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河合 章
2000 年 2000 巻 47 号 p.
1-6
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
わが国の野菜・花き栽培においてアザミウマ類は害虫としての重要度を増しており, とりわけ広食性の海外からの侵入種が重要である。またアザミウマ類の吸汁による直接害は大きくないが外観損傷害虫として重要であり, ウイルス病の媒介者としても重要である。野菜・花き害虫としてはミカンキイロアザミウマとミナミキイロアザミウマの2種が害虫として最も重要であり, 両種の生態特性および管理体系について述べた。
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苗いもちおよびばか苗病に対する温湯浸漬処理の防除効果
山下 亨, 江口 直樹, 赤沼 礼一, 斉藤 栄成
2000 年 2000 巻 47 号 p.
7-11
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
水稲種子の浸種前55~60℃で10分間の温湯浸漬処理により, 現行の化学合成農薬による種子消毒に比較してやや劣るもののイネいもち病, イネばか苗病の防除が可能であった。本法は化学合成農薬による種子消毒の代替技術として, また環境保全型農業技術の一つとして利用価値があると考えられる。
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温湯浸漬処理の水稲種子の発芽に及ぼす影響
山下 亨, 酒井 長雄, 江口 直樹, 赤沼 礼一, 斉藤 栄成
2000 年 2000 巻 47 号 p.
13-16
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
水稲種子に対する温湯浸漬処理が籾発芽, 苗の生育に及ぼす影響を検討した。50℃で105分間, 55℃で25~30分間, 60℃で15分間, 62℃で15分間, 64℃で10分間の浸漬処理であれば90%以上の発芽率が得られた。また, 60℃で10分間処理を行った苗の生育は無処理と差が認められなかった。
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もみ枯細菌病 (苗腐敗症) および苗立枯細菌病に対する温湯浸漬処理の防除効果
山下 亨, 江口 直樹, 赤沼 礼一, 斉藤 栄成
2000 年 2000 巻 47 号 p.
17-21
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
温湯浸漬処理によるもみ枯細菌病 (苗腐敗症) および苗立枯細菌病の防除は, 60~62℃で10~15分間の範囲で有効であると考えられた。60℃で10分間処理は浸漬接種籾を用いると安定した高い効果が得られたが, 穂ばらみ~開花期接種籾では効果は不安定となった。
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江口 直樹, 山下 亨, 武田 和男, 赤沼 礼一, 村田 和昭, 川嶋 謙蔵
2000 年 2000 巻 47 号 p.
23-26
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
温湯浸漬処理による水稲種子伝染性病害防除のための処理機を試作し, 実用性を検討した。本処理機は60℃前後における水温の制御精度が高く, 温度上昇による発芽障害や, 温度低下による防除効果の低下が起こりにくい。1回の適正処理量は水180
lに対し乾籾8kg (4kg袋×2) であり, 処理後, 流水中で籾を冷却することが籾の発芽障害を防ぐ上で重要であった。本処理機により水稲種子の温湯浸漬処理が安全かつ効果的に行える。
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江口 直樹, 山下 亨, 武田 和男, 赤沼 礼一
2000 年 2000 巻 47 号 p.
27-29
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
循環式加温催芽器を改良した温湯処理機を用い, 水稲種子伝染性病害に対する温湯処理の防除効果を検討した。苗いもち, ばか苗病, 苗立枯細菌病に対しては60℃10分間処理で種子消毒剤と同等の防除効果が認められ, もみ枯細菌病に対しては60℃15分間処理で高い防除効果が認められた。褐条病に対しての防除効果はやや低かった。本処理機による60℃10~15分間の温湯処理は水稲の種子無病化技術として実用性が高いと考えられる。
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宮坂 篤, 園田 亮一, 岩野 正敬
2000 年 2000 巻 47 号 p.
31-33
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
In the long-mat type hydroponic rice seedling method, rice seeds were soaked into hot water at 60°C or 62°C for 15 minutes to control the bakanae disease instead of using seed disinfectants. Germination rate of the hot-water soaked seeds was 6%-12% lower than the non soaked seeds, but the seedlings grew normally on the seedling beds and field. Using infected seeds, the number of bakanae plants on the seedling beds and field was reduced by the hot water treatment and did not differ significantly from a seed disinfectant treatment. These results suggest that soaking the seeds into hot water before sowing is effective against bakanae disease and could be used in the hydroponically raised seedling method.
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植竹 恒夫, 戸倉 一泰, 井上 文恵
2000 年 2000 巻 47 号 p.
35-37
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
水稲ロングマット水耕育苗における種子温湯浸漬 (60℃15分間) の種子伝染性病害虫に対する防除効果および生育への影響を調査した。その結果, イネシンガレセンチュウおよびイネもみ枯細菌病に対して高い防除効果が認められ, 水耕育苗中の根に対する伸長阻害は生じなかった。さらに, 水耕育苗液へ微量な硫酸銀を添加することで防除効果が向上した。
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米山 一海, 渡邊 健, 河村 勇
2000 年 2000 巻 47 号 p.
39-41
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
紙マルチ (ワックスマルチシート) および生分解性プラスチックフィルムを使用したクロルピクリン剤のマルチ畦内土壌消毒は, サツマイモ立枯病に対して従来のポリエチレンマルチとほぼ同等の防除効果が認められた。また, サツマイモ収量もポリエチレンマルチとほぼ同等であった。
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竹内 純, 堀江 博道
2000 年 2000 巻 47 号 p.
43-44
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Damping-off of celery (
Apium graveolens L.) occurred in Hachijo Island of Tokyo Metropolis in 1999. A
Rhizoctonia species isolated from the diseased plants was identified as
Rhizoctonia solani Kühn. Inoculation tests showed that the fungus was the causal agent of the disease. This is the first report of the disease in Japan.
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竹内 純, 堀江 博道
2000 年 2000 巻 47 号 p.
45-48
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Phytophthora rot of garden pea (
Pisum sativum L.) and
Albuca nelsonii N. E. Br. occurred in Hachijo-Island of Tokyo Metropolis in 1999. A
Phytophthora species isolated from diseased plants was identified as
Phytophthora nicotianae van Breda de Haan. Inoculation tests showed that this fungus was the causal agent of these diseases. This is the first report of these diseases in Japan.
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庄司 俊彦
2000 年 2000 巻 47 号 p.
49-51
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ニューギニア・インパチェンス根腐病に対してメタラキシル2%粒剤は,土壌混和施用では高い防除効果が, 株元への表面施用では顕著な治療効果が認められた。しかしメタラキシル2%粒剤の施用は, 用土の種類によっては葉の周辺部がえ死を起こす障害を生じた。
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白石 俊昌, 大塚 邦雄, 酒井 宏, 剣持 伊佐男, 柴田 聡
2000 年 2000 巻 47 号 p.
53-54
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
群馬県吾妻西部地域におけるキャベツバーティシリウム萎凋病の発生実態を調査した結果, 1993年の初発生時には発生面積は1.2haであったが, 1998年には31haに増加した。本病の発生は8月に多く, 発病圃場の増加はキャベツを連作している初発生地区で顕著であった。
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漆原 寿彦, 酒井 宏, 白石 俊昌
2000 年 2000 巻 47 号 p.
55-56
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ダイコンバーティシリウム黒点病の発病に及ぼすキタネグサレセンチュウの影響について検討した。その結果, 微小菌核とキタネグサレセンチュウをダイコンに同時接種すると, 微小菌核単独接種に比べて発病株率, 発病度とも高くなり, 本病の発病がキタネグサレセンチュウにより助長された。また, キタネグサレセンチュウの接種による発病助長程度は, 微小菌核密度10個/g乾土の時の方が100個/g乾土の時よりも大きいことが明らかになった。
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小木曽 秀紀, 清水 時哉, 藤永 真史
2000 年 2000 巻 47 号 p.
57-61
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
レタス根腐病の総合防除の一環として, 非病原性
Fusarium oxysporum 利用した生物防除を試みた。レタス健全株組織内から常法により
F. oxysporum を分離するとともに, レタス産地土壌から選択培地により
F. oxysporum を分離した。分離菌株は, 病原性がないことを確認した後, ポット試験で根腐病発病抑制効果を調査した。非病原性菌の育苗時接種により, 効果の程度は異なるものの, 多くの菌株が発病を抑制した。それらの中で特に効果が高い4菌株について, 現地汚染圃場での防除効果を検討した。圃場試験は2ケ年実施し, いずれも甚~多発生条件下で, 効果は認められるものの, その程度はやや低かった。
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酒井 宏, 漆原 寿彦, 白石 俊昌
2000 年 2000 巻 47 号 p.
63-65
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
カーバムナトリウム塩液剤100倍液の灌水チューブを用いた6,000
l/10a散布処理 (薬剤散布直後に20,000
l/10a灌水, 被覆有り) は, ホウレンソウ萎凋病に対して高い防除効果が認められ, 実用性があると思われる。
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庄司 俊彦
2000 年 2000 巻 47 号 p.
67-70
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
土壌に定植した接ぎ木キュウリへのパパイア輪点ウイルスの単独接種では栽培時期によって軽い萎凋が生じたが, キュウリモザイクウイルスを混合あるいは重複接種すると激しい萎凋が発生した。
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土井 誠, 片山 晴喜
2000 年 2000 巻 47 号 p.
71-74
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
静岡県浜松市内のキクから採集したミカンキイロアザミウマに同市のキクから分離したTSWVを獲得させ, Wijkamp and Peters (1993) の方法に準じペチュニア葉片を用いて成虫のTSWV媒介率を調査した結果, 媒介率は14~49%であった。雌雄別の媒介率は雄が雌より高い傾向であった。ペチュニア葉片で判定した媒介率とモノクローナル抗体を用いたDAS-ELISA法による保毒率との適合性について検討した結果, DAS-ELISA法でもおよその媒介率を把握可能であった。ミカンキイロアザミウマ幼虫の媒介率は成虫と同程度で, 幼虫期の後半から媒介を開始した。
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近藤 賢一, 川合 康充, 栗原 潤, 広間 勝巳
2000 年 2000 巻 47 号 p.
75-78
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1999年にリンゴ褐斑病菌子のう胞子の飛散消長を検討したところ, 子のう胞子の初飛散は4月22日に確認され, その後, 7月6日まで続いた。一次伝染期と考えられる5月中旬~6月中旬にマンゼブ水和剤等の殺菌剤を3回散布した結果, 防除効果が認められ, 一次伝染期における薬剤防除の有効性が示唆された。また, 二次伝染期にベノミル水和剤を時期別に散布し防除効果を比較した結果, 本年の重要防除時期は7月中旬~下旬であった。
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川合 康充, 近藤 賢一, 岡沢 克彦, 宮沢 孝幸
2000 年 2000 巻 47 号 p.
79-81
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
リンゴ炭疽病の病原菌は
Colletotrichum gloeosporioides と
C. acutatum が知られている。長野県のリンゴ主要産地の31圃場から炭疽病菌を分離したところ,
C. gloeosporioides の分離比率が94%と高率であった。
C. acutatum は調査した圃場の約16%で分離されたが,
C. gloeosporioides の分離比率に比べて極めて少なかった。分離された
C. acutatum はPDA培地に赤い色素を産する系統と菌叢が灰白色を呈する2系統がみられた。
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後藤 知昭, 九石 寛之, 石井 英夫
2000 年 2000 巻 47 号 p.
83-84
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Monoconidial isolates of
Venturia nashicola were collected in 1999 from ten pear orchards in Tochigi Prefecture and their susceptibility to the DMI fungicide fenarimol was determined by mycelial growth tests. Results on PDA plates showed that DMI-resistant isolates occured at 5.9% on average and suggested that field performance of this fungicide is still maintained in Tochigi Prefecture.
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岩波 靖彦, 広間 勝巳, 萩原 保身
2000 年 2000 巻 47 号 p.
85-87
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1996年年頃から長野県南部の下伊那郡松川町において, 収穫したセイヨウナシ果実に黒色斑点を生じる病害が発生した。そこでその原因を究明した結果, 荒井ら (1999) の報告によるセイヨウナシ黒点病 (
Cylindrosprium pomi Brooks) と同一の病害であることを確認した。また, 現地における発生果実の症状の観察, および接種試験により, 品種によって, あるいは, 有袋栽培か無袋栽培であるかによって, その症状がやや異なることも認められた。
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冨田 恭範, 千葉 恒夫, 寺門 巌
2000 年 2000 巻 47 号 p.
89-92
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
茨城県のブドウ「巨峰」栽培において, 簡易雨よけを導入することにより, 黒とう病, べと病およびさび病の発生が軽減または回避でき, 茨城県のブドウ病害虫防除暦における殺菌剤の散布回数を, 30~40%削減できる可能性が示唆された。
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川合 康充, 伊原 竜夫
2000 年 2000 巻 47 号 p.
93-95
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
長野県東筑摩郡生坂村におけるブドウさび病の防除法を確立するため, 発生消長, 防除適期と有効薬剤について検討した。1999年の発生消長は8月下旬~9月であったが, 聞き取り調査による平年の初発~発生盛期は7月中・下旬~8月であった。薬剤の防除適期は6月下旬~7月下旬と推定され, アゾキシストロビン10フロアブル, マンゼブ水和剤, クレソキシムメチルドライフロアブルの効果が高かった。
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久保田 まや
2000 年 2000 巻 47 号 p.
97-100
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1996~97年に東京都八丈町において, シェフレラ・アルボリコラ (
Schefflera arboricola‘Hong Kong’) およびスマイラックス (
Asparagus asparagoides (L.) W. F. Wight) に未知の根腐れ性病害が発生した。病原菌は接種試験と培地上における形態観察から,
Pythium splendens Braun と同定した。病名をシェフレラ根腐病 (root rot) およびスマイラックス根腐病 (root rot) と提案する。
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久保田 まや
2000 年 2000 巻 47 号 p.
101-104
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1999年, 東京都立川市において, ペンステモン (
Penstemon×
hybridus), カンパニュラ (
Campanula persicifolia L.) およびルクリア (
Luculia gratissima) にわが国で未記載の病害が発生した。病原菌は培地上における形態観察と接種試験から,
Phytophthora sp. と判断された。病名をペンステモン疫病 (Phytophthora rot of Penstemon), カンパニュラ疫病 (Phytophthora rot of Campanula) およびルクリア疫病 (Phytophthora rot of Luculia) と提案する。
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原 聖樹, 山崎 義明, 宮川 健太郎, 関谷 英雄
2000 年 2000 巻 47 号 p.
105-108
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
従来, 神奈川県では信太による越冬記録しかなかったイチモンジセセリが県西半部, チャバネセセリが県南半部において, 両種とも低地から山麓にかけて越冬あるいは越冬可能なことを, 自然状態に近いポット試験および現地調査により明らかにした。両種幼虫は, 集落周辺で日当たりのよい田畑の畦・土手, 休耕地, 谷地田の畦畔, 河川堤防等に形成されたイネ科雑草群落で越冬していた。越冬場所で行われる除草, 耕うん, 野焼きなどの農作業は期せずして, 寒さに動きを封じられた幼虫を駆除しており, 両種の越冬世代成虫が極端に少ない理由はこの点にも起因すると考えられる。
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横須賀 知之, 諏訪 順子
2000 年 2000 巻 47 号 p.
109-112
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
斑点米の発生原因となるクモヘリカメムシに対して, 近年水稲害虫に登録された殺虫剤による防除効果を検討した。虫体浸漬法では, イミダクロプリドおよびシラフルオフェンに高い殺虫効果が認められた。ピメトロジンおよびニテンピラムには麻痺作用が認められたものの, 殺虫効果は低かった。水田での防除試験では, シラフルオフェンの残効が比較的長く, クモヘリカメムシの防除に有効と考えられた。
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大木 浩, 小林 伸三, 鎌田 由美子, 八槙 明子
2000 年 2000 巻 47 号 p.
113-116
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1983年~1999年に千葉県病害虫防除所が実施した斑点米カメムシ類の発生調査結果を解析したところ, 県下100地点のすくい取り虫数は調査毎に大きなばらつきがあったが, 捕獲地点率はばらつきの少ない数値が得られ, 斑点米の発生量との関連が認められた。また, 8月中の斑点米の増加は, 8月1日~20日の平均気温および合計降水量と関連があり, これらの知見から斑点米発生量の予測を試みた。
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吉岡 広明, 岩撫 才次郎, 阿久津 四良, 宮川 健太郎
2000 年 2000 巻 47 号 p.
117-120
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
神奈川県内の露地ナス圃場において, 在来天敵類に影響の少ない選択性殺虫剤を基幹とした減農薬防除体系の有効性を2年間検討した。その結果, 慣行防除より殺虫剤を20~30%削減した防除体系でも品質や収量に大差はなく, 害虫の発生も慣行防除に比べ低く抑えることができた。これにより露地ナスの減農薬栽培の可能性が示唆される。
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丸山 威, 浅野 昌司, 岩佐 智子, 関 昭広
2000 年 2000 巻 47 号 p.
121-124
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
単一の殺虫性結晶蛋白 (Cry1C) を有効成分とする新規BT剤 (レピターム
®フロアブル) を供試薬剤としてハスモンヨトウ幼虫のBT剤に対する感受性を検定した。幼虫齢期による感受性をキャベツ葉片浸漬法で調査した結果, 中齢以降は死亡率が低下したが, 体重増加量から算出した発育阻害率は終齢まで高かった。異なる試験温度条件下での効果発現日数を観察したところ, 死亡率が90%以上になるまでには20℃で7日, 25℃で5日, 30℃で3日と高温になるにつれて発現までの日数が短縮された。しかし, いずれの温度でも処理直後から体重増加は認められず, 温度には依存せずに発育抑制がみられることが明らかとなった。
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柿沼 久美子, 須藤 和久, 千本木 市夫, 高山 義弘, 伊牟田 強
2000 年 2000 巻 47 号 p.
125-127
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ヤマノイモ (ヤマトイモ: イチョウイモ中長首系) 栽培地帯でハスモンヨトウに対する合成性フェロモン剤の交信攪乱による防除効果を検討した。1) モニタートラップによる誘殺数は処理区が対照区の10%以下となった。2) つなぎ雌法による交尾率調査では処理区は対照区と比較して交尾率が低かった。3) 被害度調査では処理区は対照区と比較して明らかに被害が低かった。以上の結果, 合成性フェロモン剤を用いた交信攪乱は防除手段の一つとして有効であることが示唆された。
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遠藤 正樹, 加藤 浩生, 清水 喜一
2000 年 2000 巻 47 号 p.
129-131
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1999年に千葉県内におけるタバコガ類の発生状況を調査するとともに, 常用濃度による殺虫剤の感受性検定を行った。オオタバコガとタバコガは, 1996年の調査とは寄主作物が異なること, タバコガの発生が相対的に増加していることがうかがわれた。オオタバコガは, タバコガに比較して有機りん剤, 合成ピレスロイド剤, カーバメート剤, BT剤に対して薬剤感受性が低く, タバコガは, オオタバコガよりIGR剤に対して感受性が低い傾向を示した。1996年に採集し, 千葉県農業試験場において, 累代飼育を継続しているオオタバコガでは, 有機りん剤, 合成ピレスロイド剤, カーバメート剤に対する薬剤感受性の回復が顕著であった。
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西森 俊英, 小林 茂之, 小林 政信
2000 年 2000 巻 47 号 p.
133-136
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
神奈川県三浦市で採集したオオタバコガ
Helicoverpa armigera 3齢幼虫に対して, 葉浸漬法を用いて各種薬剤の活性を調べた。その結果, エマメクチン安息香酸塩乳剤やスピノサド顆粒水和剤をはじめとする薬剤に高い活性が認められた。また, 中齢期以降の幼虫で激しくなる共食いを回避するため, 仕切り板を用いた個別飼育を行い, 安定して大量の蛹を得ることが可能となった。
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香川 晴彦
2000 年 2000 巻 47 号 p.
137-140
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ナモグリバエに対するインゲンマメの感受性には品種間差異が認められ, 被害葉数は供試した8品種のうち「スパイダー菜豆」で最も多く,「SB2014」で最も少なかった。施設内の全株被害葉調査から, 低密度と高密度のナモグリバエに対する感受性が品種によって異なる可能性が示唆された。また, 葉色が濃く, 葉面上の毛じ密度が高い品種ほど被害が少なくなる傾向が示された。
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松本 信弘, 横井 春郎, 河野 真治, 舟久保 太一, 豊嶋 悟郎
2000 年 2000 巻 47 号 p.
141-143
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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初発見以来3年目のインゲンテントウ (
Epilachna varivestis) の我が国における発生状況を1999年に調査した。その結果, 山梨県甲府市及び長野県箕輪町の2市町で, 新たに発生が確認され, 両県下の発生市町村数は合計22市町村となった。また, 両県下における発生地の標高はいずれも500~1,500mと比較的標高の高い地域に限られており, それ以外の地域での新らたな発生はなかった。
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増井 伸一, 池田 雅則
2000 年 2000 巻 47 号 p.
145-146
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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イチゴの品種によってオンシツコナジラミの次世代羽化数が異なった。供試した6品種のうち,「章姫」は最も羽化数が多く,「久能早生」,「とよのか」,「女峰」,「アイベリー」がこれに続き,「宝交早生」では最も少なかった。本種の個体群間にはイチゴにおける次世代羽化数に差は認められなかった。
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増井 伸一, 池田 雅則
2000 年 2000 巻 47 号 p.
147-148
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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静岡県内のイチゴに発生するコナジラミは産地によって種が異なった。東部地区では定植直後の10月にオンシツコナジラミのみ発生が認められ, 翌年の3月まで発生は継続した。多発ほ場では葉にススが発生した。一方, 中部および中遠地区では10月にシルバーリーフコナジラミの発生が見られたが, その後の密度は低下し, ススは発生しなかった。
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竹内 純, 堀江 博道, 土生 昶毅, 小谷野 伸二, 荒巻 一雄
2000 年 2000 巻 47 号 p.
149-152
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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東京都のコマツナ露地圃場において, 葉に引きつれ, ひだ葉化, 反り返りなどの奇形および多数の白色斑点が発生し, このため出荷不能となる被害が多発した。被害株にはネギアザミウマが多寄生していた。ネギアザミウマを放飼したポット試験によりコマツナに全ての症状が再現され, 一方, 無放飼区では症状が現れなかった。コマツナの露地圃場の寒冷紗被覆処理区では無被覆に比べてこれらの被害が減少した。
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本多 健一郎
2000 年 2000 巻 47 号 p.
153-156
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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The occurrence of the black bean aphid,
Aphis fabae Scopoli (subsp.
fabae) was observed on broad beans in Osaka Prefecture. Since the first record of
A. f. fabae in Japan (Hokkaido Prefecture) in 1994, its distribution has not been reported in the western part of Japan. The offspring of parthenogenetic females collected in Osaka Prefecture did not produce any sexual forms under the short day-length (8L16D, 12L12D) and low temperature (10°C, 15°C) conditions which induce sexual generation of this species with holocyclic life cycle. So it was supposed that the aphids of Osaka Prefecture belong to the anholocyclic population. This aphid could be reared on
Visia faba, Phaseolus vulgaris, P. angularis, Pisum sativum, Beta vulgaris, Rumex obtusifolius but not on
Trifolium repens.
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小杉 由紀夫
2000 年 2000 巻 47 号 p.
157-159
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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室内でBT剤を処理したチャ葉をチャハマキ3齢幼虫に1, 3, 5, 7日間摂食させてその殺虫効果を調べたところ, 処理終了時の幼虫死亡率は摂食期間が長いほど高かった。処理終了後, チャ葉を全て無処理葉に入れ替えた後も幼虫の死亡が見られ, チャ葉入れ替え後の死亡率は処理終了時に比べ高まった。しかし, いずれの処理区もその死亡率は7日間摂食区に比べ低く, 高い効果を得るためにはBT剤処理葉を長期間摂食させる必要があった。
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武藤 浩志
2000 年 2000 巻 47 号 p.
161-163
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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静岡県内の露地イチジク園に発生するアザミウマ類の種類とその発生消長および被害実態を調査した。志太榛原地域ではヒラズハナアザミウマ, ネギアザミウマ, ハナアザミウマが多く, 新たな侵入害虫であるミカンキイロアザミウマは極めて少なかった。また, 被害が問題となっている2, 3番果 (早期出荷) の果実ではハナアザミウマ, ヒラズハナアザミウマの両種が主要な加害種であった。
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三平 東作
2000 年 2000 巻 47 号 p.
165-167
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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ダイコンを加害するキタネグサレセンチュウの被害を解析し, ダイコン播種時の線虫密度とダイコン根ぐされ指数との回帰分析により, 要防除水準を求めた。収穫時のダイコン根ぐされ指数が25以下になるのは, 播種時線虫密度がベルマン法で土壌20g当たり1.8頭以下の場合であった。しかし, この要防除水準には, 2~6頭の年次較差があり, 栽培期間中における, 環境要因の影響が示唆された。秋冬ダイコンによる線虫増殖率 (Pf/Pi) は, 0.58~3.25と低率であった。また, 播種時線虫密度とダイコン重には負の相関が認められたが, 相関は弱く, 回帰係数の有意性も年次により, 異なった。
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水久保 隆之, 皆川 望, 相場 聡, 伊藤 賢治
2000 年 2000 巻 47 号 p.
169-171
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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20g当たり1, 5, 10, 15, 20および30頭のキタネグサレセンチュウを含む土壌にゴボウ (登録品種名: てがる) を播種し, 3週および4週後に掘り取って主根に形成されたえ死斑数を調査した。ゴボウの主根1cm当たりのえ死斑密度は播種前土壌の線虫密度と線形の相関を示し, 線虫の初期密度 (y) と播種3週および播種4週後のゴボウ主根え死斑密度の平均値 (x) には, それぞれy=5.752x+1.5671 (r
2=0.9544) およびy=4.853x+0.3789 (r
2=0.9781) の一次回帰式が成立した。
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堀江 博道, 萩谷 俊一, 中澤 靖彦, 宗 和弘
2000 年 2000 巻 47 号 p.
173-178
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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関東東山地域10都県において, 花き類116品目に対して228種類の農薬を施用し, 薬害および汚れの発生を調査した。延べ5,823件のうち, 8.2%に薬害が, 11.7%に汚れが生じた。薬害が発生した花き類・農薬の組み合わせと症例を示した。
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渡辺 茂, 高橋 和弘
2000 年 2000 巻 47 号 p.
179-182
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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スイートピーの苗立枯れ症状に対する殺菌剤の土壌灌中処理による薬害事例を調査したところ, マンゼブを含む薬剤で顕著な薬害が認められた。また, トルクロホスメチル他4剤で, 茎の伸長抑制がみられた。
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2000 年 2000 巻 47 号 p.
183-186
発行日: 2000/11/01
公開日: 2010/03/12
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