に日焼け止めの効果を比較検討する教育的・啓発的手段として有用であると考えられる。
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土江 亜依美, 伊達 勇介, 藤井 貴敏, 礒山 美華, 日野 英壱, 青木 薫
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P-014-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
飲み物の味は、使用する容器や撹拌器具など接触する物体によって変化する可能性がある。本研究では、一般的な市販飲料であるカフェラテおよび日本酒を対象に、異なる材質の撹拌器具による風味変化を官能評価により比較検討した。撹拌器具として、消臭や不純物除去効果が期待される備長炭、酒器としての利用実績がある備前焼、金属製器具として一般的なステンレス薬さじ、さらに市販の「魔法のマドラー」を用いた。各試料を紙コップに注ぎ、説明書の条件に準じて10秒間撹拌し、未処理試料を基準に、香り・味の濃さ・甘み・酸味・飲みやすさ・口当たりの6項目について20代の被験者15名による5段階評価を実施した。カフェラテでは、いずれの器具でも大きな変化は見られず、未処理との評価値の差は小さかった。一方、日本酒では全体的に風味の向上が見られ、特に備長炭での飲みやすさ、ステンレス薬さじでの味の濃さが高評価となった。これは、材質との化学的相互作用だけでなく、撹拌による空気との接触や機械的混合の影響が風味変化に寄与している可能性を示唆する。飲料の種類や成分組成に応じて、物体との接触が味に及ぼす影響が異なることが示された。
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山本 健斗, 伊達 勇介, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫
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P-029-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
アルファ化米は、炊飯などの加熱によりデンプンを糊化させた後に乾燥させたもので、水やお湯を加えるだけで炊き立てのような食感が得られ、長期保存可能であることから非常食として広く利用されている。しかし、通常の炊飯米と比較して風味や柔らかさなどの食味が劣ることが課題である。本研究では、α化米の食味向上を目的として、炊飯前の米に対して低温下(-1.0℃)での浸漬処理を施すことによる影響を評価した。試験には鳥取県産コシヒカリ(2023年収穫)を用い、低温および常温下で6~24時間浸漬した後に炊飯し、強制対流乾燥機(80℃)で3時間乾燥してα化米を作製した。その後、熱湯で15分間蒸らし復元したα化米に対して、色・つや、甘み、柔らかさ、ねばり、香りの5項目について官能評価を行った。評価の結果、甘み、柔らかさ、ねばりといった食味に関する項目では、常温浸漬群の方が高評価を示した。一方で、低温浸漬群では米中心部への吸水が不十分であり、復元時に中心部に芯が残る傾向が見られた。これは、低温処理によって糊化が進みすぎたことで、米表面が水分の浸透を阻害したためと考えられる。したがって、低温浸漬によるα化米の品質向上には、復元時の調理条件(加熱方法や時間など)の最適化が必要であると示唆された。
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角 恭輔, 藤井 貴敏, 伊達 勇介, 礒山 美華, 日野 英壱, 青木 薫, 桑原 智之, 中原 浩平
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P-048-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
中海では干拓事業に伴う湖底の浚渫により、面積約8 km²の浚渫窪地が形成され、その内部では水の滞留により貧酸素状態が生じ、高濃度の栄養塩および硫化水素の溶出・蓄積が確認されている。従来、こうした窪地の埋め戻しには海砂や浚渫土が用いられてきたが、資源の確保や有機物再浮上といった課題がある。そこで本研究では、火力発電所由来の石炭灰をセメントで固化した石炭灰造粒物を埋め戻し材とし、2019〜2022年度にかけて段階的に埋め戻しが実施された窪地を対象に、栄養塩および硫化水素の溶出抑制効果とその持続性を検証した。調査は2021年から2024年にかけて実施され、埋め戻し完了地点および未実施地点において、水温・塩分・溶存酸素濃度を測定するとともに、直上水中のNH₄⁺-NおよびPO₄³⁻-P濃度を定量した。その結果、2022年に最大2.70 mg/L(NH₄⁺-N)および1.89 mg/L(PO₄³⁻-P)を記録した地点において、2024年にはそれぞれ0.39および0.24 mg/Lまで低下し、底質からの栄養塩溶出が顕著に抑制されたことが確認された。本結果より、石炭灰造粒物を用いた埋め戻しは、少なくとも埋め戻し後2年間にわたり有効な溶出抑制効果を示すことが示唆された。
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仲西 美月, 藤井 貴敏, 礒山 美華, 伊達 勇介, 日野 英壱, 濵田 竜生, 青木 薫, 石谷 朱理, 安田 優
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P-049-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
米子水鳥公園内に位置するつばさ池は、中海干拓地の一部を活用した汽水の人工湿地であり、野鳥の重要な生息地として知られている。しかし、鳥類の排泄物などによって藻類の大量発生や硫化水素の発生、浮泥の堆積が進行しており、水質悪化が問題となっている。本研究では、つばさ池の栄養塩(全窒素・全リン)濃度を低減し、水質を改善するために、2つの手法の効果を検証した。第一に、池水をヨシなどの抽水植物が生育する沿岸土壌へ散水し、植物および微生物による浄化を図る散水ろ床法を導入した。第二に、水中型ファインバブル発生装置を設置し、酸素供給による底質改善と有機物分解の促進効果を評価した。2024年4月から9月にかけて実施した調査により、散水ろ床法は全窒素6.27 kg、全リン0.96 kgの除去効果を示し、栄養塩濃度の有意な低下が確認された。また、ファインバブル装置設置周辺では酸化還元電位(ORP)の上昇およびベントスの出現数・種類数の増加が観察され、底質の有機物分解環境が改善されたと考えられる。これらの結果は、散水ろ床法とファインバブルの併用が都市型湿地の水質浄化に有効であることを示唆している。
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砂山 遥香, 藤井 貴敏, 礒山 美華, 伊達 勇介, 日野 英壱, 青木 薫, 口田 知則
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P-050-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
中海における水質悪化の要因として、外部からの流入負荷が全体の約8割を占めるとされ、特に米子湾に流入する加茂川および新加茂川の影響は顕著である。本研究では、両河川における流量(Q)と汚濁負荷量(L)の関係を明らかにし、河川ごとの汚濁特性を評価した。調査は無降雨日の平常時に実施し、下流部に位置する天神橋(加茂川)および西大谷橋(新加茂川)を調査地点とした。水温・塩分・pH・DO・ORPなどの基本水質項目に加え、COD、全窒素、全リンの濃度を測定し、流量との乗算により負荷量を算出した。得られたL-Q式(L = aQ)に基づき比較した結果、新加茂川では流量に対するCOD負荷量の増加傾向が顕著であり、農地からの非特定汚染源の影響が大きいことが示唆された。一方、加茂川は日野川の水を取り入れた旧市街地を流下する河川であり、環境基準に適合した比較的安定した水質が得られた。これらの結果から、新加茂川流域における農薬使用量の抑制や水田管理の改善が、米子湾の水質改善に有効であると考えられる。
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中澤 花, 伊達 勇介, 藤井 貴敏, 礒山 美華, 日野 英壱, 青木 薫
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P-051-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
キトサンは生分解性を有する塩基性高分子多糖であり、環境調和型材料として注目されている。本研究では、キトサンが水中生物を誘引する性質を持つかどうかを明らかにするため、汽水域においてその付着性についての基礎的検討を行った。検証には4種の異なるトラップを用いた。(a) キトサン固体、(b) キトサン酢酸塩を噴霧しアンモニア水で固定したウッドチップ、(c) アンモニア水のみを噴霧したウッドチップ、(d) 未処理のウッドチップを、それぞれ11月下旬から12月上旬にかけて中海干拓地内の承水路に6~9日間沈設し、捕獲された生物種と生体数を比較した。また、同水域の環境水を用いた室内実験も実施し、キトサン固体の有無による微生物量の変化も観察した。結果として、キトサンを用いたトラップでは、未処理のものに比べて顕著に多くの生物が捕獲され、キトサンによる誘因効果が示唆された。特に、溶解性の低いキトサン固体にはスジエビ科、溶解性の高いキトサン酢酸塩にはハゼ科の出現が目立った。これらの結果から、キトサンの形態に応じた選択的な誘因効果が存在する可能性が示された。
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内藤 すず, 伊達 勇介, 藤井 貴敏, 礒山 美華, 日野 英壱, 青木 薫
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P-052-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
髪の乾かし方は日常的な行為であり、毛髪の健康と美しさに大きな影響を与える。本研究では、髪をより美しく保つための乾燥方法として、自然乾燥、温風ドライヤー、温風+冷風ドライヤー、半乾きの4種類の方法を比較検討した。対象は染髪・パーマ歴のない11歳女性の毛髪とし、等量の洗髪・トリートメント後に異なる乾燥方法で処理を行った。乾燥後の毛髪について、見た目と手触りのアンケート調査、SEM(走査型電子顕微鏡)によるキューティクル観察、TG-DTAによる水分量の熱分析を行った。アンケート結果では温風+冷風ドライヤー乾燥が最も好評価であり、次いで自然乾燥が高評価を得た。SEM観察では自然乾燥でもキューティクルの損傷が確認され、特に冷風併用ではキューティクルの損傷が大きい傾向が見られた。冷風は温風との温度差で一時的にキューティクルを閉じる効果があるが、熱の影響が蓄積すると損傷の原因となる可能性がある。本研究は、日常的なヘアケアの一環として、髪の乾かし方が毛髪の質に与える影響を多角的に検証し、美髪を保つための科学的根拠の提供を目的とする。
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稲毛 玲優, 伊達 勇介, 磯山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫, 宮脇 孝志
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P-056-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
鳥取県西部の弓ヶ浜半島では、トクナガクロヌカカおよびイソヌカカによる刺咬被害が問題となっている。近年、耕作放棄地の増加に伴い幼虫の生息域が拡大しており、被害の増加が懸念されている。本研究では、耕作放棄地における双翅目幼虫の発生抑制対策として、草刈りおよび苦土石灰散布の効果を検証した。米子市彦名町内の3地点(未対策区HO、1回対策区HA、2回対策区HB)を設定し、4月から10月にかけて週一回の土壌採取による幼虫の生息状況調査を行った。その結果、対策を実施した地点では幼虫の採取数が減少し、特に草刈りを2回実施したHB区では大幅な減少が確認された。Mann-WhitneyのU検定により、未対策区と2回実施区の間に有意差が認められた。複数回の草刈りにより地温が上昇し、最大50℃にも達したことがヌカカの生息しにくい環境の形成につながったと考えられる。
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林 大飛, 伊達 勇介, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫, 村上 陽生, 石倉 俊一
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P-057-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
弓ヶ浜半島では、トクナガクロヌカカおよびイソヌカカによる刺咬被害が報告されているが、米子市に隣接する境港市における生息状況の調査はこれまで行われていなかった。本研究では、境港市6地点および米子市1地点を対象に、4月下旬から7月下旬にかけてヌカカ成虫の採取調査を実施し、両市における発生状況の違いを比較した。その結果、境港市の全6地点でトクナガクロヌカカの生息が確認され、同市内に広く分布していることが明らかとなった。また、イソヌカカも境港市内の広範な地点で確認され、米子市と比較して発生頻度が高い傾向が認められた。両市ではヌカカの種類、発生数および発生時期に違いがあり、生育環境、特に地温や土壌環境の違いが影響している可能性が示唆された。
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大家谷 空美, 伊達 勇介, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫, 宮脇 孝志
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P-058-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
ヌカカ類は刺咬性および吸血性を持つ種を含み、鳥取県西部の弓ヶ浜半島では毎年5~7月にかけて刺咬被害が報告されている。とくにトクナガクロヌカカとイソヌカカの2種が確認されているが、後者の生息状況に関する報告は少なく、防砂林などの未調査地域も存在する。本研究では、弓ヶ浜半島の防砂林におけるトクナガクロヌカカを中心とした双翅目幼虫の生息状況、ならびに境港市におけるイソヌカカの幼虫生息状況を調査した。防砂林では4地区を選定し、日向および日陰で土壌サンプルを採取、飽和食塩水分離法により双翅目幼虫の個体数を計数した。5月から6月にかけて発生のピークが見られたが、地温上昇に伴って個体数は減少した。一部の地点ではその傾向に当てはまらない例も見られた。日陰の方が総じて個体数が多い傾向にあったが、地温との明確な相関は確認されなかった。また、イソヌカカの調査では、3地点中1地点(SW)でのみ生息が確認され、汽水環境との関係が示唆された。本研究は、ヌカカ類の生息実態を解明し、防除対策の基礎資料として有用である。
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有松 直人, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 伊達 勇介, 青木 薫, Kaewta Danchana, 金田 隆
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P-062-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
オープンアクセス
環境水中の亜硝酸イオンは不安定なため、採取後できるだけ早く分析する必要がある。本研究では、紙を基材とした層状の分析デバイス(μPAD:microfluidic paper-based analytical device)を用いて、簡便かつ迅速な亜硝酸イオンの検出法の開発を試みた。流路はPowerPoint上で設計され、ワックスプリンターで疎水性のパターンを形成し、親水性の紙上に流路を作成した。複数段(7~10段)の紙を重ねて構成したμPADに、グリース反応を用いて亜硝酸イオンを呈色で検出した。段数の違いによる検出への影響を調査した結果、段数が多いほど標準偏差が大きくなる傾向があり、7段構成が最適であると判断された。また、硝酸イオンの感度向上を図るため、塩化マグネシウムおよび塩化ナトリウムを加えた酢酸溶液をμPADに添加し、還元効率への影響を検討した。その結果、亜硝酸塩溶液では呈色強度の上昇が確認されたが、硝酸塩溶液では有意な変化が認められなかった。従って、硝酸イオンの検出にはさらなる条件検討が必要である。本研究は、簡易な現場分析技術としてのμPADの有用性を示すものであり、環境モニタリングへの応用が期待される。
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吉田 花梨, 伊達 勇介, 礒山 美華, 藤井 貴敏, 日野 英壱, 青木 薫
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PJ-07-
発行日: 2025/01/25
公開日: 2026/02/13
会議録・要旨集
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ホウ素は半導体材料やガラス、殺虫剤など幅広い分野で利用されている一方で、植物や昆虫に対する毒性が高く、水環境や土壌環境の汚染源となる可能性がある。現場で迅速かつ簡便にホウ素濃度を測定する手法の開発が求められる中、本研究では層状複水酸化物(LDH)に蛍光試薬であるクロモトロープ酸(CTA)を複合化した新規ホウ素センシング材料の作製とその評価を行った。まず、炭酸イオン型Mg-Al系LDHを酢酸イオン型に変換後、CTAおよび界面活性剤C4Sを添加し、CTA/LDH複合体およびCTA/C4S/LDH複合体を合成した。XRD測定では、CTA濃度の増加により層間距離の変化が確認され、FT-IRでは構造変化の兆候が観察された。蛍光測定では、CTA(0.1% AEC)/LDH複合体が最も高い蛍光強度を示し、溶存ホウ素量に比例した応答を示すことから、pH 6.0環境下において良好な定量性が確認された。一方、CTA濃度が高すぎると分子間会合による消光が起こり、蛍光強度が低下した。C4Sを導入した複合体では、層間の空間確保に効果があったが、ホウ素との反応性が低下する傾向がみられた。以上より、CTA(0.1%)/LDH複合体は、簡易かつ高感度なホウ素検出材料として有望であることが示された。
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