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松尾 昌季
1999 年 1999 巻 46 号 p.
1-6
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
内分泌かく乱物質, いわゆる「環境ホルモン」問題の最近の国際的な動きについて述べるとともに, 現時点で最重要な「環境ホルモン」作用検出のためのOECDや米国EPAのスクリーニング/試験法 (案) の概要を示した。これら両案での評価の流れは, 段階的なスクリーニングや諸試験を経て最終的に繁殖試験 (同補強法) で有害性アセスメントを行う形となっている。一方,「環境ホルモン」作用が疑われている農薬 (SPEED'98にリストアップされた20種) について, 催奇性や繁殖性のデータを再解析しリスクアセスメントを行った。この結果, これらの農薬については, 現行のリスク管理を維持すればヒトへの安全性は確保できること, 野生生物に対しては標準試験法の確立後, 同上作用が無いか低いことを実証する必要があることなどを結論した。
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江口 直樹, 山下 亨, 赤沼 礼一, 内藤 秀樹
1999 年 1999 巻 46 号 p.
7-8
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
いもち病の伝染環において種子から苗いもちに至る種子伝染を実証するため, 種子へのKSM耐性いもち病菌の接種により発生した苗いもちから, 接種菌の再分離を試みた。その結果, 浸漬接種により発病苗率1.7%の発病がみられ, 苗いもち分離菌の全てがKSM耐性菌であったことから, 種子伝染による苗いもちの発病が実証された。
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宮坂 篤, 園田 亮一, 内藤 秀樹
1999 年 1999 巻 46 号 p.
9-10
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
In hydroponically raised seedling method for long-mat type rice cultivation, influences of seed disinfectants on seedling growth were examined. Damage from the disinfectants appeared severely in the roots than in the upper part of rice seedlings, so the extension of roots was obstructed. On the other hand, the restraint of root extension in seedlings treated with pefurazoate or benomyl was lesser than in the seedlings treated with other disinfectants. These results suggest that pefurazoate and benomyl could be applied to hydroponically raised seedling method for long-mat type rice cultivation.
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柴田 聡
1999 年 1999 巻 46 号 p.
11-13
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Fusarium oxysporumによるコンニャク乾腐病に対し, コンニャクの品種間で発病差異が認められた。供試した4品種1系統は, 全てが発病するものの, その中で「群系66号」(品種名: みょうぎゆたか) が最も発病が少なく耐病性を示し,「在来種」,「支那種」,「はるなくろ」および「あかぎおおだま」はほぼ同等の発病であり罹病性であった。コンニャクの年生については, 1年生が2年生より発病が多く, 感受性が高かった。
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小野 浩, 米山 伸吾, Jayakody Arachchige, Sumanasiri JAYAKODY
1999 年 1999 巻 46 号 p.
15-17
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
The control effect of chemicals on the root-rot caused by
Pythium sp. in Cocoyam (
Xanthosoma sagittifolium) was investigated in Sri Lanka. The effect was observed in two treatments: one was the treatment of metalaxyl (ridomil) solution applied to inoculated soil, and the other was the treatment of dipping inoculated sucker to metalaxyl solution in the field, the effect of metalaxyl solution was also investigated. Thirty-seven days after the application of metalaxyl solution, increase of leaf number and plant height was observed and showed well plant growth, and the infectivity index decreased. Treatments of dipping suckers and application of metalaxylto the soil were effective in controlling this disease.
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藤永 真史, 小木曽 秀紀, 樫山 岳彦, 白石 順一, 荒井 好郎
1999 年 1999 巻 46 号 p.
19-21
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1997年および1998年の2年間, 長野県東信地区のハクサイ栽培圃場において, 収穫時期のハクサイ結球部外葉の葉脈や, 葉柄が黒く腐敗する病害が発生した。原因を究明した結果, 自然発病が明らかでないとされていた
Pseudomonas marginalis pv
marginalisによるハクサイ腐敗病であることが明らかとなった。発病は比較的低温から高温に移行する春ハクサイ栽培時期に見られ, 病徴は葉柄部から葉脈に沿って進展するが, 病斑部組織が軟化崩壊することはなかった。重症株においては病斑が結球葉内部まで及び, 出荷困難な株も見られた。近年, ハクサイでは今まではそれほど問題にならなかった病害が多発し問題となっている。今後, 商品性の高いとされている品種への移行と主力品種にあわせた施肥量の増加等が, どのように発病に影響しているか検討する必要がある。
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藤永 真史, 竹花 祐二, 関口 秀博, 和田 健夫, 荒井 好郎
1999 年 1999 巻 46 号 p.
23-26
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ハクサイ黄化病の防除薬剤として, カーバムナトリウム塩液剤のマルチ畦内処理および散布土壌混和処理について検討した。原液を2倍希釈し, 10aあたりの処理量が80
l~120
lの散布土壌混和処理で防除効果が認められた。一方, マルチ畦内処理では高い効果は認められなかった。カーバムナトリウム塩液剤の散布土壌混和処理はハクサイに対して薬害も無く, 作業時の刺激臭が少ないなど, ハクサイ黄化病の防除法として実用性は高いと判断される。
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小林 逸郎, 剣持 伊佐男, 大塚 邦雄, 市川 淑子, 土屋 実
1999 年 1999 巻 46 号 p.
27-29
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
キャベツ根こぶ病およびバーティシリウム萎凋病に対し, カーバム剤 (カーバム, カーバムナトリウム塩) の無被覆散布混和処理は実用的な防除効果が高かった。また, 散布混和処理は, 簡便かつ短時間に処理を行うことができるため, 大規模な圃場での適用性が高い。
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剣持 伊佐男, 酒井 宏, 白石 俊昌
1999 年 1999 巻 46 号 p.
31-34
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
キャベツバーティシリウム萎凋病の発病株から分離した
V. longisporum (V. dahliaeのアブラナ科系)および
V. dahliaeのナス系, トマト系, ピーマン系の3系統について, 各種作物に対する病原性を検討した。
V. longisporumはキャベツやハクサイ, ダイコン等のアブラナ科野菜に比較的強い病原性を有し, 非アブラナ科作物への病原性はないか, あっても弱いと考えられた。また,
V. dahliaeの3系統は, キャベツをはじめとするアブラナ科野菜への病原性が比較的弱く, ウド, バレイショ, エダマメ, 紅花インゲン等に中~強い病原性を有すると考えられた。
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佐藤 圭, 陶山 一雄, 植松 清次, 松尾 多恵子, 根岸 寛光, 脇本 哲
1999 年 1999 巻 46 号 p.
35-38
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
千葉県南部地方の特産品, ナバナ花蕾の腐敗症状が圃場ならびに輸送時に発生し, 産地維持の大きな障害になっていた。本症状の原因は生理的要因によるものと考えられ, その対策がとられていたが, 近年漸増傾向にあることから, 病原の再検討を行った。その結果, 罹病花蕾組織には細菌が多数存在すること, 被害部から分離された蛍光色素産生
Pseudomonas属細菌を花蕾に注射及び噴霧接種すると, 圃場被害株に類似した病徴を再現することを確認した。ナバナ花蕾の腐敗症状は細菌の感染によって発生した病害であることが明らかになった。
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小木曽 秀紀, 清水 時哉
1999 年 1999 巻 46 号 p.
39-42
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
レタス根腐病の発病と病原菌密度の関係を調査するため, ポットレベルでの検討を行った。レタス根腐病菌
Fusarium oxysporum f. sp.
lactucaeの
nit変異株を作出し, 園芸用培土, レタス未耕作土壌 (野菜花き試験場内土壌), レタス産地圃場 (塩尻市) の, それぞれ滅菌土と非滅菌土に数段階の濃度で接種し, レタス根腐病の発病と, 土壌中の病原菌密度を調査した。その結果, 非滅菌のレタス産地土壌以外では接種菌密度が高いほど発病調査時の土壌中の病原菌密度が高く, 発病度も高かった。発病に要する最小の病原菌密度は, 10
1~10
3cfu/g乾土であった。一方, 非滅菌のレタス産地土壌では, 接種した病原菌密度と発病調査時における土壌中の病原菌密度とは相関がなく, また発病とも相関が見られなかった。
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折原 紀子, 植草 秀敏, 草野 一敬
1999 年 1999 巻 46 号 p.
43-45
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ウリ類うどんこ病に対するうどんこ病防除薬剤への各種展着剤の加用効果を検討した。その結果, いくつかの展着剤で加用効果が認められたが, 加用効果は展着剤と薬剤の組み合わせにより異なった。また単用でもウリ類うどんこ病に対する防除効果の認められる展着剤もあった。
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広間 勝巳, 岩波 靖彦
1999 年 1999 巻 46 号 p.
47-48
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1997年, リンゴ褐斑病が局部的であったが, 本県南部地方で発生した。1998年は9月に入り南部地方の各地で多発し, 早期落葉する被害が生じた。そこで最終散布時期の検討に資するため後期感染について試験した。多発園内での無防除樹の暴露試験では10月上旬と中旬の感染が高率であった。特に, 上旬の感染は黄化落葉の被害が顕著で, 防除を要するものと判断された。
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冨田 恭範, 小木曽 秀紀
1999 年 1999 巻 46 号 p.
49-51
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
トルコギキョウにおいて, 長野県では1998年5~7月に, 茨城県では1998年7月に未記載の立枯れ性病害が発生した。病原を検討した結果,
Sclerotium rolfsii Saccardo と同定された。本菌による病害をトルコギキョウ白絹病 (Southern blight of russell prairie gentian) と命名したい。
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竹内 純, 堀江 博道
1999 年 1999 巻 46 号 p.
53-55
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Stem and root rots of perennial spiraea (
Astilbe×
arendsii) and
Otacanthus caeruleus occurred in Tokyo Metropolis in 1998. A Rhizoctonia species isolated from the diseased plants was identified as
Rhizoctonia solani Kühn. Inoculation tests showed that the fungus was the causal agent of these diseases. This is the first report on these diseases in Japan.
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竹内 純, 堀江 博道
1999 年 1999 巻 46 号 p.
57-59
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Sclerotinia rot of aster (
Aster pilosus Willd.) and strawflower (
Helichrysum bracteatum Willd.) occurred in Tokyo Metropolis in 1998. The causal fungus isolated from the diseasd plants was identified as
Sclerotinia sclerotiorum (Libert) de Bary by morphological observations and inoculation tests. This is the first report on the disease in Japan.
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漆原 寿彦, 酒井 宏, 萩原 廣, 井智 史, 浅見 暁子
1999 年 1999 巻 46 号 p.
61-62
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ラナンキュラスの茎葉に発生した軟化腐敗症状から糸状菌を分離し, 健全株への接種により病徴を再現した。病原菌を
Sclerotinia sclerotiorum (Libert) de Bary と同定した。本病害をラナンキュラス菌核病 (Sclerotinia rot of Persian Buttercup) と命名する。
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漆原 寿彦, 庄内 玲子, 萩原 廣, 井智 史, 酒井 宏, 相澤 直
1999 年 1999 巻 46 号 p.
63-64
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ミムラスの茎葉に発生した腐敗症状から分離した糸状菌に病原性が確認され, 病原菌を
Botrytis cinerea Persoon: Fries と同定した。本病害をミムラス灰色かび病 (Gray mold of monkey flower) と命名する。
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庄司 俊彦, 萩原 廣, 井智 史
1999 年 1999 巻 46 号 p.
65-67
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Root rot of New Guinea Impatiens occurred in Saitama Prefecture in 1998. A fungus isolated from the diseased plants was identified as
Pythium spinosum Sawada. The inoculation experiment showed that the fungus was the causal agent of the disease.
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庄司 俊彦, 萩原 廣, 井智 史
1999 年 1999 巻 46 号 p.
69-72
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1996年から1998年に埼玉県川里村で, 栄養繁殖性わい性リンドウに発生する病害を調べた。生育が不良となり草丈が短くなる症状は,
Pythium irregulare による細根の腐敗によって起こる病害であり, 根腐病 (新称) の病名を提案した。また, 葉が斑点を伴い枯死する原因が
Septoria 属菌による葉枯病であると断定した。
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庄司 俊彦
1999 年 1999 巻 46 号 p.
73-75
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1996年から1998年に埼玉県川里村で, 栄養繁殖性わい性リンドウに発生する病害を調べた。挿し苗による増殖時に発生する灰色かび病の被害およびモザイク症状株からのCMV, CIYVVおよびBBWVの検出結果を述べた。
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高橋 義行, 高橋 幸吉, 小田 九二夫, 河野 敏郎
1999 年 1999 巻 46 号 p.
77-79
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
アルストロメリアより分離した3株のTSWVをアルストロメリアの実生苗に戻し接種したところ, 1株の分離株が感染し, 病原元株と同様の病徴を再現した。TSWVによる感染を確認するため, 病葉をTSWV-0に対するモノクローナル抗体を用いてELISA検定したところ陽性反応を示した。また, TSWV-CPNH1のSRNAの3′末端側の塩基配列 (856pb) に対応するプライマーセットを用いたRT-PCRと, さらにその内側に対応部位のあるプライマーを用いてPCRを実施して増幅産物 (447bp) から病葉中のウイルスがTSWVであることを確認した。TSWVによるアルストロメリアに対する戻し接種で病徴の再現ができたことから, 本病を「アルストロメリア黄化えそ病」(新称) としたい。
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上野 高敏
1999 年 1999 巻 46 号 p.
81-83
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Experiments were conducted to assess whether two strains of the pupal parasitoid wasp Itoplectis naranyae could differ in offspring production and sex ratio.
Galleria mellonella was used as a host.
Galleria mellonella was highly suitable for the develpment of parasitoid offspring, and the percentages parasitoid emergence did not differ between the two strains, regardless of host size. Females of Kobe strain produced more female offspring than Tsukuba strain did. Factors that caused this sex-ratio difference were discussed.
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田中 幸一
1999 年 1999 巻 46 号 p.
85-88
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Virulence of the brown planthopper
Nilaparvata lugens that immigrated into Japan in 1991, 1992, 1995 and 1996 was examined on four indica rice varieties, IR26 (carrying a resistance gene
Bph-1), Mudgo (
Bph-1), ASD7 (
bph-2) and Babawee (
bph-4) and on two
japonica rice lines, Saikai 190 (
Bph-1) and Norin PL10 (
Bph-3). The planthoppers were reared on a susceptible
japonica rice variety Reiho, and the newly-emerging brachypterous females were released on 5-to 7-week-old test rice plants at tillering stage. I defined the females whose abdomina became swollen within five days after releasing or those which have survived for five days as virulent individuals. The 1995- and 1996-populations of
N. lugens had higher proportions of virulent females on the
Bph-1-carrying rice varieties, 54-79% on IR26, 39-66% on Mudgo and 95% on Saikai 190, than the 1991- and 1992-populations. However, all the tested populations had still low proportions of virulent females on the rice varieties carrying
bph-2, Bph-3, or
bph-4, especially those carrying
Bph-3 or
bph-4. These results show that virulence to
Bph-1 in the
N. lugens populations immigrating into Japan has become stronger after 1988-1990 in which change of the virulence was first found, and suggest that the resistance of
Bph-1 has been broken down for this
N. lugens population.
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及川 雅彦, 長岡 広行, 森田 和博, 浅野 昌司
1999 年 1999 巻 46 号 p.
89-92
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
BT剤のハスモンヨトウに対する殺虫活性と植物葉の関係について, 室内試験で調査した。BT剤には,
Bacillus thuringiensis serovar
aizawai 由来の結晶性蛋白毒素を含有する試験製剤を, 検定植物にはトマト, イチゴ, シソ, ピーマンおよびナスを用いた。所定濃度に希釈したBT剤を散布した葉を, ハスモンヨトウ3令幼虫に4日間与えて, 致死率および摂食量を調査した。その結果, イチゴとシソでは, トマト, ピーマンおよびナスに比べて, 明らかに殺虫活性および摂食阻害活性が低かった。無処理区における幼虫の摂食量は, イチゴでは少なかったが, シソでは逆に多かった。このことから, BT剤に対する感受性と植物葉の関係については, ハスモンヨトウの摂食性との関連性は特に認められなかった。
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丸山 威, 柳沢 敏, 岩佐 智子, 坂中 一敦
1999 年 1999 巻 46 号 p.
93-95
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1998年7月下旬~9月上旬に長野県東信地域7カ所 (北佐久: 小諸・軽井沢・望月, 南佐久: 野辺山・南牧・南相木・川上) と群馬県嬬恋村1カ所の合計8カ所から採集したコナガ幼虫のBT剤に対する感受性を検定した。キャベツ葉片浸漬法によってBT剤5剤の採集次世代幼虫に対する殺虫効果と被害抑制効果を観察した。各地のコナガに対する防除効果を供試薬剤の処理4日後 (25℃) の結果をもとに総合判定したところ, 薬剤間で多少の差はあるものの, いずれの薬剤も概ね優れた防除効果があると考えられた。また, 採集地点による顕著な感受性の差異は認められず, 本地域のコナガは全体的にBT剤に対して感受性を維持しており, BT剤が有効な防除剤であることが明らかとなった。
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大津 和久, 桑原 雅彦, 遠藤 正造
1999 年 1999 巻 46 号 p.
97-100
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
徳島県で採集した一個体群のコナガをテフルベンズロンで淘汰し, 各種薬剤感受性及び淘汰中止後の薬剤感受性の変動を検討した。淘汰によってテフルベンズロン感受性は短期間で顕著に低下し, 対照個体群との抵抗性比は1,000倍以上となり, クロルフルアズロン, フルフェノクスロン感受性も低下していた。この個体群への淘汰を中止したところ, テフルベンズロン感受性は徐々に回復し, 30世代後には抵抗性比が約100倍となった。また酸化酵素阻害剤のピペロニルブトキシド (PBO) を処理してもテフルベンズロン感受性は影響を受けないことから, 抵抗性機構に酸化酵素は殆ど関与していないと考えた。
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桑澤 久仁厚
1999 年 1999 巻 46 号 p.
101-103
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
難防除害虫オオタバコガの実害が大きい花き類の蕾へ食入防止の観点から, オオタバコガの卵およびふ化幼虫に対する各種薬剤の効果を卵の浸漬処理により比較検討した。この結果, チオジカルブ, アクリナトリン, チオシクラムおよびスピノサド剤の効果が高かった。
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樫山 岳彦, 藤永 真史, 荒井 好郎
1999 年 1999 巻 46 号 p.
105-107
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
レタスを加害するオオタバコガの発生消長の調査および薬剤防除試験を実施した。フェロモントラップを用いた調査の結果, 長野県の東部における本種の発生は春から初夏に少なく, その後増加することが明らかになった。薬剤による防除はレタスの結球始期から結球期の前後に7日間隔で3回防除すると効果が高いことが明らかになった。
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太田 光昭, 小澤 朗人, 小林 久俊
1999 年 1999 巻 46 号 p.
109-112
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
To evaluate the effects of
Beauveria bassiana preparations (Botani Gard
™) as control agents of whiteflies, two experiments were conducted on tomato. First, the tomatoes in a plastic house were sprayed with emulsifiable suspension formulation (ES) of the agent on May 19 and 26 and June 2 to control
Trialeurodes vaporariorum. The temperature and relative humidity in the plastic house were moderate (daily average temperature: 19.6-21.7°C) and higher (daily average humidity: 78.1-84.7%), and the most effective control of the whitefly was obtained. Secondly, other tomatoes in a vinyl house were sprayed with wettable powder formulation (WP) on October 14, 21 and 28 to control
Bemisia argentifolii that had been artificially introduced in the plants in advance. The whitefly was also effectively controlled in spite of the lower temperature and relative humidity. These results show that
B. bassiana preparations are useful for the management of whiteflies attacking tomatoes.
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各種温度条件下で蒸留水を与えた場合の生存期間
小山 健二, 松井 正春
1999 年 1999 巻 46 号 p.
113-114
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ミカンキイロアザミウマの雌成虫に各種温度条件下で蒸留水だけを与えた場合の生存期間は, 温度条件が5~10℃では20日間以上生存した個体があった。12.5~40℃では温度が高くなるにしたがい生存期間が短くなった。
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守屋 成一
1999 年 1999 巻 46 号 p.
115-117
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
A laboratory strain was established on the ragweed beetle,
Ophraella communa LeSage, which has recently been introduced into Japan. The original population was collected in Tsukuba, Japan in September and October 1998. At 25°C of 16L-8D and 60% RH conditions, the durations of egg, hatching to adult emergence and preoviposition were about 6, 18 and 5 days, respectively, with the ragweed,
Ambrosia artemisiifolia L. grown in a greenhouse as a host plant.
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多々良 明夫
1999 年 1999 巻 46 号 p.
119-122
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
チャ園において, 天敵に影響の少ないBT剤とIGR剤を基幹とした天敵保護防除体系で害虫防除を行い, 害虫と天敵の発生を慣行防除のチャ園と比較した。その結果, 天敵保護防除体系への切り替えから短期間で天敵類の発生が増加し, チャノキイロアザミウマの防除対策の再検討が必要ではあるが, この天敵保護防除体系は天敵類の活用に有効と考えられた。
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小杉 由紀夫
1999 年 1999 巻 46 号 p.
123-126
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1997年から1998年にかけて, 静岡県島田市初倉地域4地区から採集したチャノコカクモンハマキ幼虫の殺虫剤に対する感受性を検定した。その結果, 1997年秋以降に採集した4カ所の個体群で昆虫成長制御剤のクロルフルアズロン乳剤に対する感受性が低下していた。また, テブフェノジド水和剤や有機リン剤のクロルピリホス乳剤, 合成ピレスロイド剤のフェンプロパトリン乳剤では1997年春採集の個体群でも感受性が低下していた。クロルフルアズロン乳剤やテブフェノジド水和剤に比べ, クロルピリホス乳剤やフェンプロパトリン乳剤の感受性低下の程度が大きかった。
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小杉 由紀夫
1999 年 1999 巻 46 号 p.
127-128
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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チャ株面に垂直および水平方向からの動力噴霧機を用いた手散布で, チャ葉への薬液の到達程度を調査した。葉の表面へは薬液は散布方向に関係なく5cm内側まで到達した。裏面への到達は, 水平方向からの散布が垂直方向に比べ優れ, チャ株表面の葉での到達率は約95%であったが, 5cm内側の葉では約70%であった。垂直方向からの散布では, 水平方向からの散布に比べ30~40%到達率が低かった。
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小杉 由紀夫
1999 年 1999 巻 46 号 p.
129-131
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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薬剤をチャの葉表だけに処理した場合のチャハマキに対する効果を, 表裏に処理した場合と比較検討した。食毒作用と接触毒作用を併せ持つクロルピリホス乳剤, プロフェノホス乳剤, メソミル水和剤, ビフェントリン水和剤では, 葉表だけの処理でも, 表裏に処理した場合とほぼ同じ効果が見られた。食毒作用の強いテブフェノジド水和剤, BT水和剤では葉表のみの処理では表裏の処理に比べ効果が低かった。その原因として, チャハマキ幼虫の主な摂食部位は葉裏であり, 葉表のみの処理では薬剤の摂取が少ないことが考えられた。
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牛山 欽司
1999 年 1999 巻 46 号 p.
133-136
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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1998年7月以降神奈川県下の各種植物の葉枯れ症状からイチゴセンチュウ
Aphelenchoides fragariae (Ritzema Bos) Christie を検出した。ホトトギスの葉脈間が黄変して枯れ上がる症状, シュウメイギクの葉の角型の黄変~褐変で枯れ上がる症状, クリスマスローズの葉が角型に黒褐変したり葉縁から枯れる症状などから多数の本線虫を検出した。その他ユリ科のアガパンサス, ヘメロカリス, ギボウシ, インドハマユウ, スズラン, ホウチャクソウ, タデ科のギンミズヒキ, サクラタデ, シダ類のオオバイノモトソウとフモトシダからも本線虫を検出した。ホトトギス, シュウメイギク, クリスマスローズの症状を葉枯線虫病と呼称することを提案する。
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牛山 欽司
1999 年 1999 巻 46 号 p.
137-140
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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1998年10月から1999年4月にかけて神奈川県のボタン, シャクヤクのイチゴセンチュウ
Aphelenchoides fragariae (Ritzema Bos) Christie による被害状況を調査した。10月~11月にはボタンの芽に外観上の異常は観察されなかったが, 1月には頂芽の肥大の悪いものが認められた。芽内部の生長点部分には1月下旬にえ死が認められ, 3月には発育せずに変色し, その後枯死した。発芽したものもあったが萎縮症状を呈しており, 5月~6月には立枯れた。イチゴセンチュウは外観上健全の芽から10月下旬に検出され, 11月~2月には多数検出されたが2月下旬には検出されなくなった。シャクヤクでは葉枯線虫病症状葉を10月に確認し, 多数の本線虫を検出した。1~3月にシャクヤクの外観健全な新芽から本線虫を検出した。開花前に蕾が黒変して内部組織のえ死が認められ,本線虫が検出された。
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竹内 純, 水久保 隆之, 堀江 博道, 海保 富士男, 栄森 弘己
1999 年 1999 巻 46 号 p.
141-144
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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Leaf blight symptoms of
Bouvardia×
hibrida have broken out in two areas in Oshima Island, Tokyo Metropolis in 1998. The nematodes isolated from the diseased plants were identified as
Apherenchoides fragariae by morphological observation and morphometrics. To confirm the virulence of the nematodes, 200 individuals extracted from the field
Bouvardia were inoculated on the leaves of healthy
Bouvardia sp.,
Primula sp.,
Begonia sp.,
Gerbera sp. and
Eustoma sp. in pots with three replications. These tests were successful in reproducing the leaf blight symptom characteristic to the nematode and in establishing nematode colonies on all the plants tested. This is the first record on the leaf blight disease of
Bouvardia caused by
A. fragariae in Japan.
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三平 東作, 竹内 妙子, 福田 寛, 川上 敬志, 山本 二美
1999 年 1999 巻 46 号 p.
145-148
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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防根透水シートを用いて根域制限した施設半促成トマト栽培において, 太陽熱処理を行ったところ, 太陽熱処理中の地温は地床栽培の地温と比較して高く推移し, 高温に遭遇した積算時間の年次間較差も小さかった。これらの組み合わせ処理によるサツマイモネコブセンチュウと褐色根腐病の防除効果は安定して高く, 地床栽培における太陽熱処理に優った。トマト総収量は地床栽培の総収量とほぼ同等かやや劣ったが, 上物率は高く, 上物収量はやや優り, 糖度も高かった。
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千葉 恒夫, 冨田 恭範, 石井 貴, 藤井 政一
1999 年 1999 巻 46 号 p.
149-151
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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夏季のハウス密閉太陽熱土壌消毒により, メロンしおれ症の原因となるネコブセンチュウ, 紅色根腐病および根腐病の発生が軽減され, 収量が向上した。しかし, 簡易太陽熱処理は黒点根腐病には十分な効果が期待できなかった。黒点根腐病に対してはクロルピクリン・D-D剤やクロルピクリン剤処理の効果が高かった。
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堀江 博道, 沼沢 健一, 竹内 純
1999 年 1999 巻 46 号 p.
153-157
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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1998年5月, 東京都清掃局杉並中継所の周辺において各種植物に異常症状が多発しているとの指摘を受け, 調査を行った結果, 20種類の症状のうち13種類は病害, 5種類は虫害であった。これらは, いずれも普通に発生する病虫害であり, 同地域に特有な種類ではなかった。
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中村 靖弘, 青木 孝一, 萩谷 俊一
1999 年 1999 巻 46 号 p.
159-161
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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小輪系アスター (エゾギク, 商品名: マイクロアスター) で新規農薬等8薬剤の薬害試験を行ったところ, 花蕾発現期散布では3品種に4薬剤で, 新葉に回復可能な程度の薬害を生じた。また, 開花期散布では2品種に1薬剤で, 花弁の一部に色が抜けて白化する薬害が発生した。
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1999 年 1999 巻 46 号 p.
163-167
発行日: 1999/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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