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駒田 旦
2003 年 2003 巻 50 号 p.
1-5
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
近年, 世界的に野菜・花きの種子伝染病の被害が問題になり, 健全種子供給への要望が高まっている。しかし, 種子伝染性病原に汚染されていない完壁な健全種子の生産はきわめて困難であり, 種子消毒により対応せざるを得ないのが現実である。しかしわが国では, 主として経済的理由から, 純然たる種子伝染病防除剤として野菜・花きの種子処理登録のあるものは非常に少ない。普通作物と異なり, 野菜・花きの種子消毒は, 今日, 不特定多数の生産者に代わって種苗会社が種子処理を行ない, 種苗会社は改正農薬取締法のもとでは使用者になる。種苗会社は従来, 登録農薬の適用外 (種子処理) 使用で対応してきたが, 改正法のもとでは、これは違法行為となるので, 日本種苗協会では, 適用拡大のための薬効・薬害・作物残留データ作成の試験を各社で分担して行うこととなった。
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池田 二三高
2003 年 2003 巻 50 号 p.
7-12
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
関東東山圏の農業を中心にして, この40年間ほどの害虫相を変化させた諸要因, 試験研究機関で取り上げられて実用的な防除技術となった主要成果について考察を行った。また, 今後の農業生態系を含めた生物相の解明や新たな防除技術の開発に関する研究課題について述べた。
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米山 一海, 横須賀 知之
2003 年 2003 巻 50 号 p.
13-16
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
茨城県においてイネ黄萎病は, 1960年代から1970年代に県内各地で多発していたが, 近年は発生が認められないほど減少していた。しかし, 2001年秋に県の西部地域で再生稲に本病の発生が確認され, 発生程度が最も高かった地点の平均発病株率は約11%であった。2002年には同地点の平均発病株率は立毛稲で約5%, 再生稲の平均発病株率は約6%であった。現在のところ本病の急激な発生増加の可能性は低く, 収量への影響は小さいと考えられる。
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松本 みゆき, 渡邊 健
2003 年 2003 巻 50 号 p.
17-20
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
イネもみ枯細菌病, 苗立枯細菌病を対象に開発された非病原性細菌水和剤 (
Pseudomonas spp. CAB-02菌株) と, イネばか苗病を対象に開発された
Trichoderma atroviride 製剤の併用によるイネ種子伝染性病害の体系防除を検討した。両剤ともに, 200倍希釈になるよう調製した混合液を用いて催芽時浸漬処理したところ, イネばか苗病, もみ枯細菌病および苗立枯細菌病に対して高い防除効果が認められた。また,
T. atroviride 製剤は, 単独処理で苗いもちや育苗時に発生する苗立枯病に対しても有効であることから, 両剤を併用することにより各種イネ種子伝染性病害の体系防除が可能であると考えられる。
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宮坂 篤, 岩野 正敬, 安田 伸子, 井上 伊織, 小泉 信三
2003 年 2003 巻 50 号 p.
21-24
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
2001年に関東東山地域12都県の水田圃場からイネいもち病罹病葉および罹病穂を採取し, これらからいもち病菌を単胞子分離し, 分離305菌株のレースを検定した。2001年は1994年と比較し分布主要レースの種類に変化はなく, 12レースの分布が確認された。レース007.0の分離率が最も高く, レース001.0, 003.0, 005.0, 037.1, 033.1および035.1がこれに次いだ。なお, レース005.0は1994年には3県, 2001年には9県から分離され, 本レースの分布拡大が認められた。
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渡邊 健, 松本 みゆき, 諏訪 順子, 相野 公孝, 本吉 貞彦
2003 年 2003 巻 50 号 p.
25-28
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ハクサイ黄化病に対する生物防除法とその効果的な利用法を検討した。生物防除素材としてハクサイ根こぶ病防除に有効な内生細菌を用い, 本菌を含有した培土でハクサイ苗を育苗した。また, 本圃に細菌類が窒素源として利用できる尿素系縮合ポリマーを10a当たり200kg土壌混和し, 畦立てした。それぞれの単独処理のみによる黄化病防除効果は低かったが, 両者を併用した場合, 防除効果は高まり, 黄化病の少発生条件では実用的な防除効果が得られた。しかし, 多発生条件での防除効果は不十分であった。そこで, 体系防除技術として, 土壌消毒後2年間程度黄化病の発生が抑制されるカーバム剤の土壌消毒跡地に内生細菌接種苗と尿素系縮合ポリマーの土壌混和の併用処理を適用したところ, 実用的な高い防除効果が得られた。
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大木 健広, 津田 新哉, 本田 要八郎
2003 年 2003 巻 50 号 p.
29-32
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
When green pepper seedlings were transplanted to soil mixed with roots infected with pepper mild mottle virus (PMMoV), the mosaic disease developed. This suggested that infection by PMMoV occurred at the time of transplanting. Green pepper seedlings were transplanted to infested soil by several methods to investigate the possibility of preventing soil transmission. Consequently, removing seedlings from their pots and transplanting to soil had an incidence of approximately 80% diseased plants. Plants removed from the seedling pots had exposed roots that were easily contacted by infested soil when transplanted. On the other hand, molded peat-moss pot seedlings transplanted to soil had an incidence of 0-14% diseased plants. The reduction in disease incidence is attributed to the peat-moss pot preventing contact of seedling roots with infested soil at the time of transplanting. Since the molded peat-moss pots had no adverse influence on the growth of green pepper seedlings after transplanting, it appears to be an effective method for preventing soil transmission of PMNIoV.
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伊藤 実佐子, 横山 とも子, 竹内 妙子
2003 年 2003 巻 50 号 p.
33-35
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1999~2001年に千葉県内のスイカ産地で果実が腐敗し, 収穫・出荷・輸送中に果実花落ち部より白い泡が噴き出す症状が発生し問題となった。菌の分離・同定を行ったところ, Enterobacteriaceae (腸内細菌科) に属する細菌によるものであることがわかった。
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小河原 孝司, 冨田 恭範, 今泉 ゆき, 長塚 久
2003 年 2003 巻 50 号 p.
37-38
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
メロンつる割病が多発生する現地圃場において, クロルピクリン剤による土壌くん蒸とフスマを利用した夏季の土壌還元消毒は, ほぼ同等に発病を抑制した。また, それらの併用処理は単独処理に比べ抑制効果はやや高かったが, いずれも防除効果としては不十分であった。
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佐藤 京子, 篠崎 哲雄, 古手 敏治, 熊谷 典道
2003 年 2003 巻 50 号 p.
39-42
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
メロン黒点根腐病菌に対する酢酸の殺菌効果と防除効果および市販の木酢液, ニームオイル液の殺菌効果を調査した。酢酸500ppm以上に調製したPSA培地上で菌糸は伸長しなかったが, 酢酸1000ppm液に13日間浸漬した子のう胞子は, ポット栽培メロンの接種試験において無処理区に比べて根腐程度は低く発病抑制効果が認められたが病原菌は死滅しなかった。ポット栽培における定植7日前酢酸潅注処理, 市販の木酢液, ニームオイル液処理はいずれもメロン黒点根腐病に対する防除効果を期待できない。
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植草 秀敏, 岡本 昌広, 草野 一敬, 小林 正伸
2003 年 2003 巻 50 号 p.
43-47
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
水平設置型の二重管式ヒートパイプを用いた育苗用・鉢物用培土の消毒装置を作製し, トマト萎凋病菌とキュウリ苗立枯病菌の汚染土を用いて, 本装置の消毒効果を検討した。ボイラーのサーモスタットを60℃に設定し, 消毒装置中央部に設置して, 7日間消毒を行い, フザリウム属菌の菌密度への影響を調べたところ, ほとんどの場所で菌密度は検出限界以下まで減少した。キュウリ苗立枯病については, キュウリ種子の発芽試験を行ったところ, 実用上問題ない程度に消毒された。60℃の設定で7日間消毒を行い消費した灯油は12.7
lであった。また, 45℃の設定で培土にショ糖を混和して土壌還元消毒を併用し, 7日間の消毒行ったところ, 十分な消毒効果が認められた。45℃の設定で消費した灯油は10.2
lであった。
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小山田 浩一, 鈴木 聡, 和田 悦郎, 齋藤 芳彦
2003 年 2003 巻 50 号 p.
49-53
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
土壌還元消毒法のイチゴ萎黄病に対する防除効果を検討した。本試験において, 土壌還元消毒期間中における土壌の酸化還元電位は処理3日後から強還元状態になっていることが確認された。さらに, 土壌還元消毒中の
Fusarium oxysporum 菌密度は処理7日後以降, 大幅に減少し, 処理21日後以降は検出されなかった。また, 本圃における発病状況から、土壌還元消毒は臭化メチル剤とほぼ同等の防除効果が認められ, 太陽熱消毒に優った。これらのことから, イチゴ萎黄病を対象とした土壌消毒として土壌還元消毒法は実用性が高いと考えられる。しかし, 収量については土壌還元消毒は臭化メチルにやや劣り, 消毒処理後の可給態窒素量の差が原因になっている可能性が示唆された。
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栄森 弘己, 小野 剛, 大林 隆司
2003 年 2003 巻 50 号 p.
55-56
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
東京都小笠原諸島の父島および母島において, 2001~2002年にシカクマメの莢に腐敗症状が発生した。病原菌は, 形態観察, 接種試験などから
Rhizoctonia solani Kühn と同定された。病名をシカクマメ実腐病と提案する。
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竹内 純, 堀江 博道, 栄森 弘己, 野口 貴
2003 年 2003 巻 50 号 p.
57-60
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Stem rot of soybean
Glycine max (L.) Merr. occurred in Tokyo Metropolis in 2002. The causal fungus isolated from diseased plants was identified as
Phoma exigua Desmazieres by morphological observations, colour reaction test with N-NaOH on MA medium and inoculation tests. This is the first report on stem rot of soybean by
P. exigua in Japan.
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竹内 純, 堀江 博道, 栄森 弘己, 竹内 浩二, 西村 修一
2003 年 2003 巻 50 号 p.
61-64
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Gray mold and leaf blight of wasabi,
Eutrema japonica (Miq.) Koidz. occurred in the town of Okutama, Tokyo Metropolis in 2002.
A Botrytis species isolated from plants infected with gray mold was identified as
Botrytis cinerea Persoon: Fries, while a
Rhizoctonia species isolated from plants infected with leaf blight was identified as
Rhizoctonia solani Kühn AG1 IB. Inoculation tests showed that these fungi were causal agents of the respective diseases. This is the first report on these diseases in Japan.
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岩波 靖彦, 近藤 賢一, 飯島 章彦
2003 年 2003 巻 50 号 p.
65-69
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
リンゴ炭疽病の薬剤防除効果試験法について検討した結果, リンゴの切枝で培養した炭疽病菌を人工伝染源とし, 樹上に設置することにより適度な発病が得られ, 効率的に試験が実施可能であった。接種源の培養は, オートクレープ滅菌したリンゴの休眠枝 (1年枝) を用い, 25℃で1ヶ月間行い, 4×2m並木植のわい性台樹の場合, 培養した枝10~30本を網で包み1束とし,2m間隔 (1束/1樹), 地上3.5m (樹冠上約1.5m) に設置するのが適当であった。
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江口 直樹, 赤沼 礼一
2003 年 2003 巻 50 号 p.
71-73
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ニホンナシ心腐れ症における
Phomopsis sp. の果実感染時期と胴枯病斑からの分生子飛散消長を調査した。分生子の飛散開始時期は年次により差が見られたが, 果実感染はいずれの年も開花期以降からであった。感染は開花期から収穫直前まで認められたが, 満開から幼果期において最も多かった。
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冨田 恭範, 小河原 孝司, 長塚 久
2003 年 2003 巻 50 号 p.
75-77
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ナシ黒星病対象の殺菌剤のうち, 新規に登録されたDMI剤の防除効果ならびに効果持続期間を検討した結果, ジフェノコナゾール水和剤, ヘキサコナゾールフロアブル, フェンブコナゾールフロアブルの3剤は防除価90以上と防除効果が高く, 薬剤散布14日後から31日後まで安定した防除効果が持続した。
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江口 直樹, 赤沼 礼一, 萩原 保身
2003 年 2003 巻 50 号 p.
79-82
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
2000年に長野県下で栽培されているマルメロ (
Gydonia oblonga Miller) において果実のていあ部から褐色水浸状に腐敗する病害が発生した。腐敗部位からは
Phomopsis sp. が高率に分離され, 接種試験により, 病原であることが明らかになった。マルメロでの
Phomopsis sp. による病害は未報告であるのでマルメロ尻腐病 (新称) としたい。
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土井 誠, 加藤 公彦
2003 年 2003 巻 50 号 p.
83-87
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1998年4月に静岡県内の施設栽培トルコギキョウの葉にえそ斑点やえそ斑紋等の症状が発生した。発病株からウイルスを分離し, 得られた分離株の汁液接種によりトルコギキョウで原病徴が再現された。分離株の宿主範囲, ミカンキイロアザミウマによる伝搬, 電子顕微鏡観察, 血清反応, ヌクレオキャプシドタンパク質領域の一部の塩基配列について検討した。これらの結果から本ウイルスをインパチエンスネクロティックスポットウイルス (INSV) と同定した。INSVによる病害をえそ斑紋病と命名したい。
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土井 誠, 古木 孝典
2003 年 2003 巻 50 号 p.
89-93
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
1998~2002年に静岡県内の施設栽培トルコギキョウに発生したウイルス病の病原を調査した。この結果, 4種類のウイルスが確認され, これと既報の2種と合わせ, 6種類のウイルスが静岡県内で発生していることが確認された。このうち, アイリスイエロースポットウイルス (IYSV) を主としたアザミウマ媒介性ウイルスが, 静岡県内のトルコギキョウに発生しているウイルス病の主原因となっていることが明らかとなった。
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星 秀男, 堀江 博道
2003 年 2003 巻 50 号 p.
95-99
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Stem rot of
Lilium ‘casablanca’ occurred at Hachijo-island of Tokyo Metropolis in 2001. The pathogen from the diseased plant was identified as a species of
Rhizopus sp. An inoculation test confirmed that this fungus was the causual agent of the disease.
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海老原 克介, Silvia M. KATO, 植松 清次, 鎌田 展生
2003 年 2003 巻 50 号 p.
101-103
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Differences in resistance of statice varieties to Bacterial wilt were evaluated among 32 commercial cultivars. Although all tested cultivars showed symptoms, disease severity differed in each cultivar. The severity in cultivars with yellow or white calyxes was lower than in those with another color calyxes.
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竹内 純, 堀江 博道, 栄森 弘己, 栗原 隆治
2003 年 2003 巻 50 号 p.
105-107
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Anthracnose of
Shibataea kumasaca (Zollinger) Makino occurred in Tokyo Metropolis in 2002. The pathogen isolated from the diseased plant was identified as a species of
Colletotrichum. An inoculation test showed that this fungus was the causal agent of the disease. This is the first report of this disease in Japan.
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星 秀男, 堀江 博道, 福田 達男
2003 年 2003 巻 50 号 p.
109-112
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Southern Blight of
Achillea milleforium L.,
Atractylodes lancea var,
chinensis Kitam.,
Corydalis heterocarpa Shieb. et Zucc. var.
japonica Ohwi,
Lycopus maackianus (Maxim.) Makino,
Patrinia villosa Juss.,
Petentilla fragarioides L. var.
major Maxim. and
Plantago lanceolata L. occurred at the Tokyo Metropolitan Medicinal Plant Garden. The causal fungus isolated from each diseased plant was identified as
Sclerotium rolfsii Saccardo by morphological observations and inoculation tests. This is the first report this disease on these plants in Japan.
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堀江 博道, 佐藤 幸生, 栄森 弘己, 南 晴文
2003 年 2003 巻 50 号 p.
113-116
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
2000~2001年に東京都伊豆大島およびその近島において, 有用植物に発生した病害を調査し, 61科118種類の植物に合計201病害の発生を記録した。
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堀江 博道, 竹内 純, 柿嶌 眞, 佐藤 豊三
2003 年 2003 巻 50 号 p.
117-122
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
セイヨウキンシバイさび病が植栽地や生産圃場に広く発生し, 被害を及ぼしていることを明らかにした。病原菌は形態的な特徴および接種試験から
Melampsora hypericorum と同定された。セイヨウキンシバイ, トモエソウ (接種) およびキンシバイ (接種) は, わが国における
M. hypericorum の新宿主である。本菌の夏胞子発芽適温は10~18℃であり, 露地での発病蔓延期の平均気温とよく一致する。
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竹内 博昭, 鈴木 芳人
2003 年 2003 巻 50 号 p.
123-126
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
斑点米カメムシ類の重要種の一種であるアカスジカスミカメが発生させる斑点米には玄米の頂部に斑紋がある斑点米と, 側面に斑紋がある斑点米とがある。主に登熟初期に生ずる頂部の斑紋はアカスジカスミカメが内穎と外穎のわずかな隙間から加害するために発生するとされてきたが, 実際に確認されたことはない。そこでアカスジカスミカメをイネの穂に放飼して穿孔部位を観察した。その結果, アカスジカスミカメは籾のふ先・芒を選択的に穿孔し, 玄米の頂部に斑紋を発生させることが分かった。
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石崎 摩美, 奥 慎太郎, 鈴木 芳人
2003 年 2003 巻 50 号 p.
127-129
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
We developed a bioassay method using a two-choice test to assess the response of
Leptocorisa chinensis (Dallas), rice bug, nymphs, to olfactory stimuli. Two plastic cups were placed on a board covered with wet quartz sand. Each of the cups was covered with mesh cloth in order to prevent visual stimuli of the odor sources tested. At the center of the board, a stick was erected to function as the releasing point for bugs tested. This two-choice test bioassay method was used to demonstrate the responses of
L. chinensis nymphs to olfactory stimuli.
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渡邊 朋也, 竹内 博昭, 石崎 摩美, 奥 慎太郎, 鈴木 芳人
2003 年 2003 巻 50 号 p.
131-134
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
出穂期を変えた複数のイタリアンライグラス圃場におけるクモヘリカメムシとホソハリカメムシの越冬成虫の飛来動態を, 2002年につくば市において調査した。クモヘリカメムシは6月下旬に出穂したイタリアンライグラスにのみ7月上旬に飛来し, 個体数増加の明瞭なピークが観察された。ホソハリカメムシは5月中旬にはすでに圃場内に飛来していたが, 幼虫の発生は6月下旬からみられた。クモヘリカメムシ越冬成虫の飛来時期の斉一性は, 次世代発生のピーク予測を精度よく行える可能性を示唆している。
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長谷川 浩, 熊谷 幸博, 渡辺 実, 久保田 篤男
2003 年 2003 巻 50 号 p.
135-137
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
火山灰土壌の水田転換畑に作付けしたダイズでオオクロコガネ幼虫による根の食害により倒伏する株が増加し, 減収の大きな要因となっていた。そこで, 成虫の発生消長から産卵時期を推定し, ほ場を8月上旬に2日間湛水状態に保ったところ, 対照区と比較して2~3齢幼虫の生息密度が大きく低下した。その結果, 大粒比率60%, 300kg/10a以上の収量を得ることができた。
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守屋 成一, 水谷 信夫
2003 年 2003 巻 50 号 p.
139-141
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Four types of traps baited with synthetic aggregation pheromone were tested in fields to catch the bean bug,
Riptortus clavatus (Thunberg). Among them, a fence-like trap using a plastic net (W240×H100cm) with a water-pan caught the bugs much more effectively than a conventional water-pan trap (40cm in diameter). A simple ‘light trap’ made by replacing the light source with the pheromone, caught the bugs as well as the water-pan trap. The other two types might not be useful because few or no bugs were caught.
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諏訪 順子, 横須賀 知之, 上田 康郎
2003 年 2003 巻 50 号 p.
143-145
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ダイズを加害するホソヘリカメムシの合成集合フェロモンを利用した誘引試験を実施するにあたり, 長期の誘殺消長の調査に適し, 効率的かつ安定的にホソヘリカメムシを捕獲することができるトラップの種類について検討した。その結果, 合成集合フェロモンと殺虫剤を含浸させたダイズ子実を内部に置いた乾式トラップは, ホソヘリカメムシ成虫の捕獲数が多く, 調査が簡便なことから, 調査用トラップとして有効であると考えられた。
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西東 力, 片山 晴喜, 杉山 恵太郎
2003 年 2003 巻 50 号 p.
147-150
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Of 35 species of ornamental plants and vegetables tested, 30 species were attacked by the banded greenhouse thrips,
Hercinothrips femoralis, under laboratory conditions. Of these, dumb cane (
Dieffenbachia sp.), beach lily (
Crinum asiaticum var.
japonica), turmeric (
Curcuma longa), plantain lily (
Hosta sp.), prairie gentian (
Eustoma grandiflorum), common cockscomb (
Celosia argentea), pink (
Dianthus hybridus), brazilian skyflower (
Duranta repens), sultan snapweed (
Impatiens wallerana), cucumber (
Cucumis sativus), egg plant (
Solanum melongena), kidney bean (
Phaseolus vulgaris) were most susceptible to damage by the thrips. Malathion 50EC, acephate 50WP and 5G, etofenprox 20EC, spinosad 25SG, emamectin-benzoate 1EC, methidathion 40EC and nitenpyram 10G gave 100% control of the thrips in a glasshouse test.
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宮 睦子, 伊村 務, 出口 美里, 癸生川 真也
2003 年 2003 巻 50 号 p.
151-155
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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イチゴの重要害虫であるハスモンヨトウ
Spodoptera litura (Fabricius) を対象に黄色蛍光灯による防除効果を検討した。イチゴでは, 黄色蛍光灯の終夜点灯は生育への悪影響があるため実用化は困難であると考えられるが, 点灯時間を午後5時から9時までの4時間に短縮したところ生育への影響は軽減された。また, 点灯時間を短縮した場合でもハスモンヨトウに対する産卵抑制効果が確認され, 黄色蛍光灯を設置しなかったほ場と比較して卵塊数は3分の1以下に減少した。
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下田 武志, 後藤 千枝, 矢野 栄二
2003 年 2003 巻 50 号 p.
157-160
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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The olfactory responses of the big-eyed bugs
Piocoris varius and
Geocoris proteus towards kidney bean leaves infested with
Tetranychus urticae were observed in an olfactometer. Adult females of
P. varius showed a significant preference for
T. urticae-infested leaves over clean air. Neither predator showed any significant preference for uninfested leaves, artificially damaged leaves or spider mites plus their products over clean air. Second-instar nymphs of
P. varius and adult females of
G. proteus did not discriminate between
T. urticae-infested leaves and clean air, irrespective of previous exposure to odors from
T. urticae-infested leaves. These results indicated that adult females of
P. varius exploit herbivore-induced plant volatiles in their search for prey, whereas this was not true for 2
nd-instar nymphs of
P. varius or adult females of
G. proteus.
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吉川 誠
2003 年 2003 巻 50 号 p.
161-163
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
イチゴ, ニホンナシに寄生するナミハダニの薬剤感受性検定を行った。両作物に寄生する個体群とも, 感受性は酸化フェンブタスズで低くビフェナゼートで高かった。イチゴに寄生する個体群では, 最近5年間でミルベメクチンの感受性が低下してきている。ニホンナシに寄生する個体群はイチゴに寄生する個体群より薬剤感受性が高く, また, イチゴでは地域ごとの個体群間差が大きい傾向がみられた。
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(1) 成虫に対する影響
片山 晴喜, 小澤 朗人
2003 年 2003 巻 50 号 p.
165-169
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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カンムリヒメコバチ
Hemiptarsenus varicornis の成虫に対する各種薬剤の影響を室内実験により検討した。殺虫剤では有機リン剤, 合成ピレスロイド剤, ネオニコチノイド剤およびクロルフェナピル, エマメクチン安息香酸塩の影響が強く, マラソン, エトフェンプロックスでは3週間, イミダクロプリド, アセタミプリドではそれぞれ4, 7週間後まで影響が認められた。一方, 殺菌剤および殺ダニ剤の多くとBT剤, ピメトロジンの影響は少なかった。
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(2) IGR剤の影響
片山 晴喜, 小澤 朗人
2003 年 2003 巻 50 号 p.
171-174
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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ベンゾイルフェニルウレア系化合物3剤を含む, IGR6剤について, カンムリヒメコバチの幼虫発育および次世代増殖に対する影響を実験室内で検討した。その結果, 幼虫発育に対する薬剤の影響は明らかではなかったが, フルフェノクスロンでは次世代増殖に対する著しい抑制作用が確認された。フルフェノクスロンの増殖抑制作用は散布3週間後には回復する傾向を見せたが, 7週間後にも影響が認められた。
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大林 隆司
2003 年 2003 巻 50 号 p.
175-178
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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2000年1月に小笠原への侵入が確認されたガジュマルクダアザミウマ
Gynaikothrips uzeli Zimmerman (アザミウマ目, クダアザミウマ科) の小笠原における基本的な生態を調査した。発生消長調査には, 市販の黄色粘着トラップが利用でき, 本種の成虫は粘着トラップに3月から11月頃にかけて誘殺され, 特に5~6月の誘殺数が多かった。一日のうちの飛翔活動のピークは15時前後の数時間であった。寄生植物としてガジュマル以外にもインドボダイジュなどが確認された。天敵としてクサカゲロウ科の幼虫が確認された。
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高井 昭, 島 克弥, 浅野 昌司
2003 年 2003 巻 50 号 p.
179-183
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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Effects of granulated sugar on the longevity and fecundity of
Orius strigicollis were examined under laboratory conditions. The 50% survival duration of adult female O. strigicollis fed with 3-5% glucose was 9-10 days and survival of those fed with solid granulated sugar was more than 25 days. The latter result was not different from that of females fed with
Ephestia kuehniella eggs. The total number of eggs laid per female with a diet of both solid granulated sugar and yeast was twice as many as that with solid granulated sugar alone. Under weak starvation (fed 3 eggs of
E. kuehniella per day), longevity of
O. strigicollis females with solid granulated sugar was about five times as long as that of the control and fecundity was about three times greater. There were a few nymphs with mixed artificial diet (solid granulated sugar, trehalose, yeast and casein) that grew to adult stage and laid eggs.
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橋本 良子
2003 年 2003 巻 50 号 p.
185-188
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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The objective of this report is to evaluate the effectiveness of the immunoassay method as an alternative to the gas chromatographic analytical method for rapid screening of dieldrin residues in soils and cucumbers. The values obtained by analysis with both methods were very similar. There was a high correlation of values obtained by both methods in the range of 0.08-0.3ppm from soil samples. A correlation in the values of both methods did not occur in the range of 0.03-0.08ppm. As for the values from cucumber analysis, there was a correlation in the values for the two methods in the range of 0.01-0.05ppm. However, the immunoassay method tended to have larger values than the chromatographic method with substantial variation. Samples with low levels of residues of must be concentrated for accurate analysis with the immunoassay method. It is necessary to include a procedure to remove impurities when the sample is concentrated. Impurities will affect the analysis values.
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浅野 昌司, 福永 克久, 高井 昭
2003 年 2003 巻 50 号 p.
189-192
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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チャハマキ顆粒病ウイルス (HmGV) およびリンゴコカクモンハマキ顆粒病ウイルス (AoGV) を有効成分とする顆粒病ウイルス製剤の茶樹における残留活性に及ぼす気温と紫外線 (UV) の影響について検討した。その結果, 本剤の残留活性は気温よりUVの影響の方が大きいと考えられた。また, 室内試験で温度 (40℃) とUV照射の影響を調べた結果においても後者の影響の大きいことが示された。
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研究の思い出/将来へ向けた提言
2003 年 2003 巻 50 号 p.
193-205
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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2003 年 2003 巻 50 号 p.
206-208
発行日: 2003/11/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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