口腔病學會雜誌

余ハ齒牙琺瑯稜柱ノ部位的竝ニ層的比較ヲ豫メ決定シ置キタル測定規準部位ニ於テ「ミクロメータ」ヲ用ヒテ測計セル結果ヲ比較對照セリ。而シテ其ノ齒牙琺瑯稜柱ハ各動物ニ於テ右記ノ如キ成績ヲ示ス事ヲ知レリ。
(I) 琺瑯稜柱ハ象琺瑯境界ヨリ漸次琺瑯質外面ニ行クニ從ヒ其ノ厚徑ヲ増大ス。
(II) 齒牙先端部ヨリ漸次齒ニ行クニ從ヒ稜柱厚徑ヲ増大ス。

抄録全体を表示

各種動物齒牙琺瑯稜柱厚徑ニ關スル詳細ナル研究報告殆ドナシ余ハ第一編ニ於テ齒牙自髓ノ稜柱厚徑らヲ一定規準ヲ決定シ測徑セル結果ヲ報告セリ。更ニ本編ニ於テ各種動物齒牙琺瑯稜柱厚徑ヲ動物相互間ニ如何ナル差異アル矣ヲ比較考究セリ。今其ノ成績ヲ擧グレバ次ノ如シ。
(1) 何レノ動物齒牙ニ於テモ稜柱厚徑ハ表面が最大徑ヲ有シ深層部ニ到ルニ從ヒ漸次其ノ厚徑ハ減少ス。
(2) 尚齒頸部ト先端部ヲ比較スルニ齒頸部ノ方大ナル厚徑ヲ具備ス。
(3) 動物別相互間ニ於テハ犬齒牙琺瑯稜柱最大厚徑ヲ有シ次ニ猫人豚猿牛ノ順序ナリ。

抄録全体を表示

齒髓治療ニ齒牙象牙質粉ヲ應用セル研究ニ關シテハ最近幾多歐米諸學者ノ發表ヲ見ルモ本邦ニ於テハ未ダ是等ノ研究ハ極メテ尠ク, 殊ニ臨牀的應用ニ就テハ殆ドナシ。依ツテ余ハ本問題ニ就テ追究補遺ヲ試ミタリ。即チ臨牀實驗ニ於テ深在齲蝕, 露出齒髓, 輕度齒髓炎43例ノ治療ニ象牙質粉ヲ應用ジタルニ, 豫後不良ナルモノ3例ニシテ他ハ極メテ良好ナル結果ヲ得。ソノ「レ」線的観察ニ於テ21%ハ明ニ齒髓竝ニ周圍組織ノ石灰樣物質ノ沈著ヲ認メタリ。次テ, 動物實驗ノ組織學的檢索ニ於テハ齒髓ノ損傷輕度ナルモノ及ビ幼若動物ニ於テ齒髓ニ石灰樣沈著ヲ來シ, 治癒的傾向ヲ示セルモ, 齒髓ノ損傷大ナルモノハ結局齒髓壞疽ノ運命ニ陷レリ。

抄録全体を表示

抄録を表示する抄録を非表示にする

昭和5年ヨリ同10年ニ到ル6ケ年間ニ於テ東京帝國大學醫學部齒科「クリニツク」ニテ根管治療ヲ行ヒ根管充填ヲ爲セルモノ、内542症例ニ就キ「レ」線像ヲ撮影シ, 根管充填直後ノ「レ」線像ト比較檢討シ其生ズル變化ヲ觀察セル結果ハ根管充填前暗影像ヲ認メラレザルモノ、暗影像出現百分率ハ逐年的ニ増加シ其程度モ強度ヲ示セリ。齲蝕ト齒髓炎ノ後者ニ於テ暗影像出現率高度ヲ示セリ。齒髓抽出法ノ相違ニ就テハ局所麻醉ヨリ亜砒酸ニ依ルモノガ暗影像出現卒高度ヲ示セリ。根管充填前暗影像ヲ有スルモノニ就テハ増大セルモノ40%, 減少或ハ消失セルモノ43.1%, 變化ヲ生ゼザルモノ13.1%, 増減兩樣ヲ示スモノ3.1%ヲ示セリ。根管充填前暗影像ヲ有セザルモノハ根管充填完全ナルモノガ良結果ヲ示シ, 根管充填前暗影像ヲ有セルモノハ根管充填不足ノモノニ良結果ヲ示セリ。治療囘數ト暗影像出現トノ間ニハ特殊ナル關係ハ有セズ。前齒ト後齒ノ比較ハ根管充填前暗影像ヲ有セザルモノニハ著差ハ無ク, 根管充填前暗影像ヲ有スルモノハ前齒部が良結果ヲ示セリ。白堊質ノ肥大竝ビニ吸收ハ根管充填前暗影像ヲ有スルモノニ多ク認メ得タリ。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (2122K)

J-STAGEへの登録はこちら（無料）