交通学研究

高齢社会と道路交通からのCO₂排出量－クズネッツ曲線を用いた接近－

岡田啓

2009 年 52 巻 p. 51-60
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_51

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近年、UNFCCCの統計などから、交通部門のCO2排出量が頭打ちとなり、そして減少する国・地域を見つけることが出来る。交通部門のCO2排出量が減少しはじめた国々は、高齢社会である。そこで、本研究は、高齢化率と道路部門（旅客と貨物を含む）一人当たりCO2排出量に関係があるのか定量的に検証している。そして、実証分析の結果、所得で45,200～45,400米ドル（2000年PPP）、高齢化率で20.6～20.9%を頂点とする逆U字の関係があることが分かった。最後に、この分析結果をもとに、日本への政策インプリケーションを提示している。

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高齢者に対する道路交通安全対策の検討‐交通政策からみた交通事故抑止対策の分析‐

後藤孝夫

2009 年 52 巻 p. 61-70
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_61

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本稿は、65歳以上の高齢者（以下、高齢者と表記）の都道府県別での道路交通事故（以下、交通事故と表記）発生率の差異に着目して、高齢者に対する有効な交通安全対策について、主に交通政策の観点から検討を行うことを目的としている。分析の結果、高齢者の交通安全対策として、歩行環境の改善や交差点周辺での安全対策の実施といった道路環境の改善のほかに、公共交通の整備など交通政策の適切な組み合わせが有効である可能性が明らかとなった。

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JR貨物の中長期計画からみた輸送効率化についての一考察

松永和生

2009 年 52 巻 p. 81-90
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_81

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JR貨物は1993年以来４度にわたって中長期経営計画を策定し、諸施策を実施してきた。これらの計画では経営の根幹をなす輸送について効率化が図られ、その結果2001年度に黒字経営に転換することができた。本研究では、各計画に則って実施された輸送効率化の中で特に輸送時間の短縮を中心に検証を加え、成果のあった面と逆にマイナスになった面とを考察する。

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横持ち搬送活動実態調査にもとづく貨物車の駐車時間の算定方法の検討

岩尾詠一郎

2009 年 52 巻 p. 91-100
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_91

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本研究では、貨物車の駐車時間を、荷降ろし時間、往路横持ち搬送時間、建物内滞在時間、復路横持ち搬送時間の４つに分類した。そして、それぞれ４つの時間に影響を与える指標を５つを仮定し、横持ち搬送実態調査結果をもとに、定量的な分析をおこなった。その結果、荷捌き活動を構成する４つの時間に影響を与える指標が明らかとなった。特に、建物内滞在時間が長く、横持ち搬送手段による影響が大きいことが明らかとなった。

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ネットワークＤＥＡを用いた第三セクター都市鉄道の効率性分析

関口吉男

2009 年 52 巻 p. 101-110
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_101

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本研究では、都市鉄道が「施設維持」、「運転」及び「営業」の各部門（機能）の垂直統合的な構造を有した事業体であると捉え、各部門の効率値を考慮しつつ事業体全体の効率値分析をネットワークＤＥＡの手法を用いて行った。生産性的な効率性に関しては、経営形態別に見ると特殊会社、民営、第三セクター、公営の順となる。また、収益性的な効率性に関しては、有意性は低いが部門毎の効率性において第三セクターが公営と民営に比べ良い部門もある。

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DEAによる都市内鉄軌道事業の効率性評価

金子雄一郎, 荒谷太郎, 轟朝幸

2009 年 52 巻 p. 111-120
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_111

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本研究では、我が国の都市モノレール及び新交通システムの都市内鉄軌道事業を対象に包絡分析法（DEA）を適用し、経営面と利用者の移動サービス面の２つの視点から効率性を計測する。効率性は一時点のみならず、時系列的な変化についても計測する。それらの結果を踏まえ、鉄軌道事業について総合的な評価を行なうとともに、効率性が相対的に低い事業者を対象に改善の方向性を示す。

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英国の旅客鉄道事業のフランチャイズ設定に関する一考察

醍醐昌英

2009 年 52 巻 p. 121-130
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_121

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英国の鉄道事業の分割民営化においては、効率性の改善や財政支出の削減そして技術革新の向上などの目的が重視されたが、事業を細分化したことで設備投資と保守管理が不十分となった。それゆえ、投資財源の確保や保守責任の明確化などを目的としてフランチャイズ域の拡大や契約期間の見直しが図られている。このように旅客鉄道事業のフランチャイズ制度を修正した背景として、鉄道事業に対する競争重視から経営安定重視への政策転換がある。

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ミニバス事業と交通マーケティング－宝塚市を例に－

伊藤秀和

2009 年 52 巻 p. 131-140
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_131

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本研究の目的は、交通不便地域において自治体によるミニバス事業が行われている兵庫県宝塚市を対象に、マーケティング・リサーチ手法を用いた交通行動分析を行うことで、バス利用者拡大に寄与する交通政策示唆を得る。分析の結果、外出頻度や健康状態等の住民個人属性から、一部の住民はミニバスとタクシー（あるいは徒歩）を使い分けるなど、複雑な利用交通手段クラスターが確認できた。バス利用者拡大には、外出制約を有する住民が利用し易いバス・サービスへの改善が望まれる。

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都市構造の変容と公共交通－地方都市の郊外化と通勤・通学交通－

湯川創太郎

2009 年 52 巻 p. 151-160
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_151

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本研究は、地方都市で進んでいる都市構造の変容と自動車利用の関係を、小地域統計を用いて考察したものである。分析にあたっては、都市雇用圏の定義を用いて、日本の113の都市圏を抜き出し、都市の人口密度と自動車利用の関係を論じた先行研究を手がかりに、都市圏の都市構造とその変動、通勤・通学における自動車、鉄道、バスの利用率の概況と規定因を小地域（メッシュ統計）単位で集計、推計した。分析の結果、都市の郊外への拡散が多くの都市で進んでいる事が確かめられ、また、規定因に関しては、自動車利用に関して先行研究で指摘されるような人口密度の影響が見られるものの、鉄道やバスの利用については自動車と異なる傾向が見られる事が示された。

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乗合バス事業における規制緩和の影響に関する定量的一考察―費用面の分析から―

大井尚司

2009 年 52 巻 p. 161-170
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_161

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本稿は、民営事業者の集計データを用いて、乗合バス事業の規制緩和による企業行動への影響を、費用面から分析したものである。分析の結果、民営事業者の費用水準が規制緩和を契機にして変化したとは言えない結果となった。日本では、悪化が続く経営環境の改善が規制緩和の前から進められていたこと、規制緩和後も実質的な競争は起きていなかったことが影響したと考えられる。

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道路交通法改正の経済効果－民間委託導入による路上駐車の削減と最適な駐車政策－

田邉勝巳

2009 年 52 巻 p. 171-180
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_171

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2006年６月に施行された道路交通法改正により、違法駐車の取締り業務の一部が民間委託され、取締りが強化された。東京都で最も早く民間委託が導入された地域の取締りは２年間で５倍以上となり、主要路線の合法駐車を含む路上駐車（二輪車を除く）の台数は58.9%減少した。外部費用の削減額は年間81億円程度と試算され、委託費を十分に上回る成果を得ている。現時点で道路交通法改正の費用対効果は高いが、最適な取締り水準、民間委託導入の程度など、多くの政策課題が残されている。

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ＥＴＣ通勤割引制度が及ぼす高速道路混雑への影響

鈴木崇児

2009 年 52 巻 p. 181-190
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_181

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本研究では、ETC通勤割引制度と高速道路混雑の関係性を明らかにするために、自己選択型料金理論とボトルネック混雑理論を組み合わせた２段階のモデルを構築し、当該割引制度が妥当性を持つ状況を理論的に検討した。その結果、当該割引制度による混雑への影響は条件によって異なり、それらの条件下での動学的な混雑状況の変化が解析された。最後に解析で得られた知見をもとに当該制度が内包する欠点が顕在化した場合の改善策をまとめた。

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地方活性化努力を促す空港制度のあり方－チャーター便数による実証分析－

赤井伸郎, 竹本亨, 横見宗樹

2009 年 52 巻 p. 211-220
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_211

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本稿では、地方空港を有効に活用するよう地域の努力を促す制度とはいかなるものであるかを明らかにするため、地方の努力を示す代理変数としてチャーター便数の伸びを用いて実証分析を行った。その結果、地方自治体が管理する空港の方が、国が管理する地方空港よりも地元の努力インセンティブが促進され、有効な空港活用につながる可能性のあることが示唆された。

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日本の地方空港における効率的な所有・運営体系の日英比較に基づく実証的研究

横見宗樹

2009 年 52 巻 p. 221-230
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_221

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本稿では、日本とイギリスの地方空港をDEA（包絡分析法）により効率性の比較をすることで、地方空港の民営化や一体経営が空港経営の効率性に与える影響を明らかにし、日本の地方空港における民営化や一体経営の是非を検討することを目的とする。分析結果より、地方空港といえども民間所有が公的所有よりも効率性に優れていることが明らかとなった。さらに、日本もイギリスも空港本体とターミナルビルとの一体経営により空港全体の収支改善が期待されるものの、効率性ではイギリスの非航空系部門における相対的優位が推測される。

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米国における空港発着枠取引の定量的分析―1994-1999年

福井秀樹

2009 年 52 巻 p. 231-240
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_231

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本稿は、米国の空港発着枠取引において発着枠保有者がライバルの市場参入とサービス拡充を阻害していたかどうかを分析した。その結果、ケネディ空港とオヘア空港ではライバルが競争の機会を制約されていたのに対し、ナショナル空港とラガーディア空港では必ずしもそうとは断定できないことが明らかとなった。競争促進のための追加的ルールを考慮する場合、それは空港により異なる競争上の問題の程度を反映するよう工夫が必要とされることを、この分析結果は示唆するものと言える。

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高速道路における観光情報の提供の効果に関する考察

味水佑毅

2009 年 52 巻 p. 241-250
発行日: 2009年
公開日: 2019/05/27

DOIhttps://doi.org/10.32238/koutsugakkai.52.0_241

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本論文の目的は、観光客が、観光地に向かう移動段階において、観光地における宿泊施設や飲食施設、その他観光施設に関する情報提供を受けることの価値およびその観光情報の提供がもたらす影響を明らかにすることにある。具体的には、高速道路のサービスエリアの利用実態と観光情報提供サービスに対する利用者の意識についてアンケート調査を行い、観光情報提供サービスが観光行動の計画水準に与える影響を導出するとともに、観光情報提供サービスの効果を明らかにした。

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