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安田 伸子, 光永 貴之, 林 敬子, 藤田 佳克
2014 年 2014 巻 61 号 p.
6-8
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
葉身に傷を付けることなく,イネ葉に分生子懸濁液を付着させて発病させ,イネのいもち病抵抗性を評価する方法について検討した。その結果,0.025~0.05%のTween20水溶液に6×10
4個/ml以上の分生子を懸濁させ,5μlを滴下する非切断葉スポット接種によって,分生子懸濁液をイネ葉に安定して付着させ,発病させることが可能であった。さらに,この方法は葉身に傷を付けないため,従来から行われているパンチ接種に比べて葉齢や品種の抵抗性をより自然な形で評価できると考えられる。
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早野 由里子
2014 年 2014 巻 61 号 p.
9-12
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Rice stripe disease is one of the viral diseases caused by
Rice stripe virus (RSV), and can be controlled effectively by using resistant cultivars. The resistance gene introduced into those rice cultivars is
Stvb-i derived from an
indica rice cultivar "Modan". In order to understand the mechanism of the stripe resistance, infection of RSV and disease symptoms were examined in detail in rice resistant cultivars harboring the
Stvb-i gene, “St. No. 1” and “Tsukinohikari”. Several tens of percent of resistant rice plants were infected with RSV, but not all the infected rice plants showed disease symptoms. The concentration of RSV was low and the viral spread to the upper leaves was suppressed in initial stage of RSV infection as compared to the susceptible rice. Taken together with information on RSV infection in the susceptible rice reported by other researchers, the results in this study suggested a quantitative effect of
Stvb-i gene to viral infection and propagation in and around the apical meristem in the initial stage of RSV infection.
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小倉 愉利子, 酒井 宏, 小池 隼
2014 年 2014 巻 61 号 p.
13-17
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
2013年に群馬県全域でイネ縞葉枯病が発生し,イネ縞葉枯病感受性飼料用イネ品種作付けほ場では発病株率が50%を超えるケースも認められた。本県におけるイネ縞葉枯病の多発生は,① RSV の媒介虫であるヒメトビウンカの発生量が増加し,2007年以降に多発年が多いこと,② RSV 保毒虫率の上昇,③感受性食用イネ品種の作付比率が1994年の約20%から2010年以降40%を超えるまで高まっていることなど,複数の要因に起因すると考えられる。
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芦澤 武人
2014 年 2014 巻 61 号 p.
18-22
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
イネ稲こうじ病の発生量に及ぼす要因として土壌菌量と気象条件を検討した。2008年,2010~2012年の水田圃場において土壌菌量が多く,降雨の頻度が高いほど発生量が多かった。出穂前30日間あるいは20日間において降雨のない期間が連続した場合に発生量が少なかったが,毎年多発生する圃場では多発傾向は変わらなかった。これには,微気象が関与している可能性が示唆された。これらの要因等をパラメータとして組み込んだ発生量予測モデルを作成した。
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青木 一美, 横須賀 知之
2014 年 2014 巻 61 号 p.
23-25
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
収穫した種子のオオムギ黒節病汚染粒率を低減するために,生育期の薬剤散布による効果を検討した。薬剤を生育期に散布し,収穫した種子を黒節病菌選択培地に置床して汚染粒率を調査した。その結果,オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤,オキソリニック酸水和剤,およびカスガマイシン・銅水和剤を散布した区では,黒節病汚染粒率低減効果が認められた。また,薬剤散布時期を検討したところ,茎立期前または節間伸長期の散布では効果が認められないが,出穂期前後に散布することで汚染粒率の低減効果が認められた。
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加藤 雅康, 田澤 純子, 越智 直, 前川 富也, 松浦 和哉, 遠藤 千尋, 濱口 秀生, 島田 信二
2014 年 2014 巻 61 号 p.
26-30
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
地下水位制御が可能な圃場で,地下水位を30cmに制御した圃場と制御していない圃場で広畦耕起,狭畦不耕起で2009~2012年にダイズを播種し,立枯性病害 (茎疫病,白絹病,黒根腐病) の発生状況を調査した。播種時耕起法との関係では茎疫病は狭畦不耕起播種で多く発生した。一方, 白絹病の発生は狭畦不耕起播種で少なく,広畦耕起播種で多かった。広畦耕起播種は中耕培土前でも白絹病が多く,播種時の耕起によってもたらされた土壌環境が白絹病の発生に好適であったと考えられる。これらのことから,白絹病の抑制に狭畦不耕起播種が有効である可能性が示された。不耕起播種と耕起播種間の白絹病の罹病株率の差は,地下水位制御圃場でやや小さくなる事例が認められた。
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仲川 晃生, 井上 康宏, 越智 直, 田谷 有紀, 植松 芳彦
2014 年 2014 巻 61 号 p.
31-34
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
農薬に頼らない防除技術の開発を目的に,納豆のジャガイモそうか病に対する種いも伝染防除効果について調べた。納豆調製液は,2010年春作では300g の市販納豆粒を2L の水に入れて撹拌した懸濁液 (300g/2L 区) を用い,2010年秋作以降の試験で300g および450g の市販納豆を摩砕して5L に加水した摩砕液 (300g/5L区および450g/5L区) を用いた。これらの調製液に種いもを瞬間浸漬後,予めクロルピクリンくん蒸剤で土壌消毒を行った圃場に植え付け,消毒効果を調べた。この結果,発病度から見た防除価は,対照薬剤 (ストレプトマイシン・オキシテトラサイクリン水和剤,40倍希釈) 区で36.1~90.2を示すなかで,300g/2L理区で47.3~47.6,300g/5L 処理区で19.6 ~ 79.6および450g/ 5L 処理区で35.3 ~ 92.1の値を示した。また,発病塊茎率か ら見た防除価も同様な結果を示すなど,納豆調製液は何れの濃度とも対照薬剤に比べて劣るものの,無処理区に比べて高い防除価を示した。
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中山 喜一, 青木 久美
2014 年 2014 巻 61 号 p.
35-36
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
嫌気的発酵処理によるトマトフザリウム株腐病菌の不活化を検討するため,トマト葉をポリ袋に詰め,その中心部に本菌の罹病切片を置き,各種条件下で嫌気的発酵処理を行った。その結果,25℃で140日処理したところ,Fo-G2培地上で本菌の菌糸伸長は認められず,嫌気的発酵処理により本菌が不活化したと考えられた。
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大木 健広, 沼田 慎一, 遠山 宏和, 中保 一浩
2014 年 2014 巻 61 号 p.
37-39
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
トマト青枯病対策として期待されるナス台木トマトについて,穂木にトマト黄化葉巻ウイルス (TYLCV) が感染した場合の影響を調べた。ポット試験において,感受性穂木あるいは耐病性穂木を接いだナス台木にTYLCVが感染した場合,いずれも接ぎ木の接合部や根にTYLCVによる症状は見られなかった。また,露地圃場試験において3か月間栽培した場合においても,台木部分に変化は見られず,ナス台木トマトの穂木にTYLCVが感染しても, 台木部分に影響はないと考えられた。
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中山 喜一, 景山 幸二, 渡辺 秀樹, 福田 充, 石川 成寿
2014 年 2014 巻 61 号 p.
40-42
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
2007年5月,栃木県那須塩原市のイチゴほ場で,主に下葉の葉柄が小豆色に変色し,生育の停滞や萎凋枯死,根腐症状を呈する病害が発生した。根部罹病組織からは,
Pythium属菌が高率に分離された。分離菌株のイチゴへの接種により,原病徴が再現され,接種菌が再分離された。分離菌株は,形態的な特徴,既報の菌株とのrDNA ITS領域の相同性により,
Pythium spinosum Sawada,
P. sylvaticum Campbell & Hendrixとそれぞれ同定した。イチゴピシウム根腐病の病原には
P. helicoidesが既に報告されており,本病の病原として
P. spinosum,
P. sylvaticumを追加したい。
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窪田 昌春, 三澤 知央
2014 年 2014 巻 61 号 p.
43-46
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
In November 2007, fruits of okra (
Abelmoschus esculentus) cultivated in a nursery were found rotted in Mie prefecture. Petals had not fallen and remained on the fruits. The causal agent of the fruit rot with a pale brown color was identified to
Botrytis cinerea and that with a white color as
Sclerotinia sclerotiorum. On the other hand, leaf rot of okra was found in a nursery in Hokkaido in July 2008. Rotted petals remained on the leaves after falling from fruits. The causal agent was also identified as
B. cinerea. This is the first report of okra diseases during cultivation caused by
B. cinerea and
S. sclerotiorum in Japan.
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藤永 真史, 山岸 菜穂, 石山 佳幸, 吉沢 栄治
2014 年 2014 巻 61 号 p.
47-49
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
レタス根腐病菌は特定の品種に対する病原性差異に基づきレース1~3の3つのレースに区分され,長野県ではそれぞれのレースに対応した抵抗性品種利用を主体とした防除対策が推進されている。抵抗性品種の有効活用のためには迅速なレース判別が不可欠なことから,レタス根腐病菌のribosomal DNA intergenic spacer領域の部分塩基配列をもとに,各レースのDNA 断片を特異的に増幅できるプライマーを設計した。このレース毎に対応したプライマーを用いたPCR 法により,レタス根腐病菌の各レース (1~3) を迅速に識別することが可能となった。
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金子 洋平, 梅本 清作, 牛尾 進吾
2014 年 2014 巻 61 号 p.
50-55
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
ナシ黒星病の秋季防除時期を判断する指標を探索するために,主要な感染部位の一つである芽鱗片の生組織の露出状況と発病の関係を調査した。腋花芽への分生子塗布接種試験により,鱗片生組織が露出している芽は,非露出芽と比べ黒星病に感染する割合が高かった。秋季での長果枝における鱗片生組織の露出芽率は,花芽と葉芽では,花芽が高く,着生順位では頂部に近い芽が高かった。また,秋季における長果枝の鱗片生組織露出芽率の推移は10月中旬頃から高くなり始め,11月中旬に最大となった。その後,露出した生組織部分の褐変が始まり,12月上旬には全て褐変した。
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金子 洋平, 塩田 あづさ, 鈴木 健, 鈴木 達哉, 幸 由利香
2014 年 2014 巻 61 号 p.
56-59
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
ナシ萎縮病の病原菌は
Fomitiporia sp. (チャアナタケモドキ) と同定され (金子ら,2011) ,スギ非赤枯性溝腐病の病原菌と同種であることが明らかとなった。また,本種はサワラ,コウヤマキ樹上にも子実体を形成する (服部ら,2010; 太田ら,2010) 。そこで,ナシ園外における本病の伝染源の所在を推定することを目的とし,スギおよびサワラ樹から採集した
Fomitiporia sp.菌株を用いて交配試験および接種試験を行った。スギおよびサワラ樹上に形成した子実体由来の各1菌株について,その単胞子分離系統をナシから分離した本種2菌株の単胞子分離系統と対峙培養させて交配試験を行った。その結果,ほぼ全ての組み合わせで交配し,生物学的に同一種であることを確認した。また,スギ,サワラの腐朽材部から分離され,子実体の形態的特徴から
Fomitiporia sp.と同定した菌株やrDNA ITS領域の塩基配列から
Fomitiporia sp.と推定した菌株をナシ樹に接種したところ,萎縮病の病徴が現れた。これらのことから,ナシ以外の樹種に存在する
Fomitiporia sp.もナシ萎縮病の伝染源となる可能性が示唆された。
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金子 洋平, 塩田 あづさ, 鈴木 達哉, 鈴木 健, 幸 由利香
2014 年 2014 巻 61 号 p.
60-63
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
ナシ萎縮病の罹病樹に対して,治療を目的とした腐朽材組織の切削や主枝の剪除が行われているが,処理後の翌年にも葉における病徴が発現する事例がある。本研究では,腐朽材組織の除去と発病の関係を調査するため,病原菌を接種し発病させた罹病苗を供試して,腐朽材組織の除去試験を行った。腐朽材組織を除去しなかった無処理苗は,処理の翌年は11樹中7樹が発病し,翌々年は10樹中3樹が発病し,4樹から接種菌を再分離できた。接種源を含め,接種部位周辺の材質腐朽部位を,健全部との境界である赤褐色部位が目視で見えなくなるまで削り取った切削苗は,処理の翌年は9樹中7樹が,翌々年は9樹中4樹が発病したが,接種菌は再分離されなかった。また,接種による腐朽部位よりも基部側で主幹を剪除し,その後は切断部位よりも基部側から発生した徒長枝を活かした剪除苗は,処理の翌年は9樹中4樹が発病し,翌々年は発病した樹はみられず,接種菌は再分離されなかった。腐朽材組織を完全に除去しても,翌年に葉における病徴が発現する苗があったことから,上記の原因としては,何らかの病徴発現物質が存在し,それが樹体内に蓄積して萎縮病の病徴を引き起こしている可能性が示唆された。
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鐘ヶ江 良彦, 蔦木 康徳, 吉田 明広, 植松 清次
2014 年 2014 巻 61 号 p.
64-66
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
千葉県の施設栽培のビワ圃場で,新梢ないし花房が萎凋・枯死する症状が,それぞれ2012年4月,2013年1月に認められた。新梢および花房の内部は褐変腐敗しており,健全部と腐敗部の境目から疫病菌が分離され,その形態的特徴と
Phytophthora cactorum特異的プライマーを用いたPCRにより分離菌を
P. cactorumと同定した。新梢および花房に対して分離菌を接種したところ原病徴が再現されたことから,ビワの新梢および花房に発生した萎凋を伴う枯死は,
P. cactorumによる病徴であることが明らかになった。ビワ疫病の病徴は,これまで果実腐敗と主幹の腐敗及び枯死が知られていたが,新たな病徴が確認された。
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小野 剛, 太田 智子, 鍵和田 聡, 菅原 優司, 網野 範子, 星 秀男, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
67-69
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Rhizopus rot of mango, atemoya and white sapote fruits occurred on Chichijima in Ogasawara (Bonin) Islands in 2012 and 2013. Fungi isolated from the disease plants were identified as
Rhizopus stolonifer var.
stolonifer. Inoculation tests confirmed that this fungus was the causal agent of the diseases. This is the first report of these diseases in Japan.
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飯浜 春奈, 竹内 純, 笹井 裕里, 小場 悠貴子, 小野 剛, 鍵和田 聡, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
70-73
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Passiflora root-rot of
Passiflora edulis Sims. occurred on Hachijo Island of Tokyo Metropolis in 2012. Two species of
Globisporangium (
Pythium) isolated from the diseased plants were identified as
G. splendens and
G. irregurale based on morphological characteristics as well as molecular analyses of the rDNA-ITS region. Inoculation tests showed that these fungi were the causal agents of the disease. This is the first report of the disease in Japan.
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市之瀨 玲美, 森田 琴子, 笹井 裕里, 舘 彩香, 吉澤 祐太朗, 荒金 眞佐子, 星 秀男, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
74-77
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Southern blight of fish mint
Houttuynia cordata, geranium herb
Geranium thunbergii and American mandrake
Podophyllum peltatum occurred in Tokyo Metropolis and Saitama Prefecture in 2012. The causal fungus isolated from the diseased plants was identified as
Sclerotium rolfsii Sacc. based on morphological characteristics as well as molecular analyses of the rDNA-ITS region. Inoculation tests confirmed that the fungus was a causal agent of these diseases. This is the first report of the disease in Japan.
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深見 正信, 國友 映理子, 望月 知史
2014 年 2014 巻 61 号 p.
78-81
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
市販のRNA 抽出試薬とニトロセルロース膜 (NCM) を組み合わせたプリントキャプチャーRT-PCR法により,キク茎えそウイルス (CSNV) を病斑部から簡便に検出できた。RNA抽出操作は15分以内に終了し,検出感度はDIBA法より高いものと考えられた。感染植物汁液を付着させたNCMを-20℃下で60日もしくは25℃下で4日保存後,または2日かかる郵送後にもプリントキャプチャーRT-PCR法によりCSNVが検出できた。
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鐘ヶ江 良彦, 竹内 真紗子, 田中 千華, 加藤 美紀, 林 聖麗, 渡邉 照和, 海老原 克介, 植松 清次
2014 年 2014 巻 61 号 p.
82-84
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
千葉県のカーネーション産地では,
Burkholderia caryophilliによって引き起こされるカーネーション萎凋細菌病が発生して問題になっている。本病に対して抵抗性を有する品種を探索するため,98品種のカーネーションを用いて人工汚染圃場で発病調査を行ったところ,スタンダード品種7品種およびスプレー系品種4品種の枯死株率が低く,これらの品種は本病に対して抵抗性を有していると考えられた。
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飯浜 春奈, 飯嶌 柚奈, 竹内 純, 小野 剛, 吉澤 祐太朗, 鍵和田 聡, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
85-90
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Penicillium leaf spot of mouse thorn (
Ruscus hypoglossum L.) and anthracnose of fairy bells (
Disporum pullum) occurred on Hachijo Island of Tokyo Metropolis in 2011 and 2012, respectively. The causal fungi isolated from the diseased plants were identified as
Penicillium copticola Houbraken, Frisvad & Samso on mouse thorn and
Colletotrichum kahawae J. M. Waller & Bridge (
C. gloeosporioides species complex) on fairy bells. Inoculation tests showed that each of the two fungi was the causal agent of the disease, respectively. This is the first report of the diseases in Japan.
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森田 琴子, 吉澤 祐太朗, 折原 紀子, 近岡 一郎, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
91-95
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
2012年2月,神奈川県横浜市において,セイロンニッケイの鉢栽培に萎凋・株枯れ症状を確認した。罹病枝幹からの分離菌接種により被害症状を再現した。分離菌は形態的特徴およびrDNA-ITS領域の塩基配列解析から
Colletotrichum gloeosporioides sensu lato (Sutton, 1980) と同定された。セイロンニッケイの萎凋・株枯れ症状は,我が国では初記録であり,病名を炭疽病 (Anthracnose) と提案する。
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飯嶌 柚奈, 舘 彩香, 笹井 裕里, 森田 琴子, 市之瀨 玲美, 吉澤 祐太朗, 鍵和田 聡, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
96-98
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Southern blight of mukdenia (
Mukdenia rossii) and lily of the valley (
Convallaria majalis var.
majalis) occurred in Tokyo Metropolis and Saitama Prefecture in summer 2013. The causal fungus isolated from the diseased plants was identified as
Sclerotium rolfsii Sacc. based on morphological characteristics as well as molecular analyses of the rDNA-ITS region. Inoculation tests confirmed that the fungus was a causal agent of the diseases. This is the first report of the diseases in Japan.
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笹井 裕里, 舘 彩香, 志村 美彩子, 坂口 萌, 小沢 彩, 吉澤 祐太朗, 小西 紀, 鍵和田 聡, 石川 成寿, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
99-102
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
In 2012, pineapple lily (
Eucomis autumnalis), prairie poppy mallow (
Callirhoe involucrata), creeping phlox (
Phlox stolonifera) and white cup (
Nierembergia rivularis) were blighted in flower beds in Saitama Pref., and similar symptoms occurred in melampodium (
Melampodium paludosum) in flower beds in Tokyo Metro. The pathogens isolated from each diseased plant were identified as
Sclerotium rolfsii by morphological observations. In addition, the homology of the rDNA-ITS region is high to that of
S. rolfsii. This is the first report of the diseases in Japan.
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舘 彩香, 笹井 裕里, 吉澤 祐太朗, 小西 紀, 鍵和田 聡, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
103-107
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
Southern blight of
Centaurea montana,
Chrysanthemum makinoi,
Verbena ×
hybrida,
Rehmannia elata,
Thymus serpyllum,
Lychnis coronaria,
Phlox paniculata and
Geranium sanguineum occurred at several flowerbeds in Saitama Pref. in 2013. The causal fungus isolated from each diseased plant was identified as
Sclerotium rolfsii Sacc. by morphological observations as well as molecular analyses of the rDNA-ITS region. Inoculation tests showed that the fungus was the causal agent of the disease. This is the first report of this disease on these plants in Japan.
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阿部 美咲, 小野 かすみ, 吉澤 祐太朗, 折原 紀子, 堀越 禎一, 深澤 智恵妙, 鍵和田 聡, 堀江 博道
2014 年 2014 巻 61 号 p.
108-113
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
9種の花器から分離した菌を形態的特徴およびrDNA-ITS領域の塩基配列解析結果に基づき
Botrytis cinerea Persoonと同定した。各分離菌は接種により,原宿主の花器等に病原性を有した。このうち,ブーゲンビレア,ジギタリス,ディアスキアおよびネメシアは新病害であり,灰色かび病と命名したい。フレンチ・マリーゴールドは新宿主であり,カンパニュラ,ダリア,ペラルゴニウムおよびギボウシは初出文献では接種試験未了であったが,今回接種再現した。
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村﨑 聡, 沼田 慎一, 小川 孝之, 冨田 恭範
2014 年 2014 巻 61 号 p.
114-116
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
2011年7月, 茨城県神栖市の現地センリョウ生産圃場で,茎葉が枯死する病害が発生した。罹病部からは
Botrytis属菌が高頻度に分離され,分離菌を接種した結果,原病徴が再現され病斑部からは接種菌と同様の菌が再分離された。病原菌の形態,生育温度,rDNA-ITS 領域の塩基配列に基づき,本菌を
Botrytis cinereaと同定した。
B. cinereaによるセンリョウの病害に関する報告は認められないことから,灰色かび病 (新称) を提案する。
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横内 京子, 舟久保 太一, 國友 義博, 瀧川 雄一
2014 年 2014 巻 61 号 p.
117-118
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
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2013年,山梨県内のファレノプシス生産ほ場において,ファレノプシス苗の葉とバルブに褐色斑点症状が発生した。罹病部から細菌が分離され,接種試験により病原性が確認された。分離細菌の細菌学的性状と16S rDNAのほぼ完全長の塩基配列を調べた結果,
Burkholderia gladioliと同定された。本菌によるファレノプシスでの病害は未報告であるが,すでに報告のある
Erwinia cypripediiによるファレノプシス褐色腐敗病と病徴がほぼ同じであり,
B. gladioliは多くのラン類に褐色腐敗病として病名記載されていることから,褐色腐敗病として病原追加を提案する。
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森島 正二, 山城 都, 和氣 貴光, 松本 華苗, 福田 充
2014 年 2014 巻 61 号 p.
119-121
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
2012年5月,栃木県北部においてリンドウ (
Gentiana spp.) の極早生の在来系統に,葉先の枯れや輪紋,株の萎縮を生じる症状が発生し,これらの罹病葉からトマト黄化えそウイルス (
Tomato spotted wilt virus,TSWV) が検出された。このリンドウから分離されたウイルス株 (SR株) をリンドウに戻し接種したところ,病徴が再現された。また,接種株からRT-PCRによりTSWVに特異的な増幅断片が得られた。さらに,本分離株のN遺伝子の塩基配列を決定し,既報のTSWVと比較したところ高い相同性が示された。以上のことから本症状はTSWVが原因であることが明らかとなった。リンドウでTSWVによる病害の報告はないため,病名をリンドウえそ輪紋病 (新称) とすることを提案する。
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前野 絵里子, 水田 里穂, 諸橋 一樹, 川合 昭, 長尾 郁弥, 延原 愛, 遠藤 三千雄, 竹内 純, 建本 聡, 堀江 博道, 西尾 ...
2014 年 2014 巻 61 号 p.
122-126
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
徳島県那賀郡那賀町および東京都八丈町で栽培されているフリージアで葉にかすり状の退緑または条斑壊疽 (Chlorotic necrotic streak: CNS) 症状を呈する株が多数認められた。そこで,2011年から2013年にかけて,CNS症状株を中心に様々な病徴を呈するフリージア469株と大部分が外観健全な市販品 (鹿児島県産及び東京都産) 55株の計524株について感染ウイルスに関する調査を行った。その結果,BYMVが278株,FreMVが361株,FreSVが113株から検出され,CNS 症状は3種ウイルスの単独感染株より複合感染株に多く見られる傾向があった。
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水田 里穂, 前野 絵里子, 長尾 郁弥, 延原 愛, 遠藤 三千雄, 川合 昭, 竹内 純, 西尾 健
2014 年 2014 巻 61 号 p.
127-129
発行日: 2014/12/01
公開日: 2015/12/25
ジャーナル
フリー
壊疽症状を呈する八丈島産フリージアから
Bean yellow mosaic virus (BYMV) ,
Freesia mosaic virus (FreMV) ,
Freesia sneak virus (FreSV) が高頻度で検出される。このため,高感度かつ迅速に3種のウイルスを同時検出することが可能なマルチプレックスRT-PCRの開発を試みた。3種ウイルス複合感染株の抽出RNAを鋳型とし,FreMV,BYMV,FreSVおよび内部コントロールとして18S rRNAのそれぞれのプライマー濃度を調整することにより,2%アガロースゲル上で4本の明瞭なDNA断片を確認できた。このマルチプレックスRT-PCRと,単一のウイルスを検出するRT-PCRおよび3種ウイルスのELISAによる検出感度の比較を行ったところ,マルチプレックスRT-PCRは単一ウイルスを検出するRT-PCRとほぼ同じ結果を得ることができた。
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