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渡邊 健, 柴田 夏実, 本橋 みゆき
2006 年 2006 巻 53 号 p.
1-4
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ベニバナインゲン白絹病およびリゾクトニア根腐病に対する簡易な薬剤防除法について検討した。ベニバナインゲンの紙ポット苗にバリダマイシン液剤800倍液を1苗当たり100m
l潅注, オリサストロビン粒剤を1苗当たり1g株元散布した結果, 両病害に対して両薬剤とも実用的な防除効果が得られた。また, 両病害に対してコンクリートポットを用いて2種粒剤の株元施用 (1g/苗) による効果試験を行ったところ, 白絹病に対してはフィプロニル・アゾキシストロビン粒剤が, リゾクトニア根腐病に対してはシメコナゾール粒剤の防除効果が高かった。
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柴田 夏実, 本橋 みゆき, 渡邊 健
2006 年 2006 巻 53 号 p.
5-8
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
茨城県内で発生したチオファネートメチル剤耐性ダイズ紫斑病に対して有効な薬剤防除方法について検討した。その結果, 単剤としては, アゾキシストロビン水和剤2000倍液散布, イミベンコナゾール粉剤4kg/10a散布およびシメコナゾール水和剤1000倍液散布処理で実用的な防除効果が得られたが, イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤1000倍液散布処理の防除効果は認められなかった。また, 新たな耐性菌の出現抑制のため, 系統の異なる剤を組み合わせた2回防除では, 開花20日後に1回目の防除としてアゾキシストロビン水和剤2000倍を散布し, 開花30日後に2回目の防除として, イミベンコナゾール粉剤4kg/10aまたはイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤1000倍液を散布すると, アゾキシストロビン水和剤2000倍液を2回散布したのと同等の防除効果が得られた。
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久保 周子, 吉沢 雅弘, 竹内 妙子
2006 年 2006 巻 53 号 p.
9-11
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
千葉県で水田転換作物として栽培されているダイズ (品種: 丹波黒) の莢に生じる褐色のしみ症状 (莢しみ症状) の原因を調査した。莢しみ症状発生ほ場より採種した黒ダイズ種子を播種し, 3週間ガラス室内で管理した後にウイルス検定を行ったところ, 13.0%の株でSMVの感染が確認された。さらに同種子を露地ほ場に播種したところ, 播種後12週目には感染株率95.2%, 莢しみ症状発生株率75%となった。これらのことから, 本症状はSMVの感染が主な原因であると考えられた。また, 購入種子を隔離ほ場で栽培したところ, SMVの感染は認められなかったことからも, 種子が1次伝染源であると考えられた。このことから, ウイルス感染の危険性が少ないほ場を選定し, 無病種子を用いて栽培することで, 被害を回避できると考えられた。
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仲川 晃生, 越智 直
2006 年 2006 巻 53 号 p.
13-21
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ダイズ黒根腐病防除に有効な薬剤の選抜を行った。2002~2005年にわたり圃場条件下での各種薬剤の防除効果を調べた結果, 土壌くん蒸剤ではダゾメット粉粒剤が, また, 水和剤ではキャプタン剤, テブコナゾール剤およびクレソキシムメチル剤などで高い黒根腐病防除効果が認められた。一方, 薬剤含有寒天での菌叢生育阻害効果が高かったベノミル水和剤, チウラム・ベノミル水和剤およびチオファネートメチル水和剤の圃場での防除効果は概して低かった。これら薬剤を, 播種時の土壌くん蒸剤処理と1ケ月後の灌注処理と組み合わせると, 水和剤単独に比べて, 組み合わせによる効果の高まりは認められなかった。これらの水和剤の中には, ダイズの草丈を抑制するものもあるため, 処理濃度, 使用回数, 散布時期等については更なる検討が必要である。
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仲川 晃生, 中村 吉秀, 菅 康弘, 迎田 幸博
2006 年 2006 巻 53 号 p.
23-28
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
長崎県における水田裏作を利用したジャガイモ栽培ではそうか病の発生が認められるため, 本病の発生に及ぼす湛水の効果について野外設置ポット条件下で調べた。湛水期間が1ケ月間と短い場合は, そうか病の発生は対照とした畑状態区と差がないが, 湛水期間が4ケ月間に及ぶと発病は有意に低下した。しかし, 湛水後に水稲を栽培した場合には, そうか病は畑状態区と同程度の発生を示し, 抑制されなかった。このことから, 水田裏作のジャガイモに発生するそうか病は, 病原菌が水田状態でも土壌中で生残するために生じる可能性が示唆された。この対策として, 湛水に有機物 (麦稈) を施用して土壌を急激に還元状態とする手法は, そうか病の発生を湛水のみの場合よりも有意に低く抑制することができ, 水稲栽培条件下でも有効であった。しかし, 拮抗菌として
Bacillus 属菌を同時処理しても効果の更なる高まりは認められなかった。
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高野 幸成, 雨宮 昭彦, 猪野 誠
2006 年 2006 巻 53 号 p.
29-33
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
近年, 千葉県のサツマイモ産地では, 立枯病に抵抗性のある品種「ベニアズマ」の発病事例が多く見られることから, 病原菌レースの変化などが推察された。そこで, 立枯病の多発要因を明らかにするため,「ベニアズマ」の原種苗と主産地で90%以上普及している市販のウイルスフリー苗を用いて, 抵抗性の簡易検定を行った。その結果, 市販のウイルスフリー苗は原種苗に比べて立枯病が発病しやすかった。また, ウイルスフリー化後に2作露地栽培した種いもから得た苗も抵抗性は低下していた。さらに,「ベニアズマ」および抵抗性系統「IDN-47」の原種苗 (親株) から作出したウイルスフリー苗は, 原種苗に比べて発病しやすかった。以上のことから, ウイルスフリー苗は立枯病が発病しやすく, ウイルスフリー化前の抵抗性が低下することが明らかとなった。その要因としては, ウイルス感染の有無が関与しているのではなく, ウイルスフリー化に伴う茎頂培養処理が影響しているものと推察される。
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小河原 孝司, 冨田 恭範, 西 和文, 西宮 聡, 窪田 耕一
2006 年 2006 巻 53 号 p.
35-39
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
メロンつる割病レース1が前作で多発生した現地のビニルハウスにおいて, 熱水土壌消毒の防除効果およびその持続効果について検討した。サブソイラーを用いて深さ50cm程度まで耕私後, 2003年6月中旬に熱水土壌消毒装置を用いて約200L/m
2の熱水を処理し, 約1週間放置した。処理期間中の最高地温は, 深さ30cm位置で64.7~92.9℃と, 高温を維持した。熱水処理前に深さ30cmまでの土壌から
Fusarium 属菌が検出されたが, 処理後には深さ10cmで未検出, 深さ30cmでは菌密度が低下した。7月中旬にメロン品種「アールス雅春秋系」を定植したところ, 収穫時における発病株率は0~0.5%と, 高い防除効果が認められた。その後, 土壌消毒を行わず, 2003年12月下旬にメロン品種「オトメ」を定植したところ, 2月中旬 (交配期) には発病株率が37%と高くなった。生物検定法により, ハウス内土壌のつる割病菌の汚染程度を調査したところ, ハウス全体に菌が蔓延していた。
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鈴木 誠, 岡本 昌広, 鯉沼 咲衣, 山口 元治, 植草 秀敏
2006 年 2006 巻 53 号 p.
41-46
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
キュウリ黄化えそ病は, ミナミキイロアザミウマが媒介する
Melon yellow spot virus (MYSV) を病原とする病害であり, 神奈川県では2003年の初確認以来発生地域が拡大している。そこで, 本病の発病とミナミキイロアザミウマ数との関係を知るために, 2004~2005年にキュウリ黄化えそ病の発生が継続している平塚市の施設内外において,本病の発病株率と青色粘着トラップに誘引されたミナミキイロアザミウマ数を調査した。その結果, 半促成栽培では, 定植2ケ月後から収穫終了時までの間に誘引されたミナミキイロアザミウマの総数とキュウリ黄化えそ病の発病株率との間に相関関係 (
p<0.01) が認められた。抑制栽培では, 定植後2ケ月間の生育期間中に誘引されたミナミキイロアザミウマの総数と, 黄化えそ病発病株率との間で相関関係 (
p<0.01) が認められた。以上のことから, 周年キュウリを栽培している地域でのキュウリ黄化えそ病対策として, 半促成栽培では収穫期後半のミナミキイロアザミウマの侵入・増殖を防ぐこと, 抑制栽培では育苗期間中の防除を徹底し, 半促成栽培への持ち込みを遮断することが重要である。
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小倉 愉利子, 桑原 克也, 畠山 雅直
2006 年 2006 巻 53 号 p.
47-50
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
2002年に群馬県で栽培されている施設キュウリにおいて, 葉にモザイク, 黄化, えそなどの症状を示す障害が発生し, メロン黄化えそウイルス (
Melon yellow spot virus, MYSV) によるキュウリ黄化えそ病と確認された。県内の発生面積は, 初発年度は147aであったが, 3年後の2005年度には2倍を越える314aに増加した。露地栽培では発生が確認されていないが, 施設栽培の全ての作型および夏雨よけ栽培で発生が確認された。購入苗だけでなく自家苗を用いた場合でも発生していることから, 未発生地域で本病が発生する原因としては, 感染苗によるMYSVの持ち込みだけでなく, ミナミキイロアザミウマによるMYSVの伝搬も大きく関与していると推察された。
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牛尾 進吾, 竹内 妙子
2006 年 2006 巻 53 号 p.
51-54
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
キュウリ促成栽培では保温の目的で内張カーテンをするため, ハウス内湿度は極めて高い状態となり, 結露しやすく, べと病などの好湿性病害の発生が多くなる。べと病の発生を抑制するためには, 施設内の湿度を低くし, 結露時間を短くすることが有効である。そこで, 小型ガラスハウスにおいて, 結露センサー付き暖房機制御装置を利用して, 結露値を低下させた結果, べと病の発生は抑制された。
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竹内 妙子, 久保 周子, 石井 英夫
2006 年 2006 巻 53 号 p.
55-60
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
千葉県内の促成栽培及び抑制栽培のキュウリで発生したキュウリ褐斑病菌のアゾキシストロビンに対する感受性を検定したところ, 促成栽培では100%, 半促成栽培では76.7%, 全体では86.7%が耐性菌であった。耐性菌に対するアゾキシストロビン剤の防除効果はほとんど認められなかった。次に, チオファネートメチル, ジエトフェンカルブおよびプロシミドンに対する感受性を検定した。チオファネートメチルに対しては, 耐性菌が全体の90.6%を占めた。ジエトフェンカルブに対しては, 感受性菌が55.9%, 弱耐性菌が13.4%, 中等度耐性菌が17.3%, 強耐性菌が13.4%であった。プロシミドンに対しては, 感受性菌が95.3%であった。ジエトフェンカルブに弱~強耐性でプロシミドン感受性または耐性の菌株に対するジエトフェンカルブ・プロシミドン剤の防除効果はジエトフェンカルブ, プロシミドンの両剤に感受性の菌株に対する効果に比べて劣った。
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山岸 菜穂, 江口 直樹, 原 廣美
2006 年 2006 巻 53 号 p.
61-64
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
イチゴうどんこ病に対する
Bacillus subtilis 芽胞水和剤のダクト内投入による防除効果を検討した。その結果, 単用での効果は低かったものの, 化学薬剤との併用において, 相加的な防除効果が認められた。
Bacillus subtilis 芽胞水和剤のダクト内投入と化学薬剤を併用することにより, 化学合成薬剤の散布削減につながる可能性が示唆された。
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竹内 純, 堀江 博道
2006 年 2006 巻 53 号 p.
65-67
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Stem and root rot of rocket,
Eruca sativa Mill., and leaf blight of oregano,
Oreganum vulgare L., occurred in Tokyo Metropolis in 2005.
Rhizoctonia species isolated from the infected plants were identified as
Rhizoctonia solani Kühn. Inoculation tests showed that these fungi were the causal agents of these diseases. This is the first report on these diseases in Japan.
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嶋田 竜太郎, 星 秀男, 竹内 純
2006 年 2006 巻 53 号 p.
69-71
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Sclerotinia rot of komatsuna, a leafy variety of
Brassica campestris L., occurred in Tokyo Metropolis in 2003. The causal fungus isolated from the diseased plants was identified as
Sclerotinia sclerotiorum (Libert) de Bary. Inoculation tests showed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report on the disease in Japan.
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江口 直樹, 山岸 菜穂, 原 廣美
2006 年 2006 巻 53 号 p.
73-75
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
赤ナシ「報水」において殺菌剤を削減した防除体系を確立するため, 2001~2005年に殺菌剤削減体系下での病害の発生を調査した。慣行防除と比較し散布回数を約半分にした場合, 長野県では黒星病が増加する危険性が高く, 他の病害が増加する危険性は低いことが明らかになった。殺菌剤削減を試みる場合, 主に黒星病の発生に留意しなければならない。
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佐幸 歌菜, 河野 敏郎, 櫻井 民人, 津田 新哉, 玉井 重則, 天野 絵美, 國友 義博
2006 年 2006 巻 53 号 p.
77-82
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
山梨県下のシクラメンえそ斑紋病慢性発病圃場において, インパチェンスネクロティックスポットウイルス (INSV) 多発要因を調査し, 本病の総合防除体系を検討した。圃場内で確認されたINSV感染植物を同じく山梨県で採取したミカンキイロアザミウマ幼虫に摂食させたところ,羽化後の成虫においてINSV保毒率が75%~91%と高く, それらはハコベ苗等の健全植物にINSVを媒介した。また, 保毒成虫のINSV媒介率をペチュニアリーフディスク法を用いて調査した結果, 媒介率は89%~92%と高く, 山梨県に生息するミカンキイロアザミウマも高率にウイルスを獲得, 媒介することが明らかとなった。シクラメン圃場周辺の媒介虫の発生状況を調査した結果, トラップへの誘殺が6月に3000頭を越え, 本圃場周辺は媒介虫の増殖に適した環境であることが示唆された。INSV防除対策として, 防虫網の整備, 定期的雑草防除および薬剤による媒介虫防除等の総合防除体系を導入した結果, ハウス内への媒介虫の侵入やシクラメンえそ斑紋病発病株の大幅な減少が認められた。
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竹内 純, 堀江 博道
2006 年 2006 巻 53 号 p.
83-85
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Anthracnose of
Phormium tenax J. R. Forst. & G. Forst. and
Chimonanthus praecox (L) Link f.
concolor occurred in Tokyo Metropolis in 2004-2005. The causal fungi isolated from the diseased plants were identified as
Colletotrichum gloeosporioides (Penzig) Penzig & Saccardo. Inoculation tests showed that these fungi were the causal agents of these diseases. This is the first report on the diseases in Japan.
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竹内 純, 堀江 博道
2006 年 2006 巻 53 号 p.
87-89
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
Gray mold and leaf blight of true lavender,
Lavandula augustifolia (L.) Mill., and stevia,
Stevia rebaudiana Bertoni M., occurred in Tokyo Metropolis in 2005. The fungi isolated from the infected plants with gray mold were identified as
Botrytis cinerea Persoon: Fries. Inoculation tests showed that these fungi were causal agents of the diseases. This is the first report of gray mold on these plants in Japan.
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橘 真一郎, 渡邊 朋也
2006 年 2006 巻 53 号 p.
91-93
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
We examined the effects of diet on the developmental period of nymphs, body length of adults, and emergence rate in the rice bug,
Leptocorisa chinensis. The spikelets of rice,
Oryza sativa, and the seeds of Italian millet,
Setaria italica, were used as the diets. All growth parameters examined were improved when the insects were reared with the rice spikelets and the seeds of Italian millet together compared to that with only one of the two diets. The study indicates that the dietary condition must be reconsidered for the improvement of accuracy in the estimation of voltinism and generation time in this species.
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森本 信生, 渡邊 朋也, 安田 哲也, 石崎 摩美
2006 年 2006 巻 53 号 p.
95-99
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
水田の育苗箱施用殺虫剤3剤イミダクロプリド, ベンフラカルブおよびフィプロニルのイネミズゾウムシ
Lissorhoptrus oryzophilus に対する効果を, 水田調査および室内実験から比較検討した。その結果, ベンフラカルブ, フィプロニルは, 越冬世代成虫数, 越冬世代成虫の食痕数, 産卵数, 幼虫数に対しては, いずれも同様の抑制効果が認められた。一方, イミダクロプリドは, 他の2剤に比較すると, 越冬世代成虫数に対する抑制効果は低かったが, 越冬世代成虫の食痕数, 産卵数や幼虫の発生に対して, 他の殺虫剤と同様, 抑制効果が認められた。また, 局所施用法により成虫のLD
50値を求めたところ, いずれの薬剤も0.1μg/頭未満であった。以上の結果から, いずれの殺虫剤も圃場ではイネミズゾウムシの発生抑制効果があると考えられた。
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鈴木 藍, 天野 加恵, 廣森 創, 廿日出 正美, 西東 力
2006 年 2006 巻 53 号 p.
101-104
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
露地栽培トマトにマラチオン乳剤とエトフェンプロックス乳剤をそれぞれ3回散布し, トマトハモグリバエとその寄生蜂の密度を調べた。その結果, マラチオン乳剤散布区ではトマトハモグリバエと寄生蜂の密度がともに増加した。一方, エトフェンプロックス乳剤散布区ではトマトハモグリバエの密度が著しく低下し, 寄生蜂の密度も低下傾向を示した。いずれの殺虫剤においても寄生蜂の減少に起因するトマトハモグリバエのリサージェンスは認められなかった。寄生蜂の種構成はマラチオン乳剤を散布してもほとんど変化しなかったが, エトフェンプロックス乳剤を散布すると
Chrysocharis pentheus の構成比が減少し, それにかわって
Neochrysocharis formosa の構成比が増加した。
N. formosa と
C. pentheus のマラチオンおよびエトフェンプロックスに対する感受性を検定したところ, マラチオン感受性は前者のほうが高く, エトフェンプロックス感受性は後者のほうが高かった。以上の結果から, 殺虫剤によってトマトハモグリバエとその寄生蜂に対する影響は大きく異なることが明らかとなった。
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伊藤 健二, 水谷 信夫, 田渕 研, 守屋 成一
2006 年 2006 巻 53 号 p.
105-110
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
The relationship between the number of pesticide spray applications and the ratio of undamaged soybean was investigated from 2002 to 2003 in a soybean field at Shintone-cho, Ibaraki Prefecture. Stinkbug density and the ratio of undamaged soybean were negatively correlated with the number of pesticide spray applications. Damage to soybean varied among the years and experimental blocks. In order to harvest 85% and 90% undamaged soybean, the insecticide needed to be sprayed for one and two times, respectively. These results imply that the number of pesticide spray applications can be reduced from three times to two times in soybean production at Shintone-cho.
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竹内 浩二, 竹内 純, 西村 修一, 大林 隆司
2006 年 2006 巻 53 号 p.
111-114
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
東京都西多摩郡奥多摩地域のワサビ栽培圃場で害虫19種の発生を確認した。その中で, ヘリジロカラスニセノメイガ, カブラハバチ類, ナトビハムシが生産上の大きな障害となっており, 特にヘリジロカラスニセノメイガによる被害が大きいことが明らかになった。ヘリジロカラスニセノメイガ幼虫の発生は6~7月と9~11月の2回見られ, 秋期に採集した幼虫は繭内で幼虫越冬した。本種幼虫に対してBT剤は高い効果を示した。
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片瀬 雅彦, 清水 喜一, 大木 浩, 内田 重夫, 永田 健二, 内藤 尚之
2006 年 2006 巻 53 号 p.
115-118
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
千葉県旭市および市原市のハーブを水耕栽培している鉄骨ビニルハウスに, 複合交信撹乱剤コンフューザーV (信越化学工業 (株)) を200本/10a相当設置した (設置区)。コンフューザーVを設置しなかった施設 (対照区) と比較すると, コナガとハスモンヨトウのフェロモントラップによる捕獲数は, 設置区が対照区よりも著しく少なかった。ハスモンヨトウのつなぎ雌調査において, 対照区の交尾率は34%であったのに対し, 設置区の交尾率は0%であった。コナガによるルッコラの食害株数およびハスモンヨトウによると考えられるチャービルの食害株数は設置区が対照区よりも著しく少なく, 高い防除効果が認められた。
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國友 義博, 佐幸 歌菜, 天野 絵美
2006 年 2006 巻 53 号 p.
119-122
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
山梨県における夏秋ナスほ場において, 近年発生が多くなっているタバコガ類の発生消長と被害実態を1996年~2005年に調査した。フェロモントラップへの年間総誘殺数は, 甲府盆地東部の夏秋ナスほ場では, タバコガは調査年次を通して500頭以下であり, 年次変動は小さかった。一方, オオタバコガは2000年までは1000頭以下であったが, 2001年以降増加し, 2003年では2500頭と急増した。フェロモントラップの誘殺消長からオオタバコガの近年の発生回数は年間5回と考えられた。オオタバコガによる被害果の発生は, 越冬世代成虫のフェロモントラップへの誘殺ピーク後の5月下旬から見られ, その後第1世代成虫の誘殺が始まるとともに, 7月上中旬以降被害果が増加した。被害果の発生は10月上旬まで続き, さらに成虫のフェロモントラップへの誘殺は11月上旬まで続いた。
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片瀬 雅彦, 清水 喜一, 八槇 明子, 深見 理子
2006 年 2006 巻 53 号 p.
123-128
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
ヒョウタンゾウムシ類の被害が発生した圃場では, 春に無作付けで, 前年に栽培された作物の残根がない場合, 土壌中の越冬幼虫数は経時的に減少し6月までには確認されなくなった。また, 前年に羽化し, そのまま土壌中で越冬する成虫を確認した。越冬成虫は4月上旬から5月上旬の間に地上に脱出した。ヒョウタンゾウムシ類による被害が発生した圃場では, 翌年6月まで無作付けで管理することで耕種的防除が行えると考えられた。
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山城 都, 若桝 睦子
2006 年 2006 巻 53 号 p.
129-135
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
フリー
栃木県の慣行防除ナシ園において, カブリダニ類 Phytoseiidae の種構成および発生消長を調査し, その優占種を対象として薬剤17種 (殺虫剤9剤, 殺ダニ剤8剤) に対する感受性を検討した。その結果, 本県の慣行防除園では, ナシ樹上および下草ともにミヤコカブリダニ
Amblyseius californicus が優占種である可能性が高い。また, ミヤコカブリダニ雌成虫に対する薬剤の効果は, CYAP水和剤, MEP乳剤, NAC水和剤, ミルベメクチン水和剤, テブフェンピラド水和剤が高かった。
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天野 絵美, 佐幸 歌菜, 國友 義博, 村上 芳照, 功刀 幸博
2006 年 2006 巻 53 号 p.
137-140
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
ジャーナル
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山梨県のモモ, スモモ, オウトウ等において, 近年, ナシマルカイガラムシの被害が問題となっている。そこで, 2004年から2005年にかけて, モモを対象に, ナシマルカイガラムシの発生実態および防除対象となるふ化幼虫の発生消長を調査した。その結果, ナシマルカイガラムシの発生面積および発生量は, 調査期間中にも急激な増加が認められた。発生の程度は地域によって異なり, 甲府盆地西部および東部は地域全体で発生圃場割合が高く, ナシマルカイガラムシの寄生度も高かった。多発圃場において, ふ化幼虫の発生は, 第1世代が5月5半旬から始まり, 6月1半旬にピークが認められた後, 発生が7月上中旬まで見られた。第2世代は7月下旬から認められ, 当世代が終息する前に第3世代が発生し, 調査を終了した9月下旬まで継続的に発生が見られた。このように, 長期間ふ化幼虫が発生していることは, 薬剤による防除効果を低下させる大きな要因と考えられた。
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小野 剛, 小谷野 伸二, 野地 喜徳, 大林 隆司
2006 年 2006 巻 53 号 p.
141-144
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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2005年, 小笠原諸島の父島および母島においてフタテンミドリヒメヨコバイ
Amrasca biguttula (Ishida, 1913) の初発生と, ハイビスカス, オクラおよびナスへの寄生による被害 (葉の萎縮症状) を確認し, 本種の終齢幼虫の接種試験により症状が再現された。トマトでの寄生は確認されなかった。本種は近年小笠原諸島に侵入したと考えられるが, 現在では父島および母島において広い範囲に分布を広げていることが明らかになった。
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松井 武彦, 上田 正興, 斉藤 益美, 吉田 晃
2006 年 2006 巻 53 号 p.
145-147
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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茨城県フラワーパーク園内のバラの蕾にオオタバコガ幼虫による食害が多発した。蕾はがく部分から食害を受け, 蕾の夭折, 開花時の奇形など鑑賞価値を減少させた。被害には品種間および蕾の密度の異なる系統の間に差はなく, 圃場の場所による差が見られた。また、系統間の蕾あたり幼虫数の差は少なかった。
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小澤 朗人
2006 年 2006 巻 53 号 p.
149-152
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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Vertical distribution of the white peach scale,
Pseudaulacaspis pentagona (Targioni), on tea plants was investigated, and the relationship between the elimination rate of the scale by pruning and depth of pruning were estimated on the basis of the distribution data. The most abundant number of the scales on a tea plant was found at a position a little above the mid part of the tea bush, and there were few scales on young branches in the stratum of leaves and around the lower part of plants. The elimination rate of the scales by pruning increased with depth of pruning from the top of a bush. When 70%, 60% and 50% of branches from the top of a bush were pruned, it was suggested that elimination rates were 80%, 70% and 60%, respectively.
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伊藤 綾, 竹内 浩二, 高木 章雄, 櫻井 文隆, 渋澤 英城, 菅谷 悦子, 栄森 弘己, 山岸 明
2006 年 2006 巻 53 号 p.
153-156
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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近年, 東京都の江東地域においてエダマメの葉の黄化や生育不良, 収穫減少などの生育障害が発生している。そこで2005年に都内のエダマメ圃場63カ所を調査した結果, 江東地域では20圃場で生育障害が発生していた。そのうち19圃場では根部にダイズシストセンチュウのシストの寄生と, 土壌中に高密度の本種のシストと卵を認め, ダイズシストセンチュウが生育障害の原因となっている可能性が高いと考えられた。なお, 多摩地域においても初めて本種の分布を確認した。
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酒井 宏, 富田 真佐男, 吉岡 正明, 關 匡房
2006 年 2006 巻 53 号 p.
157-161
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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ほ場周縁部に栽培したソルゴーまたは飼料用トウモロコシの農薬の飛散 (ドリフト) 防止効果をナシ園および露地ナスほ場において検討した。両作物にドリフト防止効果が認められたが, ソルゴーの防止効果の方がより高かった。しかし, 完全にドリフトを防止できなかったことから, さらにドリフトを低減させるためには, 他の技術と組み合わせて用いる必要があると考えられた。
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2006 年 2006 巻 53 号 p.
163-170
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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2006 年 2006 巻 53 号 p.
170-177
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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2006 年 2006 巻 53 号 p.
179-182
発行日: 2006/12/01
公開日: 2010/03/12
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