以上今回の調査結果は、研究の中間的段階の報告に止まるのであるが、現在迄に得たところを要約すれば次の様になる。
(1) 今回用いた質問紙の項目は、過庇護的見解への歪みをもっているから修正が必要である。
(2) この調査の結果からは、経済的条件、職業、家族の構成は、親子関係に対する親の見解に一義的に関連しないことが見出された。
(3) 但し、具体的な場面における見解は、経済的条件及び職業にもとづく差異を示す。即ち経済的に低い集団は物質的な場面において「より庇護的」であり、又先生は親とは異った教育的な視点をもっている。
(4) 親の年令増加と共に親子関係に対する見解が排斥的になる傾向がある。但し50才以上の場合は見解が両極に分かれる傾向をもつ。
(5) この調査によって得た親の見解は、その人自身の親子関係に対する見解を投影する場合が多く、又極端な見解を示す親の子供には攻撃的・退行的・社会的不適応等の不当適応をなすものが多い。
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