関東東山病害虫研究会報
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2014 巻, 61 号
選択された号の論文の46件中1~46を表示しています
特別講演
  • 白石 俊昌
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 1-5
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    群馬県では中山間地の野菜生産振興に伴って,多犯性土壌病害のバーティシリウム病が多数の作物に発生し,ダイズ萎凋病,ゴボウアザミ半身萎凋病などの新病害が報告された。バーティシリウム病を総合的に防除するため,病原菌の検出方法や接種方法について新しい試みが行われ,発生生態や防除技術についても研究が進められた。ウド萎凋病の防除にはクロルピクリン剤のマルチ畦内消毒の効果が高く,現地で普及した。キャベツバーティシリウム萎凋病の防除ではエンバク野生種の輪作が有効であった。今後,バーティシリウム病を効果的に防除するためには輪作や抵抗性品種の利用などの技術を組み合わせ,総合的な対策を講ずることが必要である。
報文
病害の部
虫害の部
  • 春山 直人
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 130-131
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    近年,栃木県南部のカキナBrassica napus栽培ほ場においてハクサイダニPenthaleus erythrocephalus Kochによ る深刻な被害が発生している。本種はアブラナ科野菜をはじめ,県内で栽培されているシュンギクやホウレンソウ,レタスなど広範な冬作物にも寄生するため,被害拡大のおそれがある。そこで,他作物も考慮した防除薬剤の知見を得るために,各種の殺虫・殺ダニ剤および一部除草剤のハクサイダニ成虫に対する殺虫効果を検討した。虫体浸漬法により,29薬剤を供試したところ処理24時間後では有機リン系とMETI系殺虫剤を中心に5剤で効果が高く,96時間後では,フィプロニル水和剤,脂肪酸グリセリド乳剤,グルホシネート水和剤においても効果が高かった。
  • 長坂 幸吉, 光永 貴之, 後藤 千枝
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 132-136
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    アブラナ科葉菜類での害虫防除に適切な防虫ネットを選択する際の基本的情報を得るため,室内の一定条件下で主要害虫10種について4種類のネット目合いに対する通過率を調査した。コナガ成虫と幼虫 (若齢幼虫,以下同様) ,ハスモンヨトウ幼虫,ヨトウガ幼虫,カブラハバチ成虫,キスジノミハムシ成虫,ダイコンサルハムシ成虫と幼虫,ナモグリバエ成虫,ダイコンアブラムシ有翅虫,ニセダイコンアブラムシ有翅虫およびモモアカアブラムシ有翅虫について,目合い1mm,0.8mm,0.6mm,0.4mmの防虫ネットを垂直に設置した場合の24時間後の通過率を調査した。1mm目合いで通過を阻止できる害虫は,カブラハバチ成虫,ダイコンサルハムシ成虫,コナガ成虫であり,0.8mm目合いで通過を阻止できるのはナモグリバエ成虫,0.6mm目合いで阻止できるのはキスジノミハムシ成虫,ダイコンアブラムシ有翅虫,ニセダイコンアブラムシ有翅虫であった。0.4mm目合いでおおむね阻止できるのはモモアカアブラムシ有翅虫とダイコンサルハムシ幼虫であった。一方,ヨトウガ,ハスモンヨトウ,コナガの若齢幼虫は,0.4mm目合いでも通過した。また,コナガサムライコマユバチ,コレマンアブラバチなどの寄生性天敵の通過率を調査したところ,1mm目合いであれば通過可能であるが,0.6mm目合いでは通過が5%以下に阻止された。これらの情報を基に,アブラナ科葉菜類での防虫ネットの活用法を考察した。
  • 清水 健, 大谷 徹, 河名 利幸, 遠藤 正樹
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 137-140
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    We investigated susceptibility to two diamide and ten other insecticides in four local populations of the diamondback moth, Plutella xylostella collected from cabbage (Brassica oleracea var. capitata) fields in Asahi City, a rape flower (Brassica rapa var. nippo-oleifera) field and a daikon (Raphanus sativus var. longipinnatus) field in Minamibousou City from October to December 2013 in Chiba Prefecture. For the larvae of two Asahi populations, fed with cabbage leaf disks treated with flubendiamide or chlorantraniliprole, the corrected mortalities at 72 hours after treatment were zero and the leaf areas damaged by the larvae were not significantly different from that of the control, showing a reduced susceptibility to these diamide insecticides. On the other hand, these diamide insecticides were highly effective against two Minamibousou populations. Spinetoram, emamectin benzoate, indoxacarb, tolfenpyrad, Bt and cartap hydrochloride were highly effective against all four populations.
  • 下田 武志, 羽生 和史, 手塚 俊行, 後藤 千枝, 戒能 洋一
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 141-144
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    We investigated the influence of sugar foods presented in a bottle-type feeding device on female longevity and life-time fecundity of Cotesia vestalis, a larval parasitoid of the diamondback moth Plutella xylostella. Solutions of honey and sugar mixture (sucrose, glucose and fructose) prolonged female longevity significantly more than water, irrespective of the mating status and oviposition experience. These sugar foods also significantly enhanced life-time fecundity of mated parasitoids more than water. We also investigated the continuity of these sugar foods in bottle-type feeding devices installed in a greenhouse for different periods (30 and 120 days). Even 120 days after the installation of these feeding devices, honey and sugar mixtures in feeding devices could respectively enhance female longevity in laboratory experiments. These results indicated that those sugar foods provided by bottle-type feeding devices are useful for maintaining the parasitoids for at least several months in a greenhouse where potential sugar sources (e.g. flowers) are limited.
  • 池田 健太郎, 串田 篤彦, 桑原 克也, 藤村 真, 吉田 重信, 對馬 誠也
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 145-148
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    群馬県長野原町の2か所のハクサイ黄化病自然発生圃場の病原菌およびネグサレセンチュウの種を同定し,後者によるハクサイ黄化病の助長現象を検討した。病原菌は2圃場の分離株ともVerticillium longisporumと同定でき,ネグサレセンチュウ種は,キタネグサレセンチュウと同定された。このことから,これらの黄化病自然発生圃場にキタネグサレセンチュウが生息していることが判明した。2か所の自然発生圃場の土壌に殺線虫剤 (カズサホス粒剤) を処理した結果,土壌中のキタネグサレセンチュウが減少し,さらにハクサイ黄化病の発病も無処理区に比べ有意に低下した。このことから,本県のハクサイ黄化病自然発生圃場においても,キタネグサレセンチュウが本病の発病を助長していることが示唆された。
  • 内田 一秀, 村上 芳照, 綿打 享子, 功刀 幸博
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 149-152
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    クビアカスカシバの産卵および加害状況の観察と,山梨県における被害調査を実施した。6月中下旬の野外環境下では,卵期間は11~12日間であった。また,室内試験において,孵化直後の幼虫を新梢切片に接種すると,翌日には多数の食入痕が観察された。ブドウ樹上の産下卵と幼虫の食入痕は,偏って分布しており,その分布は翌年も同様であった。野外で捕獲した雌成虫 (計4頭) は,捕獲後6~12日間生存し,生存期間中の総産卵数は74~752個,孵化率は82~91%であった。山梨県内のブドウ生産者を対象としたアンケートでは,「ピオーネ」および「巨峰」は,他の品種と比較して,被害が認められた率が高く,被害程度も高かった。
  • 山﨑 大樹, 糸山 享
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 153-154
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    「多摩川ナシ」の栽培地域におけるハダニ類の薬剤感受性の現状を把握するため,2013年に神奈川県川崎市多摩区内のナシ園4圃場から採集したナミハダニおよびカンザワハダニについて,葉片浸漬法を用いて10種類の殺ダニ剤に対する感受性を調査した。その結果,圃場間および種間で薬剤感受性に大きな差が認められ,圃場ごとの薬剤抵抗性が大きく異なる可能性が示唆された。
  • 春山 直人
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 155-158
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2013年に栃木県内で新たに被害が確認されたモトジロアザミウマおよびチャノキイロアザミウマ新規系統 (C系統) について,複数の作物への被害拡大が懸念されることから本県で採集された個体群に対する各種薬剤の殺虫効果を調査した。モトジロアザミウマでは,食餌浸漬法による処理48時間後の補正死虫率はスピネトラムで98.3%と高く,96時間後ではスピノサド,クロルフェナピルが96.2および96.4%と高かった。虫体浸漬法では処理48時間後の補正死虫率は,メソミル,プロチオホス,マラソン,ニテンピラム,スピノサド,スピネトラム,エマメクチン安息香酸塩,アバメクチン,クロルフェナピル,カルタップ,トルフェンピラド,ピリダリルで90.2%以上と高く,食餌浸漬法と比較して全般的に高い値であった。チャノキイロアザミウマC系統では,食餌浸漬法による処理48時間後の補正死虫率は,スピノサド,スピネトラム,エマメクチン安息香酸塩でいずれも100%と高かった。96時間後ではアセフェート,ピリフルキナゾンが93.3%および91.9%と高く,ニテンピラム,クロルフェナピルは78.8%および71.7%と殺虫効果が認められた。
  • 小澤 朗人, 内山 徹
    2014 年 2014 巻 61 号 p. 159-162
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    The effects of several insecticides on the emergence of the parasitoid, Encarsia smithi (Silvestri) parasitizing the tea spiny whitefly Aleurocanthus camelliae Kanmiya & Kasai were evaluated by both laboratory and field experiments. Tea leaves with the pupae of A. camelliae parasitized by E. smithi were collected from a tea field and these leaves were dipped in 13 insecticides diluted with water to ordinary use concentration, and the emergence rate of the parasitoid was checked one month after the treatments in the laboratory experiment. In the field experiment, the emergence rate of the parasitoids was checked 70 days after the application of 13 insecticides in a tea field. The results of these experiments showed that machine oils (two dilutions), methidathion, profenofos and tolfenpyrad were seriously harmful; clothianidin, spinetoram, fenpyroximate·bupurofezin mixer, and methomyl were slightly harmful; and spiromesifen, chlorfenapyr, pyrifluquinazon and diafenthiuron were harmless on the emergence of E. smithi.
農薬の部
研究発表会講演要旨
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