Na^+, K^+-ATPaseは, Na^+, K^+の能動輸送を司る, 細胞膜Naポンプの本体であり, 動物細胞に普遍的に存在する酵素であるが, 最近, この赤血球Na^+, K^+-ATPaseと種々の病態との関連が注目されてきた。そこで本研究においては, 赤血球Na^+, K^+-ATPaseを規定する基本的パラメーターである, Naポンプ数およびNaポンプ活性を, それぞれ〔^3H〕ウアバイン最大結合量およびK^+最大輸送速度として求めるための基礎条件を検討し, その正確な測定法を開発した。この方法により測定した正常人のNaポンプ数は336±50(site/cell)で, そのK_dは4.3±0.9nMであった。また, Naポンプ活性は163±23(nmol/hr/10^9cells)で, そのK_mは2.2±0.6mMであった。尚, Naポンプ数は女性の方が男性に比し有意に高かったが, 年齢差は見られなかった。本測定法は, 精度ならびに信頼性も高く, また同一個体での赤血球Naポンプ数は短期間に変動しないから, 今後の臨床応用も期待される。
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