口腔病学会雑誌
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41 巻, 1 号
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  • 第1報軟口蓋造影X線規格写真撮影法について
    吉田 広
    1974 年 41 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    鼻咽腔閉鎖不全症例の鼻咽腔諸組織の形態および機能を明らかにするため, その一端として健常者36名, 口蓋裂手術後症例46例, および明瞭な口蓋裂が認められないにもかかわらず開放性鼻声を示す, 口蓋裂以外の先天性鼻咽腔閉鎖不全症例34例の3群を対象として本研究を行なった。本報ではそれら症例について, 側方頭部X線規格写真撮影法, 永久磁石利用の側方頭部X線規格写真撮影法, 軟口蓋造影X線規格写真撮影法 (各種の造影剤を使用した著者考案の側方頭部X線規格写真撮影法) , 頭部正中矢状面の断層撮影法, および側方頭部X線映画法を用い, 軟口蓋, 咽頭後壁等, 鼻咽腔軟組織部分の形態, ならびにそれらに近接する硬組織として硬口蓋を対象としてX線写真撮影を行ない, どの撮影法が鼻咽腔諸組織の形態を明示するのにもっとも適しているかを比較検討した。
    その結果, 造影剤を使用した軟口蓋造影撮影法による成績が良好であった。
    また, 本研究に使用した5種の造影剤 (コンレイ, 76%ウログラフィン, 硫酸バリウム, プロピリオドン水性懸濁液, プロピリオドン油性懸濁液) のうちでは, プロピリオドン油性懸濁液, 造影性, 刺激性, 粘稠性, 停滞性の点もっともすぐれていた。
    撮影条件については管電圧80kVpの場合に鼻咽腔諸組織が明瞭に描出された。
    結論として, 管電圧80kVp, 焦点―フイルム間距離165cm, 露出約20mAsでプロピリオドン油性懸濁液 (油性ディオノジール) を使用した軟口蓋造影X線規格写真撮影法が, いずれの症例においても, 軟口蓋, 咽頭後壁の形態, および硬口蓋の長さを描出するのにもっとも適していた。
    本法により, 従来X線学的にその描出が非常に困難であった, 口蓋裂以外の先天性鼻咽腔閉鎖不全症例の軟口蓋, および口蓋垂の形態が明示された。さらに, 本造影剤の軟口蓋の形態への影響に関して, 健常者7名について, 造影した場合と造影しない場合のX線写真所見を比較検討したところ, 軟口蓋の計測値の差は, 長さで0.4±0.6mm, 厚さで0.3±0.4mmと小さく, 造影剤の使用による軟口蓋の変化はほとんど認められなかった。
  • 第2報鼻咽腔閉鎖不全症例の鼻咽腔諸組織の形態ならびに動態観察について
    吉田 広
    1974 年 41 巻 1 号 p. 21-58
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    鼻咽腔閉鎖不全症例の鼻咽腔諸組織の形態および動態を検索することを目的として健常者 (N群) 34名, 口蓋裂手術後言語良好症例 (CP-g群) 16例, 口蓋裂手術後言語不良症例 (CP-p群) 33例, 口蓋裂以外の先天性鼻咽腔閉鎖不全症例 (VI群) 32例を対象とし, 前報で述べた軟口蓋造影X線規格撮影写真について, 以下に述べる諸項目を測定し, それらを比較検討した。その結果, 安静時では, 硬口蓋の長さのうち後鼻棘より前鼻棘までの距離はN群に比して, 他の3群は顕著に短かかった。軟口蓋の後鼻棘より口蓋垂尖端部までの長さ, 翼口蓋窩最下点部より口蓋垂尖端部までの長さ, および軟口蓋の厚さともN群に比して他の群は短かく, 後鼻棘より口蓋垂尖端部までの軟口蓋の長さと厚さとの問には相関関係がみられた。しかしCP-p群およびVI群では個々の症例による計測値の偏差が大きく, 後鼻棘より口蓋垂尖端部までの長さと厚さとの相関関係は認められなかった。また咽頭後壁の位置についてはN群, CP-p群, VI群の間に差がみられず, CP-g群だけが以上の3群より小さい値であった。アデノイドについてはN群, CP-g群では, CP-p群, VI群に比較して小児においてIII類が多くみられた。軟口蓋の長さと咽頭腔の深さとの比はN群, CP-g群とも同様な値であったが, CP-p群, VI群ではN群と比較して小さい値であった。
    一方, 機能時では軟口蓋の伸展率, 肥厚率, 挙上域ともN群が大きく, ア発声時とイ発声時とで差が見られた。CP-g群の伸展率, 挙上域は, N群のそれらに次いで大きいが, 肥厚率は最も小さかった。CP-p群, VI群は, 3者とも低い値であり, また各機能時で差がみられなかった。軟口蓋の伸展率と挙上域および肥厚率と挙上域との各相関関係はN群のイ発声時, blowing時のみに認められた。しかし咽頭後壁の運動範囲は小さく, 個人差が大きかった。Passavant隆起については, CP-p群で発生頻度が最も高く, 顕著な3度の症例が多くみられた。側面像での鼻咽腔閉鎖所見をみるとN群, CP-g群とも軟口蓋と咽頭後壁との距離が短かく, イ発声時, blowing時では接触している者が多くみられ, ア発声時との間に差を認めた。しかしCP-p群, VI群では両者が広い距離で開放している症例が多く, さらに各機能時で差がみられなかった。鼻咽腔閉鎖の位置ついてはN群に比して各群とも低位置であった。
  • 弓削 朝子, 馬場 久衛, 加藤 敬子, 宮脇 映子
    1974 年 41 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    乳歯環状う蝕とその歯垢中のレンサ球菌, 特にStrep. mutansとの関連性を追求するために3歳児の無う蝕児29名と環状う蝕歯牙保有児30名について歯垢中のレンサ球菌並びに歯垢の酸産生力の比較を行ない, また両者の関連性について検討した。その成績は, 歯垢中の全レンサ球菌数の平均値は環状う蝕児群は無う蝕児群より極めて高い値を示した。また, Strep. mutansの検出率並びに全レンサ球菌に対する比率において, 環状う蝕児群は有意に高い値を示し, Strep. sanguisでは逆に無う蝕児群の方が高い値を示した。歯垢を糖加培地に培養した場合に環状う蝕児群の方が強い酸産生力を示した。またう蝕の程度並びに歯垢の酸産生力とStrep. mutansの比率および菌数との間に正の相関々係がみられた。歯垢を培養した糖加培地にはStrep. mutansの増殖とともにpHの低下がみられた。
  • 茂木 克俊, 松尾 孝彦, 伊東 節子, 安住 佑一, 上野 正
    1974 年 41 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 茂木 克俊, 松尾 孝彦, 伊東 節子, 安住 佑一, 上野 正
    1974 年 41 巻 1 号 p. 74-76
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 浜田 和家
    1974 年 41 巻 1 号 p. 77-90
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    Sj隸grenQの成り立ちを検討する目的で, ウサギを用いて同症候群様病変の作成に関する実験的研究を行なった。すなわち, 正常ウサギおよびウシ血清アルブミンで過免疫状態にしたウサギを, 同種ウサギの唾液腺および涙腺から抽出した細胞質膜系リポ蛋白で長期間免疫した。その結果, 過免疫状態のウサギの血清に, 抗唾液腺リポ蛋白抗体およびリウマチ因子などの検出, ならびにγ-グロブリン値の上昇などの免疫異常状態が出現した。また, 組織学的には, 唾液腺および涙腺に, 細胞浸潤, 腺組織の萎縮ないしは消失, 小導管の拡張および線維の増加などの諸変化が観察された。しかし組織学的変化は全般的に弱く, 定型的なSj隸grenQ患者の唾液腺にみられる中等度以上の細胞浸潤, 導管上皮の増殖および筋上皮島の形成などの所見は得られなかった。
  • 高橋 雄三
    1974 年 41 巻 1 号 p. 91-108
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    慢性再発性アフタ, Behçet病, Sj隸grenQおよび口腔癌の4疾患患者について血清中Secredory IgAを測定し, また, 対照として健康成人, 授乳中の女性, 慢性関節リウマチ, 胃癌, 乳癌, 肺癌, 肝癌, 肝炎, 肝硬変およびIgA骨髄腫についても同様の測定を行なった。測定方法はSecretory IgA感作血球および抗free Secretory Component抗体を用いた受身赤血球凝集阻止反応である。なお, 標準Secretory IgA量は精製Secretory IgAをPartigen IgA平板で定量した値で表わした。得られた結果は以下のようであった。
    1.健康成人 (65名) の定量平均値は1.50μg/mlであり, 授乳中の女性 (5名) のそれは7.56μg/mlであった。
    2.慢性再発性アフタ (18名) および口腔癌 (22名) の平均値は, それぞれ1.53μg/mlおよび1.80μg/mlで健康成人との間に推計学的に有意差はみられなかった。また, 同様の傾向は乳癌 (3名) および胃癌 (6名) にもみられた。
    3.肝転移が疑われた口腔癌の1例は12.01μg/ml以上で, 胃癌の肝転移 (5名) , 肝癌 (6名) および肝炎 (4名) 等の肝疾患群と同様の著しい増量がみられた。
    4.Behget病 (26名) およびSj隸grenQ (13名) の平均値は, それぞれ2.22μg/mlおよび2.91μg/mlで, 健康成人および慢性再発性アフタよりも高値であった。慢性関節リウマチ (20名) の平均値は2.58μg/mlで, Sj隸grenQよりやや低い傾向がみられた。
    5.肺癌 (7名) およびIgA骨髄腫 (3名) の平均値は, それぞれ3.17μg/mlおよび4.60μg/mlであった。
    6.Behget病における血清中全IgA量とSecretory IgA量の問には相関は認められなかった。
    7.以上の結果より, 血清中Secretory IgAの増量の有無は, これら諸疾患の進展ないしは展開をうかがい知る1つのparameterになるものと考えられた。
  • 第II報衝撃滑走式摩耗試験機による各種材料を組み合わせた場合の摩耗について
    地挽 英彦
    1974 年 41 巻 1 号 p. 109-128
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    増原, 平沢考案のMH衝撃滑走式摩耗試験機を使用し, 第2燐酸カルシウム, 酸化鉄, アルミナ, 酸化クロムの各グリセリン懸濁液を介在させ, アクリリックレジン, ポーセレン, 金合金, 銀合金および金銀パラジウム合金の5種類の人工歯冠材料を各種組み合わせた場合の摩耗量を測定して得られた結果を要約するとつぎのようになる。
    1) 同種材料を組み合わせた場合の摩耗量は, 同一条件で比較すると, ポーセレンが最小で, それについで金合金, 金銀パラジウム合金, 銀合金の順に大きくなり, アクリリックレジレが最大である。材料の摩耗量はそのかたさと逆比例する。条件の相違により, 多小の差はあるが, アクリリックレジンの摩耗量は, ポーセレンの20倍以上の値を示す。
    2) アクリリックレジンの摩耗量は, 同種材料を組み合わせた場合より, 異種材料と組み合わせた場合の方が小さい。これに対してポーセレンは逆に異種材料と組み合わせた場合と比較して, 同種材料を組み合わせた方が小さい傾向がみられるが, その差は僅かである。
    3) 一般に各組み合わせにおける金属材料の摩耗量は, アクリリックレジンとポーセレンの中間に位置するが, 金合金, 金銀パラジウム合金の摩耗はポーセレンの摩耗に近似して小さく, これに対して銀合金の摩耗はアクリリックレジンのそれに近い傾向を示している。
    4) 一, 二の例を除いて, 介在物の摩耗に与える影響は全ての材料に対して同じ傾向を示す。すなわち, 第2燐酸カルシウム, 酸化鉄, アルミナ, 酸化クロムの各懸濁液の順に摩耗量が増大し, ほぼ研摩材のかたさに比例する。
  • 大山 紀美栄
    1974 年 41 巻 1 号 p. 129
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 中島 捷行
    1974 年 41 巻 1 号 p. 130
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 村松 篤良
    1974 年 41 巻 1 号 p. 131
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 水谷 紘
    1974 年 41 巻 1 号 p. 132
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
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