教育学研究
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87 巻, 4 号
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特集:コミュニティーとしての学校
論文
  • 近代日本の倫理教育と道徳教育における経験と選択の主体論をめぐって
    田邉 尚樹
    2020 年 87 巻 4 号 p. 585-596
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/19
    ジャーナル フリー

     本稿は、帝国大学文科大学心理学教授元良勇次郎が1890年前後に論じた心理学論、倫理学論、そして修身教育論における習慣論を明らかにするものである。この作業を通して、元良が「情」や「理」などの伝統的な儒学思想に加えてフェヒナー精神物理学、ヴント実験心理学、ダーウィンの進化論、カント倫理学の影響を受けながら、個人の経験と選択を基調とした習慣論を構築し、倫理学および修身教育論で展開したことを明らかにした。

  • 森田 一尚
    2020 年 87 巻 4 号 p. 597-608
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/19
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は、精神分析家エリッヒ・フロムの宗教論を検討し、「教化」する権威的な「宗教」に抵抗しつつ、なおも「宗教的」に生きる方途を探った彼の思索の教育的含意を明らかにすることである。結論として、本稿は、フロムが「気づき」の「能力」を尊重することによって、「宗教的」に生きることを構想していた事実を闡明し、最後に、彼の理論が道徳教育の教科化の事例に先鋭化される現代教育の問題に対してもつ意義を明示する。

  • 中国近代における「国語科」の創成
    山下 大喜
    2020 年 87 巻 4 号 p. 609-620
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/19
    ジャーナル フリー

     本稿では、中国近代における国語教育改革の新たな側面として、胡適の国語教育論を起点としながら「国語科」成立(1923年)へと至る歴史的過程について考察した。胡適は口語文学の確立を目指した文学革命の推進とともに、低学年から順に国語教育を実施していく重要性にも議論を展開した。胡適の「建設的文学革命論」を契機とした論壇における関心の高まりとも相まって、それらの議論は「国語」を用いた教科書編纂の決定や1922年新学制にともなう「国語科」の成立へと結実していったのである。

研究ノート
  • 中学3年間の友人関係から考える
    志田 未来
    2020 年 87 巻 4 号 p. 621-630
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/19
    ジャーナル フリー

     本稿はしんどい家庭の子どもの学校経験を、中学3年間の友人関係に着目して描くことを通じて、排除する者と排除される者の間の相互作用に迫る関係論的展開を試みるものである。事例を通じて、しんどい家庭の子どもを包摂しようとする友人たちの働きが、時間の経過を経て排除へと向かってしまう「好意の反作用」があることが明らかになる。友人関係の中で生起する学校特有の排除/包摂を取り巻く困難を十分考慮に入れなければ、しんどい家庭の子どもの包摂は難しくなることを提起した。

連載 教育研究の現在 第21回
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