口腔病学会雑誌
Online ISSN : 1884-5185
Print ISSN : 0300-9149
84 巻, 3 号
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原著
  • 則武 加奈子, 鶴田 潤, 礪波 健一, 梅森 幸, 小田 茂, 俣木 志朗, 荒木 孝二
    2017 年 84 巻 3 号 p. 103-110
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2024/09/14
    ジャーナル フリー

     東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部では歯学部歯学科5-6年次学生に対して, 医療面接と診断能力の向上を目的とした臨床実習 「初診時医療面接実習 (初診実習) 」 が行われている。本実習では, 学生は初診来院した患者を対象に, みずから患者に医療面接と診察を行い, 得られた情報から診断する。指導教員は, チェックリストと概略評価から構成される評価シートを用いて学生を評価する。本研究では, 学部学生の医療面接と診断に対する教育法と評価法の改善を目的に, 実習開始時と終了時における学生の医療面接と診断能力の変化を調査した。112名の学生の初回時と終了時の初診実習時に教員が使用した評価シートの分析と, 初診実習に使用した評価シートの評価項目の適切さに対する考察を行った。その結果, 実習が進むにつれチェックリストの合計点と, チェックリストのうち6項目の到達度は有意に増加したが, 医師-患者関係, 診断に関連する3項目の到達度は終了時においても不十分であることが明らかとなった。また, 実習の到達目標に含まれる説明や医師-患者関係構築を評価する項目に不足が認められた。これらの結果から, 学生が収集した情報を適切に初期診断へ活用できていない可能性が明らかとなり, 特に学部学生に対する診断能力の向上に寄与する有用な教育方略を今後検討する必要性が明らかとなった。

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