37歳女性。16年前に交通事故により頭部外傷を受け, その6年後に急性髄膜炎に罹患し, 以後, 今回を含め約11年間に計4回同様の髄膜炎に反復罹患した。今回も発熱(41℃), 意識障害, 髄膜刺激症状を呈し, 検査所見上, 細菌性髄膜炎の所見を認めた。RIシステルノグラフィーでは髄液漏は確認されなかったが, 明らかな副鼻腔炎と頭蓋底骨折が認められた。髄膜炎の治療後, 副鼻腔炎, 頭蓋底骨折に対する手術を行ない, その際髄液漏の存在も確認し得た。本例では頭蓋底骨折が未治療であったため, 髄液漏が生じ, 合併した副鼻腔炎から急性髄膜炎を反復したものと考えられる。頭部外傷後の髄液漏は稀ではないが, 4度も髄膜炎に罹患した症例は文献上も極めて稀である。頭部外傷後, 副鼻腔炎の合併や髄膜炎の発生をみた場合は, 髄液漏の有無に関係なく, 速やかに放射線学的検討を行ない, 外科的治療の適応を考慮する必要がある。
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