交通学研究
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58 巻
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  • 宋 娟貞
    2015 年 58 巻 p. 49-56
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、日本の私鉄企業の多角化戦略を対象に、交通事業における多角化戦略の影響について考察し、多角化戦略の効果を技術的効率性の計測により確認することを目的とする。多角化戦略を展開している日本の私鉄企業の財務データを用いた確率的フロンティア分析により、複数生産物距離関数を推定し、効率性指数の推定を行う。分析結果、多角化程度は交通事業に正の影響を与えているものの、多角化程度と効率性との関係では明確な因果関係が導出されなかった。
  • 花岡 伸也, 祖田 真志
    2015 年 58 巻 p. 57-64
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー
    鉄道貨物輸送は、道路輸送と比較して重量貨物輸送に適しており、長距離輸送では単位あたり輸送費用が低く環境負荷も小さい。しかし、鉄道貨物輸送量の多い国は限られており、道路輸送に依存する傾向は開発途上国においても顕著である。本研究では、開発途上国の鉄道貨物輸送の実態を地域別に把握すると共に、包絡分析法(DEA)を用いて鉄道貨物輸送の効率性を国別に評価し、輸送運営面、政策面、地理的要因から詳細な比較分析をした。その結果、鉄道整備に対する政府の投資、民営化による資本投入、隣国や港湾との接続性強化などが効率性に良い影響を与えていることが明らかになった。
  • 松本 守, 後藤 孝夫
    2015 年 58 巻 p. 65-72
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本稿は、2007年から2011年までの5年間の上場鉄道事業者23社を分析対象にして、被規制企業である鉄道事業者のコーポレート・ガバナンス・メカニズムが企業パフォーマンスに影響を及ぼしているかどうかを実証分析することを目的とする。分析の結果、経営者持株比率と外国人持株比率のいずれも企業パフォーマンス(Tobin’s Q)に有意に正の影響を及ぼしていることが明らかとなった。
  • 髙橋 達
    2015 年 58 巻 p. 73-80
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本論は動学的一般均衡モデルにより、我が国の道路のメンテナンス政策を定量的に分析する。既存研究において動学的マクロモデルに社会資本のメンテナンスを内生化する試みは行われてきた。しかし、それらは典型的なマクロ経済を想定しておらず、我が国の政策を定量的に分析する上で限界を抱えている。本論のモデルは典型的なマクロ経済想定の下、社会資本のメンテナンスを内生化している。シミュレーションにより、道路予算に占めるメンテナンス支出の割合を現状付近で増加させることで、道路ストックを増加させ、経済厚生を改善させうることを示す。また、過大なメンテナンス投資により道路ストックが減少し、経済厚生が損なわれる場合もあることを指摘する。
  • 味水 佑毅, 脇嶋 秀行, 松井 竜太郎, 鈴木 裕一, 根本 敏則
    2015 年 58 巻 p. 81-88
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本研究では、維持更新時代において求められる道路ネットワークのあり方への示唆の導出を念頭に置いたうえで、道路設計・管理に関する知見を踏まえて大型車走行規制の評価を行った。道路の総費用の回収を目的とする次善の価格形成原理としてのラムゼイ価格形成を用いた分析からは、大型車の走行規制によって社会的余剰が拡大し、またそれにあわせた経路構成の形成によってライフサイクルコストあたりの社会的余剰も拡大する可能性を示唆する結果を導いた。このことは、規制や課金を通じて、大型車の走行をより強度の高い道路に誘導し、小型車と分離することが望ましいことを示唆している。
  • 秋山 孝正, 井ノ口 弘昭, 奥嶋 政嗣
    2015 年 58 巻 p. 89-96
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本研究では、都市道路網の建設費償還を基本とする対距離料金設定に関して、長期的な都市交通需要を考慮して、自律的な交通調整機能を踏まえた弾力的な都市高速道路料金の運用方法を検討する。すなわち、長期的交通需要の経年的時間的変化に着目して、都市高速道路償還計画を定式化する。今後都市高速道路では、老朽化の進行に伴い維持管理費用の増加が想定される。したがって、長期的視点から建設費に加えて維持管理費用を考慮した償還計画が重要となる。ここでは、都市高速道路と一般道路で構成される都市道路網に対して、長期的需要変化を考慮した交通量配分によるモデル分析を実行する。これらの分析結果より、長期的交通需要変化に対応した都市高速道路料金政策を、都市交通需要の調整機能をもち、料金収入による償還可能性を確保する方策として整理することができる。
  • 松崎 朱芳
    2015 年 58 巻 p. 97-104
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本稿では、コミュニティバスの乗合バス事業者における運行の可能性を人口動態の側面から考察した。南関東を事例とするGIS(地理情報システム)を用いた商圏分析では、大部分のコミュニティバスは、民間の乗合バスの系統に比べて少ない商圏人口であったものの、民間の乗合バスと同程度の商圏人口のとなるコミュニティバスの系統毎も一部に存在していた。また採算面で比較的良好なコミュニティバスは、商圏人口の多い系統を運行していることが明らかになった。
  • 井口 智史
    2015 年 58 巻 p. 105-112
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    欧米各国においては、持続可能なまちづくりの一環として、路面電車・LRTの新設・復活事業が急速に進んでいるが、日本の中小規模の地方都市では、公共交通の充実等に向けた議論はあるものの、路面電車・LRT事業が実現した例は少数にとどまっている。また、アカデミックな研究においても、路面電車・LRT事業に関するこれまでの諸研究では、路面電車・LRT事業の新設・復活の可能性について言及した研究は僅かに見られるだけである。 本稿の目的は、日本の路面電車・LRT事業について、事業者特性と都市特性が路面電車・LRT需要に与える効果を明らかにし、路面電車事業の復活可能性を探ることである。これにより、公共交通を中心としたまちづくりが、日本のどの都市で可能なのかを明らかにしようとした。 実証分析の結果から、人口1人当たり自動車保有台数の削減と中心市街地の活性化が、路面電車の復活に向けた条件整備につながることが明らかになった。需要規模の推計からは、都市特性でもって推定できる需要規模は、現実値に比べて都市間のバラツキが小さいことも明らかになった。日常生活の「足」としての自動車に依存しないまちづくりは、地域の人口密度の上昇と深く関連しており、これらの要因が総合して、路面電車・LRTの事業者規模拡大に貢献することが分かった。また、路面電車を既に廃止した都市の中では、名古屋市での復活可能性が最も大きいことが推測された。
  • 西内 裕晶, 轟 朝幸, 川崎 智也
    2015 年 58 巻 p. 113-120
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、2012年11月に路面電車の減便を実施した土佐電氣鐡道における減便後の利用者数の変化について、ICカードデータから得られる電停間OD利用者数を用いて分析する。分析には、ある時点から着目する事象が発生する時間までを分析することで知られる生存時間分析を適用し、路面電車の減便開始後からデータ取得期間中に確認される利用者数の変化について考察を行うものである。分析の結果、減便後の電停間OD利用者数の変化の仕方に電停ODペアの立地条件が異なることを示し、今後の路面電車利用者数維持のために運行会社が考えるべき事項について考察をした。
  • 森川 裕貴, 岡本 直久
    2015 年 58 巻 p. 121-128
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    第三セクター鉄道や地方中小民鉄などのいわゆる地域鉄道は、利用者の減少を主な理由として年々採算の悪化が進んでおり、路線を廃止する事業者も少なくない。事業者の経営努力や自治体からの補助も行われてはいるが、厳しい状況を脱するのは難しいと言える。一方で、一口に地域鉄道と言っても事業者ごとに立地環境や事業形態は異なり、それに伴って輸送実績や営業収支も異なる傾向を示すと考えられる。本稿では、輸送実績や営業収支、沿線人口や列車運行回数といったデータを基に事業者別の時系列データの分析を行ない、地域鉄道事業者の今後の事業維持について考察する。
  • 朝日 亮太
    2015 年 58 巻 p. 129-136
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本稿は,2005年に行われたUSエアとアメリカウエスト航空の合併に焦点を当て、合併企業および路線で対峙するライバル企業の合併による運賃設定行動の変化について分析を行ったものである。分析は、2003年から2010年の各第4四半期のデータを用いた需要関数と価格関数の同時方程式推定により行われている。分析の結果、多くの路線で合併以降、USエアおよびFSCが運賃を上昇させる傾向にあることを示した。またサウスウエスト航空がLCCと異なる運賃設定行動をとっている可能性を示した。
  • 藤﨑 耕一
    2015 年 58 巻 p. 145-152
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    再統一後のドイツについて、全国年次系列、全国四半期系列及び各州年次系列の3層の直近の時系列データを公式統計から作成し、入手可能な関連データに応じ、所得、運賃の影響を考慮しつつ、乗用車の保有又は個別自動車交通の利用並びに公共交通の利用に対するガソリン価格弾性値の推計を行った結果、ガソリン価格が上昇すれば、乗用車の保有は各州で減少し、個別自動車交通は全国で減少し、公共交通の利用は各州及び全国で増加する関係にあることが確認される。ガソリン価格を考慮しない既存研究との整合的な解釈を行い、低炭素交通体系を広く実現する上での燃料価格政策の意義を提起する。
  • 宇都宮 浄人, 青木 亮
    2015 年 58 巻 p. 153-160
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/05/27
    ジャーナル フリー
    本稿は、フランスの地域公共交通について、都市圏別のパネルデータを作成することで需要関数を推計し、ドイツとの比較も行いながら特徴を整理する。推計結果によると、フランスの場合、運賃の価格弾力性(絶対値)はやや高めである一方、ガソリン価格の交差弾力性、自動車保有台数は必ずしも有意にならない。このことは、フランスでは、1990年代以降の軌道系交通とパークアンドライド施設等の整備により、自家用車利用の郊外住民を都心の公共交通に取り込むことに成功し、都心部と郊外部での公共交通と自家用車の棲み分けにつながったことを示唆する。
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