ループス腎炎の発症・進行に全身的な免疫異常が深く関与することは, すでに種々の検索から明らかにされている。そこで, 今回はループス腎炎46症例の抗T細胞抗体陽性率, 末梢血リンパ球のT, B細胞及びTγ細胞のsubpopulationの変動, 血中ICレベルと腎組織障害性との関係について検討した。その結果, ループス腎炎では, 抗T細胞抗体が非腎症SLEにくらべて高率に陽性を呈すること, 腎症候の悪化時にはT細胞, Tγ細胞数は低下し, B細胞数は増加すること, 血中ICレベルは腎組織障害の程度を忠実に反映することを見出したのでその詳細について報告した。臨床的に抗T細胞抗体, T, B及びTγ細胞数, 血中IC量を経時的に測定することは, ループス腎炎の進行を予測し, 適切に対処するためにきわめて重要な臨床免疫学的検査と思われる。
抄録全体を表示